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おもしろサイエンス
大豆の科学

定価(税込)  1,728円

監修
著者
著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07867-5
コード C3034
発行月 2018年07月
ジャンル ビジネス 化学

内容

大豆は、そのまま食べたり、炒ったり、加工して豆乳や湯葉、豆腐などを作ったり、発酵させ納豆、醤油、味噌などにしたり、多様な使い方をされます。その大きな理由は、5大栄養素のすべてが揃っている上に、必須アミノ酸や大豆イソフラボンなど機能性栄養素も豊富な食品だからです。本書は、その大豆を科学の視点からおもしろく、やさしく解剖していく。

塚本知玄  著者プロフィール

(つかもと ちげん)
1957年、東京都葛飾区生まれ。岩手大学農学部卒業,東北大学大学院農学研究科博士課程(食糧化学専攻)修了。太子食品工業(株)を経て,現在,岩手大学農学部応用生物化学科食品化学研究室教授。より美味しくより健康的な大豆加工食品開発に向けた基礎情報提供のために,味と健康機能性に影響を与える大豆配糖体成分(サポニンとイソフラボン)について,食品化学的・遺伝育種的研究を進めている。

五日市哲雄  著者プロフィール

(いつかいち てつお)

1947年、北海道函館市生まれ。北海道立函館工業高校卒、専修大学法学部卒。大学卒業後文科省関係、化学メーカーに勤務後、広告業界でディレクター、大手総合出版社の編集者。医学雑誌の編集長を経て、現在、科学系を中心に医学、理学・工学系分野のサイエンスライターとして執筆活動中。医学系では10冊に近い著書を持つ。理学系の著書『おもしろサイエンス 磁力の科学』共著(日刊工業新聞社)

久保田博南  著者プロフィール

(くぼた ひろなみ)
1940年、群馬県太田市生まれ。群馬大学工学部電気工学科卒。日本光電工業(株)、コントロンインスツルメンツ(株)を経て、現在、ケイ・アンド・ケイジャパン(株)代表取締役。医工連携推進機構理事、ISO委員、サイエンスライター。これまで、生体情報モニタなどの医療機器開発とコンサルティンングに従事。著書には、『磁力の科学』『枕と寝具の科学』(以上、日刊工業新聞社) 、『いのちを救う先端技術』(PHP新書)などのほか、専門書として『医療機器』(真興交易)、『生体情報モニタ50年』(薬事日報社)などがある。

目次

第1章
大豆っていったいどんなもの?
1  大豆とはどんなものなのだろう?
2  1万数千年前の縄文時代から食されていた「縄文大豆」
3  最近の大豆についての発見
4  大豆はどうやってできるのだろう?
5  大豆と枝豆の違いあれこれ
6  大豆の生産量と消費量はどのくらい?
7  大豆の加工食品は多種多様で、20数種類にもおよぶ
8  大豆の栄養素と栄養成分とは?
9  国内の大豆の品種は400種もある

第2章
大豆と栄養素のすばらしき関係
10  大豆と三大栄養素の関係
11  大豆のタンパク質は動物性食品と並ぶ効能がある
12  大豆が持つ必須アミノ酸の効能とは?
13  大豆は常温で液体の脂質を持つ
14  大豆の炭水化物「糖質」はすぐにエネルギーに
15  大豆の炭水化物「食物繊維」は様々な生理作用をもたらす
16  大豆はビタミンがとても豊富
17  大豆のミネラル分は、加工によって増大する

第3章
ちょっと驚く大豆の食品としての機能性
18  大豆イソフラボンは、なぜ女性の味方なのか
19  イソフラボンをうまく取り入れるための工夫、ただし取りすぎもダメ
20  食べ物からでなく、化粧品としての「美容効果」の実現
21  骨の老化を防ぐ役割もある 75
22  頭が良くなる?「大豆レシチン」の働き
23  白米に大豆を入れて、お互いにいいとこどり
24  大豆ペプチドで、体の疲労回復と脳のリラックスを
25  血液を流れやすくする「大豆サポニン」の力とは
26  甘くて低カロリー、そして善玉菌の味方、大豆オリゴ糖
27  食品分野で広がる大豆の働きと役目

第4章
大豆を発酵させれば日本伝統の食品になる
28  世界の調味料となった、大豆から作られる日本の醤油
29  大豆から作られる醤油の製造法
30  大豆から作る醤油の分類と栄養─種類による分類
31  味噌の味は、大豆が決める
32  豆から作る味噌の製造法とは?
33  味噌の分類・種類と栄養成分
34  納豆菌が大豆を変身させる
35  大豆から作る納豆の製造方法とは?

第5章
大豆を加熱する、搾る、添加物を使って加工する
36  大豆を炒って水分を飛ばす
37  薬として利用されていた、きな粉
38  煮ると豆はやわらかく甘くなる(煮豆)
39  豆乳の栄養素は、牛乳とちょっと違う
40  歴史があり、高級料理にも使われる「湯葉」
41  再利用されつつある「おから」
42  豆腐の良し悪しは水とにがりが決める
43  豆腐を揚げ、焼き、凍らせた大豆食品群
44  世界の大豆の多くは、油に利用される
45  近年、大豆はミートにも加工され、人気商品に!

第6章
これからの大豆食品
46  大豆が世界の食料危機を救う?
47  気をつけたい大豆アレルギー
48  遺伝子組み替え大豆の安全性とは?

column 
「食品成分表」と「食事摂取基準」の違いって?
豆腐の歴史─豆腐は、縄文時代から食されていた?
発酵っていったいどんなこと?

はじめに

 近年、世界は日本食ブームといわれています。

 その理由の一つに、レストランの評価を星印の数で表すことで知られるレストラン・ホテルガイドの「レッド・ミシュラン」(Red Guide)が、2007年(平成19年)、欧米以外で初めて東京版を発行したことがあります。これで世界における日本食ブームが一段と加速しました。しかも、星の数が、2017年の東京版では、三つ星12軒、二つ星54軒、一つ星が161軒あり、星の評価からは外れるものの、安くておすすめできる店舗に与えられる印、ビグルマンが315軒もありました。

 さらに、日本でのみ発行されている「ミシュラン・ガイドの特別版」があり、北海道、京都・大阪、奈良、富山・石川、横浜・川崎・湘南、福岡・佐賀など、日本全国を網羅する、12冊が発行されています。日本の食文化は都市だけでなく、地方にも浸透していることがわかりますが、このミシュラン・ガイドの評価からしても、日本食・和食が、世界のブームとなっているのは不思議ではない気がします。

 理由のもう一つは、2013年(平成25年12月)、「和食:日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことです。文化遺産となったその理由として、農林水産省は、日本の食文化の特性として次のようなことを挙げています。

●海、山、里と国土の豊かな自然がもたらす多彩な食材を活かした調理技術の発達。

●一汁三菜を基本とする日本の食事スタイルが、健康的な食生活を支える理想的な栄養バランスとなっている。

●自然の美しさや季節の移ろいを表現することも特徴のひとつで、季節感を楽しむ。

●正月などの年中行事との密接な関わりで、地方ごとの食文化が育まれてきた。

 このように受け継がれてきた日本の食文化が、世界に認められたのは誇りです。

 本書では、大豆について、栄養素をはじめとして、その成分などの科学的な分析や検証をしていますが、実は近年の日本食ブームの根源にあるものは「大豆」ではないかと考えます。大豆が日本人に食されるようになったのは、1万3000年前頃からではないかと推測される事実が、数年前から縄文時代の遺跡で次々と発掘されているからです。

 最近まで大豆は、中国が原産地で、日本には弥生時代あるいは奈良時代に僧侶などが持ち込んだものと、多くの本に書かれており、誰しもそのように思っていました。ところが、縄文時代の土器のなかから大豆の痕跡が確認されたのです。例えば、5500年前の縄文遺跡である青森県の「三大丸山遺跡」が発掘された時、縄文人は栗の栽培をしていたことが大々的に報じられましたが、その後、圧痕レプリカ法(圧痕法:土器の製造時にその素材の粘土に残った種子などを、その圧痕のレプリカを詳細に採取して固定する方法)により、大豆の栽培も行われていたことがわかりました。

 大豆は、私たちの食生活に欠かせない多くの食材に利用されています。様々な加工食品も作られています。現在の和食の基本となる料理には大豆が使われ、高級料理の一端を担っていると言っても過言ではありません。


 また、大豆の持つ特性について視点を向けてみると、大変重要なことが浮かび上がってきます。日本人には、古来より生き物の生命を尊重し、大事にするという考え方があります。それは、飛鳥時代から江戸時代までの長い間、肉食を禁止していたという歴史を持つことからも理解できることですが、この生命を尊重するという理念は、肉と同様のタンパク質を豊富に持っている大豆を摂食することによってもたらされたものといえるのではないでしょうか。
 

 本書執筆にあたりましては、日刊工業新聞社の藤井浩氏の的確なサジェスチョンと、監修に岩手大学農学部応用生物化学科・食品化学研究室教授塚本知玄先生、ご指導のもと執筆いたしました。ここに、深く感謝の意を表したいと思います。久保田博南先生と私、五日市哲雄は、「おもしろサイエンス」シリーズの「磁力の科学」、「枕と寝具の科学」に引き続き三冊目の共同執筆になりました。

 
2018年7月
                                  
筆者の一人として
五日市哲雄 

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