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射出成形金型の最適設計術
設計数値は流用するな!自分で算出しよう

定価(税込)  2,640円

著者
サイズ A5判
ページ数 224頁
ISBNコード 978-4-526-07478-3
コード C3053
発行月 2015年11月
ジャンル 機械

内容

射出成形金型の設計で必要な型締め力、金型強度、射出圧力などの数値は過去の経験値を流用することが多く、それが成形の不良につながっている。金型設計に長年携わってきた著者が金型設計に必要な種々の数値の算出式を開陳して最適な金型の設計術を解説する。

鈴木次郎  著者プロフィール

(すずき じろう)
1948年 栃木県生まれ。
1971年 東洋大学工学部機械工学科卒業。池上金型工業㈱入社。設計室長および大利根事業所技術部長を担当。主にホットランナ金型、精密金型の設計および開発に従事
2000年 職業能力開発総合大学校客員教授(2013年まで)。
2005年 池上金型工業㈱退社。
2007年 ㈱MDCを設立、代表取締役。独立行政法人高度ポリテクセンタ非常勤講師、関東職業能力開発促進センター非常勤講師、群馬職業能力開発促進センター非常勤講師。国内外企業に対する技術指導、教育を主な業務とする。

目次

はじめに

第1章 最適な金型設計のための着眼点

第2章 最適な射出圧力の算出
2.1 樹脂の粘度特性
2.2 スパイラルフローテスト型による圧力と温度
2.3 矩形流路の圧力損失の算出
2.4 円形流路の圧力損失の算出
2.5 平均射出圧力の算出
2.6 投影面積と型締め力の算出

第3章 最適な成形サイクルの算出
3.1 成形サイクルを構成する工程
3.2 保圧時間の算出
3.3 冷却時間の算出
3.4 射出時間の算出
3.5 成形サイクルの見積もり
3.6 サイクル延長の原因

第4章 適切な型鋼材の選び方
4.1 型鋼材の選択のポイント
4.2 金型材料の性質
4.3 プラスチック材料からみた型鋼材の選定
4.3 耐久性の判定基準
4.4 生産数量に見合った型鋼材
4.5 金型の焼きつき、カジリの防止

第5章 最適な金型強度の算出
5.1 摩擦力
5.2 矩形、円形の強度の算出
5.2.1 型板のたわみ量の算出
5.2.2 サポートピラの算出
5.2.3 枠型キャビティのたわみ量の算出
5.2.4 枠型底付きキャビティコアのたわみ量の算出
5.2.5 片持ち梁一辺自由のたわみ量の算出
5.2.6 円筒キャビティの側壁の算出
5.2.7 ガイドピン、サポートピンのたわみ量の算出
5.2.8 ピンの座屈の算出
5.3 型合わせ締め代の算出
5.3.1 割型2 方向の締め代の算出
5.3.2 割型4 方向の締め代の算出
5.3.3 円筒キャビティの締め代の算出
5.4 衝撃荷重の算出

第6章 金型冷却設計の最適化
6.1 冷却設計で注意すべき点
6.2 水圧と流量の関係
6.2.1 直列配管と並列配管
6.2.2 管路長さの算出
6.3 冷却水の流速の算出
6.4 冷却水の流量の算出
6.5 使用樹脂量から冷却水流量を算出
6.5.1 溶融樹脂の熱量の算出
6.5.2 溶融樹脂の熱量を冷却水流量に換算
6.5.3 冷却水流量を対流熱伝達で算出
6.6 同心二重円管の圧力損失の算出
6.7 高温での金型冷却

第7章 ランナおよびゲートの最適設計
7.1 適切なランナとゲートの形状
7.2 ゲートの設計
7.3 多数個取りの流動バランス

第8章 ガスベントの最適設計
8.1 最適なスリット形状
8.2 樹脂の添加物
8.3 ガスベントの排気速度の比較
8.4 入子ピンのガスベント
8.5 真空引きでラベル吸着
8.6 ランナ末端のガスベント
8.7 製品部のガスベント

第9章 離型抵抗の低減
9.1 離型抵抗と粗さの限界
9.2 抱きつき力の算出
9.3 表面処理技術による離型抵抗低減
9.4 表面改質による離型抵抗低減

第10章 ホットランナの最適設計
10.1 ホットランナの変遷
10.2 加熱ヒータの開発
10.3 ホットランナ構造
10.3.1 マニフォールドとゲートチップ構成
10.3.2 締め代の算出
10.3.3 チップホルダの断熱
10.3.4 ヒータの断熱
10.3.5 マニフォールドの断熱
10.3.6 樹脂漏れの防止
10.4 マニフォールドヒータ容量の算出
10.5 ホットランナゲート形式
10.6 ゲート切れ対策
10.7 樹脂焼け対策
10.8 色替え対策
10.9 ホットランナの最適開発事例

第11章 高速成形金型の最適設計
11.1 高速成形金型の設計の諸問題
11.2 金型の高剛性
11.3 高速成形のための位置決め
11.4 多数個取りの精度保障

索引

はじめに

 近年の射出成形金型は多機能の集約化で複雑になり、グローバル化での競争の下、高品質・高精度に進めることが求められている。また、商品の企画立案から販売については、垂直立ち上げ手法により高い市場の占有率が得られるため短納期化での対応が当然要求され、ミスは許されない。勘と経験に頼らず、四大力学を活用した理論的な数値で金型を構築すれば、長期間・安定的に成形ができる金型を提供でき、顧客に満足してもらえる。
 本書はこのような観点から、射出成形金型設計で間違いやすい項目に着眼し、具体例を示した。
 投影面積から型締め力を求める場合、過去の流用データでは正確な型締め力を算出することは不可能と言っても過言ではない。成形機の能力を100 %活用するためには、デザインされた肉厚で真の平均射出圧力を導き出し、最適な型締め力を算出しなければならない。勘に頼るロッキングの締め代においても締め代の量は型締め力の反力に相当するため、型締め力から差し引く計算になる。
 成形不良の多くは、試作あるいは量産開始直後に発生する。試作後に水穴の追加、表面処理、突き当てやすべり面の調整などの後追いの修正では、納期は守れない。キャビティ磨きは熟練作業に委ねられるが、磨き過ぎると離型抵抗は極端に大きくなる。その変曲点の数値を知ったうえで磨き程度を管理されたい。
 樹脂の無駄が出ないホットランナ金型は、省資源、省力化に有益で欠くことのできない金型部品である。製品に対し最適なホットランナが市場にない時、本書を活用し、カスタマイズのホットランナ金型を製作することも一つの方法ではないかと考える。
 本書が型作りの教科書の一部となれば幸いである。
 最後に、本書に掲載した技術資料の提供をいただいた企業に感謝すると同時に、出版にあたりご尽力を賜った日刊工業新聞社出版局の森山郁也氏に厚く御礼を申し上げます。

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