買い物かごへ

太陽光発電のスマート基幹電源化
IoT/AIによるスマートアグリゲーションがもたらす未来の電力システム

定価(税込)  2,750円

編著
編著
サイズ A5判
ページ数 232頁
ISBNコード 978-4-526-07955-9
コード C3054
発行月 2019年03月
ジャンル 電気・電子

内容

エネルギーネットワークシステム研究の第一人者が、太陽光発電の高度利活用技術と新しい電力システムの具体像を提示。AI/IoTの進化に伴い、小電力を集約するアグリゲーション技術を詳述する。

井村順一  著者プロフィール

(いむら じゅんいち)

原 辰次  著者プロフィール

(はら しんじ)

目次

はじめに

第1部 次世代電力システムの在り方と目指すところ
第1章 電力システムの現況と課題:次世代電力システムの構築に向けて
1.1 東日本大震災を契機とした「電力システム改革」を理解する
1.1.1 電力システム改革の3つのマイルストーン
1.1.2 再生可能エネルギー導入を巡る動き
1.1.3 情報通信技術の活用に向けて
1.1.4 蓄電池を巡る動き
1.2 太陽光発電導入における4つのポイント
1.2.1 太陽光発電は日中のみ
1.2.2 太陽光発電の発電予測は容易ではない
1.2.3 分散電源により生じる送配電制約
1.2.4 火力機の代わりとなる慣性力がない
1.3 太陽光発電のスマート基幹電源化
1.4 次世代電力システムに向けて
第2章 IoT/AIによるスマートアグリゲーション
2.1 想定する電力システムの未来像
2.1.1 変化する電力へのニーズ
2.1.2 多様化する電力の価値
2.1.3 需要家はプロシューマへ
2.1.4 小売事業者はアグリゲータへ
2.2 アグリゲータの登場とバランシンググループ
2.2.1 アグリゲータと小売事業者・発電事業者の違いは?
2.2.2 バランシンググループとは?
2.2.3 様々なニーズに対応する小売事業者としてのアグリゲータ
2.2.4 従来の電気事業者はどうなるのか?
2.2.5 電力システムは誰が維持するのか?
2.2.6 スマートアグリゲーションは何をもたらすか?
2.3 アグリゲータをIoTの視点で見ると
2.3.1 アグリゲータの諸側面をシステムの視点で見ると
2.3.2 IoTをシステムの視点で見ると
2.3.3 階層システムとしてのIoTのキーは「中間層」
2.3.4 「中間層」としてのアグリゲータ
第3章 次世代調和型電力システム
3.1 次世代調和型電力システムの姿
3.1.1 縦横階層化システム
3.1.2 電力システムを縦横階層化システムとして見ると
3.2 次世代調和型電力システムに向けた技術課題とアプローチ
3.2.1 太陽光発電予測
3.2.2 アグリゲータ・バランシンググループ
3.2.3 電力市場
3.2.4 系統制御・配電制御

第2部 スマートアグリゲーションに向けた先端的アプローチ
第4章 IoT/AIを活かした太陽光発電予測
4.1 太陽光発電の発電特性
4.1.1 太陽光発電の発電原理
4.1.2 太陽光発電システムの種類
4.1.3 太陽光発電の発電特性
4.2 これまでの太陽光発電予測技術
4.2.1 様々な予測技術
4.2.2 発電予測技術の概要
4.2.3 数値予報技術を利用した予測技術
4.2.4 衛星観測データ(衛星画像等)を利用した予測技術
4.2.5 天空画像データを利用した予測技術
4.2.6 実測データを利用した予測技術
4.2.7 発電把握技術
4.2.8 実際に利用されている電力会社の発電予測システム
4.3 太陽光発電の発電予測の課題
4.3.1 季節による予測誤差の特徴
4.3.2 天候別の予測誤差
4.3.3 予測の大外れ
4.4 AI技術などによる太陽光発電予測の高精度・高度化
4.4.1 太陽光発電予測の高精度化
4.4.2 アグリゲーションにおける予測誤差の低減
4.4.3 発電予測の不確実性の推定
4.4.4 太陽光発電の発電予測技術の展開
第5章 プロシューマとスマートアグリゲーション
5.1 IoT/AIによる予測
5.2 不確実性をどう受け入れるか
5.3 予測不確実性を許容する計画
5.3.1 信頼区間とプロファイル
5.3.2 予測不確実性を許容する計画の作成方法
5.4 スマートアグリゲーションにおけるUC
5.4.1 UCの現状と未来
5.4.2 予測を利用したUC
5.5 様々な制約を考慮した配分
5.6 多様性を利用した当日運用
5.7 調整力の創出に向けて
第6章 電力市場とスマートアグリゲーション
6.1 従来の電力市場とその課題
6.1.1 電力システム改革における電気事業者の類型と重要機関
6.1.2 現状の電力市場
6.1.3 従来の電力市場の課題
6.2 エネルギーシフトを可能にする未来の電力市場とスマートアグリゲーション
6.2.1 電力エネルギーシフトと適応力
6.2.2 リスクヘッジとしてのエネルギーシフト
6.2.3 エネルギーシフトの基本的な売買の概要
6.2.4 アグリゲータによる適応力の向上:時間的エネルギーシフトの場合
6.2.5 アグリゲータによる適応力の向上:空間的エネルギーシフトの場合
6.3 予測とリスクを考慮した未来の市場取引とスマートアグリゲーション
6.3.1 予測とリスクを考慮した市場取引のためのアグリゲータの役割
6.3.2 リスクを考慮した電力ネットワーク運用の基本的な考え
6.3.3 信用度を用いた市場取引の概要
6.3.4 信用度を用いた市場取引:アグリゲータを介さない場合
6.3.5 信用度を用いた市場取引:アグリゲータを介する場合
6.3.6 信用度を用いた市場取引:市場管理者の役割
第7章 系統制御とスマートアグリゲーション
7.1 従来の電力系統制御とその課題
7.1.1 電力系統の需給制御
7.1.2 電力系統の潮流制御
7.2 将来の電力系統の需給制御における系統運用者の役割
7.2.1 市場取引のセキュリティチェックと修正(計画断面)
7.2.2 当日運用における不確実性を含む対応(運用断面)
7.3 将来の電力系統の潮流制御における系統運用者の役割
7.3.1 分散配置による問題とその対応
7.3.2 オープンシステムによる問題とその対応
7.4 新しい電力系統制御の例(研究紹介)
7.4.1 送電制約を考慮したEDC(運用断面/需給・潮流)
7.4.2 予測を利用したLFC(運用断面/需給)
7.4.3 温度制約による混雑緩和(運用断面/潮流)
7.4.4 電力系統安定化とレトロフィッティング
7.5 スマートアグリゲーションのための配電系統
7.5.1 従来の配電系統の概要
7.5.2 太陽光発電大量連系による課題
7.5.3 スマートアグリゲーション実現のための配電技術の例

第3部 次世代電力システムの開発・構築・検証からSociety 5.0への展開
第8章 ビッグデータと数理モデル連携によるシステム開発
8.1 電力コラボレーションルーム
8.1.1 ビックデータ連携に向けての環境整備
8.1.2 ビックデータ連携を検討するためのシステム構築
8.2 ビッグデータ・数理モデル連携型プラットフォーム
8.2.1 「データサイエンス」から「クリエイティブ・データサイエンス」へ
8.2.2 データ再構築の例
8.2.3 社会システムの開発・構築・検証に向けたプラットフォーム
第9章 調和型電力システムからSociety 5.0へ
9.1 不確かな実世界でのIoT/AI:予測・制御との融合
9.1.1 不確かで多様な価値を持つ社会システム
9.1.2 予測・制御から見るIoT
9.1.3 グローカル制御
9.1.4 相互作用の設計科学と縦横階層化システム設計
9.2 異システム融合によるSociety 5.0の実現
9.2.1 都市交通システムを例に
9.2.2 電力システムと移動システムの融合に向けて

おわりに
索 引

はじめに

 20年後、30年後の生活は、どのようになっているであろうか? 近年、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)、AI(Artificial Intelligence、人工知能)、スマートシティ、自動運転、シェアリング、ブロックチェーン、仮想通貨など、世の中は未来を予測する身近なキーワードに溢れている。これらが指し示す社会はどのようなものであろうか? IoTにより、自動車、家電製品、建物内の照明、冷暖房・戸締まり、工場内の各種生産装置など、様々な「モノ」が情報レベルでつながるようになる。そして、それにより、人やモノの移動や日々の暮らし、商品の生産・販売・消費などで様々な新しいサービスが登場してくる。AIにより、どのレベルの知的サービスが登場するかがポイントであろう。これらのサービスと切り離せないものがエネルギーである。エネルギーなくして、モノとつながったサービスは提供できない。IoTは、情報によるモノの間の結合を指すが、そもそも、モノを動かすための電気、ガスエネルギーも情報によりつながる。
 本書では、こうした全てのサービスの根源となるエネルギーについて、特に電力エネルギーについて、20年後、30年後の未来について考えてみたい。すなわち、現在の電力エネルギーシステムを見つめ、その延長線上にある未来の電力エネルギーシステムのあるべき姿を描こう、というものである。近年良く見かける未来予想とは違う。未来の電力システムやエネルギーシステムに関する著書は近年、多数ある(文献1)~3)などを参照)。本書はそれらを参考にしつつも、実際に未来の電力システムを研究している者の立場から、現在や未来の科学技術レベルを根拠に、システム論的な視点も取り入れて、電力エネルギーシステムのあるべき姿を解説する。
 本書は、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業CRESTの「分散協調型エネルギー管理システム構築のための理論及び基盤技術の創出と融合展開」領域(研究総括 藤田政之)の研究課題「太陽光発電予測に基づく調和型電力系統制御のためのシステム理論構築(HARPS)」(研究代表者 井村順一、2015年4月~2020年3月)での研究プロジェクトで得た成果を基にしている。
 各章の主担当は下記のとおりであるが、著者全員で何度も会議を重ねて、全ての内容を吟味してきた。また、本書の内容は、本書の著者だけなく、本プロジェクトに参加した全ての研究者との研究活動によるものであることを明記しておく。研究者は大学関係者、研究機関、企業を合わせて全76名(2018年10月現在)いるため、全ての名前を記載できないことをご容赦いただきたい。研究プロジェクトのホームページ(文献4))には学生を含む全ての研究者を記載しているので参照されたい。なお、石崎孝幸氏、定本知徳氏、笹原帆平氏、餘利野直人氏、佐々木豊氏、関崎真也氏からは図なども含めて多くの研究成果を提供していただいたので記して感謝する。

買い物かごへ