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ゼロからはじめるPID制御

定価(税込)  2,916円

著者
サイズ B5判
ページ数 184頁
ISBNコード 978-4-526-07821-7
コード C3053
発行月 2018年03月
ジャンル 機械

内容

プロセス制御分野で圧倒的なシェアをもっているPID制御。本書は、PID制御を実際の場面で活用するために必要な知識を効率良く学べる実用書。実際の機械や装置のPID制御例を豊富に取り上げ、できるだけそのまま応用できるように内容を工夫した。

熊谷英樹  著者プロフィール

(くまがい ひでき)
1981年 慶應義塾大学工学部電気工学科卒業。
1983年 慶應義塾大学大学院電気工学専攻修了。住友商事株式会社入社。
1988年 株式会社新興技術研究所入社。
現在、株式会社新興技術研究所専務取締役、日本教育企画株式会社代表取締役。神奈川大学非常勤講師、山梨県産業技術短期大学校非常勤講師、自動化推進協会理事、高齢・障害・求職者雇用支援機構非常勤講師。
主な著書
「ゼロからはじめるシーケンス制御」日刊工業新聞社、2001年
「必携 シーケンス制御プログラム定石集―機構図付き」日刊工業新聞社、2003年
「ゼロからはじめるシーケンスプログラム」日刊工業新聞社、2006年
「絵とき『PLC制御』基礎のきそ」日刊工業新聞社、2007年
「MATLABと実験でわかるはじめての自動制御」日刊工業新聞社、2008年
「新・実践自動化機構図解集―ものづくりの要素と機械システム」日刊工業新聞社、2010年
「実務に役立つ自動機設計ABC」日刊工業新聞社、2010年
「基礎からの自動制御と実装テクニック」技術評論社、2011年
「トコトンやさしいシーケンス制御の本」日刊工業新聞社、2012年
「熊谷英樹のシーケンス道場 シーケンス制御プログラムの極意」日刊工業新聞社、2014年
「必携 シーケンス制御プログラム定石集 Part2―機構図付き―」日刊工業新聞社、2015年
「必携『からくり設計』メカニズム定石集―ゼロからはじめる簡易自動化」日刊工業新聞社、2017年
ほか多数

目次

第1章 PID制御のイメージをおさえる
「解説」
(その1) 入力と出力を考えればPID制御がイメージできる
(その2) PID制御では出力1点しか制御できない
(その3) 水位制御には電気制御できる給水バルブを使う
(その4) 速度をPID制御するなら速度を検出する

第2章 PID制御のつくり方
「PID制御の手順」
(その1) PID制御に必要な入出力を電気信号に変換する
(その2) PID制御をする前に人が操作して制御可能か確かめる
(その3) PID制御は目標値と実際値の差を使って制御する
(その4) 偏差の大きさで制御量を決めれば比例制御になる
(その5) ブロック線図による制御システムの表現
(その6) 比例制御のゲインを調節する
(その7) 積分制御(I制御)を使えば定常偏差をなくすことができる
(その8) PI制御のブロック図をつくる
(その9) 微分制御は偏差の急激な変化を調整する
(その10) 微分制御の計算法
(その11) 比例(P)と積分(I)と微分(D)の制御量を合算してPID制御をつくる

第3章 オペアンプを使ったPID制御
「オペアンプ」
(その1) PID制御に必要な演算回路
(その2) PID制御器としてのオペアンプの特性
(その3) オペアンプを使った演算回路
(その4) オペアンプを使えばPID制御回路ができる

第4章 LT Spice回路シミュレータを使ったPID制御の動作検証
「シミュレーションの手順」
(その1) 1次遅れ系のステップ応答
(その2) 2次遅れ系のステップ応答
(その3) LTSpiceの設定と操作方法
「シミュレーションの応用」
(その1) P制御のシミュレーションと定常偏差
(その2) 定常偏差が消えるPI制御のシミュレーション
(その3) 振動を抑える微分制御を追加したシミュレーション

第5章 ラプラス変換して微分方程式を簡単に解く
「解説」
(その1) ラプラス変換を使えば微分方程式が簡単になる
(その2) 時間領域での微分方程式の解き方
(その3) ラプラス変換を使った微分方程式の解き方
(その4) ラプラス変換表を使いこなす
(その5) ラプラス変換の定理表
(その6) ラプラス変換を使って時間領域の関数をs領域に変換する

第6章 制御対象の特性
「解説」
(その1) 制御対象の伝達関数の求め方
(その2) 同じ制御対象でも出力のとり方によって伝達関数は別のものになる
(その3) 1次遅れ系の特性
(その4) 1次遅れ系の意味
(その5) 1次遅れ系の運動方程式
(その6) 実験で得た出力特性から制御対象の伝達関数を求める
(その7) 2次遅れ系の制御対象
(その8) PLC回路の2次遅れ系
(その9) むだ時間のあるシステムの伝達関数
(その10) 1次遅れ要素+積分要素の伝達関数
(その11) 伝達関数を実験的に求める

第7章 s領域におけるPID制御
「解説」
(その1) なぜフィードバックするのか
(その2) P制御の定常偏差
(その3) 1次遅れ系の外乱の影響
(その4) 1次遅れ系にはPI制御を使う
(その5) 2次遅れ系のステップ応答
(その6) 2次遅れ系のPID制御
(その7) 2次遅れ系の外乱の影響

第8章 MATLABによるPID制御のシミュレーション
「シミュレーション」
(その1) 制御対象の回路方程式をつくる
(その2) 制御対象の回路方程式をラプラス変換する
(その3) MATLAB Simulinkを使った制御対象のステップ応答
(その4) 2次遅れ系は伝達関数のパラメータによってステップ応答が変化する
(その5) MATLAB SimulinkによるPID制御のシミュレーション

第9章 コンピュータを使ったPID制御
「解説」
(その1) アナログ入出力を使ったPID制御
(その2) PID制御によるリニアモータの位置決め制御
(その3) PLCを使ったPIDによるサーボモータの位置決め制御

コラム
・2次遅れ系のパラメータ同定 
・PIDパラメータの最適設定(1) PID制御器の時定数を使った表現
・PIDパラメータの最適設定(2) 1次遅れ系の制御対象のPIDパラメータ
・PIDパラメータの最適設定(3) 限界感度法によるパラメータ設定
・PIDパラメータの最適設定(4) 限界感度法の適用例
・PIDパラメータの最適設定(5) ジーグラ・ニコルスのステップ応答法

はじめに

はじめに

 PID制御は自動制御の基本で、自動制御の分野では古典制御と言われています。とはいえ、古くて使われなくなったわけでなく、温度制御や速度制御、水位制御などに現代でもよく利用されています。
 古典制御といっても、初心者が、PID制御理論やPIDシステムの構築方法を勉強しようとするとかなり高いハードルがあることがわかります。
 せめてPID制御の基礎だけでもわかりたいと思っても、制御工学の本は数式ばかりで、初心者にとっては、なかなか理解するのは難しいものです。
 本書は、PID制御の勉強を始めようとしている人のための入門書です。初心者でなくても、一度勉強してみたが、難しくてあきらめたという人に、もう一度手に取って試してもらいたいと思って執筆しました。
 本書で想定している対象者は、たとえば次のような人たちです。
 ・今まで自動制御とは無縁だったが、急に工場で温度制御をしなくてはならなくなった。
 ・どのようにPID制御の設定をすれば、温度や速度を一定にする制御ができるのか知りたい。
 ・PID制御器を使うと、なぜ温度や水位が一定になるか知りたい。
 ・温度調節器を装置につけたが、温度がなかなか安定しないので困っている。
 ・サーボモータを購入したがパラメータの設定ができない。
 ・自動制御の勉強をゼロからはじめたい。
 ・ラプラス変換の使い方を知りたい。
 ・MATLAB Simulinkを使ってPID制御をシミュレーションしてみたい。
 ・PID制御装置を自作したいが何をすればよいのかわからない。
 ・PID制御で何ができるのか知りたい。
これらに類する人たちには是非本書を御一読いただきたいと思います。
 この本を手に取っている人の多くは、自動制御を初歩から学ぼうと思いるものの、マスターするにはかなり高いハードルがあることを知っている人たちなのかもしれません。
 PID制御を理解するには、PID制御の概念をイメージでとらえられるようにすることが必要です。
 そこで本書では、読みやすさと制御理論のイメージによる理解を大切にしています。
 長い単元は読みにくいので、重要なテーマごとに見出しをつけて、1つひとつのトピックを短い頁数にすることで、コアになる知識を短時間で得られるように工夫しました。また、絵や図表を数多く使って、具体的な例を示すことで、わかりやすい解説になるようにしてあります。
 本書は、できるだけ絵で見て概念がわかるように工夫しました。解説も、初心者でも理解できるように身近な例を挙げて平易な文章を使って説明しています。また、図や絵で示すのが難しいPID制御の結果は、シミュレーションを使って、具体的な計算結果をグラフや数値で表示するようにして、どのように変化したのかを目で見てわかるようにしてあります。
 初心者の方には第1章から順に読んでいただくと、PID制御の概念を無理なく理解してもらえるようにしてあります。一方、読者のレベルや知りたい技術内容によって、どの章からでも読みはじめてもらえるようになっています。また技術書として使いやすくするために、章の中の単元も1つひとつが完結しているので、目次や索引から知りたい単元を探し出して抜き読みしていただくこともできます。本書の構成と概要は次の頁で紹介します。

本書の構成

 本書は以下のような構成になっています。
 第1章 PID制御のイメージをおさえる
  どのような制御対象にPID制御が適用できるのか、また、PID制御を適用したらどのようなこと実現できるのかという、PID制御の基本的なイメージを身につけます。PID制御では1つの出力しか制御できません。
 第2章 PID制御のつくり方
  PID制御の仕組みと動作原理を解説しています。比例制御、積分制御、微分制御の概念と、それぞれの制御の実際の働きについて、やさしく説明しています。
 第3章 オペアンプを使ったPID制御
  PID制御回路を6つの基本要素に分解して考える方法を説明します。さらにそのPID制御の回路要素をオペアンプを使ったハードウエアで構成します。PID装置をオペアンプで実現する方法を解説します。
 第4章 LT Spice回路シミュレータを使ったPID制御の動作検証
  電子回路のシミュレーションができるLT Spice回路シミュレータを使って、RLC回路などの電気回路の応答特性を解析します。1次遅れ系や2次遅れ系のステップ応答をシミュレーションして応答特性を理解します。また、2次遅れ系の制御対象をPID制御した時の挙動をシミュレーションで解析します。
 第5章 ラプラス変換して微分方程式を簡単に解く
  PID制御の制御対象を微分方程式で表現すれば、ラプラス変換を使って簡単に応答特性を知ることができるようになります。ラプラス変換表とラプラス定理表を使って微分方程式を解く方法を学んで、制御対象の応答を解析する力をつけます。
 第6章 制御対象の特性
  制御対象は物理現象ですから、その多くは微分方程式で表すことができます。物理現象を微分方程式にして、伝達関数を求めて動作特性を解析します。
 第7章 s領域におけるPID制御
  制御対象をラプラス変換して、s領域の伝達関数を導き出して、ブロック線図を使ったPID制御の解析方法について解説します。また、1次遅れ系と2次遅れ系についてのPID制御の応答特性と、外乱の影響について議論します。
 第8章 MATLABによるPID制御のシミュレーション
  MATLAB Simulinkを使って、1次遅れ系や2次遅れ系のPID制御のシミュレーションを行う方法を解説します。理論で得られた結果とシミュレーション結果を比較します。
 第9章 コンピュータを使ったPID制御
  コンピュータを使ったPID制御のプログラム構造を学びます。具体例として、C言語を使ったPID制御プログラムのつくり方と、微分積分のプログラミング方法を説明します。また、PLCを使ったPID制御プログラムのつくり方について解説します。
 さらに、コラムで、簡単な制御対象のパラメータ同定の方法や、PID制御の最適なパラメータの選定方法について言及します。
 本書をご活用いただき、読者諸賢の問題解決や技術力向上にお役立ていただければ幸いです。

2018年3月 著者記す。

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