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エネルギーハーベスティング
身の周りの微小エネルギーから電気を創る“環境発電”

定価(税込)  2,640円

編著
著者
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サイズ A5判
ページ数 208頁
ISBNコード 978-4-526-07309-0
コード C3054
発行月 2014年10月
ジャンル 電気・電子

内容

私たちの身の回りにはさまざまな形態のエネルギーが存在する。例えば、太陽の光や室内の電灯の光、自然のそよ風、地震の揺れや洗濯機の振動、火山の熱や自動車の排気の熱、自然放射線や携帯電話の電波など。
これらのエネルギーを有効に活用しようとする技術のひとつが「エネルギーハーベスティング」である。本書では、エネルギーハーベスティングとは何か、という基本から、原理、しくみ、応用、事例を図解でわかりやすく解説する。

堀越 智  著者プロフィール

(ほりこし さとし)
上智大学理工学部物質生命理工学科 准教授
・日本電磁波エネルギー応用学会(副理事長)
・Journal of Microwave Power and Electromagnetic Energy(エディター)
・The Scientific World Journal, Chemical Engineering (エディター)
・東京理科大学(客員准教授)
・東京学芸大学(非常勤講師)

竹内敬治  著者プロフィール

(たけうち けいじ)
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所 社会・環境戦略コンサルティングユニット シニアマネージャー
・エネルギーハーベスティングコンソーシアム(事務局)

篠原真毅  著者プロフィール

(しのはら なおき)
京都大学生存圏研究所 教授
・電子情報通信学会無線電力伝送研究専門委員会 (委員長)
・IEEE Microwave Theory and Techniques Society (MTTS) Technical Committee 26 (Wireless Power Transfer and Conversion) (Member)
・Wireless Power Transfer [International Journal from Cambridge] (Executive Editor)
・ワイヤレス電力伝送実用化コンソーシアム (代表)
・ワイヤレスパワーマネージメントコンソーシアム (代表)
・エネルギーハーベスティングコンソーシアム (アドバイザ)

目次

第1章 エネルギーハーベスティングとは
1―1 エネルギー
 1―1―1 身の周りのエネルギー
 1―1―2 エネルギーの歴史(1)
 1―1―3 エネルギーの歴史(2)
 1―1―4 電気エネルギー
1―2 エネルギーハーベスティングとは
 1―2―1 身の周りの微小エネルギーから電気を創る
 1―2―2 未利用エネルギーを有効に活用する
 1―2―3 底には十分な空きがある
 1―2―4 エネルギーハーベスティングの定義
1―3 エネルギーハーベスティングの用途
 1―3―1 電池を代替・補完する(1)
 1―3―2 電池を代替・補完する(2)
 1―3―3 配線を代替する(1)
 1―3―4 配線を代替する(2)
 1―3―5 新規市場(1)
 1―3―6 新規市場(2)


第2章 力学エネルギーハーベスティング
2―1 力学的エネルギーの基礎
 2―1―1 力学的エネルギーとは
 2―1―2 力学的エネルギーからの発電
 2―1―3 線形振動と発電特性
2―2 不規則な力学的エネルギーによる発電
 2―2―1 支点距離や重心位置の変化によるチューニング
 2―2―2 磁力を用いたチューニング
 2―2―3 アレイ構造
 2―2―4 上下や回転運動を利用した発電
2―3 力学的エネルギーに適した発電
 2―3―1 発電方式
 2―3―2 発電原理
2―4 振動発電
 2―4―1 振動発電の基本構造
 2―4―2 振動増幅率(Q値)の算出法
 2―4―3 力学的エネルギーの上限値算出法
 2―4―4 微量の電力を発電するための振動発電
 2―4―5 回転式振動発電
2―5 変形発電
 2―5―1 変形発電とは
 2―5―2 変形発電の特徴
 2―5―3 変形発電の研究事例
2―6 流動発電
 2―6―1 流動発電の特徴
 2―6―2 流動発電の事例
2―7 様々な発電原理とその特徴
 2―7―1 電磁誘導
 2―7―2 静電誘導
 2―7―3 逆磁歪効果
 2―7―4 圧電効果

第3章 電磁波エネルギーハーベスティング
3―1 電磁気
3―2 太陽光発電
 3―2―1 再生可能エネルギーと太陽光発電
 3―2―2 太陽光発電の変換効率
 3―2―3 太陽電池の種類
 3―2―4 変換損失を抑制させる技術
 3―2―5 バンドギャップ
 3―2―6 シリコン系太陽電池
 3―2―7 化合物半導体系太陽電池
 3―2―8 色素増感太陽電池
 3―2―9 有機薄膜太陽電池・有機/無機系太陽電池
3―3 光エネルギーハーベスティングとは
3―4 電波エネルギーハーベスティングとは
3―5 レクテナの原理
3―6 屋外応用
3―7 室内応用

第4章 熱エネルギーハーベスティング
4―1 熱エネルギーハーベスティングとは
4―2 温度差とは
4―3 カルノーサイクル
4―4 カルノーサイクルにおける効率
4―5 効率の算出法
4―6 環境中にある熱源
4―7 熱エネルギーハーベスティングの分類
4―8 熱電発電
 4―8―1 熱電発電の原理
 4―8―2 熱電発電の性能指数
 4―8―3 無機熱電材料
 4―8―4 有機熱電材料
 4―8―5 特徴
 4―8―6 事例
4―9 熱磁気発電
4―10 熱電子発電
4―11 熱光発電
4―12 熱音響発電
4―13 バイメタル利用熱発電
4―14 焦電発電

第5章 その他のエネルギーハーベスティング
5―1 生物エネルギーハーベスティング
 5―1―1 バイオ燃料電池と微生物燃料電池
 5―1―2 植物発電
 5―1―3 ペースメーカ用蓄電デバイス
 5―1―4 動物発電
5―2 分子エネルギーハーベスティング
 5―2―1 分子エネルギーハーベスティグとは
 5―2―2 浸透圧
 5―2―3 湿度差
5―3 ハイブリッド型エネルギーハーベスティング

第6章 蓄電デバイス
6―1 二次電池
6―2 ハーベスティングと二次電池
6―3 ハーベスティングに適した二次電池
6―4 コンデンサ
6―5 電気二重層キャパシタ

第7章 ワイヤレス給電
7―1 ワイヤレス給電とは
7―2 マイクロ波エネルギー伝送
 7―2―1 マイクロ波エネルギー伝送とは
 7―2―2 アンテナ・発信器
 7―2―3 応用(高効率ビーム型)
 7―2―4 応用(複数給電型)
7―3 電磁誘導方式ワイヤレス給電
 7―3―1 電磁誘導方式ワイヤレス給電とは
 7―3―2 原理
 7―3―3 応用

第8章 エネルギーハーベスティングの応用
8―1 センサネットワーク
8―2 エネルギーハーベスティングによる無給電化
8―3 エネルギーハーベスティング用の電源IC
8―4 エネルギーハーベスティング用の低消費電力無線
8―5 製品化の動向
8―6 研究開発(構想) および市販品の一例

索 引

はじめに


 エネルギーハーベスティングという言葉を初めて聞いたのは、ドイツ出張中の機内で偶然読んだ英語コラム記事であった。エネルギーハーベスティングとは、環境中に存在する微小エネルギー(電磁波、振動、温度差、生物など)を収穫し、電気エネルギーに変換する技術であることが書かれており、環境中から得られたその微小電力を利用することで身近な生活が便利になることが示されていた。また、エネルギーハーベスティングはメガソーラーや風力発電などのような、積極的に電力発電を行う技術とは異なり、普段は見過ごされてきた僅かなエネルギーを獲得する技術であることも記されていた。まさに、21世紀型の新しいエネルギー利用の考え方である。そこから得られる電気は決して大きくないが、アイディア次第で様々なモノの電源として利用することができる。また、電池のように交換や充電の必要がないため、長寿命でメンテナンスの必要が少ない製品を作ることができるかもしれない。すでに、エネルギーハーベスティングを利用した製品も販売されており、現在では様々な分野で新たな利用が検討されている。
 しかし、エネルギーハーベスティングは様々な学問領域や技術分野にかかわっていることから、その基礎を広く理解する必要があるが、その利用分野は物理、化学、生物、医療、電気、機械に関係するため、各分野の研究者や技術者がすべての基礎を網羅することが難しい場合もある。
 本書では、このような状況を踏まえ、その基礎学問や技術を図解でなるべく平易に解説し、さらにエネルギーハーベスティングの応用技術についても取り上げた。特に、エネルギーハーベスティングに興味を持っている研究者や技術者が気軽に読めるように、内容を見開き完結の形式でまとめた。したがって、内容的に不十分な項もあるかもしれないが、その場合は専門書で補完していたただきたい。
 本書の構成は、第1章ではエネルギーハーベスティングについての概説、第2章では力学エネルギー、第3章では電磁波エネルギー、第4章では熱エネルギー、第5章では生物エネルギーや分子エネルギーを利用したエネルギーハーベスティングをなるべく丁寧に解説した。また、それに纏わる技術として、蓄電デバイスやワイヤレス給電についても触れた。
 本書を読むことで、エネルギーハーベスティングの魅力とその応用の広さが理解できるであろうと考える。そして、きっと読者の方々も新しいアイディアが浮かびあがると思う。この21世紀的なスキマ技術がさらに活用され広まることを切に願う。
 おそらく初めてであろう、図解でエネルギーハーベスティングを解説する難業を行っていただいた、2名の著者に謝意を表す。また、本書の完成に有益なご助言をいただいた、多くの技術者や研究者の皆様に感謝する。さらに、日刊工業新聞社の奥村功 様および木村文香 様にはご激励をいただき出版までたどり着いた。また、様々な助言をしてくれた、研究者である妻(奈津子)にも心から感謝する。
 なお、この本では多くのご教示を学術的な文献やインターネットから得ており、本書の紙面を借り、著者を代表してお礼を申し上げる。

2014年10月
台風の東京より
上智大学 堀越 智

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