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成功する医療機器開発ビジネスモデル
ゼロからの段階的参入でブレイクスルーを起こす

定価(税込)  1,980円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07929-0
コード C3034
発行月 2019年01月
ジャンル 経営

内容

高齢化社会に適合する医療機器・健康機器・介護/福祉機器などをどう開発していくのか、医工連携に焦点をあてた施策が行政から矢継ぎ早に出され、異業種産業の企業が注目し始めている。そこでこの本では、ゼロからの段階的参入で成功する医療機器開発へのビジネスチャンスを示す。

久保田博南  著者プロフィール

(くぼた ひろなみ)
1963年、群馬大学工学部電気工学科卒、日本光電工業(株)入社。生体情報モニタの創始・商品化、生体情報モニタのワイヤレス化の創始・商品化など。
1988年、コントロンインスツルメンツ(株)入社、代表取締役。実用・小型化パルスオキシメータの発案・開発支援など。
1994年、ケイ・アンド・ケイジャパン(株)設立、代表取締役。小型化心電図モニタの開発支援など、また、医療機器メーカ/大手異業種メーカなどの医療機器開発支援・コンサルタント。
この間、医工連携推進機構理事、ISO委員、日本医療機器学会誌編集委員、サイエンスライターなどを歴任。AMED/経済産業省、東京都、福島県など公的支援事業のサポート。
専門書として『生体情報モニタ50年』(薬事日報社)、『バイタルサインモニタ入門』(学研秀潤社)、『医療機器』『医療機器の歴史』『生体情報モニタ開発史』(以上、真興交易)などのほか、一般書として『磁力の科学』『枕と寝具の科学』(ともに、日刊工業新聞社、共著)、『いのちを救う先端技術』(PHP新書)、『電気システムとしての人体』『8か国科学用語事典』(ともに、講談社ブルーバックス)、『電波で巡る国ぐに』(コロナ社)など。
趣味は、サッカー、ジョギング、海外放送受信、辞書収集。

目次

はじめに 

序章 高齢化社会が求める医療機器 
過去を引き合いに現代医療を考える 
そして現代から未来への医療を考える 
広がる医療とその課題 
未来の医療はどうなるのか 
医療関連産業もグローバル化へ 

第一章 医療機器の素顔に迫る 
“医療機器”とその関連機器、いまだ成長中 
“医療機器”が生まれてたった13年!? 
「多品種・少量」の個性派集団への仲間入り 
規制産業としてのリスクはあるが、異業種からの支援が必須 
生産額は漸増し続けるが、しかし、、、 
名産品の生誕地を探索すると 

第二章 開発課題山積みの原因の追究 
チャンピオンは一人でも十分 
ロボットやAIが開発の前提というのは不自然 
ロボットが医療機器に当てはまらない理由 
支援事業に見る日本の医療機器産業への期待と課題 
「万年開発ラグシンドローム」 
開発計画の設定は、開発者自身が 
遅さが次の段階での進展を抑え、さらなるスピード不足を誘発 
「ひと」と「もの」だけでなく「とき」の重要性 

第三章 ゼロから出発するヘルスケア機器開発
-段階的参入のススメ 
医療機器開発への出発点 
マイクロストーン社の参入戦略から 
スタートアップの要件とは 
歩数計の進歩に学ぶ事業化への道 
ヘルスケア機器の開発促進と普及 
まずは、クラスの低いところから 
段階的参入と事業化の勧め 

第四章 医療が求める“真の商品”企画を
-実用的改良商品開発 
医療が求めているのは“高性能・高機能”医療機器でない 
成功商品のビジネスモデルを検証すると 
パルスオキシメータの事業分野 
サバイバルに賭ける取り組みもある 
理想と現実のギャップもある 
競争が生む発展性への余地 
これから求められる未来機器 

第五章 バリア突破による商品化直結のビジネス 
「脳波測定」に関わる商品化での課題と対策 
根本的な弱点の克服も必要 
新市場に向けた商品開発とオリジナル製品への還元 
「簡易化」が新製品をもたらすこともある 
見方を変えるだけでも新商品は生まれる 
医療機器開発には、独特のビジネスモデルがある 

第六章 新規開発と薬機法の適合性を探る 
医療機器の新規開発を妨げる要素とその対応 
医療機器と非医療機器の間に 
業界サイドでのボーダーライン対応について 
新規開発と法律・標準化に関わる誤解 
法適合と開発戦略の違い 
医療機器開発の難題と突破策 
新製品開発に関わる負担の軽減法は? 
医療機器と医薬品は何が違うのか 
医薬品の法律から独立するべき理由 
「認証基準」の冗長性と非常識 
「医療機器法」の早期実現を 

終章 日本発のオリジナル・ビジネスプラン
-実践的医療機器開発 
成功品のビジネスプラン 
支援事業の成功サンプルから 
「日本のCreativity」は養える 
プロダクト・ファーストの開発を 

稿を終えて 
参考文献一覧 

はじめに

 わが国では、このところ少子高齢化の話題で持ちきりである。たとえば、70年ほど前のこどもの割合が30%だったと仮定して、その30%がそのまま30%の比率を保って後期高齢者になったと考えてもいい。このままでは、介護を必要とする高齢者だけが増えてしまって、介護をする人が不足する時代になる。
 だが、危機感のみを煽ってばかりでは意味がない。それより、危機こそチャンスという考え方が必要だ。たとえば、本書の主題とする医療機器産業についていうなら、高齢化社会に適合する医療機器開発をどう進めるのか、その具体策を練ることが必要な時期を迎えている。
 とりわけ、高齢化に伴う寝たきりや要介護状態を回避し、QOL(Quality of Life)を向上させることが重要になるが、そのためには、一人ひとりの人生の内容や質の向上を目指し、まずは基本である健康面から人生に幸福を見出すことが課題となる。加齢は誰でもがもつ宿命で、それを回避するわけにはいかない。それなら、高齢化による体力・知力の衰えを最小限とするような「健康寿命をいかに伸ばすか」その対応策が大切であり、その一つとなるのがQOL向上に役立つ健康機器・健康グッズの開発ということになる。
 たとえば、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)予防のための「無理のないステップ訓練機」などが実現している。また、在宅で簡単に測定可能な「連続・非観血血圧計」「連続・非観血血糖度計」、あるいは「疲れ・痛みの計測」「睡眠モニタ」なども期待される。
 もう一方では、IT/AI関連といった新技術分野との連携がある。これからの業界活性化の一環として、現状の医療機器産業を、時代の先端技術と協調させることが必要だ。一例をあげれば、がん治療に関しては、重粒子線やハイパーサーミア(温熱療法)などの新しい治療法の確立や治療の最適化システムの構築が求め続けられている。
 このところ、医療機器開発支援事業などが目白押しに繰り出されている。これには、医療機器産業振興政策として、ものづくりが得意な日本の製造業活性化という目標が根底にある。今、これが医療機器産業界にとっては、追い風となっている。対象となるのは医療機器・健康機器・介護/福祉機器などの産業で、医工連携に焦点をあてるべきだという施策だ。この風に乗るにはどうするか、異業種産業やこれまで未加入の企業にとっても注目に値する市場だ。
 ここでは、これからの社会環境の変化と現状の医療機器産業界を俯瞰しつつ、今後わが国ではこの産業がどう展開していくのか、それを考えていきたい。本書では、医療機器メーカ側・供給サイドからの視点で現実的な実践論を述べ、この業界での体験をもとに、将来のこの産業界の活性化に焦点を当てたい。そうすることで、法規制をつかさどる政府機関や認証機関への要望だけでなく、日本の企業が抱えている諸課題への対応策などを中心テーマとしたい。
 じつは、医療機器産業への参入関連の話はこれまでも頻繁に議論されている。しかし、その議論の中心はいつも法規制対応であった。これだけ、医療機器開発の重要性が叫ばれながら、具体的にどう進めるかという実践論が存在しない。それなら、この課題への回答を書くのが現代に生きるわれわれの使命ではないかと考えられる。
 現代の健康増進や医療向上のために必要なのは、難しい議論ではない。これからの環境変化にどう応えるのか、そのためには何をいかに開発するべきかということだ。そしてそれを考えるには、これまでの経験値としてある医療機器開発の成功例を示すことが効果的であろう。そうすることで環境変化に対応できる医療機器をどう開発すればいいのか、その答えを示すのが本書のいちばんの目的である。

2019年1月 
久保田 博南

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