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実践!電子部品の信頼性評価・解析ガイドブック Part3
信頼性の要『故障メカニズム』を理解して問題解決

定価(税込)  3,888円

著者
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サイズ A5判
ページ数 288頁
ISBNコード 978-4-526-07843-9
コード C3054
発行月 2018年04月
ジャンル 電気・電子

内容

信頼性評価・解析は、部品調達、開発・設計、製品保証の各開発段階でそれぞれ行われる製品の品質を保障する重要な技術。最近では、自動運転などの自動制御や、IoTなどの高度な情報分析にかかわる電子部品の重要性が高まっている。電子部品における様々な評価・解析について、経験の少ない技術者、担当者でも最適な評価を得られるように導く入門書の第3弾。「信頼性評価をするのは、その部品、機器が使用中に故障を起こさないようにするため」という大前提を再確認し、「故障のメカニズム」そのものを信頼性評価に活かせるように解説している。

今井康雄  著者プロフィール

(いまい やすお)
1978年に沖エンジニアリング株式会社 入社
入社後に沖電気工業株式会社に出向。ここでは、品質保証部に属し、通信用LSIのスクリーニング・評価、プリンタ用LEDヘッドの信頼性評価、および電子デバイス製品の信頼性評価などの業務に従事
沖エンジニアリング株式会社に戻り、主にMDF(Main Distributing Frame)基板関連技術(基板、コネクタ挿入、および挿入用自動ロボット)の信頼性評価・解析に従事。
その後、同社取締役として、信頼性技術事業を統括。現在の信頼性・環境試験の拠点である、北関東試験センターおよび西東京試験センターを譲り受け、事業化を行った。
また、自動車業界等への参入のため、技術開発、人材採用、設備導入、顧客に対する信頼性教育の企画・実施した。
得意分野は信頼性工学、電子機器の評価がテーマでその開発・評価手法等。
日本電子部品信頼性センターの評議員、日本信頼性学会及びエレクトロ実装学会会員。
書籍としては前書(電子部品の信頼性評価・解析ガイドブック Part 1・2)以外に、「最新熱設計手法と放熱対策技術」、「サーマルマネジメント―余熱・排熱の制御と有効利用」、「インフラにおけるセンシング&モニタリング技術」の一部を執筆。
論文発表では以下の受賞がある。
 ・2010年度日本信頼性学会 優秀記事コラム賞「電子デバイス・モジュールの最新評価技術」
 ・2014年度日本信頼性学会 優秀論文賞「不揮発性メモリの信頼性評価」

味岡恒夫  著者プロフィール

(あじおか つねお)
1972年に沖電気工業に入社。リードスイッチの開発に従事
その後、長年に亘り、LSIに関する分析・解析や物性研究に従事した後に、LSI要素プロセス量産化技術を統括。社外活動としてはLSI製造技術、テストパターン、クリーン化などのいくつかの国際学会などの委員を務めた。
1991年に沖エンジニアリングに移籍。信頼性受託評価の統括に従事。LSIプロセス診断を開発。1994年にNTTエレクトロニクスに転職。LSI故障解析の受託解析の顧客サポートに従事
1997年に東レリサーチセンターに転職。LSIに関する受託分析の技術開発、および顧客サポート。
2010年に沖エンジニアリングに戻り、解析に対する顧客サポート、技術開発・導入、社外(顧客)に対する信頼性教育の企画・実施、および社内技術者の育成などを実施。
2017年10月に沖エンジニアリングを退職。現在、故障解析、信頼性に関するコンサルタントを開始。
得意分野は故障解析、分析技術で、電子機器の故障解析が開発テーマ。
日本信頼性学会故障物性研究会主査
書籍としては前書(電子部品の信頼性評価・解析ガイドブック Part 1・2)以外に、「ULSI製造のための分析ハンドブック」、「ULSI製造における汚染の実態」を監修。

目次

巻頭言

第Ⅰ章 メーカはどのようにして信頼性の作り込み、管理をしているか?
Ⅰ-1 電子部品メーカの信頼性の作り込みと管理
 1.新製品開発の流れ
 2.製造における信頼性の維持
Ⅰ-2 電子機器メーカの信頼性の作り込みと管理
 1.電子機器メーカの信頼性の作り込み
 2.電子機器の信頼性・品質管理

第Ⅱ章 市場で発生している故障の要因
1.市場故障の要因
2.故障率分布
3.故障要因

第Ⅲ章 部品の故障メカニズム
Ⅲ-1 受動部品
 1.受動部品の故障
 2.抵抗器
 3.コンデンサ
 4.インダクタ
Ⅲ-2 リレー
 1.リレー(有接点)の構造
 2.故障メカニズム
Ⅲ-3 LSI、ICチップ
 1.LSIの構造
 2.故障メカニズム
Ⅲ-4 半導体(LSI)パッケージ
 1.パッケージ構造
 2.故障メカニズム
Ⅲ-5 パワーデバイス
 1.パワーデバイスの種類と構造
 2.故障メカニズム
Ⅲ-6 LED(発光素子)
 1.LED
 2.LEDの発光
 3.LEDの構造
 4.故障メカニズム
Ⅲ-7 プリント基板(配線板)
 1.プリント基板の構造
 2.プリント基板の製法
 3.故障メカニズム
Ⅲ-8 部品実装・接続(はんだなど)
 1.はんだ接続に関する故障メカニズム
 2.ウィスカ(Whisker)
Ⅲ-9 材料、表面
 1.金属材料
 2.無機材料
 3.有機物材料
 4.材料の表面

第Ⅳ章 故障メカニズムと信頼性試験・環境試験の原理
Ⅳ-1 信頼性評価法概要
 1.信頼性評価法の構成
 2.特性評価
 3.構造解析
 4.信頼性試験・環境試験
Ⅳ-2 温度ストレスによる劣化現象と試験法
 1.概 要
 2.温度による材料の状態変化
 3.高温で起こる故障メカニズム
 4.低温で起こる故障メカニズム
 5.信頼性試験・環境試験
Ⅳ-3 バイアスストレスによる劣化現象と試験法
 1.概 要
 2.故障メカニズム
 3.バイアスストレス試験
 4.各バイアス試験
Ⅳ-4 熱応力による劣化現象と試験法
 1.概 要
 2.故障メカニズム
 3.信頼性試験・環境試験
Ⅳ-5 湿度・水分ストレスによる劣化現象と試験法
 1.概 要
 2.故障メカニズム
 3.信頼性・環境試験
Ⅳ-6 機械的ストレスによる劣化現象と試験法
 1.概 要
 2.機械的ストレス
 3.故障メカニズム
 4.信頼性試験
 5.振動衝撃試験の事例
Ⅳ-7 屋外環境による劣化現象と試験法
 1.概 要
 2.屋外環境
 3.故障メカニズム
 4.環境試験
Ⅳ-8 電磁波ノイズの原理、試験法、対策
 1.概 要
 2.電磁波ノイズ
 3.EMC試験
 4.電磁波ノイズ対策
Ⅳ-9 電気的破壊の原理、試験法、対策
 1.概 要
 2.故障要素
 3.故障要因と評価法
 4.外乱ノイズによる破壊の対策

第Ⅴ章 故障解析
1.LSIメーカが実施している故障解析
2.電子機器から部品までの故障解析
3.市場故障解析
4.実際の故障解析(事例)

第Ⅵ章 評価法をうまく使うポイント
Ⅵ-1 部品選定のポイント
 1.部品選定・採用の流れ
 2.要求事項と仕様
 3.特性評価
 4.信頼性・品質評価
 5.部品メーカ調査
Ⅵ-2 電子機器開発から製造までのためのポイント
 1.開発・試作フロー
 2.信頼性試験
 3.製品としての信頼性保証

索 引

はじめに

巻頭言

 最近、品質問題が社会的に大きくクローズアップされました。
 自動車会社の法令を無視した検査偽装、金属・樹脂材料メーカの品質データの改ざんなど、日本のものづくりの底が割れてしまった感があります。これらがすべからく検査工程という本来、顧客に成り代わって検査を行う部門で起きたことは驚愕に値します。検査工程で問題が発生したら、科学的に改善を行うこと、また、故障に至るであろう予兆をあぶり出し、未然に防ぐ役割が本来の姿であるはずです。

 我々は信頼性・品質の作り込みや信頼性試験を行う場合、何か問題となるかを考えず、一般に広くやられている方法を行って不具合を発生したということを良く耳にします。
 そのため、「製品の品質に携わる方々が科学的に問題解決できるように」と、本書を作成している途中で、上記の問題が起こりましたので、益々、信頼性の“要”を明確にすることの重要性を再認識しました。

 本書は、信頼性評価・解析ガイドブックシリーズの集大成(完結版)として、信頼性の“要”となる故障メカニズムを中心に信頼性の作り込みや信頼性試験を科学的に見直した
ものです。

実践! 電子部品の信頼性評価・解析ガイドブック Part3

 前書では評価・解析技術・手法、およびその使い方について解説してきましたが、このPart3では、『やるべき、評価は何か?』を決めることに焦点を絞りました。信頼性評価に悩まれている人・疑問を持っている人、信頼性評価を早く習得したい人には必読の書です。

 沖エンジニアリング(OEG)では長期に亘り、信頼性受託評価を行っており、多くの電子機器・部品の設計・開発者や信頼性・品質保証に係わる技術者の意見を聞く機会があります。この中で技術者が信頼性評価に対し、抱えている問題点をまとめると以下のようになります。
(1)電子部品や電子機器の機能、信頼性の要求度、および使用環境が変化する中でどのような評価をしたらよいか?
(2)規格に沿った試験を行ったが、故障が発生する。
(3)人材育成をやりたいが、信頼性評価技術までの教育ができない。
(4)新規に品質・信頼性評価部門を立ち上げたいが、何をどうすればよいのか?

 これらの問題に直面したとき、「信頼性とは何か、信頼性評価の目的は何か」を考えると解決の糸口が見つかります。電子機器・電子部品の“信頼性”は規定された期間に故障しないことであり、“信頼性評価”は故障を起こさないことを確認するための評価です。故障を起こさないことが、“信頼性”であれば、信頼性の“要”は故障メカニズムになります。すなわち、故障メカニズムを理解すれば初級者でも正しい信頼性の作り込みや適切な評価ができると考えます。また、我々は故障メカニズムを理解していないために信頼性試験に合格しても市場故障が起こるという事例をたくさん経験しています。

 本書の目的は“多くの技術者が信頼性の基本を理解し、直面する現場の信頼性問題を解決する”ことです。このために必要なのが、“故障メカニズム”と“評価法の理解”です。
 第Ⅲ章で各電子部品の故障メカニズムをまとめました。また、第Ⅳ章で信頼性試験・環境試験の原理と故障メカニズムの関連をまとめてみました。この二つが本書の中心ですが、信頼性を作り込むために重要な項目に関しては他の章に掲載しています。

 このように本書は製品の評価を行う上で、信頼性技術者の抱える問題を効果的に解決する方法として執筆しましたが、従来の書籍、文献にはこのようなコンセプトで評価技術が書かれたものは見あたりません。現場で品質・信頼性に係わる多くの技術者を対象です。特に初級者は前書(第 1& 2弾)を合わせて読むとより理解が深まります。ここで前書の 2巻を簡単に説明いたします。

 第1弾は評価技術全般に関して解説したものです。
 沖エンジニアリング:現場の評価技術者による 実践!電子部品の信頼性評価・解析ガイドブック、日刊工業新聞社(2014年発行)
 第2弾は評価法を効果的に使うための書です。
 沖エンジニアリング:セットメーカー必須! 電子部品の信頼性評価・解析ガイドブックPart2、日刊工業新聞社(2016年発行)

はじめに

 本書は信頼性の“要”となる故障メカニズムと信頼性・環境試験の原理に関して詳しくまとめた書籍である。
 故障メカニズムと信頼性評価技術の関連性を理解することは、信頼性評価を適切に用いるポイントであり、現在、信頼性技術者が抱える問題の解決や、今後起こりうる問題に対応するためにも有効である。

1.信頼性評価のポイント
 信頼性評価のポイントを図1にまとめた。信頼性評価技術には故障を見つけ、故障原因を究明するための故障解析と、故障をなくす(実際にはできるだけ低減する)ための信頼性・品質試験評価がある。この二つは“故障メカニズム”で結びついている。
 故障が発生した場合、故障解析により故障原因を解明し、“故障のメカニズム”を推定する。新たに発生した故障メカニズムの場合にはモデル化し、品質のデータベースとして社内で共有化する。信頼性・品質評価技術は関連する“故障メカニズム”に基づき、適切に実施することが重要である。
 さらに各段階で行われる信頼性の作り込みも“故障メカニズム”が基になっている。信頼性評価は部品調達、技術開発・設計、および製品保証の新製品開発の各段階で行われる。また、開発・製造・市場における故障対応も重要な信頼性評価の一つである。これらの評価は電子機器の機能、用途(使われ方)、および使用される環境で発生しうる故障メカニズムを対象に行うことが重要である。6

2.“故障メカニズム”の理解と問題解決
 信頼性評価に対し、技術者は以下のような問題を抱えている。これらの問題に関しては故障メカニズムを理解すると解決できるものがある。
(1)電子部品や電子機器、信頼性の要求度、および使用環境が変化する中でどのような評価をしたらよいか?
(2)規格に沿った試験を行ったが、故障が発生する。
(3)信頼性評価技術・解析に対する技術者教育ができないもしくは行われていない。
(4)事業拡大に伴い、新規に品質・信頼性評価部門を立ち上げたいが、何をどうすればよいのかがわからない?

2.1 変遷に伴う信頼性評価
 電子部品や電子機器、信頼性の要求度、および使用環境が変化する中で、従来の信頼性評価を継続するだけでは重大な問題を起こすことがある。それらの変化により発生しそうな故障メカニズムを開発・設計段階のはじめから考慮しておくことが信頼性の作り込みや適切な評価にとって重要である。

2.2 規格に則した試験
 多くの企業が公的規格・社内規格等の信頼性試験を実施しているが、それでも市場故障が発生したという話を良く耳にする。規格を作るときには一つの故障モデルを想定して作成するが、すべての故障メカニズムを網羅したものではない。また、現実の故障メカニズムは複雑で、これらの規格は単純化されたものがほとんどである。信頼性試験の劣化モデルを理解して、実際に起こり得る故障メカニズムに沿った試験を行わないと市場故障を無くすことができない。さらにはその規格そのものが 30年・40年超前に制定されたものもあり、現在の材料・実装方法等が進化してもそれらが活用されていることも散見される。

2.3 人材育成
 信頼性技術者は様々な状況で信頼性・品質問題を評価・解析しなければならない。この経験が貴重な財産となるが、多くの業務を抱えており、十分な理解ができないまま、次の業務に移ってしまうことが多く、企業の財産に繋がらない場合も増えている。故障メカニズムの基本を理解し、問題に立ち向かわせることが人材育成の一つになると考える。

2.4 新規参入技術者の早期修得
 近年、信頼性を重視する産業に新規に参入する企業が増えている。ビジネス上、信頼性の知識の修得・スピードが大きな鍵になる。そのためには要となる故障メカニズムを理解し、自ら判断できる能力をもった技術者の育成が近道となる。 多くの製品に対し、多種多様な評価・試験が実施されているが、適切な評価が実施されないとために故障が発生するケースが多く見られる。

3.現状で起こる信頼性問題
 現状の問題を故障メカニズムの観点から考えると『実際の目的に合致した評価が実施されていないために市場故障が発生する』ということが少なくない。信頼性試験や評価の使い方が規格や公的な情報などで定型化しているが、それに頼りすぎて実施したために故障要因を見逃すこともある。そこで、自ら考える能力を育成するために“故障メカニズム”と“信頼性評価の理解(試験品の化学的・物理的な状態などの理解)”という基本的なことを多くの人に理解してもらうことが重要だと考える。

4.これからの信頼性要求
 図2に現在の信頼性評価を取り巻く環境について図示する。信頼性を取り巻く環境では今まで以上に高い信頼性が要求され、その用途も拡大されることが予想される。また、電子機器の小型化は必須で、新たな部品・センサー等も開発される。
 日本国内では安心安全社会が定着し、電子機器の不具合による事故や社会インフラ障害などによる混乱に対しては厳しい世論の非難に晒さる。また、現在開発中のほとんどのシステム、例えば、自動運転などの自動制御を行う電子機器、IoT(Internet of Things)用の部品(センサーなど)や電子機器、医療用電子機器、ロボットなどには高い信頼性が要求される。
 これらの電子機器は世界中のあらゆる環境で使われるので、それらに対する様々な耐性が要求される。さらに電子機器の小型化・新材料の採用も信頼性の重要な課題である。微細化/多層化や高密度実装は従来問題にならなかった欠陥が顕在化するとともに新たな故障が発生する可能性がある。このような信頼性を取り巻く環境の変化により評価法が多様化している。新たに発生する故障メカニズムに対する信頼性試験、新たな環境に対応した試験や様々な目的に対応した試験などが予測される。
 また、昨今の電子機器製品に対する技術構築は一企業ではできにくくなっている。製品を作るために、開発委託、部品・材料などの購入、製造・メンテナンス委託のように外部企業を利用することが増えており、これらをすべて網羅する信頼性管理が重要になってきている。このような状況において高い信頼性を維持するためには、関連する企業の多くの技術者が信頼性を理解し、協力して信頼性技術を高めていくことが重要である。



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