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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい燃料電池の本
第2版

定価(税込)  1,620円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07835-4
コード C3034
発行月 2018年03月
ジャンル ビジネス

内容

2001年に発行した「トコトンやさしい燃料電池の本」の全面改訂版。2020年の東京オリンピックに向け、東京都やその他地方自治体の燃料電池に関する取り組みが進み、人々の関心も集まっている。本書は化学を学ぶ高校生から実際に燃料電池関連業界の人々まで、燃料電池の基礎・歴史や仕組み、関連技術や材料、最新業界動向を手軽に知ることができる一冊。

森田敬愛  著者プロフィール

(もりた たかなり)

技術士(化学部門)
敬愛(けいあい)技術士事務所 所長

1965年 北海道生まれ
1991年 北海道大学大学院理学研究科化学専攻修士課程修了
1991年~1993年 株式会社ほくさん(現エア・ウォーター)
1993年~2005年 ジョンソン・マッセイ・ジャパン株式会社 燃料電池触媒開発室
(2000年~2001年 英国Johnson Matthey Technology Centre)
(2001年~2002年 米国Johnson Matthey)
2005年~2014年 田中貴金属工業株式会社
(2005年~2007年 開発技術部燃料電池触媒プロジェクトG)
(2007年~2014年 湘南工場)
2014年~現在 敬愛技術士事務所
事務所URL:http://www.ki-peoffice.com

目次

はじめに

第1章
燃料電池ってなに?

1 燃料電池は電池ではない!?「燃料電池は水素を燃料とした「発電装置」」
2 一次エネルギーと二次エネルギー「水素は自然界に存在しない二次エネルギー」
3 エネルギーの変換技術「電池は化学エネルギーから電気エネルギーへの変換装置」
4 水素と酸素の反応でなぜ電気が起きる?「水素が持つ電子を一旦外へ取り出して利用する」
5 燃料電池の発電原理「水の電気分解の逆反応で電気エネルギーを取り出す」
6 燃料電池のカギを握るのは触媒「燃料電池の心臓ともいえる電極触媒」
7 電池には化学電池と物理電池がある「化学物質のエネルギーを利用するのが化学電池」
8 化学電池の代表選手~乾電池「マンガン乾電池とアルカリ乾電池がある」
9 乾電池以外の一次電池「いろいろな種類の一次電池が使われている」
10 何度も充電して使える二次電池「二次電池の代表選手「リチウムイオン電池」」
11 物理電池の代表選手~太陽電池「太陽の光エネルギーを電気エネルギーへ変換」
12 電池みたいな働きをするキャパシタ「化学電池とはちょっと違う働きかた」
13 結局、燃料電池って何がいいの?「クリーンで高いエネルギー変換効率」

第2章
燃料電池の歴史
14 グローブ卿が初めて燃料電池を実証「水素と酸素を使って発電に成功」
15 アルカリ形燃料電池の登場「宇宙探索用の宇宙船に採用」
16 商用化へといち早く進んだりん酸形「米国と日本で導入が進められてきた」
17 日本におけるりん酸形の開発「様々な発電容量タイプが開発され、耐久性も実証」
18 固体高分子形の登場「自動車への応用研究が盛んに」
19 家庭用燃料電池の登場「排熱も有効利用で省エネルギー」
20 発電効率が高い固体酸化物形の登場「家庭用から業務用まで幅広く開発が進行」

第3章
燃料電池のきほん
21 燃料電池の発電効率・「水素と酸素の反応による反応熱がエンタルピー変化」
22 燃料電池の発電効率・「ギブズエネルギー変化分が電気エネルギーに変換される」
23 燃料電池の発電効率・「生成物の水が液体か気体かで数値が異なる」
24 燃料電池の発電効率・「排熱も利用することでエネルギーを有効利用」
25 燃料電池にはいろいろなタイプがある「電解質の種類によって呼び名が変わる」
26 アルカリ形燃料電池(AFC)「宇宙用に開発されてきた」
27 りん酸形燃料電池(PAFC)「第1世代型と呼ばれ最も早く商用化」
28 固体高分子形燃料電池(PEFC)「固体高分子膜中を水素イオンが移動」
29 溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)「高温で金属炭酸塩を融解させて運転する」
30 固体酸化物形燃料電池(SOFC)「イオン導電性があるセラミックスがカギ」
31 直接メタノール形燃料電池(DMFC)「燃料は液体のメタノール」
32 その他の特殊な燃料電池「水素以外の燃料で発電」

第4章
燃料電池を支える材料や技術
33 電池を構成する材料「セルは様々な材料の組合せでできている」
34 燃料電池の心臓部~電極触媒「反応を効率よく進めるPt触媒」
35 Ptの表面積を測定する「電気化学測定法とガス吸着法がある」
36 電極触媒の性能向上「質量活性と比活性について」
37 電極触媒に使われている材料「Pt粒子を載せる下地となるカーボン担体」
38 標準電極電位を理解しておこう「標準水素電極の標準電極電位(E0)が基準」
39 燃料電池の起動時の材料腐食問題「燃料電池内部に局部電池ができて材料が腐食」
40 触媒の耐久性「Pt粒子とカーボン担体の安全性がカギ」
41 燃料中に含まれる不純物の対策「Pt触媒の大敵は一酸化炭素」
42 触媒開発の最近の動向「コア-シェル型触媒や非Pt触媒が登場」
43 固体高分子膜の進歩「さらに薄く、さらに高耐久化する努力が続く」
44 膜-電極接合体(MEA)の構造「ガス拡散性と触媒利用率の向上が重要」
45 セパレーター「カーボン系と金属系がある」
46 セルを積み重ねてスタックに「直列つなぎで高電圧化」
47 スタックへのガス供給不足で起こる問題「水素が不足すると燃料極が劣化」
48 燃料電池で生成する水の役割「水は必要でもあり不要でもあり」

第5章
燃料電池が使われている場所
49 りん酸形燃料電池の商用化「50kW~200kWの容量が中心に普及」
50 電気と熱を有効利用「ホテルや病院などにPAFCの導入が進む」
51 廃棄物から生まれる電気「下水処理で発生するメタンが水素源に」
52 家庭用燃料電池エネファーム「固体高分子形(PEFC)で導入が進む」
53 高温型のエネファームも導入開始「固体酸化物形(SOFC)で発電効率アップ」
54 業務・産業用に導入が進む「小型から中規模まで様々な用途」
55 緊急・災害時の非常用電源「2011年の震災を機に注目度が上がる」
56 自立型水素エネルギー供給システム「水素を「作る・貯める・使う」をパッケージ化」

第6章
移動体用燃料電池の現状と将来
57 燃料電池自動車の開発状況「トヨタとホンダが国内のけん引役」
58 FCVの主要な構成部品「高圧水素タンクの開発で航続距離が延伸」
59 FCV(燃料電池自動車)対EV(電気自動車)「航続距離が長いFCV」
60 水素ステーションの現状「ガソリンスタンドより高いコストが課題」
61 ガソリン車と比べて安全性は?「水素の特性を考慮した安全対策」
62 フォークリフトやバスにも導入が進む「クリーンな排気ガスが特長」

第7章
燃料電池の課題と将来
63 水素をどうつくるのか「化石燃料由来から水由来へ」
64 水素を大量に輸送・貯蔵するには?「液体に変換することで輸送効率向上」
65 2020年の東京オリンピックへ向けて「水素社会構築への大きな転換点に」
66 固体高分子形燃料電池の課題「触媒に使われるPtは希少資源」
67 燃料電池のコスト「さらなる普及促進にはコスト低減が必要」
68 水素エネルギー社会を目指す「水素を利用する燃料電池技術はますます重要になる」

【コラム】
●電解系と電池系で電極の呼び名が違う?
●燃料電池に関わった先人たち
●小型電子機器用 DMFC vs Liイオン電池
●燃料電池で過酸化水素ができるのはなぜ?
●燃料電池を自分で作れる!?
●水素1・の体積は何L?
●水素社会では化石燃料は不要?

参考文献・資料

はじめに

 本書の初版が発行された2001年11月から16年以上経ち、燃料電池の技術が大きく発展したことを受け、第2版の本書では内容を全面的に改訂しました。本書を読んでいただくと、燃料電池そして水素エネルギー技術が、非常に身近なものになってきたことを実感して頂けると思います。基本的な化学を学んだ高校生にも理解してもらえるよう、「トコトンやさしい」を常に意識して書くよう努めました。もちろん大学生や社会人の多くの方々にも読んでいただき、今後ますます進んでいく水素エネルギー社会において、燃料電池がどの様に活躍するのかを理解して頂けたらと思います。
 2011年3月11日に起こった東日本大震災は、今後のエネルギーについて考えるきっかけになった方が多いのではないでしょうか。私たちの生活に欠かせないエネルギーを今後どのように確保していくのかは、非常に難しい問題です。しかし、私たちが今後どのような社会を作っていきたいのか、そのためにはどのようなエネルギー源を基に社会を構築していくべきか、そして人・物・金・時間という資源を今後どこへどのように振り向けていくべきか、その様なことに私たちは真剣に向き合っていく必要があります。本書が、その様なことを考えるにきっかけになれば大変うれしいです。
 2020年の東京オリンピックに向けて、ますます燃料電池や水素に注目が集まっていきます。まずは気楽に本書を手に取って、燃料電池とはどのようなものなのかを知って頂きたいと思います。
 筆者は、国家資格である「技術士」として日々仕事をしています。技術士を規定した技術士法という法律には、「公益確保の責務」が定められています。また、日本技術士会が定めた「技術士倫理綱領」の一つに、「技術士は、地球環境の保全等、将来世代にわたる社会の持続可能性の確保に努める」とあります。筆者一人の力は微々たるものですが、これからずっと先の人類のために、今自分にできることを少しずつ実行していきたいと思います。本書を世の中に出せたことは、小さくともその一歩になったと信じています。そして、これからの社会を背負っていく特に若い世代の方々にこの本を読んで頂き、燃料電池に関わる仕事をしてみたい、水素社会を作っていくために何か役立ちたい、という人が一人でも多く増えたとしたら、筆者として大変うれしく思います。
 本書が完成するまでには多くの方々のご尽力がありました。筆者の遅い原稿にもかかわらず、素早くイラスト作成を進めていただいた小島サエキチ氏と志岐デザイン・大山陽子氏には大変お世話になりました。原稿の一部は、筆者が非常勤講師としてお世話になっている湘南工科大学・木枝暢夫教授/工学部長に目を通していただきました。突然のお願いにも関わらずご助言頂き感謝いたします。そして、本書の執筆の機会を下さった、日刊工業新聞社の阿部正章氏には本当にお世話になりました。元々文章を書くのが苦手な筆者に本を書くなんてできるのかと思いながらのスタートでした。案の定なかなか原稿が進まない中、ぎりぎりまで忍耐強く待って下さった阿部氏には、最後の最後までご尽力いただいたことに心よりお礼申し上げます。
 最後に、本の執筆中ずっと気持ちが張り詰めていた筆者を、寛容に見守り続けてくれた妻・千佳子に感謝いたします。

2018年3月
森田敬愛

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