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トラブルを未然に防ぐ
ねじ設計法と保全対策

定価(税込)  2,530円

著者
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-07258-1
コード C3053
発行月 2014年05月
ジャンル 機械

内容

ねじ締結に起因するトラブルは日常的に発生しているが、場合によっては、それが重大な故障や事故につながることもある。本書は、ねじ締結体の設計法の要点を押さえるとともに、破損やトラブルを起こさないための設計法および保全方法を図解で解説する。著者が実務経験から得た知見も随所に盛り込む。

橋村真治  著者プロフィール

(はしむらしんじ)
芝浦工業大学 工学部 機械機能工学科 准教授
博士(工学)

1994年 九州大学大学院修士課程修了
1994年 三菱重工業株式会社入社
2007年 久留米工業高等専門学校准教授
2013年 芝浦工業大学 工学部 機械機能工学科 准教授

専門:材料力学、材料強度学、破壊力学、設計工学
所属学会:日本機械学会、日本設計工学会、日本材料学会、日本ねじ研究協会、自動車技術会、日本トライボロジー学会、Society of Automotive Engineers、日本工学教育協会

目次

はじめに

第1章 ねじ部品の機械的性質
1-1 ねじ締結体とは
1-2 鋼製ボルトの強度区分と機械的性質
1-3 鋼製ナットの強度区分と機械的性質
1-4 ステンレス鋼製ボルトの強度区分と機械的性質
1-5 非鉄金属製ねじ部品の機械的性質
第1章の参考文献と演習問題1

第2章 ねじの力学
2-1 ねじの力学1(締付け力と締付けトルクの関係)
2-2 ねじ部に作用する応力
2-3 ねじ谷底の応力集中
2-4 ねじ部の降伏と適正締付け力
2-5 ねじの力学2(締付け力と締付け回転角の関係)
2-6 ボルトと被締結物のばね定数
2-7 ねじの力学3(外力によってボルトに作用する内力)
第2章の参考文献と演習問題2

第3章 ねじの締付け法
3-1 JIS B 1083に規定されたねじの締付け方法
3-2 トルク法:締付け力と締付けトルクの関係
3-3 ねじ面の摩擦係数と座面の摩擦係数
3-4 回転角法:締付け力と締付け回転角の関係
3-5 トルク勾配法
3-6 その他の締付け法
3-7 増締め法
3-8 非鉄金属製ボルトの締結
3-9 締付け確認
第3章の参考文献と演習問題3

第4章 ねじのゆるみ1(戻り回転を伴わないゆるみ)
4-1 戻り回転を伴わないゆるみ
4-2 初期ゆるみ・へたり係数
4-3 被締結物の陥没ゆるみと限界面圧
4-4 熱的原因によるゆるみ(熱膨張差とクリープ)
4-5 過大外力によるゆるみ
4-6 戻り回転を伴わないゆるみの防止方法
第4章の参考文献と演習問題4

第5章 ねじのゆるみ2(戻り回転を伴うゆるみ)
5-1 戻り回転を伴うゆるみ
5-2 軸周り方向振動によるゆるみ
5-3 軸方向振動によるゆるみ
5-4 軸直角方向振動によるゆるみとそのメカニズム
5-5 軸直角方向振動によるゆるみの限界すべり量
5-6 締付け力と戻り回転を伴うゆるみ
5-7 戻り回転を伴うゆるみの防止方法
5-8 適切なダブルナットの締結法
第5章の参考文献と演習問題5

第6章 疲労の基礎
6-1 疲労とは
6-2 疲労強度とS-N線図
6-3 試験片の疲労強度から実際の部品の疲労強度へ
6-4 平均応力と耐久力線図
6-5 寸法効果
6-6 応力集中と切欠き係数
6-7 累積疲労損傷則
6-8 eFatigue(イー・ファティーグ)
6-9 疲労解析例
第6章の参考文献
演習問題6

第7章 ねじ締結体の軸方向疲労
7-1 ねじ締結体の疲労
7-2 ねじ部品単体の疲労強度
7-3 ねじ締結体の疲労に及ぼす外力の影響
7-4 ねじ締結体の疲労に及ぼすゆるみの影響
7-5 ねじ締結体の疲労に及ぼす被締結物材質の影響
7-6 塑性域締結されたねじ締結体が外力を受けた場合
7-7 軸方向疲労強度への諸因子の影響
7-8 軸方向振動を受けるねじ締結体の設計法
第7章の参考文献と演習問題7

第8章 ねじ締結体の軸直角方向疲労
8-1 ねじ締結体の軸直角方向疲労
8-2 ねじ締結体の軸直角方向疲労の特徴
8-3 軸直角方向疲労破壊の発生メカニズム
8-4 ねじ締結体の軸直角方向疲労強度(強度区分の影響)
8-5 ねじ締結体の軸直角方向疲労強度(締結状態の影響)
8-6 ねじ締結体の軸直角方向疲労強度(塑性域締結の影響)
8-7 軸直角方向振動を受けるねじ締結体の疲労破壊防止と設計法
第8章の参考文献
演習問題8

演習問題解答
変数一覧
あとがき
索引

【ねじ関連用語】
①フランク角
②ねじのピッチとねじの有効径
③ねじのひっかかりの高さとひっかかり率
④メートル並目ねじとメートル細目ねじ
⑤ねじのリード角
⑥インチねじとユニファイねじ

【コラム】
①ねじの種類とフランク角
②ねじの歴史
③ねじの研究

はじめに

 ねじは、その単純な構造から「たかが、ねじ!」とよくいわれます。一方で、ねじは最先端の航空機や鉄道車両にも使用される上、それらの信頼性をねじが決定することさえあります。それゆえ、「されど、ねじ!」ともいわれます。
 このような“ねじ”ですが、世の中にはさまざまな種類のねじがあり、大きく、部品を固定する“締結用ねじ”と、回転運動を直動運動に変換する“送り用ねじ”に分けられます。本書で取り扱うねじは“締結用ねじ”です。締結用ねじには、大小さまざまな種類があり、橋梁やビルなどの建築構造物から、航空機や自動車などの輸送機器、携帯電話や時計などの小型電子機器にいたるまで、数多くのねじが使用されています。このような締結用ねじは、使用される箇所によって、求められる性能が大きく異なります。たとえば、ねじがゆるんだり破損したりしても、周囲に大きな影響を及ぼさない場合には、ねじにそれほど高い強度や厳密な管理は求められません。一方、ねじがゆるんだり破損したりすると、人や機械に重大な危害を及ぼす場合、ねじ締結体には高い強度上の管理と信頼性が求められます。
 本書で取扱うねじは、締結用ねじの中でも、強度上の信頼性を確保する必要があるねじです。ねじは、ねじ単体の強度も重要ですが、ねじ締結体としての強度の方が重要です。なぜなら、ねじは締付けて使用されるからです。ねじ締結体を使用する際、必ず“締付け”という作業が必要になります。この締付け作業は、“ねじは、締付けに始まり、締付けに終わる”といわれるほど重要です。本書では、ねじの締付け理論から、その締付けが“ゆるみ”や“疲労破壊”にどのように影響を及ぼすのか?をわかりやすく説明します。締付けの重要性を理解すれば、おのずとゆるみや疲労破壊への対策も生まれてくると思います。また本書では、必要な数式は積極的に記載しています。なぜなら、数式による理解の方が簡単な場合もありますし、数式中の変数は、設計上のパラメータでもあるからです。
 第1章では、JIS規格に規定されているねじやボルトの機械的性質を紹介します。第2章ではねじの力学を説明し、第3章のねじの締付け方法に入りやすくしています。第4章と第5章では、ねじのゆるみについて説明しています。第6章で金属疲労に関する基礎的な説明を行った後、第7章と第8章で、ねじ締結体の疲労強度に関する考え方や疲労設計法について説明しています。
 本書は、多くの方々からの御指導や御助言、御協力の下に完成することができました。九州大学名誉教授の村上敬宜先生、ならびに熊本大学教授の森和也先生には、ねじ締結の研究開始時から御指導・御支援をいただき、常に励ましの声をかけていただきました。久留米高専名誉教授の米倉將隆先生、廣尾靖彰先生には、機械要素の基礎について教えていただき、いかなる時も心強い応援をいただきました。本書の内容については、久留米高専助教の大津健史先生、東日製作所の小松恭一氏に貴重な意見をいただき、久留米高専専攻科の田中友隆君、鳥居哲也君には原稿の準備などで協力をいただきました。また、私の研究室で共に研究を行った久留米高専の卒業生ならびに芝浦工業大学の卒業生の方々には、私の無理なお願いにも応えていただきました。この場を借りて、皆様に心より御礼を申し上げます。
 最後に、本書執筆の機会を与えていただいた日刊工業新聞社の奥村功出版局長ならびにエム編集事務所の飯嶋光雄氏には、深く感謝申し上げます。
 本書が、ねじ締結体の事故防止の一助となれば幸いです。

2014年5月
橋村真治

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