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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしいブロックチェーンの本

定価(税込)  1,620円

著者
サイズ A5判
ページ数 158頁
ISBNコード 978-4-526-07901-6
コード C3034
発行月 2018年11月
ジャンル ビジネス

内容

中央の管理者がいなくても信頼性の高いトランザクション処理が実現できるブロックチェーン技術が注目されている。本書は、「仮想通貨」およびそのセキュリティに関して紹介。そこで使われるブロックチェーンについて、その仕組みと技術を解説する。

上野 仁  著者プロフィール

(うえの じん)
1959年 三重県に生まれる
1984年 山梨大学大学院修士課程修了、日立製作所入社
1992年 技術士(情報工学部門)
2011年 博士(工学)(山梨大学大学院)
2015年 第一工業大学 東京上野キャンパス(情報電子システム工学科)教授
一貫して情報システム技術の研究と製品開発に従事。現在に至る。

目次

はじめに

序章 仮想通貨の発明でブロックチェーン技術が誕生
1 通貨(貨幣)の変遷「物々交換から信用通貨へ」
2 仮想通貨の考え方「中立的なメタ通貨の役割期待」
3 仮想通貨は電子マネーと似ているか「受け渡し(支払い)方法」
4 主な仮想通貨と特徴的な機能「開発年代の歴史」

第1章 ブロックチェーンって、どんなしくみなの
5 ブロックチェーンはどんなシステムなのか「トランザクション処理機能」
6 大福帳のような履歴記録方式「データベース機能」
7 公開鍵を使った防御機能「トランザクションモニタ機能」
8 偽者を見破る電子署名「トランザクションのデータ形式」
9 大福帳型データベースへの登録方法「ブロックチェーンの構造」
10 ブロックの改ざんを見つけるマークルツリー「マークルルートのハッシュ値」
11 合意形成でブロックチェーンの枝分かれを防ぐ「コンセンサスアルゴリズム」
12 トランザクションはお札のように現金払い「トランザクションの処理順序」
13 ハッシュ値は指紋のようなもの「変更や改ざんを防止するハッシュ値」
14 ブロックチェーンの枝分かれ「フォーク」「フォークの種類」
15 今いくら持っているかを計算する方法「自分宛トランザクションの合計」
16 ブロックチェーンを守るプルーフオブワーク「改ざん防止のための長時間計算」
17 意外に不正確なブロックタイムスタンプ「ブロックを生成した日付時刻」
18 非公開のパーミッションドブロックチェーン「プライベートブロックチェーン」
19 送金だけじゃない!スマートコントラクト「サービスの自動実行」
20 なんでも記録!スマートプロパティ「履歴をブロックチェーンで管理」

第2章 文字通りブロックチェーンの鍵になる暗号技術
21 データ暗号化の基本「共通鍵暗号」「共通鍵暗号」
22 暗号化の鍵を公開しても大丈夫「公開鍵暗号方式」
23 「ある計算を繰り返す回数」暗号化のしくみ「公開鍵暗号を利用した「デジタル署名」」
24 公開鍵暗号を用いて作成される「電子証明書」「電子署名の活用」

第3章 仮想通貨のしくみ
25 仮想通貨の入手とその使い方「送金方法」
26 仮想通貨のウォレットにお金は入っていますか「ウォレットと普通の財布の違い」
27 仮想通貨の不便を解消する「「取引所」の役割」
28 仮想通貨取引所は証券取引所と似ているか「「取引所」の機能」
29 仮想通貨販売所は外貨両替所に似た機能「仮想通貨の入手」
30 仮想通貨で支払いができるお店の仕組み「仮想通貨の受け取り」
31 仮想通貨のウォレットは単なる入れ物じゃない!「ウォレットのしくみ」
32 ウォレットの種類と特徴「4種類のウォレット」
33 ハードウェアウォレットの使い方「最も安全なウォレット」
34 ハードウェアウォレットに関する4つの疑問「バックアップと回復」

第4章 ビットコインのしくみ
35 ビットコインプロトコルの概要「マイナー(フルノード)とウォレット(SPVノード)の役割」
36 セキュリティを支えるマイニングとその報酬「マイニング報酬」
37 送金の早さは金次第「送金手数料」
38 ビットコイン・フルノードの作り方「マイニングもできるコンピュータ」
39 軽量クライアントノードの作り方「ウォレット用コンピュータ」
40 モバイルウォレットの作り方「スマホ用ウォレットを作る」
41 ビットコインの数え方「BTCとSatoshi」
42 合議して送金するアドレスの使用「マルチシグネチャアドレス」
43 なかなか送金できないので送り直したい「RBFトランザクション」
44 ビットコイン処理のスケーラビリティ「処理スループットとレスポンスタイム」
45 SegWitによるスケーラビリティ拡大「トランザクション増加への対応」
46 仮想通貨の市場規模「仮想通貨の時価総額」
47 ブロックチェーン技術の市場規模「トランザクション技術としての応用拡大」

第5章 仮想通貨のセキュリティ
48 仮想通貨で想定すべきリスク「仮想通貨とブロックチェーンそれぞれのリスク」
49 ブロックチェーンを改ざんする51%攻撃「圧倒的な計算能力による不正」
50 トランザクション展性による二重送金「トランザクションIDの改ざん」
51 狙ったノードを機能不全にするシビルアタック「多数のノードによる集中攻撃」
52 秘密鍵の盗難や紛失「秘密鍵の管理」
53 取引所システムのリスク「取引所・交換所が注意するポイント」
54 ビットコインの保険「損害を補償する制度」
55 攻撃事例「マウントゴックス事件」「偽トランザクションによる犯罪か?」
56 攻撃事例「コインチェック事件」「盗難にあったコインの移動追跡」
57 攻撃事例「The DAO事件」「スマートコントラクト機能に対する攻撃」
58 攻撃事例「モナコイン改ざん事件」「51%攻撃の実例」
59 攻撃事例「The Bitfinex事件」「セキュリティ管理の過信」

第6章 フィンテックとブロックチェーン
60 仮想通貨を利用した海外送金「海外のアドレスに直接送金」
61 貿易金融業務へのブロックチェーン応用「R3コンソーシアムの「Corda」」
62 NASDAQでのブロックチェーン利用「未公開株取引システム「Linq」」
63 仮想通貨による資金集め「ICO(Initial Coin Offering)」
64 地域仮想通貨の試み「電子的な商品券」
65 仮想通貨をめぐる法律「改正資金決済法」
66 ブロックチェーンの国際標準化「ISOのTC307」
67 オンラインレンディングへの適用「P2P型のオンラインレンディングの実用化」

コラム
●ビットコインを通貨として使う
●インターネットとブロックチェーン
●公開鍵式暗号と量子コンピュータ
●お金はどうやって街中に出回るのか
●マイニングの経済
●仮想通貨のセキュリティ

はじめに

 ビットコインの急激な値上がりで大儲けをした「億り人」がいるといった話題で一気に有名になった仮想通貨ですが、新技術という観点でも注目されています。それが仮想通貨を実現する技術「ブロックチェーン」です。普通のお金(法定通貨)は国家の信用を元に中央銀行が発行するもので、偽造の防止や流通量の制御も中央銀行が管理する中央集権です。これに対して仮想通貨の発明者サトシ・ナカモト氏はインターネットの参加者が分散管理する民主的な通貨のしくみを提案しブロックチェーンにより実現しました。
 この技術はコンピュータ間で種々の取引を実行するトランザクション処理の一種と考えることができます。従来のシステムでは中央にデータベースを置いて集中管理することにより、要求の送受信や不正の防止を可能としています。ブロックチェーンでは、これを分散処理で可能としてしまいました。
 世の中の業務を見渡してみると、中央の管理者・組織を作ることができないことも多くあります。例えば多国間取引が必要であるが国際組織を作れないケース、多数の企業にまたがる取引をしなければならないのにビジネス上中央の管理組織を作れないケースなどです。ブロックチェーンはこのような業務に対するトランザクション処理の機械化に適しており、金融関係以外を含めていろいろな業務への適用拡大が期待されています。
 本書は技術の本質的な部分を直感的に理解できるよう、多数の図表を用いて解説します。従来技術との比較も多用し、新技術の特徴を理解しやすくしました。自社業務へのブロックチェーン利用を検討したい方、本格的な調査や勉強の前に直感的に理解したい方、また、教養として技術の本質を理解したい方に利用していただければ幸いです。
 本書執筆のきっかけを作っていただいた技術士協同組合員各位、いろいろとご指導をいただいた日刊工業新聞社出版局の鈴木徹氏、その他関係者各位に心から感謝いたします。

平成30年10月
上野仁

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