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図解 道具としての材料力学入門

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 144頁
ISBNコード 978-4-526-07818-7
コード C3053
発行月 2018年03月
ジャンル 機械

内容

本書は、設計初心者を対象に材料力学の知見のうちこれだけは知っておきたいポイントに絞って解説した入門書。近年、軽量化要請などに伴って、いかに少ない材料で変形しづらい、剛性のある設計を行えるかを考えることが、設計者にとってより頻度の多い問題となっている。このあたりを踏まえ、図解でわかりやすく解説していく。

西野創一郎  著者プロフィール

(にしの そういちろう)
兵庫県生まれの愛媛県育ち。工学博士。慶應義塾大学大学院博士課程終了後、茨城大学へ。現在、同大学院理工学研究科量子線科学専攻、准教授。専門は材料力学、材料強度学(金属疲労)、塑性加工、溶接工学、X線・中性子線を利用した材料や構造物の解析など。100件以上の企業との共同研究を通じて、ものづくりと基礎工学をつなぐ仕事に奮闘中。

目次

第1章 力学を思い出してみよう
1-1 質点の力学と剛体の力学とは?
1-2 力とモーメント
1-3 運動方程式とつり合いの式
1-4 反力を求めてみよう
1-5 静力学の理解度チェック!

第2章 材料力学とはどんな道具なのか
2-1 四力学って何だろう
2-2 構造物の剛性とは
2-3 たったこれだけ材料力学の全体像
2-4 材料力学の適用範囲
2-5 設計で活用される材料力学

第3章 応力−ひずみ線図からわかること
3-1 丸棒を引張ると材料内部に内力が生じる
3-2 応力、ひずみとは
3-3 引張試験とは応力―ひずみ線図を得るための実験だ
3-4 応力−ひずみ線図をどう見るか①
3-5 応力−ひずみ線図をどう見るか②
3-6 応力−ひずみ線図から何がわかる①
3-7 応力−ひずみ線図から何がわかる②

第4章 材料の変形を理解しよう
4-1 引張変形において外力から変形量を求めてみよう①
4-2 引張変形において外力から変形量を求めてみよう②(例題)
4-3 変形しづらい設計をするためには「剛性」が重要だ①
4-4 変形しづらい設計をするためには「剛性」が重要だ②(例題)
4-5 不静定問題とは何か①
4-6 不静定問題とは何か②(例題)
4-7 熱応力とは何か①
4-8 熱応力とは何か②
4-9 熱応力とは何か③(例題)

第5章 曲げ変形を理解しよう
5-1 はりの曲げ変形
5-2 曲げ変形において知りたいこと
5-3 曲げ変形の解析の前にやらなければならないこと(例題)
5-4 はりに働くせん断力と曲げモーメント
5-5 せん断力図と曲げモーメント図を描いてみよう①
5-6 せん断力図と曲げモーメント図を描いてみよう②(例題)
5-7 はりの曲げ応力を求めよう①
5-8 はりの曲げ応力を求めよう②(例題)
5-9 重心の位置と断面二次モーメントを計算してみよう(例題)
5-10 曲げ応力を低減させるためには①
5-11 曲げ応力を低減させるためには②(例題)
5-12 曲げ応力の式を導出してみよう
5-13 はりのたわみ量(変形量)を求めよう①
5-14 はりのたわみ量(変形量)を求めよう②(例題)
5-15 曲げ変形における剛性①
5-16 曲げ変形における剛性②(例題)
5-17 複雑なはりの問題を簡単に解く方法

第6章 ねじり変形を理解しよう
6-1 ねじり変形とは
6-2 せん断ひずみの定義とフックの法則
6-3 ねじり変形におけるせん断応力の求め方
6-4 ねじり変形量を計算してみよう(例題)
6-5 ねじり変形における剛性

はじめに

はじめに


大学で材料力学の授業を担当して10年以上になります。一方で、企業における新人教育や社会人向けのセミナーで材料力学に関する講義を行ってきましたが、設計や製造で要求される「材料力学」の知識や学問体系に対して、世の中に数多く存在する材料力学の教科書がどの程度役に立っているか疑問に思っていました。それぞれの教科書を否定するというわけではなく、もう少し情報を追加して視点を変えれば、材料力学の知識がさらに設計者にとって役に立つであろうと考えていました。
材料力学は、エンジニアがものづくりを行う上で必要とされている学問の一つですが、最も重要な目的は、いかに軽量かつ高剛性である構造物を創成するかに尽きます。また、材料力学はエンジニアが設計や製造現場で起きる事象を論理的に解析する有効な道具であり、より良いものづくりに役立つものでなければなりません。このような観点から、材料力学を製品の構造解析において役立つ道具として捉えて、それぞれの理論や公式と製造現場における工学的事象とを密接にリンクさせて、読者にとって本当に役に立つ新しい「材料力学」の教科書を提供したいという思いでこの本を書きました。
本書の特徴は下記の通りです。
①材料力学を構造物の剛性を評価する道具として捉える。
(高剛性かつ軽量な構造物を設計するためにはどのように考えるか)
②設計や製造現場でエンジニアが直面する事例を例題として取り上げ、道具としての材料力学をいかに活用するか解説する。
例えば、以下の例題が本文中に出てきます。
•鉄鋼とアルミニウム合金で同一長さ、同一断面形状(正方形)のはり部材を作る。曲げ剛性を等しくする場合のコスト比を計算せよ。
•環境問題に対応した車体の軽量化が注目されており、軟鋼から高張力鋼板への材料置換が進んでいる。同一形状の部材を軟鋼と高張力鋼で製造した場合どちらの剛性が高いか?
•高張力鋼板の曲げ加工における形状凍結性不良(スプリングバック)は軟鋼より大きい。その理由について応力-ひずみ線図から説明せよ。
著者は加工や接合、そして製造現場における不具合解決など100件以上の共同研究を通じてさまざまなものづくりの現場を見てきました。その経験から、実学としての材料力学を道具としてうまく使うためには、実例をきちんと示して基礎理論との結びつきを明らかにすることが重要であると考えています。
余談になりますが、塑性加工や熱処理、溶接など製造に関連する技術は、工業製品の創成にとって重要な役割を占めています。しかし、製品開発の実務を担う設計者達が、自分たちの設計した製品がどのようにして加工され、組み立てられていくか知らないという話を聞いて驚いた経験があります。同様に、材料力学を構造物の剛性を評価するための有効な道具として活用している設計者がどのぐらいいるのかが気になっています。さまざまな基礎工学を道具として活用し、ものづくり全般を広く見据えて(一歩引いて全体を見て)自分たちの製品や技術の位置付けや役割を把握してほしい、そして幅広い素養を持ったエンジニアとして育ってほしいという願いを込めてこの本を書きました。ものづくりに関わるエンジニアの皆様にとって、本書が少しでもお役に立てれば望外の喜びです。
本書は道具としての材料力学・入門編です。材料力学のすべてをこの本で伝えることは困難でしたので、最も重要な基礎事項に絞って平易に解説しました。物理と数学の基礎知識があれば誰でも理解できると信じています。さらに詳しい解説は別の機会に考えたいと思います。
本書の企画から発行まで日刊工業新聞社出版局書籍編集部の天野慶悟氏には大変お世話になりました。著者の材料力学に対する思いを書籍として実現することができたのも天野氏のおかげです。厚く御礼申し上げます。最後に、執筆を温かく見守ってくれた家族に感謝します。
2018年3月
西野 創一郎

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