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本当に実務に役立つ プリント配線板の研磨技術

定価(税込)  2,808円

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監修
サイズ A5判
ページ数 224頁
ISBNコード 978-4-526-07850-7
コード C3054
発行月 2018年05月
ジャンル 電気・電子

内容

プリント配線板の製造工程中、必要となる研磨技術の入門書。電子回路基板(プリント配線板)では、そのほとんどの工程の前後で研磨が行われる。本書では、その研磨について使われている材料、装置の紹介、工程ごとの研磨技術の実際も含めて、その原理から丁寧に解説する。

小林 正  著者プロフィール

(こばやし ただし)
1931年生。1954年、京都大学工学部電気工学科を卒業。同年三菱レイヨン㈱(現三菱ケミカル)に入社。1963年、菱光電子工業㈱(三菱レイヨンとカナダ企業との合弁会社)の設立時に出向し、草創期にあっためっきスルーホール両面板、多層板の開発に携わる。以降、三菱レイヨンと菱光電子でプリント配線板の技術開発、生産にあたる。1994年、小林技術事務所を設立し、プリント回路関係の技術調査、コンサルティング等に従事。
著書として「ぷりんとばんじゅく 新入社員のためのプリント配線板入門」「同 ビルドアップ配線板入門」「電子回路学習テキスト 製造&営業ハンドブック(共著)」「電子回路ってなあに?」(以上(社)日本電子回路工業会(JPCA)刊)、「プリント板と実装技術 キーテーマ&キーワードのすべて」(共著)、「入門 プリント基板の回路設計ノート」(共著)(以上日刊工業新聞社刊)がある。

雀部俊樹  著者プロフィール

(ささべ としき)
1974年東京工業大学工学部電気化学科を卒業、東京芝浦電気㈱(現㈱東芝)に入社。
プリント配線板の製造技術、研究開発、工場設計、プラント輸出に携わる。1988年同社を退社、日本ディジタルイクイップメント㈱(日本DEC)入社。プリント配線板調達、品質管理、業者認定に携わる。1998年同社を退社、シプレイ・ファーイースト㈱(現ローム・アンド・ハース電子材料㈱)入社。2006年同社を退社、荏原ユージライト㈱(現㈱JCU)入社。2007年同社を退社、㈱メイコー入社、プリント配線板製造技術開発、知財に携わる。2011年同社を退社。2012年雀部技術事務所設立。著書として「本当に実務に役立つプリント配線板のエッチング技術」(共著)2009年、「プリント回路技術用語辞典(第3版)」(共著)2010年、「本当に実務に役立つプリント配線板のめっき技術」(共著)2012年(すべて日刊工業新聞社刊)がある。

片庭哲也  著者プロフィール

(かたにわ てつや)
1998年茨城大学工学部電気電子工学科卒業。同年、日立マクセル㈱に入社。光磁気ディスク、光学部品の生産技術、品質管理に携わる。2011年同社を退社し、高砂製紙㈱に入社。電気設備の保守、機器更新を行う。2012年同社を退社し、㈱ケミトロンに入社。エッチング、めっきのプロセス開発に従事。

秋山政憲  著者プロフィール

(あきやま まさのり)
1978年日本大学理工学部工業化学科卒業。同年、リズム時計工業㈱に入社し、金属ベース基板等の製造および生産技術に携わる。1987年同社を退社し、山梨アビオニクス㈱に入社。高多層基板の生産技術を担当。2002年同社を退社し、日本シイエムケイ㈱に入社。日本シイエムケイマルチ㈱にて、品質改善および生産技術を担当。2007年同社を退社し、翌年㈱ケミトロンに入社。エッチング装置、めっき装置の開発、評価に従事。著書として「本当に実務に役立つプリント配線板のエッチング技術」(共著)2009年、「本当に実務に役立つプリント配線板のめっき技術」(共著)2012年(共に日刊工業新聞社刊)がある。

長谷川堅一  著者プロフィール

(はせがわ けんいち)
1936年9月生まれ。1960年3月国立北海道大学工学部卒業。4月日東鉄工㈱入社(機械設計主任)。1970年10月㈱日立製作所に入社。1971年11月㈱日立製作所より分離独立した日立建機㈱に入社(仙台サービス工場長、本社サービス技術副部長)。1993年3月和田電子工業㈱入社(代表取締役)。1995年6月日立化成エレクトロニクス㈱入社(副技師長)。8月アケボノテクノス㈱入社(代表取締役社長)。1997年6月定年により代表取締役社長退任、顧問となる。著書に「ぷりんとばんじゅくⅩ プリント配線板品質レベルアップの具体策」2008年、「電子回路基板の品質・信頼性解析」第2版2016年(以上(社)日本電子回路工業会刊)「本当に実務に役立つプリント配線板の品質改善技術」2013年(日刊工業新聞社刊)がある。

神津邦男  著者プロフィール

(こうづ くにお)
1957年國學院大学文学部卒業。秋元産業㈱入社、めっき薬品の販売に従事。1962年秋元産業㈱機械事業部長を兼務し秋元工業㈱(現日本工装㈱)設立、専務取締役として計装機器の製造販売に従事。1966年東洋技研工業㈱を設立、常務取締役に就任。建材用自動アルマイト装置を開発し製造販売。1970年プリント配線板の自動めっき装置(VCP)を開発し製造販売。1997年㈱アルメックス副社長を退任、1998年㈱ケミトロン社長に就任。プリント配線板のめっき装置及びエッチング装置の製造販売。

目次

第1部 プリント配線板製造工程における研磨技術
第1章 研磨とは何か
1.1 機械加工の分類
1.2 砥粒の種類と粒度
1.3 固定砥粒加工
1.4 機械加工における「研磨」の位置付け
1.5 機械加工以外の研磨

第2章 プリント配線板製造に使われる研磨技術
2.1 プリント配線板製造における機械研磨技術
2.1.1 固定砥粒研磨と遊離砥粒研磨
2.1.2 不織布バフロールによる研磨
2.1.3 ベルト研磨
2.1.4 セラミックバフによる研磨
2.1.5 スラリー研磨
2.1.6 弾性研磨材の利点
2.2 プリント配線板製造における化学研磨技術と電解研磨技術
2.3 プリント配線板製造工程と研磨技術
2.4 プリント配線板の構造とその製造工程
2.5 ビアの種類

第3章 研磨工程の目的
3.1 表面洗浄
3.2 平滑化
3.3 粗面化
3.4 平坦化
3.5 薄銅化

第4章 研磨の品質管理のための手法
4.1 表面粗さの測定法
4.2 表面状態の把握
4.3 密着性の評価法
4.3.1 はんだ付けの接着強度(はんだボールのシアテストとプルテスト)
4.3.2 塗膜の密着性試験
4.3.3 銅層の基材への密着性
4.3.4 密着性評価の実例
4.4 その他の手法
4.4.1 化学研磨量(エッチング厚)の測定
4.4.2 光学的特性の評価方法

第2部 プリント配線板の研磨に用いる材料と装置
第5章 機械研磨
5.1 研磨材
5.1.1 製造工程と研磨材の選定
5.1.2 研磨砥粒およびプリント配線板の研磨方法
5.1.3 研磨バフ
5.1.4 セラミックバフ
5.1.5 研磨ベルト
5.1.6 研磨ブラシ
5.1.7 研磨スラリー
5.2 機械研磨装置
5.2.1 バフ研磨機
5.2.2 ジェットスクラブ研磨機
5.2.3 ベルト研磨機
5.2.4 平面バフ研磨機
5.2.5 ブラシ研磨機
5.3 研磨の条件管理とメンテナンス
5.3.1 製品品質管理項目
5.3.2 装置管理項目
5.3.3 メンテナンス

第6章 化学研磨
6.1 化学研磨薬品
6.1.1 マイクロエッチング液
6.1.2 マイクロエッチング液による粗面化
6.2 化学研磨装置
6.2.1 化学研磨装置
6.2.2 装置の構造
6.3 化学研磨の条件管理
6.3.1 製品品質管理項目
6.3.2 装置管理項目

第3部 各 論
第7章 プリント配線板製造における研磨工程
7.1 PKG基板
7.2 FPC基板
7.3 リジッド基板
7.3.1 内層露光前処理研磨(内層回路形成)
7.3.2 穴埋め後平坦化(穴埋め研磨)
7.3.3 積層前処理(黒化処理、粗化)
7.3.4 積層用中間板研磨
7.3.5 積層後研磨(表層にIVH(ブラインドビア)を有する基板)
7.3.6 バリ取り研磨(穴あけ後研磨、銅めっき前研磨)
7.3.7 めっき後研磨(ブツ・ザラ研磨)
7.3.8 ビアフィリングめっき後平坦化研磨
7.3.9 外層露光前処理研磨(外層回路形成)
7.3.10 ソルダーレジスト前処理研磨
7.3.11 無電解金めっき前処理研磨
7.4 マイクロセクション試料作成における研磨技術

第8章 研磨のトラブルシューティング
8.1 品質保証に関する要点
8.2 研磨不良の概要
8.2.1 穴埋め後平坦化(穴埋め研磨)
8.2.2 積層前処理(黒化処理)
8.2.3 バリ取り研磨(穴あけ後研磨、銅めっき前研磨)
8.2.4 めっき後研磨(ブツ・ザラ研磨)
8.2.5 露光前処理研磨(回路形成)
8.2.6 ソルダーレジスト前処理研磨
8.3 研磨不良の対策
8.3.1 現場作業者のエキスパート化
8.3.2 静電気による不良の対策
8.3.3 粘着テープ糊の付着対策
8.3.4 銅屑圧着痕・異物圧着痕の対策
8.3.5 銅めっき工程での藻の付着対策
8.4 研磨の重要ポイント
8.5 不良対策投資は必ず回収すること

あとがき(監修者からのことば)
用語解説
索引
著者略歴
書籍サポートページ

コラム
バフロールの回転方向
砥粒の大きさの測定方法
プリント配線板の断面図
穴あけで生ずるバリとその除去
ステレオSEM
シリコンカーバイド(炭化ケイ素)
ウェットブラスト加工
銅ダイレクトレーザー加工
パッド・オン・ビア構造
銅張積層板のESD(静電気放電)対策

はじめに

はじめに


プリント配線板の製造工程には「研磨」という工程がいくつもある。「穴あけバリ取り研磨」であったり、「○○前研磨」(○○にはドライフィルムラミネートとか、ソルダーレジスト塗布とか、さまざまな工程名が入る)であったりする。図1にその概略を示す。
 一方、もうすこし一般的にプリント配線板以外の業界もながめて見ると、機械加工では、「切削」、「研削」などとならんで「研磨」という加工方法もあり、また化学加工の分野では「化学研磨」、「電解研磨」などの用語が用いられている。これらの「研磨」という加工方法は、プリント配線板製造で用いられている「研磨」加工とは、意味する範囲がすこし違うようである。
 さらに一般的に考えて見ると、もともと「研磨」ということばは、研ぎ磨くと分解でき、この「磨き」の技術は、遠く縄文時代の磨製石器の製作から、今日のほとんどすべての製品の加工に用いられている。その目的も、表1に示すように、装飾品に光沢を持たせる磨き、切れ味を高めるための刃物の研磨、鏡面仕上げと寸法・形状仕上げの両方が求められるレンズやシリコンウェハーの研磨など多岐にわたる。
 研磨法は研磨対象や要求品質によって異なり、手磨きからラッピング、ポリシング、砥石研削、バフ研磨、電解研磨まで多様な方法が用いられている。目標とする品質も、光沢度、表面粗さ、清浄性、表面皮膜の除去などさまざまである。
 研磨には、ノウハウが非常に多いといわれる。加工品の材質に見合った研磨資材(砥粒、加工液、研磨工具など)および加工品の形状、要求される加工精度に適した研磨装置の選択と操作には深い知識や経験が必要とされる。過去、光学部品メーカーでは研磨の技能および技能者が大切にされてノウハウは門外不出とされていたが、今も技能者の勘に頼る部分が多いといわれる。では、プリント配線板で研磨はどんな役割を果たしているだろうか。プリント配線板は数多くの工程を経てつくられるが、そのほとんどの工程の前後で研磨が行われる。そして、工程ごとに研磨対象物(中間工程品)の形状、材質や求められる仕上がりが異なるため、異なる研磨法が用いられる。研磨は穴あけ、めっき、パターン形成などメイン加工の扱いはされていないが、プリント配線板の品質を大きく、ときに致命的に左右する重要工程である。そして、プリント配線板製造での研磨には、半導体ウェハーなどの研磨とは大きく異なる独特のむずかしさがある。主なものを次に挙げる。
 A) 対象物が薄い樹脂材で変形しやすい(薄いものは50μm厚でお金の新札並み)。
 B) 対象物の表面材質が1種類でない(金属と樹脂が混在)。
 C) 対象物の表面に凹凸(プロファイル)があり、プロファイルに沿った磨きが要求される。
 D) 対象物に「うねり」があり、うねりに沿った磨きが要求される。
近年、プリント配線板のパターン微細化、高密度化、薄厚化に対応するため研磨の難度が増している。研磨機や研磨バフのメーカーからは、どの工程ではどんな研磨機、研磨治具が適切かについてノウハウが示されている。しかし、原理がよくわかっている製造技術者向けのためか、なぜその研磨法・治具が適切なのかの説明は少ないようだ。モノの機械加工には、切削、研削、研磨など似た用語が用いられるが、加工の内容は違っている。
切削:ドリルビット、バイトなど刃物で加工物を削る加工。使用する装置は旋盤、フライス盤、ボール盤など。
研削:砥石などを使って加工物を所定寸法に仕上げる加工。研磨ベルトや砥石を使って「削る」加工で、加工物の粗い表面やバリを削り、寸法を出す。使用する装置は平面研削盤など。
研磨:加工物の表面を一定プロファイルに仕上げる加工。バフなどを使って「磨く」加工で、加工物の形状変化はほとんどない。使用する装置はバフ研磨機、ブラシ研磨機など。

プリント配線板の加工では、穴あけ、外形加工は「切削」であり、めっきやパターン形成前後の表面の仕上げは「研磨」である。ただし、各工程での研磨には適度の研削の要素を取り入れることが必要になる。プリント配線板の製造では研削と研磨に境目がなく連続しており、通常両方含めて研磨と呼ばれる。
表1は主な研磨の目的・用途をまとめたものである。研磨が幅広い用途に使われ、さまざまな研磨方法、評価基準が用いられることがわかる。しかしこの表にプリント配線板は登場しない。比較的近いのは「下地面処理」だが、その評価基準は清浄性となっている。プリント配線板製造でも清浄性は重要な品質項目であるが、それ以外に欠かすことのできないプリント配線板特有の項目がたくさんある。表1に載っている研磨がすべて「同質材料の平面研磨」なのに対し、プリント配線板の研磨には上記A)~D)に挙げた固有の制約があるからである。

本書は、プリント配線板の製造に関わる設計者・技術者向けに、プリント配線板製造における研磨技術(機械研磨および化学研磨を扱う)の基本を説明し、個々の工程での研磨技術の方法や品質管理の方法、さらに今後の課題と開発動向までを解説する。
この本は3部からなり、第1部では研磨技術の基本およびその技術の配線板製造工程での応用と品質管理方法を扱い、第2部では研磨に用いる材料(研磨材、砥粒)および研磨装置の基本的技術を説明する。そして第3部は研磨各論としてプリント配線板の各工程での研磨技術の応用を詳細に説明し、トラブルシューティング事例も紹介する。


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