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自動化設計のための治具・位置決め入門
成功事例で教える機械加工現場の設計ノウハウ

定価(税込)  2,640円

著者
サイズ A5判
ページ数 208頁
ISBNコード 978-4-526-07183-6
コード C3053
発行月 2014年01月
ジャンル 機械

内容

モノづくり分野では、競合他社に勝ち抜くために治具設計にとどまらず自動化設計まで見据えて設計している。こうした取り組みに欠かせないのが経験とノウハウ。本書は自動化を進めるに当たって必要不可欠な治具設計、工具の位置決め設計などの知見やノウハウなどを網羅した機械加工設計者の必読書。

河合 優  著者プロフィール

(かわい まさる)
1949年  愛知県に生まれる
1972年  豊田工業高等専門学校電気工学科卒業
1976年  ‌小島プレス工業株式会社入社
生産設備開発を中心に多様な職場を経験
2010年  ‌豊田工業高等専門学校 特命教授
「一気通観エンジニアの養成」プログラム
2012年  名城大学理工学部 非常勤講師「機械システム設計Ⅱ」

目次

はじめに 
推薦の辞 

第1章 治具の基本的な考え方
1―1 治具とは 
1―2 位置決め構造 
 1―2―1 空間における6自由度と拘束方法 
 1―2―2 拘束方法別治具構造 
1―3 測定ゲージ 
 1―3―1 測定ゲージ各部の機能と役割 
 1―3―2 最大実体公差方式 
 1―3―3 ねじの内径と有効径 
1―4 クランプ、受けと加工力 
 1―4―1 動作順とそれぞれの機能と役割 
 1―4―2 加工力に対抗する十分な拘束(クランプ)力 
 1―4―3 中心位置が工作物の寸法ばらつきの影響を受けない 
 1―4―4 受け面により工作物を変形させない 
1―5 5軸マシニングセンター時代の治具 

第2章 治具・自動化のための位置決め構造
2―1 アクチュエータの特徴 
 2―1―1 空気圧シリンダー 
 2―1―2 油圧シリンダー 
 2―1―3 カムスライド 
 2―1―4 誘導モーター駆動 
 2―1―5 誘導モーター+インバーター駆動 
 2―1―6 ステッピングモーター駆動 
 2―1―7 サーボモーター駆動 
 2―1―8 リニアモーター 
 2―1―9 まとめ(アクチュエータの特徴比較) 
2―2 アクチェータの選定法 
 2―2―1 コスト中心の選定(空気圧シリンダー) 
 2―2―2 精度中心の選定(サーボモーター) 
 2―2―3 高出力(油圧シリンダー) 
2―3 メカニズムの選定法 
 2―3―1 直線運動 
 2―3―2 リンク機構 
 2―3―3 カム機構 
 2―3―4 簡易割出 

第3章 構想設計(基本仕様書作成)の進め方
3―1 品質目標を達成するための構造と要素部品 
 3―1―1 切削力 
 3―1―2 サポートシリンダー 
 3―1―3 ホールクランプ 
3―2 品質構想から費用概算(コスト)、納期(生産性) 
 3―2―1 第1段階:概要と主要購入品段階 
 3―2―2 第2段階:‌アクチュエータ数から機構部品、油気圧部品、
制御部品の決定 
 3―2―3 第3段階:製作図面完成段階 
 3―2―4 第4段階:完成評価、費用集計段階 
3―3 工程能力指数とQAネットワーク 
 3―3―1 品質保証レベル評価基準 
 3―3―2 総合判定基準 
 3―3―3 総合ランク目標 

第4章 設計手順と情報伝達
4―1 計画・構想の進め方 
 4―1―1 品質計画 
 4―1―2 生産可能数の検証 
 4―1―3 収支計画 
4―2 機構系 
 4―2―1 アクチュエータの選定1.:転造機型スライドシリンダー 
 4―2―2 アクチュエータの選定2.:転造機ローラースライドシリンダー 
 4―2―3 アクチュエータの選定3.:ロボットチャック 
 4―2―4 アクチュエータの選定4.:1個出しチャック昇降シリンダー 
 4―2―5 センサーの選定1.:転造機型スライド位置センサー 
 4―2―6 センサーの選定2.:ストック治具加工物検出 
 4―2―7 ベアリングの選定1.:転造機型スライド 
 4―2―8 ベアリングの選定2.:転造機主軸メインベアリング 
4―3 ストック治具、チャック 
 4―3―1 ストック治具 
 4―3―2 1個出しチャック 
 4―3―3 ロボットチャック 
 4―3―4 旋盤チャック 
4―4 安全 
 4―4―1 非常停止&運転準備回路 
 4―4―2 ロボットと安全柵 
 4―4―3 運転モード 
4―5 容量計算(油圧、電気) 
 4―5―1 油圧系の容量計算 
 4―5―2 電気系の容量、電気機器選定、電線サイズ選定 
4―6 電気配線図 
 4―6―1 動力系 
 4―6―2 PLC入力(P:programmable、L:logic、C:controller) 
 4―6―3 PLC出力 
 4―6―4 モーターの正転逆転回路 
4―7 PLCプログラム 
 4―7―1 非常停止&運転準備 
 4―7―2 モード選択 
 4―7―3 手動回路 
 4―7―4 再起動防止 
 4―7―5 自動回路 
4―8 PDCA 
 4―8―1 全体のPDCA 
 4―8―2 設計段階のPDCAの例1. 
 4―8―3 設計段階のPDCAの例2. 

第5章 治具事例
5―1 抵抗溶接治具 
 5―1―1 加工物と溶接ガン 
 5―1―2 治具構造 
 5―1―3 2次誘導電流対策 
5―2 CO2溶接治具 
 5―2―1 治具構造 
 5―2―2 スパッター対策 
 5―2―3 完成品の取外し 
5―3 切削治具(出力調整・表示変換器フレーム) 
 5―3―1 加工計画 
 5―3―2 鋳物図面 
 5―3―3 基準面切削治具 
 5―3―4 主切削治具 
 5―3―5 仕上げ切削治具 
 5―5―6 データムホールクランプ 
5―4 大型切削治具 
5―5 レーザー切断治具(万能高さ受け治具) 
5―6 組立治具 
 5―6―1 組立治具の使われ方と特徴 
 5―6―2 組付け工程の品質保証 
 5―6―3 グリス塗布のQAネットワーク 

第6章 自動化事例
6―1 ナット溶接の事例 
 6―1―1 工程計画 
 6―1―2 品質計画 
 6―1―3 アクチュエータ 
 6―1―4 生産能力の推定 
 6―1―5 収益分析 
 6―1―6 動作説明 
6―2 ハンドルの事例 
 6―2―1 冷却&矯正治具 
 6―2―2 ライン構造 
 6―2―3 効果 

はじめに

筆者が自分の企画で仕事をするようになった昭和50年代、自動化は発展途上で、若気の至りで、冒険的な取り組みをし、発生した問題の収拾のために、専門家や先輩諸氏に多くのご示唆をいただきながら問題を解消し、結果を出してきました。経験を積み重ねる中で、企画の立て方や治具構造、位置決め構造などに自分の形がだせるようになり、プロジェクトマネージャーとして、全体を整合させるという視点に基づいて、成功体験を積み重ねることができました。自動化の分野における全体を整合させる視点とは、生産数により許された時間を最大限に活用して、要求品質を達成できる最適な精度のアクチュエータを選択し、要求品質を達成して最も低いコストでシステムを構成することです。車の部品の分野に限定されていますが、筆者が経験した加工分野はプレス、転造、切削、溶接、組付け、プラスチック加工、スイッチの組付け、各種検査装置、工程間搬送装置と幅広く、それらから得た成功事例や企画運営上のノウハウを今回の書籍に盛りだくさん詰め込みました。治具を活用した自動化の仕事は、機械、電気とプログラムを組み合わせるもので、目に見えない電気、プログラムの世界は高専で基礎を学び、目に見える機械(自動化分野)の世界は仕事の中で独学し、バランスのよい3つの分野の組み合わせの企画で成果を上げてきました。量産工程に欠かせない品質保証の考え方や方法論を、実践的に学ぶ機会もいただきました。
 定年退職後は、母校豊田工業高等専門学校において、安倍総理にまで届いた「一気通観エンジニアの養成」プログラムで、若手技術者の視野を広げるお手伝いの機会をいただきました。このプログラムは、プロジェクトマネージャーが全体を整合させる視点のもとに、関連する技術分野における情報発信のタイミング、情報の構造、決定のタイミングを、模擬プロジェクトで体験的に、小さなPDCAで改善を繰り返し、大きなPDCAの達成を目指し、失敗を恐れず学ぶもので、受講生と共に学び、小生の経験に投影し示唆する機会をいただきました。
 この度は、このような書籍執筆の機会をいただき、私の拙い経験ではありますが、治具・自動化設計に関する広い分野の内容が、基本的な考え方、全体を整合させるという視点のもとで、網羅し、生き残りを賭けたコスト競争に取り組んでいる、現場技術者の成長の一助となれば幸いと考えております。
 いまだ浅学非才な小生に執筆のチャンスをくださいました、日刊工業新聞社書籍編集部の野﨑伸一氏にこの場をお借りし、お礼を申し上げます。
 企業活動に関連する記述を含めて、今回の執筆のお許しをいただきましたうえに、推薦の辞を頂戴いたしました、小島プレス工業株式会社・取締役社長の小島洋一郎様に、この場をお借りして、お礼申し上げます。

2013年12月  
河合 優

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