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技術大全シリーズ
板金加工大全

定価(税込)  4,104円

編著
サイズ A5判
ページ数 432頁
ISBNコード 978-4-526-07726-5
コード C3053
発行月 2017年07月
ジャンル 金属 機械

内容

シートメタル技術を体系化した本邦初の選書。高精度薄板加工を実現する技術の理論・実践・体制構築の詳細を伝える。板金展開から工法選択、金型・加工条件の決定、実加工、溶接、仕上げ・測定、安全対策など板金実務に精通した筆者による運用ノウハウを披露する。

遠藤 順一  著者プロフィール

(えんどう じゅんいち)
神奈川工科大学名誉教授

[執筆協力](五十音順)
 石原 実(アマダテクニカルサービス)
 大塚保之(アマダ)
 奥井 勝(アマダスクール)
 金 英俊(アマダ)
 小林清敏(アマダ)
 小森雅裕(小森安全機研究所)
 田中雅之(アマダスクール)
 中村 薫(アマダ)
 林 史郎(アマダ)
 守谷修司(アマダスクール)
 安田克彦(高付加価値溶接研究所長、職業能力開発総合大学校名誉教授:工博)
 渡辺基樹(トルンプ)

目次

目  次

はじめに  

第1 章 板金製品の設計
1.1 板金加工のメリット  
1.2 板金材料  
1.3 板金設計の実例  
1.4 板金図面と読み方  
1.5 展開と板取り  
1.6 金型および加工法の選択  
1.7 板金CAD(2 次元、3 次元)  

第2 章 シヤーとせん断加工
2.1 せん断の原理と素材への影響  
2.2 シヤーについて  
2.3 シヤリング加工Q&A  
2.4 シヤリング加工の注意点  

第3 章 パンチングプレスと加工
3.1 打抜き加工における基礎知識  
3.2 パンチングプレスの特徴  
3.3 パンチング加工における課題と解決策  
3.4 新しい加工の取り込み  

第4 章 ベンディングマシンと加工
4.1 曲げ加工に使われる材料  
4.2 V 曲げ加工  
4.3 L 曲げ加工  
4.4 ベンディングマシン  
4.5 曲げ加工における金型  
4.6 曲げ順序  

第5 章 レーザマシンと加工
5.1 レーザによる切断とその特徴  
5.2 レーザマシンの種類とその特徴  
5.3 板金加工に利用されるレーザの種類  
5.4 レーザ切断加工  
5.5 CO2 レーザマシンと固体レーザマシンの比較  

第6 章  板金加工での溶接
6.1 溶接・接合技術  
6.2 冶金的接合法の利用  
6.3 板金加工に利用される各種溶接法  
6.4 溶接で発生する欠陥の検出と防止策  

第7 章 仕上げ・測定作業
7.1 仕上げ加工  
7.2 測定作業  

第8 章 板金加工における安全と装置
8.1 板金加工機械などの労働災害発生状況  
8.2 労働安全衛生法の規制 
8.3 安全対策 

第9 章 金型の選定と保守
9.1 パンチングプレスにおける金型の選択と保守  
9.2 ベンディングマシンにおける金型の保守  

第10 章 自動化ツール
10.1 自動プログラミング装置  
10.2 板金CAD/CAM  

第11 章 板金加工システムとIoT
11.1 板金加工システム  
11.2 板金加工システムとソフトウェア  
11.3 板金加工システムと周辺機器類  
11.4 板金加工とIoT  
11.5 板金加工の課題  
11.6 板金加工業の課題  

索 引  

はじめに

はじめに

 「板金加工」という用語を学術用語集で調べると、実は載っていない。この言葉は業界用語であり、金属薄板をせん断・切断、曲げ、溶接をして部品・製品をつくることを指している。薄板と断ったのは、厚板を対象とすると、業界では製缶として区別されているからである。学術の対象としても認知されていないので、学者・研究者がこの分野を研究対象として取り上げることは極めて稀であった。
 板金加工製品は1 兆円を超える産業規模があるとも言われている。しかし、この業界そのものが組織化されていないため、統計が取られていないのが実情である。また、業界が社団法人として組織化されておらず、監督官庁である経済産業省にも認知されていない。したがって、国の施策の中には板金加工に関するものがない。このような状況では、業界の正しい発展は期待できないのではなかろうか。監督官庁が個々の企業に対して助言・助成をすることはあり得ず、社団法人として公共性が認められれば、各種の助成や法の下での庇護が受けやすくなると思われる。また、学術としても認知されることになれば、学者・研究者が広く研究対象として取り上げることが期待される。
 板金加工とプレス加工の違いは何か?例えば薄板からの円板の打抜きを考えよう。塑性学の見地からは板金加工もプレス加工も全く同じで、板のせん断加工である。ところが同じ円板の打抜きでも、プレス加工では打ち抜かれた円板そのものが製品であり、一方、板金加工では打ち抜かれた円板はスクラップであり、抜かれた残りの板が製品となる。この相違は大きな意味を持つ。
 プレス加工では抜かれた円板が製品であるから、製品形状は全く同じであり、大量生産に適していることになる。一方、板金加工では抜かれた板の残りが製品であるから、抜く位置を変えたものは他の製品となって、多品種少量生産に適していることになる。複数の穴の位置を変えて抜くためには位置決めが重要になり、NC 化が必要とされた。その結果、板金加工ではNC 化された加工機が早くから用いられ、NC 装置を有するということからネットワークへの接続が行われ、FMS 化、IoT 化が進んだのである。
 一方のプレス加工では、製品を変えるためには金型を変える必要があり、大量生産は可能だが、加工機械であるプレス機械はNC 化の必要がなかった。最近になってサーボプレスが開発され、プレスにもNC 装置が付き、これによりネットワークに接続できるようになった。
 サーボプレスが開発されたのは、AC サーボモータが開発されたことが大きな理由である。それまでのDC サーボモータでは高出力が期待できなかったからである。ところがAC サーボモータを動力源にしたプレスは、板金プレスの1 つであるプレスブレーキが最初であり、1985 年には市販されている。NC 化、ネットワーク化がプレス加工に先立って板金加工で行われたのはNC 加工機の存在によるので、板金加工システムでは夜間無人運転、24 時間以上の長時間の無人運転は早くから行われているが、プレス加工において夜間無人で運転した例を著者は知らない。
 板金加工の内容を学術的に見ると、極めて広範囲に及ぶことが分かる。板のせん断と曲げでは塑性変形の様子は異なっている。また板の接合でも、機械的にかしめを行う場合には塑性変形を利用するが、溶接となると熱による溶融加工となる。したがって、これらを統一的に学問として扱うことは極めて難しい。そこで板金加工を対象とする場合には、加工機械・加工法別に取り扱う方がより自然なように思われる。板金加工の従事者は各加工機械・加工法の特性を十分理解したうえで、加工法の選択をすることが望まれる。
 出版社から「板金加工大全」の出版を相談されたとき、直ちに賛成をしたのは、この加工を社会的にも学問的にも認知させたいという強い思いがあったからに他ならない。浅学菲才をも顧みず、本書の編集・執筆を引き受けたのも同じ理由からである。各章の内容は編者が全面的に目を通したつもりである。したがって、本書の内容についての責任はひとえに編者にある。本書が板金加工に従事する者の必携の書とならんことを期待したい。読者の忌憚のないご意見、ご叱正を待つ次第である。
 なお、本書は通読することにより板金加工全体の理解を促すものだが、必要な章のみを読むことでその加工を理解できるようにも配慮した。一部、内容が重複しているのは以上の理由からであり、読者の理解を賜りたい。

2017 年6 月
遠藤順一  

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