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調達・購買の教科書 Part2
インフラ系企業<電力、建設、エンジニアリング企業>編

定価(税込)  2,420円

著者
サイズ A5判
ページ数 188頁
ISBNコード 978-4-526-07928-3
コード C3034
発行月 2019年01月
ジャンル 経営 ビジネス

内容

好評書「調達・購買の教科書」のPart2で、インフラ系企業(電力、建設、エンジニアリングなど)向けの「教科書」。調達・購買人員に必要な知識とスキルをすべて一冊に集約する。製造業の調達との違いを含めて、インフラ系バイヤーに必要な知識を豊富なデータとともに解説する。

坂口孝則  著者プロフィール

(さかぐち たかのり)
大阪大学経済学部卒業、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務に従事。現在は未来調達研究所株式会社取締役。調達・購買コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の専門家。とくに企業内調達業務研修については他講師からの乗り換え依頼が相次ぐ。100ページを越える資料を使った情熱的な講義が大好評。また、調達・購買担当者同士の情報交換ができる場、「購買ネットワーク会」発起人
。バイヤーの立場から見た営業のあり方や、商売のあり方についても多くの情報発信をおこなう。
「ほんとうの調達・購買・資材理論」主宰。『調達・購買の教科書』(日刊工業新聞社)、『決定版!「調達・購買」戦略の教科書』(日刊工業新聞社)、『調達力・購買力の基礎を身につける本』(日刊工業新聞社)、『牛丼一杯の儲けは9円』(幻冬舎新書)、『大震災の時!企業の調達・購買部門はこう動いた』(日刊工業新聞社)、『モチベーションで仕事はできない』(ベスト新書)など著作32作。
ホームページ「未来調達研究所」より坂口孝則の手による無料教材がダウンロード可能。業界最大の購読者数を誇る。

目次

はじめに
インフラ版「調達・購買の教科書」
本書ができるきっかけ
現場での苦悩
インフラ系の調達・購買業務「あるべき姿」を目指して

第1章 インフラ系調達・購買の基礎知識
COLUMN 現場を襲う虚無感
1 売上高、工事原価、総利益(粗利益)
2 資材業務の役割:調達業務の経営影響
3 建設業法の基礎
建設業法とは
契約で知っておくべきこと
見積書依頼にかかわる内容
 見積書の査定について
 支払いルールについて
4 技術者制度
 専任の技術者の配置
 現場への専任技術者の配置
 施⼯体制台帳と施⼯体系図
5 下請契約の締結
 下請契約について
 下請代金支払遅延等防止法について
〈虚無感を脱することはできるのか〉

第2章 インフラ系調達・購買のコスト分析
COLUMN 上司の遺言
1 調達・外注分類とABC分析
ABC分析
2 取引先別支出分析
 ハーフィンダールインデックス
 依存度分析
3 注文件数とコスト削減寄与度分析
 単純作業への処方箋
4 労務単価試算
 適正経費試算
 労務費と外注費の混在
5 発注履歴使用の仕組みづくり
 〈上司の本懐〉

第3章 コスト削減
COLUMN コスト削減の宿命
1 取引先検索、取引先調査
 取引前提確認
2 コスト削減施策
 調達・購買部門の上流関与
 現場部門との物理的接触
3 価格交渉
 大人としての調達・購買部門
 価格査定
 価格交渉で重要なこと
 交渉は事前準備が必要
4 市中価格比較
 まずは市況を調べること
5 VEの進め方
 VEの確度計算
 VE観点一覧
 工場見学の肝要点
 〈バンザイを探して〉

第4章 取引先管理
COLUMN 知人たちとの再会
1 ベンダーリストの作成
 具体的なベンダーリスト作成
2 施工品質評価、施工納期評価(取引先評価)
3 優良表彰制度
4 協力会社の囲い込み、経営アンケートの作成
 協力会社と蜜月になる意味
 経営アンケート
5 協力会社への上限設定
 取引先を見る目
 〈モチベーションがない?〉

第5章 仕組み・組織体制
COLUMN 仕組みの重要性
COLUMN 調達に必要なのは誤解力か
1 予算基準の明確化、コスト削減基準の設定
 コスト削減基準のあれこれ
2 現業部門との連携
 現業部門との定期的打ち合わせ
 現業部門の期待を背負ってこそ
3 集中購買
 集中購買の分類
 実効的な集中購買にむけて
 集中購買の思い出
4 業務時間分析
 メールと会議は悪習か
 調達購買改革は会議改革からはじまる
5 業務過多の調整
 業務の移管
 代表的な組織分類
 〈強い組織の作り方〉

あとがき

はじめに


■インフラ版「調達・購買の教科書」
 この本は、製造業ではなく、インフラ系の調達・購買業務に従業している読者のために書きました。巷間にあふれる調達・購買関連の書籍は、製造業のためのものか、あるいは、間接材調達を指南するものです。
 それにたいして、本書は、インフラ系の調達・購買担当者が知っておくべき内容をまとめました。決算書への調達・購買業務の反映、法律、契約、コスト分析、コスト削減、取引先管理、部門の仕組みづくりまでを網羅しました。この一冊で、おおむね業務のやり方や、応用の方法までがわかるはずです。文字通り、「教科書」になっているでしょう。
 本書を読むことで次が可能となります。
●インフラ系の調達・購買業務が俯瞰できる
●インフラ系の調達・購買業務の実践ノウハウを取得できる
●自社の業務手法と比較することで、次なる一手を考えることができる
 ここに書いているのは、机上の空論ではなく、すべて私が現場で行動したり、考えたりしながら紡いでいったものです。みなさまにも、その熱量とともに、実践的なノウハウを感じていただけることを願っています。
 本書はいわゆる建設、インフラ、公共、重電などの少量個別対応を主とする企業に向けて書きました。そこで調達・購買業務に従業しているひとのスキルと地位向上のために捧げられています。同時にこの書籍は、製造業の方が読んでも、大きな刺激を受けることは間違いありません。

■本書ができるきっかけ
 なぜこれまで類書が存在しなかったのでしょうか。理由は簡単で、調達・購買関連本の著者は大半が製造業出身か、あるいは間接材のコスト削減だけを担ったコンサルタントだったからです。
 私も例にもれず製造業出身です。しかし、ありがたいことに、コンサルタントになってから、多くの非製造業企業で調達改革を進めてきました。ご依頼いただいた方の多くが、私の著書をお読みいただいた方でした。名刺をいただくと、製造業ではありません。インフラ系の企業に属する方々です。そんなとき「製造業出身ですけれど、いいでしょうか」と私はかならず訊くようにしています。とくに調達・購買業務に従業する方々は「ウチは特殊だから」と、異分野出身者をあまり認めてくれない傾向があるためです。
 しかし、「たしかに建設業と製造業は違います。調達のやり方も違うかもしれません。でも、私たちが新たな発想を得るためにも、ぜひ一緒にやりましょう」とご返事いただく顧客がいらっしゃいました。一社、そして一社と、一時期は、製造業よりもインフラ系の企業をコンサルティングする機会の方が多かったほどです。
 インフラ系企業が、そのように私を“果敢”にも採用いただいたことから、そこで得た知見をまとめました。

■現場での苦悩
 ただし、それにしても、最初にインフラ系の企業と仕事をしたときのことは忘れられません。まったく価格査定をしていないのです。製造業であれば、さすがに相見積書を入手するだけではなく、原価を試算します。もちろん、相見積だけで終わらせるケースもあるでしょう。しかし、モノの価格についてはシビアなひとが多いものです。
 それにたいして、インフラ系の企業では、現場が指定した企業に形だけの競合見積書をとって、注文書を流すだけ。価格交渉するのかと思えば、見積書に赤ペンを使って、「199,500円」→「199,000円」などと、下何桁かを安くしてくれというばかり。
 私が「この工事ってどんな工事ですか」と訊いても、そもそも工事仕様書を読んでいない、読む気もない、読む時間もない、というありさまでした。これではいけない、といって、製造業的なやり方をお伝えしても「そこまでやることは求められていない」「上司もわかっていない」「やる時間がない」といった反応ばかり。
 そこから、私は現場のコンサルティングで悩みつづけることになります。現場からの反感、拒絶、否定、無視、現場のあからさまなやる気のなさ、電話を繰り返しては時間がないといったアピール、「やったところで給料あがるんですか」という諦観……。

■インフラ系の調達・購買業務「あるべき姿」を目指して
 しかし、実際のところ、私は彼ら担当者、管理職に苦情をいいたいわけではありません。なぜならば、人間は与えられた環境のなかで、効率的に動くからです。価格査定をやったほうがいいとはわかっているはずでしょう。ただし、目の前の注文書を捌かねばならないのです。また、形だけであっても、大量の見積書を集めねばなりません。さらに、現場からの理不尽な要求に対応せねばならないのです。
 そのうえで、何かを変えていかねばならない。現場に寄り添いつつ、しかし、寄り添いすぎないように、変化をもたらさなければならない。たとえ当初は反感があったとしても、説得と、そして熱意によって、少しずつでも前進していかねばならない。
 私たちに必要なのは、衒学的な知識ではありません。そして同時に、これまでの現状追認でもありません。知識と現場の中間、実践的な知恵こそが求められているのです。
 もしかすると、製造業のように、一品を半日かけて査定する時間はないかもしれない。しかし、重点的な工事や品目については、簡易的であっても分析すれば交渉力を高められます。あるいは取引先への牽制ができるかもしれません。
 もしかすると、製造業のように、価格交渉に緻密な時間をかけられないかもしれません。ただし、肝要なポイントのみならば、市場価格と比較できます。それによって全体を類推できるかもしれません。
 また、いきなり完璧な取引先管理ができなくてもと、やるべきことはたくさんあります。「できない」ことではなく、「できる」ことを探せばよいのです。同じことを繰り返して、違う結果を求めるのは、夢想としか呼ばないのですから。
 そして、すべての成果は、行動と実践のあとにしか生まれません。人間はいつも、変化を嫌うものです。それでも、何かやらない限りは、いまのままです。もし、あなたが少しでも、現状を変えたい、面白くしたい、と思うならば私は全力で伴走していきます。
 私は、コンサルティングや講義や書籍などを通じて、調達・購買業務を少しでも変えようと真剣に思っています。本書を閉じるころには、この意思に少しでも賛同いただく方が増えると確信しています。

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