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ポカミス「ゼロ」徹底対策ガイド
モラルアップとAIですぐできる、すぐ変わる

定価(税込)  2,160円

著者
サイズ A5判
ページ数 184頁
ISBNコード 978-4-526-07833-0
コード C3034
発行月 2018年03月
ジャンル 生産管理

内容

根絶が難しいとされるポカミス撲滅に向け、発生要因を定義し直し、発生メカニズムを解明した上で有効策を示す。「すぐ効果が出る(評価も簡単)」「活動が定着しやすい」「どこでも適用できる」考え方と手段、ツールを授ける改善リーダー必読の書。

中崎 勝  著者プロフィール

(なかざき まさる)
株式会社ロンド・アプリウェアサービス 代表取締役社長
1981年慶應義塾大学工学部計測工学科卒業後、株式会社ブリヂストン入社。生産技術業務に従事する。87年日本デジタルイクイップメント株式会社に入社し、システムエンジニアリング業務に携わる。92年ロンド・アプリウェアサービスを設立。
当初はITコンサルティングをしていたが、現場改善の必要性と重要性を感じ、TPMのコンサルタントとして再デビュー。その後、QC、IEと分野を拡げ、最終的に不良ゼロ、ロスコストマネジメント、SCMとトータルコンサルティングを展開。その効果とスピードは好評で、現在までに46社(協会)・47事業所でコンサルティングを実施。その集大成として本書を執筆した。

目次

第1章 ポカミスとは
1.ポカミスとは
2.ポカミスをなくすには
3.原因を見つけるために要因を定義する
4.決まりきった対策では効果は出ない
5.チェックはやめる、ポカヨケは要検討
コラム: ポカミスの要因を見つける

第2章 知らなかった対策
1.知らなかったことに対する対策
2.ポカミスに対するルールを決める
3.ロス、損害の大きさをコストで実感する
4.NG/OKシートの作成
5.実際につくってみる
6.NG/OKシートはこう書きます
コラム: 潜在ポカミスの顕在化で改善の方向性が見える

第3章 ルールを守らせるには
1.作業者は、なぜルールを守らないのか
2.標準がないこと自体、問題
3.ない標準をつくる
4.標準の実態
5.標準の不備
6.時代が変われば教育・訓練も変わる
7.実践、新教育・訓練 パート-1:新人編
8.使えるビデオ標準のつくり方
9.計画的人材育成
10.モラルのポカミスへの影響
11.チームエラー
コラム: 実践、新教育・訓練 パート-2:ベテラン編

第4章 うっかり対策
1.うっかり
2.作業開始時のうっかり
3.作業前点検の重要性
4.作業中のうっかり
5.長時間労働の対策は休憩しかない
6.寝不足、体調不良にはどう対応するか
7.個人ごとの都合管理
8.作業環境の改善
9.雑然とした職場には整理・整頓
10.整理・整頓の進め方
11.やりにくい作業の改善
12.生産に追われるとミスをする
コラム: 作業者思いの改善

第5章 モラルアップへのアプローチ
1.モラルアップへのアプローチをつくろうと思ったきっかけ
2.モラルとは
3.モラル低下の原因
4.モラルを上げるには
5.モラルアップへのアプローチ
6.やる意味を教える
7.適切な目標を与える
8.成功させる
9.ほめる
10.叱らない
11.ワークショップでマンネリ化対策
12.毅然と接する
コラム: 金銭的報酬

第6章 尊敬される上司になる
1.モラルが上がらない
2.現場経験とリーダーシップ
3.わかりやすく、安心でき、頼りになる上司
4.みんなから愛される上司
5.頭がいい上司は尊敬される
6.部下との接し方
7.礼節をわきまえている
8.現場では信頼関係が大切
9.嫌われることはしない
コラム: 人は環境の生き物

第7章 AIを駆使したポカミス対策
1.どうしてもゼロにできないミス
2.AIでゼロにする
3.AIによる自動外観検査
4.音声認識によるデータの自動入力
5.AIアドバイザーで判断ミスをなくす
コラム: AIの可能性と役割

第8章 ポカミスゼロへのアプローチ
1.基本的な進め方
2.総合対策
3.個別対策
4.うっかりだったら
5.チェックシートによる共通認識
6.実践ポカミスゼロへのアプローチ
コラム: ポカミスはゼロにできる

第9章 なぜなぜ分析はもういらない
1.なぜなぜ分析はもういらない
2.うまくいった人がいない
3.脳とコンピュータの原理・原則から考えてみました
4.なぜなぜ分析 VS ポカミスゼロへのアプローチ
5.モノづくり現場に必要な論理的思考
コラム: 手法を身にまとう

はじめに

はじめに

年に数回、ポカミスに関するセミナーを実施しています。ポカミスに関する本を書こうと思ったのは、そのセミナーに参加する人数が多かったこと、参加者が、中小企業から大企業に至る幅広い範囲であったことが理由です。これは、改善が進んだ日本でも、いまだポカミスに悩む人が多いということを意味すると思ったからです。
 ポカミスに取り組んだのは10年前です。著者がコンサルタントになったのは28年前。初めは設備改善の手法を教えました。著者自身、生産技術の出身ということもあり、設備が生産現場では一番大切だと思っていました。しかし、コンサルタントとしてデビューしたのが半導体工場であり、そのとき、異物の被害の深刻さを知り、モノづくり現場でやっかいなのは異物だと考えが変わりました。そこで、初めの20年は、設備トラブルをゼロにする原則整備へのアプローチと異物不良をゼロにする異物ゼロへのアプローチをつくり、実際に設備トラブルゼロと異物不良ゼロを実現しました。そして、最後に取り組んだのがポカミスでした。
 それまで、ポカミスは簡単になくせると思っていました。しかし、実際に取り組んでみると、その難しさを痛感しました。今までやってきた設備トラブルと異物不良は、論理的に進めることでゼロにできます。しかし、ポカミスは理詰めだけではゼロにならず、そこに人とは何かという理屈だけでは割り切れないテーマを加えないとダメだということがわかりました。
 これまでのポカミス対策の基本的手法は、IE(Industrial Engineering)と2Sでした。しかし、この2つの手法だけでは、ポカミスはゼロになりません。人は感情や性(さが)を持っています。ポカミスは人が起こすものですから、そこにもメスを入れないとゼロにならないのです。
 実際にやってみて感じたのが、ポカミスに対するモラルの重要性です。そこで、モラルアップへのアプローチをつくりました。このツールの誕生によりポカミスゼロが見えてきました。
 しかし、ここで再び壁に直面しました。従来の手法+モラルアップでも、どうしてもなくせないポカミスがあったのです。それが、検査ミスや入力ミス、判断ミスでした。
 検査ミスに関しては、25年間取り組んできました。しかし、どうしてもゼロにならず、なかばあきらめていました。そこに光明を見いだしたのがAIの登場です。
 そもそも、従来の手法は人の肉体労働を改善対象にしていました。モラルアップは、そこに人の気持ち(メンタル面)を加える手法です。その2つの手法に抜けていたのが、頭脳労働でした。3つのミスは、人の頭脳労働から発生するミスです。そのため、従来の手法+モラルアップではゼロにならなかったのです。それをAIで解決しました。
 以上の経緯から本書の内容は、ポカミスゼロ編、モラルアップ編、AI編の大きく3つに分かれます。

 第1章から第4章まではポカミスゼロ編です。ポカミスの要因を定義し、「知らなかった」「ルールを守らなかった」「うっかり」という3つのモードの、ポカミスの発生メカニズムとその対策を紹介します。
 これらの章の特長は、ポカミスの要因を26に限定したこと、徹底的に作業者の立場に立ちポカミス対策を検討したことです。要因を限定したことにより対策が明確になり、スピーディーに効果を出すことが可能になりました。徹底的に作業者の立場に立ち対策をすることで、作業者思いの対策をつくることができました。2つの特長により、ポカミスをゼロにします。
 次に、第5章と第6章は、モラルアップ編です。
 第5章では、モラルを定義し、モラルを上げる方法や現場での具体的な進め方を紹介します。
 モラルアップへのアプローチは、3つの学習プロセスを経て完成しました。初めは、アメリカの人材管理(メンタルケア)を学びました。メイヨーの人間関係論、マズローの5つの欲求、マグレガーのXYZ理論、バーナードの組織論です。そこに心理学、経営学、脳科学を加えて手法を磨きました。経営学では、松下幸之助翁や稲盛和夫京セラ創業者の人の育て方を学びました。脳科学は、なぜ人がそういう行動を取るのかということを、脳の構造から理解できました。そして、最後に日本人のメンタルに合わせるために、歴史上の人物の人材マネジメントを学び、仕上げとしました。
 第6章は、尊敬される上司になるというテーマにしました。モラルアップへのアプローチだけでは、作業者のモラルは上がらず、その前提として尊敬される上司が必要だとわかったからです。では、尊敬される上司はどのような上司かと考えると、悩んでしまいます。そこで、現場の作業者にアンケート調査とインタビューをし、尊敬される上司の8原則をつくりました。
 第7章では、ポカミスに対するAIの活用を紹介します。AIはこの本を書いている段階でも最先端の技術であり、これからどんどん発展していく技術です。それを取り入れ、3つのミスをゼロにします。
 第8章は、第1章から第7章のまとめとして、具体的なポカミス対策を紹介します。ポカミスの対策は20あります。この章では、26の要因と20の対策からポカミスをゼロにするアプローチを紹介します。

 ポカミスをゼロにしていく過程でわかったことは、要因がわかれば原因追究のツールはいらないということです。
 著者が受け持つセミナーの1つに、「なぜなぜ分析はもういらない」と題するものがあります。これもいつも満員で、参加者の関心の高さを感じます。しかし、その関心は、「なぜなぜ分析をどうやればうまくいくのか」「上司からやれと言われるがやめたい」「どう上司を説得したらいいか」というネガティブなものでした。毎回このような意見を聞くと、かわいそうにさえなります。
 著者は、なぜなぜ分析はいらないと思います。その理由とそれに代わる手法を第9章で紹介します。
 
 ポカミスに取り組んで10年。やっと、みなさんに紹介できる手法が出来上がりました。人はミスするものだから仕方がない、という言い訳をしたくないがために新たな手法の開発をし、従来の手法に6つの手法を加えることによりゼロが見えました。本書は、ポカミスをゼロにするという執念の賜物です。
 読者のみなさんが今まで永遠のテーマだと思っていたポカミスを、本書で紹介する考え方や進め方でゼロにすることを祈念します。

2018年3月
著 者

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