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地域ではじめる 木質バイオマス熱利用

定価(税込)  2,592円

編者
サイズ A5判
ページ数 186頁
ISBNコード 978-4-526-07813-2
コード C3050
発行月 2018年05月
ジャンル その他 環境

内容

本書は木質バイオマス熱利用の基本を解説するとともに、燃料やボイラ、システム設計などについての最新動向を盛り込んで、熱利用の導入を検討している関係者にとっての必読の書となる。

(一社)日本木質バイオマスエネルギー協会  著者プロフィール

≪執筆者・編集者≫
〇監修
小池 浩一郎 島根大学 名誉教授
東京大学農学部林学科卒業。1982年より水車むら会議で紅茶製造の水力施設の建設に関わる。その活動のなかで元林業試験場の岸本定吉、杉浦銀治両氏より木質バイオマスの重要性を教わる。その示唆により1994年よりスウェーデン、さらにオーストリアの木質バイオマス活用状況の研究に携わる。(財)林政総合調査研究所研究員を経て、1995年島根大学生物資源科学部助教授。2007年同教授。2017年退職し、現職。

〇執筆者(五十音順)
相川 高信 公益財団法人自然エネルギー財団 上級研究員
2004年3月京都大学大学院農学研究科修了(森林生態学・修士)。三菱UFJリサーチ&コンサルティング㈱において、森林・林業分野の調査・コンサルティングに従事。2016年6月より現職。同年3月に北海道大学大学院農学研究院より、森林・林業分野の人材育成政策をテーマに、博士(農学)を取得。一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会理事。著書に『木質バイオマス事業 林業地域が成功する条件とは何か』『先進国型林業の法則を探る』(全国林業改良普及協会)など。

大西 竹志 株式会社日比谷アメニス 環境エネルギー部担当課長
造園建設業由来の木質発生材の有効利用についての問題意識からエネルギー利用に関する検討を行う。一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会の委員として、国内における木質バイオマス全体の利活用促進についても取り組んでいる。

梶山 恵司 バイオマスエナジー・リサーチ&インベストメント(BERI)株式会社 代表取締役
外務省、日興リサーチセンター、富士通総研、経済同友会(出向)、内閣官房内閣審議官を経て現職。欧州で当たり前に普及しているバイオマス熱利用を日本で本格導入すべく、研究から実践の世界に。世界バイオエナジー協会常任理事。著書に、「日本林業はよみがえる」、「国民のためのエネルギー原論」(共編著)、その他論文寄稿多数。

久木 裕 株式会社バイオマスアグリゲーション 代表取締役
2003年、横浜国立大学大学院修士課程修了。地方都市におけるバイオマスエネルギーの導入可能性をテーマとして研究。王子製紙株式会社、株式会社エックス都市研究所を経て、2014年株式会社バイオマスアグリゲーションを設立。一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会理事。地域密着で各地の木質バイオマスの導入計画の策定や事業化支援に従事し、国の検討委員等も歴任。

小島 健一郎 ラブ・フォレスト株式会社 代表取締役
1973年、滋賀県生まれ。島根大学農学部卒。四回生の時に小池浩一郎島根大学名誉教授と出会い、木質バイオマスのエネルギー利用を知る。ペレットクラブの代表理事や佐久森林エネルギー株式会社の専務理事を兼務。熱利用施設やペレット工場、チップ工場、製材所等の基本設計に従事。

羽里 信和 一般社団法人徳島地域エネルギー 常務理事
1951年、徳島県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。中学1年の時小池浩一郎島根大学名誉教授と出会う。その後徳島県庁在職中に徳島木質バイオマス研究会を立ち上げ、オーストリアからのボイラー輸入を誘導し、設置を支援した。退職後、現職。「地域アライアンス」による小規模バイオマスボイラーの導入促進と徳島にバイオマスラボを設置し、後進の育成に努めている。

事務局
加藤 鐵夫 一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会 副会長
生田 雄一 一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会 専門調査員
川越 裕之 一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会 専門調査員

目次

第1章 木質バイオマス熱利用の重要性と最近の動向
Ⅰ 木質バイオマス熱利用の意義と重要性
(1)バイオマス利用の重要性
(2)なぜ熱利用か
Ⅱ 世界の木質バイオマス熱利用の現状と最新動向
(1)現在の利用状況
(2)今後の方向性
Ⅲ 日本の木質バイオマス熱利用の現状と可能性
(1)日本での熱利用の現状
(2)日本における木質バイオマス熱利用の可能性
(3)気候変動対策

第2章 木質バイオマス燃料とは
Ⅰ 木質バイオマス燃料の特性
Ⅱ 燃料の成分(含有成分、灰等)
(1)灰の発生と組成
(2)灰の種類
Ⅲ 燃料の単位
(1)重量
(2)材積
Ⅳ 木質バイオマスに含まれる水分(含水率)
Ⅴ 燃料の発熱量
Ⅵ バイオマスと化石燃料との比較
Ⅶ 燃料の種類と特徴
(1)薪
(2)チップ
(3)ペレット
(4)その他(おが粉、ブリケット等)
Ⅷ 燃料の乾燥
(1)木質燃料の乾燥の意義と重要性
(2)乾燥工程とは何か
(3)乾燥の方法・技術
(4)乾燥チップの市場価格の形成
Ⅸ 燃料の規格
(1)品質規格の意義
(2)木質バイオマス燃料における基準項目
(3)品質規格の海外の現状
(4)国内における木質バイオマス燃料の品質規格

第3章 バイオマスボイラの基本構造
Ⅰ バイオマスボイラの歴史
(1)熱利用 蒸気動力の副産物から熱単独利用へ
(2)熱利用の媒体は温水が主流に
Ⅱ バイオマスボイラの種類と特徴、利用方法
(1)薪ボイラ
(2)ペレットボイラ
(3)チップボイラ
Ⅲ バイオマスボイラの特徴と利用
Ⅳ バイオマス施設導入に関わるシステム
(1)蓄熱タンク(バッファタンク)
(2)サイロ(チップ、ペレット)と燃料搬送装置
(3)熱回路
(4)配管
(5)建屋
(6)バックアップボイラ

第4章 バイオマスボイラ等に係る法制度
Ⅰ 労働安全衛生法
Ⅱ 消防法・市町村条例
Ⅲ 大気汚染防止法
Ⅳ 建築基準法
Ⅴ その他の規制

第5章 バイオマスシステム設計のポイント
Ⅰ バイオマスシステムの基本
Ⅱ バイオマスボイラのシステム制御の基本
Ⅲ 熱需要分析現状の熱需要に関するデータ収集
Ⅳ ボイラ出力規模の決定
Ⅴ ピーク対応等によるボイラ規模の最適化
Ⅵ 年間熱需要の把握
Ⅶ 蓄熱タンクの役割
Ⅷ 蓄熱タンクの温度差とポンプのシステム制御
Ⅸ ボイラ建屋・サイロの設計
(1)ボイラ建屋・サイロの構造
(2)サイロの容量
Ⅹ 燃料供給装置のつなげ方
Ⅺ 煙突の径と高さの決め方

第6章 バイオマスにかかるコスト管理
Ⅰ イニシャルコストとランニングコスト
Ⅱ バイオマスのイニシャルコストの特徴
Ⅲ 温水供給システムと配管工事
Ⅳ 計装(システム制御)
Ⅴ 建屋・サイロ
Ⅵ 設計の問題
Ⅶ イニシャルコストの削減方法
Ⅷ ランニングコストの抑制と燃料代
Ⅸ ボイラ効率と熱損失によるエネルギー消費量の違い
Ⅹ チップ水分が燃料代に与える影響
Ⅺ 電力消費量
Ⅻ メンテナンス

第7章 熱利用の導入先
Ⅰ 家庭部門
Ⅱ 業務部門
Ⅲ 産業部門
Ⅳ 農業
Ⅴ 地域熱供給

第8章 木質バイオマスエネルギーによる熱電併給
Ⅰ 木質バイオマス熱電併給とは
(1)熱電併給とは
(2)北米・北欧で始まった熱電併給
(3)ドイツのFITによる小型の熱電併給の普及
(4)国内で期待が高まる小規模熱電併給
Ⅱ 発電方式と供給される熱の特徴
(1)熱電併給の技術体系
(2)小規模熱電併給における期待の技術
(3)蒸気タービンによる熱電併給
(4)ORC(オーガニックランキンサイクル)システム
(5)木質バイオマスガス化発電
Ⅲ 熱電併給導入における留意事項
Ⅳ 熱電併給のこれから

第9章 木質バイオマス熱利用が開く未来
Ⅰ 地域の課題と「地域内エコシステム」
Ⅱ 木質バイオマス熱利用推進の政策的課題
Ⅲ 木質バイオマス熱利用が開く未来

第10章 参考資料
Ⅰ エネルギー単位と換算
(1)エネルギー単位の換算
(2)木質バイオマスエネルギー
(3)化石燃料エネルギー
(4)木材比重
(5)木材チップの換算係数
Ⅱ 品質規格
(1)チップ
(2)ペレット
(3)薪
Ⅲ 問い合わせ先

はじめに

はじめに

本書は、木質バイオマスエネルギーのうち熱利用に関してとりまとめたものです。
電気の利用がたかだかここ100年なのに比べて、人類は火を手に入れてから、文明を興し、生物としての進化も加速してきました。食べ物や道具、金属の加熱・加工は元より、木を燃やす暖房の利用によって、冬に耐え、寒冷地にも居住圏をひろげていきました。
振り返ってみれば、鎖国政策をとっていた江戸時代は、食料もエネルギーも肥料もすべて自給自足で循環型社会ができていました。人口増加等によって、米を基盤とするこの社会システムが崩れるわけですが、それでも1950年代の燃料革命までは、国民の日常の熱源はほとんどが薪と木炭でした。第2次世界大戦中の1943年から戦後しばらくは、国内の自動車は緊急車両を除いて燃料に木炭を使用していました。これらのノウハウも今はほとんど途絶え、エネルギーをほとんど海外に頼って高度経済成長を謳歌してきました。
石油が採れない欧州では、第一次世界大戦で出現した戦車の威力に脅威を感じ、早くから脱石油をめざしていました。とくに1973年の第一次オイルショックをエネルギー危機として真剣にとらえ、試行しながらも再生可能エネルギーを市民生活に溶け込ませてきました。チップ化、ペレット、ボイラ、熱交換、冷房など、熱利用のキーワードを並べるだけでも、その技術革新と普及には目を見張るものがあります。とくに個々の家庭では、室内で石油ストーブを焚くよりは、木質バイオマスを使った床暖房などにより、清浄な空気環境下によって健康維持にもなります。また、蛇口をひねれば24時間温湯が出てきます。地域における熱利用のためのヒーティングプラント(DHP)の設立も有用です。欧州の大都市の建物の屋上には今も煙突が無数に残っていますが、かつてはそこから石炭を燃やした黒煙が立ち上り、人々の健康を脅かしていましたが、それも過去の事です。
ここで今一度、足元を見つめ直し、最新の技術を投入して、持続可能な新たな社会をつくっていく必要があります。このことは人類の存亡に関わると言っても過言ではありません。森林に囲まれた地域では、木質バイオマスの熱利用による生活の快適性を容易に享受することができ、定住化の後押しにもなります。幸い日本には、先祖が残してくれた、あるいは営々として植林してきた人工林が全国津々浦々で成熟化し、宝の山となりつつあります。気候変動によって地球規模で雨の降り方も変わり、水資源の涵養も重要な課題となっています。森林の利用と整備は環境保全にとっても大きな意義があります。
再生可能エネルギーとして風力や太陽光発電があります。これらは身近にありますが、熱利用はできません。木質バイオマスは原料を集めなければなりませんが、熱利用ができます。その意味でも、木質バイオマスの熱利用を進めることが重要です。
コジェネレーション(熱電併給、CHP)はバイオマス発電に限りませんが、バイオマス発電に要する熱量の6割以上が発電中や送電時に熱として捨てられています。これらの排熱を利用するだけで、二酸化炭素排出量を大きく削減することができます。また、熱や電気をつくるだけでなく、どうしたらエネルギーを節約できるという省エネも有効です。
従って、これからのあり方としては、それぞれの立地の得失と規模を踏まえて、お互いの長所、短所をうまく組み合わせたエネルギー供給構成の確立が必要です。
散在する木材を輸送費をかけて集めて燃やす木質バイオマスは、サイエンスです。サイエンスとしてとらえるならば、鉄則があります。本書でまずはこのサイエンスと合理性の追求を学び取っていただければと思います。
木質バイオマス熱利用の重要性については、本書で諄諄と説いていますが、何よりも重要なことは、身近なところで、身の丈にあった利用をしていくことです。本書は、これから、木質バイオマス熱利用に取り組もうとしている方を対象としていますが、今、求められているのは、バイオマスの正しい知識の普及です。川上、川下双方で、間違った知識がまだ少なくありません。本書が広く読まれ、正しい知識の普及につながり、そして前向きに対応されていくことを願っています。
2018年5月吉日
酒井 秀夫
(一般社団法人 日本木質バイオマスエネルギー協会 会長) 

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