内容
摩擦・摩耗・潤滑の効果を総合的に考えるトライボロジーの思想が産業界で広く取り入れられ、耐久性向上や低負荷、省エネ寄与など多くの機能を発揮してきた。そんな新製品の誕生や市場開拓例などビジネスインパクトを中心に、最新の機能解説についても紹介する。
石川憲二 著者プロフィール
(いしかわ けんじ)
ジャーナリスト、作家、編集者
1958年東京生まれ。東京理科大学理学部卒業。週刊誌記者を経てフリーランスのライターおよび編集者に。書籍や雑誌記事の制作および小説の執筆を行っているほか、30年以上にわたって企業や研究機関を取材し、科学・技術やビジネスに関する原稿を書き続けている。扱ってきた領域は電気・電子、機械、自動車、航空・宇宙、船舶、材料、化学、コンピュータ、通信、デバイス、システム、ロボット、エネルギー・資源、生産技術、知的財産など。主な著書に『自然エネルギーの可能性と限界』『電気とエネルギーの未来は?』『海底資源』『「未来マシン」はどこまで実現したか?』(オーム社)、『化石燃料革命』『ミドリムシ大活躍!』(日刊工業新聞社)、『メモリ技術が一番わかる』(技術評論社)、『日本はエネルギー資源大国になれるのか?』(角川SSC新書)などがある。
目次
序章 ビジネスを変える魔法の言葉「トライボロジー」
トライボロジーとは「動き」を最適化する知恵
トライボロジーが生み出した高速水着の市場
最近の軽自動車ブームの陰にトライボロジーあり
科学・技術が苦手な人でも楽しめるトライボロジーに
用語解説
第1章 トライボロジーがすべてを解決してくれる
コラム トライボロジーを封印した冷戦時代
経済学から見るトライボロジーの重要性
トライボロジーの効果はあらゆる産業に波及する
時代はトライボロジストを求めている
コラム 身のまわりにあるトライボロジー応用製品
第2章 トライボロジーが日本経済を強くした
日本車はトライボロジーの優等生
家電品は多様なトライボロジー技術で成り立っている
コラム 日本のメーカーがトライボロジー技術を独占している?
紙を上手に扱うペーパートライボロジー
ハードディスクはトライボロジーで大容量化する
世界一の火力発電をもっと高性能にする技術
小さな泡で船を包み5%以上の省エネ化を実現
コラム 空気潤滑「トライボロジーフェリー」に乗ってみよう!
飛行機の設計は空気摩擦との戦い
東京スカイツリーも滑りと滑りにくさを考えている
コラム トライボテストが新しい化粧品開発の指標になる
第3章 科学から新産業分野にまで広がるトライボロジー
100万分の1ミリ世界のトライボロジー
「ダイヤモンド」で覆えば滑りやすく磨耗しにくい
トライボロジーが生み出した新しい化学
人工関節も人工心臓も「滑り」が大切だ
地震予知の決め手アスペリティはプレート間の滑り
摩擦が光を生み出すトライボルミネセンス
第4章 トライボロジストが夢見る未来社会
宇宙で機械を動かすにはどうしたらいいのだろうか?
宇宙エレベーターがなければ月面基地もつくれない
ロボットを人間に近づけるトライボロジー
摩擦がまったくなくなる超潤滑の世界へ
コラム トライボロジーは人間関係の摩擦にも活かせるのか?
インタビュー 益子正文(日本トライボロジー学会会長)
「トライボロジーにもっと関心をもってほしい」
おわりに 世界のトライボロジー事情について考える
参考資料