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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしいレーザ加工の本

定価(税込)  1,650円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07924-5
コード C3034
発行月 2019年01月
ジャンル ビジネス 金属 機械

内容

レーザ加工の全体像がわかるように基本事項をやさしく絵解きします。穴あけ、切断以外にも接合、溶接、表面処理などの用途と原理を詳述し、レーザ加工のメリットを明らかにして他工法との優位点を示しました。

片山聖二  著者プロフィール

(かたやま せいじ)
昭和26年 兵庫県に生まれる
昭和50年 大阪大学大学院工学研究科溶接工学専攻修士課程修了
昭和55年 大阪大学大学院工学研究科溶接工学専攻博士後期課程単位取得退学
昭和56年 大阪大学溶接工学研究所助手 (工学博士)
平成9年 大阪大学接合科学研究所助教授
平成14年 大阪大学接合科学研究所教授
平成25年 大阪大学接合科学研究所長
平成28年 大阪大学 退職  
 大阪大学 名誉教授 (現在)
平成28年 (株)ナ・デックス 技術統括フェロー/ナデックスレーザR&Dセンター長 (現在) 

主な著書
Handbook of laser welding technologies (Edited by S. Katayama) Woodhead Publishing ほか

学協会
レーザ加工学会会長(平成22年~平成27年)、監事(平成17年~現在)
溶接学会理事(平成23年~26年度)、高エネルギービーム加工研究委員会委員長(平成23年~27年度)
日本溶接協会理事(平成25年~26年度)、レーザ加工技術研究委員会委員長(平成27年~現在)、
軽金属溶接協会理事(平成24年~平成26年度)、レーザ溶接委員会委員長(平成14年~現在)
JIW委員会理事,第IV委員会委員長 (平成20年~現在) ほか

受賞
軽金属溶接構造協会論文賞(平成4年)
平成12年度・平成18年度溶接学会論文賞(平成13年・平成19年)
軽金属溶接論文賞(平成18年・平成21年)
経済産業大臣第4回ものづくり日本大賞特別賞(平成24年)
溶接学会業績賞(平成25年)
溶接学会フェロー(平成26年)
平成26年度科学技術分野文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門),
第41回井上春成賞(平成28年)
日本溶接協会業績賞(平成29年) ほか


目次

はじめに

第1章 レーザとレーザ加工の基本を理解しよう
1 特徴はいろいろ「高パワー密度の熱源で種々の加工に利用」
2 レーザが発振する原理「レーザ発振には3以上のエネルギー準位と共振器が必要」
3 レーザとレーザ加工が発展してきた歴史「人の英知・信念のもとに作られた人工光線」
4 加工用レーザの特徴「秘められた無限大の可能性」
5 光ファイバの種類と特徴「ファイバ伝送により柔軟性の高い加工ができる」
6 レーザビーム品質の定義「加工結果に及ぼす影響は大きい」
7 材料に対するレーザの反射、吸収、透過「レーザと材料の基本的な相互作用」
8 レーザ加工に及ぼす偏光の影響「加工結果に大きく関わる」
9 レーザと物質との相互作用「蒸発物質やプラズマ、プルームの影響」
10 材料温度と板の変形「レーザ加工中の温度分布と曲げ変形」

第2章 加工用レーザにはどんなものがある?
11 CO2(炭酸ガス)レーザの特徴「最も早く実用化されたレーザの代表格」
12 YAG(ヤグ)レーザの特徴「実用化された固体レーザのさきがけ」
13 半導体レーザの特徴「電気?光変換効率が最も高い利点を持つ」
14 ディスクレーザの特徴「半導体レーザ励起による固体レーザ」
15 ファイバレーザの特徴「高品質・高輝度・高効率・低メンテナンスで注目」
16 エキシマレーザの特徴「フォトンエネルギーの高い気体レーザ」
17 高調波固体レーザの特徴「フォトンエネルギーの高い固体レーザ」
18 超短パルスレーザの特徴「レーザ発振時間が数ピコ秒より短い」

第3章 レーザで溶かして溶接・接合する
19 レーザ光源と他の熱源と比べる「高パワー密度・高エネルギー密度を誇る光源」
20 レーザ溶接と溶接現象「レーザは溶接・接合用として最も優れた熱源」
21 連続発振レーザによる溶接結果「キーホール型の深溶込み溶接が可能」
22 パルスレーザによるスポット溶接結果「低入熱で溶接できる」
23 レーザによるテーラードブランク溶接「材料を適材適所で使うための溶接」
24 レーザ溶接時の問題点と溶接欠陥「最も気をつけるべき事項」
25 レーザによるリモート溶接「高速溶接を実現する」
26 レーザブレージング(ろう付)とは「きれいな継手の作製ができる」
27 レーザソルダリング(はんだ付)とは「電子部品への適用が進む」
28 レーザ・アークハイブリッド溶接とは「相互に特長を利用して欠点を補完する」
29 レーザ溶接時のモニタリング「モノづくりの量産工程では重要」
30 レーザ溶接時のキーホール深さ計測「光干渉診断技術によって実現する」
31 レーザ溶接時の適応(フィードバック)制御「失敗のない溶接が確立した」

第4章 レーザで穴あけ・切断する
32 レーザによる穴あけ加工「いろいろな形態で実施され効率加工に貢献する」
33 レーザによる微細加工(アブレーション加工)「熱によるダメージを防ぎ精密な加工が得意」
34 金属材料のレーザ切断「高品質・高速・自動化での加工が自慢」
35 加工条件の決定と影響因子「レーザ照射条件の選択が品質を左右する」
36 ガラスなどのレーザ切断とレーザ割断「非金属に対するレーザの適用が拡がる」
37 レーザによるマーキング「利用されている装置台数は非常に多い」
38 レーザ彫刻、型彫りおよび旋削への適用「レーザ蒸発による除去法を応用する」

第5章 レーザで表面を改質する
39 レーザ表面改質処理法の特徴「目的に応じた方法が開発されて発展」
40 レーザ表面改質処理法の種類「2つの熱的・化学的プロセスに大別される」
41 レーザ焼入れ(変態焼入れ硬化処理)とは「鉄鋼材料の表面を非常に硬くできる」
42 レーザグレージングとアモルファス化「急冷凝固により高性能・高機能を発現」
43 レーザアロイングと表面ガス合金化「表面の耐摩耗性が改善される」
44 レーザクラッディングとは「肉盛で高機能表面が作製できる」
45 レーザクリーニングとは「表面物質の蒸発除去で清浄化する」
46 レーザピーニングとは「応力腐食割れ防止と疲労特性の改善に有効」

第6章 レーザで高機能材料を作る
47 3Dプリンティング(積層造形)への応用「今、改めて注目を集める“新技術”」
48 加熱蒸発法で超微粒子を作る「高機能な金属やセラミックス超微粒子の作製が可能」
49 高硬度膜や高温超伝導体被膜を作る「レーザPVD法で高硬度・高機能化」
50 ガラスの内部を加工する「短パルスレーザで作る各種お土産品」
51 半導体リソグラフィとTFTアニール加工「エキシマレーザが電子産業の発達を支える」

第7章材料から見た用途の拡がり
52 鉄鋼材料のレーザ加工「使用量が最も多く実施例もさまざま」
53 アルミニウム合金のレーザ加工「加工には高パワーを要する」
54 マグネシウム合金・銅合金のレーザ加工「溶接に対する適性は正反対」
55 チタン合金・ニッケル基合金のレーザ加工「高価材の加工で付加価値をさらにアップ」
56 セラミックスのレーザ加工「機械加工では難しい穴あけ・割断ができる」
57 プラスチックおよびCFRPのレーザ加工「熱可塑性樹脂はレーザ接合が行える」
58 異種金属材料のレーザ接合「マルチマテリアル化のキーテクノロジー」
59 金属とプラスチック、CFRPのレーザ接合「直接接合の実現で機能が飛躍的に高まる」

第8章 各工業分野での新しい適用の姿
60 自動車分野での応用「軽量化と高強度化が支える基幹技術」
61 鉄道車輌・航空機での応用「接合部の強化に向けてレーザ適用が進む」
62 造船・橋梁・重工業での応用「レーザ・アークハイブリッド溶接法を検討」
63 エレクトロニクス・電機分野での応用「微細な穴あけ・切断のテクニックが問われる」
64 材料(鉄鋼・軽金属)製造分野での応用「製造過程や処理過程で使われる高出力レーザ」
65 板金・装飾品・医療分野での応用「レーザ切断・溶接の良さを各種製品で反映」

【コラム】
 ●光と色の関係
 ●LEDはなぜ光る?
 ●溶接現象を見える化する高速観察法
 ●レーザ溶接時の温度はどう変化する?
 ●生成相とその硬さは冷却速度でどのように変化する?
 ●状態図から何がわかるか?
 ●凝固割れはどうして起こるの?
 ●レーザの研究でノーベル賞を受賞した先人たち

参考文献
索引

はじめに

 「レーザ」と「レーザー」は、米国のゴードン・グールドが命名した「LASER(Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation)」を日本語で表記したもので、新たに発明された「人工の強力な高品位な光」であり、同じものを表しています。機械加工や溶接などの工学の分野では「レーザ」を用いますが、一般の全国紙や物理学会関係の科学の分野では「レーザー」が用いられます。一般的にどちらも使われており、どちらを使ったらよいか困惑される場合がありますが、本書では加工分野での記述を主としていますので、「レーザ」と表記します。
 レーザは、金属やプラスチック、セラミックス、ガラスなどどのような材料でも、いとも簡単に加熱、溶融、蒸発させることができるため、さまざまな加工に利用されます。それぞれの現象を利用して、焼入れ、クラッディング(肉盛)、溶接、ブレージング(ろう付)、ソルダリング(はんだ付)、切断、穴あけ、マーキング、クリーニング、3Dプリンティングなどの加工が実際に行われています。このように広範囲の各種加工に適用でき、種々の工業分野で利用されている熱源は他にありません。「レーザによるモノづくり」の象徴である「レーザ加工」ほど、すばらしい技術は他にないと実感されます。
 レーザ加工の研究開発は、各国で最先端の加工としてしのぎを削って取り組まれています。レーザの開発当初から1990年頃までは、米国を中心に日本やドイツ、イギリス、フランスなどの先進国で実用化研究が活発に行われていました。20世紀末頃、日本では大出力のCO2レーザやYAGレーザがいち早く導入され、各工業分野での導入も活発になり、レーザ加工が世界的に最も進んでいる状況にありました。しかし、その後の20世紀末から現在まで、ドイツが頭角を表すようになりました。工業分野で「レーザを制するものは世界を制す」という掛け声の下、研究機関や企業が参画する大型プロジェクトが継続的に立案され、フラウンホーファー研究所や大学の研究機関などに多額の研究費と多数の大学院生・研究者が投入され、レーザ加工の発展を牽引してきています。
 今、身の回りにあるモノを眺めてみると、レーザによるモノづくりや加工のほかに、レーザによる各種手術・治療からレーザ通信、プリンタ、ディスプレイ、バーコードリーダ、光・光磁気ディスク、野菜の成長促進、距離測定、ホログラフィ、核融合、兵器などにもレーザは使われています。人間の英知が伴ったより良い利用を推進してもらいたいと考えています。
 私は、大学でレーザ加工、特にレーザ溶接法やハイブリッド溶接法、異種材料接合法の開発と溶接性の評価、ガス合金化やアモルファス化、PVD、クラッディングなどのレーザ表面改質、超微粒子の創成などの研究開発を、約35年間にわたって行ってきました。そして、退職後もレーザ加工関係の仕事をしています。また、レーザ加工学会や溶接学会、日本溶接協会や軽金属溶接協会などの学協会活動、加工技術展示会やセミナーなどでレーザ加工、レーザ溶接関係の普及活動を行ってきました。
 しかし、残念ながらレーザの素晴らしさや魅力、レーザ加工の実情については断片的に語られることが多く、全体像はそれほど知られていなくて、レーザ加工の専門家を名乗る人でも少し分野が異なると、あまりよくわからないというのが実情です。そこで、レーザ加工に興味がある人や少し関係する人、今後レーザ加工を有効利用しようとする人たちを念頭に、レーザ加工の全体像がわかってもらえるように、そしてレーザによるモノづくりの素晴らしさを知っていただきたく、本書を執筆しました。
 本書では、第1章でレーザとレーザ加工の基本事項を理解いただき、第2章では実際の加工に利用されるレーザを紹介しています。レーザ加工は、①溶接・接合、②除去加工、③表面改質、④機能性材料の創成に大別されることから、それぞれ第3~6章に詳記しています。そして第7章は、使用されている材料に対してどのようなレーザ加工が適用されているか、材料にスポットを当てて解説しています。最後の第8章では、各種工業分野におけるレーザ加工の適用・実用化の現状を紹介しています。したがって、興味がある章や項から読み始めて理解をいただき、その比較として他章や他項を読み加えられるようにも配慮しています。
 本書が、レーザとレーザ加工を学ぼうとされる技術者や学生、またレーザを使い、レーザ加工を実施しようとする技術者、設計者、経営者など、さらには教養として、レーザとレーザ加工を知りたい読者(大学・大学院の研究者、科学者)の参考書としてお役に立てれば幸いです。
 本書の出版に際し、何かとご配慮・激励をいただきました日刊工業新聞社出版局の矢島俊克氏をはじめ、関係各位に心から感謝いたします。

2019年1月                           
片山 聖二

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