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おもしろサイエンス
コンクリートの科学

定価(税込)  1,760円

監修
編著
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07146-1
コード C3034
発行月 2013年10月
ジャンル ビジネス

内容

コンクリートは、強度や価格、施工の安易さなど多くの利点をとち、最も広範に使用されている建築資材の一つだ。本書は、このコンクリートの基礎から、今、各所で問題になっている老朽化や劣化の仕組み、補修技術までを科学の視点で面白くわかりやすく解説する。

明石雄一  著者プロフィール

(あかし ゆういち)
1954年東京生まれ、東京大学工学部卒、一級建築士。国内外の大規模ビルの建築に携わるとともに、一般店舗や住宅の建築も数多く手掛け、コンクリートについても、建造物とコンクリートの関係に関する論文を発表するなどの専門家。

目次

はじめに

第1章 コンクリートっていったいどんなものだろう
1  コンクリートとは〝乾いて固まる〟のでなく、〝水分と結合して固まる〟のだ
2  コンクリートは固まる過程で熱を出す。特徴は圧縮力に強い、自由な形状
3  コンクリートにも色艶がある ―良いコンクリートは光沢を放ち、水を弾く
4  コンクリートには「防水層を必要としない程度の防水性はある」とされるが……
5  コンクリートに欠かせないセメントの主原料は石灰石、粘土、鉄など
6  セメントは多種にわたるが、大別すると「ポルトランド」「混合」「特殊」の3つ
7  コンクリートの硬度はセメントと水の割合で大きく変わる ―水セメント比
8  コンクリートは生コン工場でつくられる ―材料を計量し練り混ぜる
9  コンクリートに対する改良ニーズは今後ますます増大する ―特許庁

第2章 機能・性能を向上させて活躍するコンクリート
10  コンクリートの性質を左右する骨材 ―体積比でコンクリートの7割程度を占める
11  最近では人工骨材を多く活用 ―再生骨材は環境物品として自治体も奨励
12  鉄筋コンクリートは、鉄とコンクリートの強み、弱みを相互補完するもの
13  コンクリートの中の鉄筋異形鉄筋は定着や引き抜き抵抗力を増す
14  鉄筋コンクリートの代替としても用いられる繊維補強コンクリート
15  コンクリートにいろいろな機能や物性をもたせるために使用されるモノ
16  プレストレス・コンクリートとPC稿
17  プレストレスト・コンクリートでコンクリート橋の歴史は変わった
18  日本で独自に発達したSRC構造 ―コスト低減を目指し開発されたPRC構造
19  ダム建設は日本が開発したRCD工法が活躍 ―工期の短縮とコスト低減を図る
20  コンクリートダムはコンクリートの打設の方法によっていろいろな工法がある
21  トンネルで活躍する「吹付けコンクリート」 ―糊のようにくっ付きやすく直ぐ固まる
22  道路舗装はアスファルトコンクリート ―それは「固まる時間」がポイント
23  コンクリート舗装は維持管理や路面温度低減効果、耐用年数の長さなどの特徴がある
24  コンクリート舗装は施工技術力維持の観点から危機的状況にあるとされる
25  コンクリートで「管」もできる ―鉄筋コンクリート管である「ヒューム管」
26  コンクリートは放射能に強い ―放射線を遮断する遮蔽用コンクリートもある
27  水中に打ち込むコンクリートもある ―単位セメント量を多く、骨材率も高く

第3章 コンクリートの養生・検査・補修技術
28  コンクリートは施行の前にやらなければならないことがある ―それは「養生」
29  寒中の養生は5℃以上を保ち、暑中の打ち込み時のコンクリート温度は35℃以下
30  環境に合わせたいろいろな養生のやり方で、健全なコンクリートを作る
31  コンクリートの中性化は普遍的な問題 ―中性化で鉄筋にサビが発生する
32  コンクリートの耐用年数は見方によってバラバラ ―法定耐用年数では50年
33  コンクリートの耐久性阻害の最大要因は「ヒビ割れ」―初期ヒビ割れ、中性化など
34  水分の凍結もコンクリートには大敵 ―AE剤で無数の空気泡をコンクリートに混入
35  コンクリートの老朽化と劣化を見るための測定には様々な方法がある
36  より精度よくコンクリートの状態を見る方法として「超音波法」「衝撃弾性波法」などがある
37  コンクリート老朽化の大きな原因は認識やメンテナンスのあまさなど
38  コンクリートはヒビ割れることを前提に対策を施す ―ゼロにするのは難しい
39  暑中に多く発生する「表面気泡」、初期損傷の一つには「ジャンカ」がある
40  コンクリート表面の白むらは発展すると、つらら状になる ―石灰が溶け出す
41  トンネル点検に「走行式トンネルコンクリート調査・診断システム」開発
42  コンクリートのトンネルや橋梁の補修に注入やシート貼り付けなど
43  コンクリートの補修技術やリサイクル、未来への対応など、様々な提案
44  骨材付着のペーストは酸性廃水に浸けたり微生物を接種したりして取り出す方法も

第4章 コンクリートの性能向上を実現する添加剤
45  コンクリートの性能向上は各種添加剤の開発・改良によって行われてきた
46  コンクリート用化学混和剤は界面活性剤をコンクリートに応用したもの
47  防水、水密、耐衝撃、耐摩耗など多様な効果を得ることができるポリマー混和材
48  鉱物質混和材を使用すると海生生物が付着し塩化物イオンの浸透が抑制される
49  日本はコンクリート混和剤の開発・利用面で世界のリーダー的存在になっている

第5章 コンクリートは今後もますます進化発展していく!
50  環境に寄与するコンクリート ―大気・水質浄化、吸音、緑化など
51  セメント産業は生産コストに占めるエネルギー費の割合が高い産業
52  「CO2エコストラクチャー」 ―コンクリートの長所を生かし短所を補う新素材
53  原子力発電所の廃炉・解体にも新技術 ―硝酸処理がポイント
54  「コンクリートを用いた巨大な海洋都市の建造も可能」という意見も

Column
コンクリートの歴史は9000年 ―建造物からインフラにいたるまで
コンクリートの質は水で決まる ―アメリカのエイブラムスが発見
小樽築港が日本のコンクリートの夜明けとも ―大工の手腕が型枠造りにも発揮
今、ローマン・コンクリートに注目 ―弱点の引張力にも強み
火山灰の活用は耐久・施工・力学特性面などクリアできる可能性が高い
コンクリートブロックももちろんコンクリート ―寿命は約30年程度
取得意欲が高い資格の「コンクリート診断士」―高いモラルも求められる
日本は世界でも屈指の〝コンクリート打ち放し建築王国〟と言われている
マンションの中性化対策や強度の高いコンクリートの簡単な見極め方法
消波ブロックは生コンの空気を抜いて密度を上げながら慎重に作られる
常識的な取扱いと管理をしていれば、人体にも地球環境にも安全な製品
セメントを用いたコンクリートの基本的な原理はほとんど変わっていない
ローマ時代から18世紀中葉までセメントは何の進歩もみられなかった

参考文献

はじめに

コンクリートとは、砂や砂利、水などをセメントで混合・結合させたもので、現在、建築資材として最もポピュラーで広範囲に使用されているものです。その証拠に都心部では、右を見ても左を見てもコンクリートに囲まれて私たちは生活をしています。
 コンクリートの大きな特徴は、圧縮力に強く、自由な形状寸法のものをつくることができ、材料の入手や運搬が容易であり、しかも安価であること、さらに、水密性や耐火性が高いということです。そのために、建築物、土木構造物にたくさん使われています。ビルや橋、トンネル、高速道路やダムなど、数え上げればきりがありません。コンクリートは、まさに現代生活に欠かせない材料なのです。
 ところが今、このコンクリートの老朽化が社会問題になってきています。「コンクリートの老朽化」とされる事故が目立ってきており、テレビや新聞などでも「特集」を組んだりしているほどです。通常、一般的にコンクリートは「100年は大丈夫」と言われていますが、問題となっているコンクリートは、建造されてから大体30~50年くらいのものです。どうしてこのような問題が起こってきているのでしょう。
 例えば、トンネルでのコンクリートの崩落事故がニュースになりましたが、多くはメンテナンス不足と指摘されています。つまり、メンテナンスをしっかり行っていれば、すぐに補修に結びつけられ、崩落を防げたかもしれません。今後、コンクリート構造物の老朽化は増加の一途をたどるといってもいいでしょう。それに伴ってコンクリート建造物に対するに点検、そして補修技術の進歩は、大変重要な課題になるでしょう。
 また、日本では現在、年間約4000万トンもの廃コンクリートが生み出されています。高度経済成長期に建設されたコンクリート構造物の廃コンクリートは今後さらに増え、2050年にはこれが3倍以上になると予想されています。この廃コンクリートの処理も大きな問題です。
 一方で、コンクリートは、いまだに改良が続けられ、今後ますます増大していく建築構造物の高層化、長大化に基づく強度、耐久性の高度化など、要求特性のニーズの多様化に応え進化している材料でもあります。
 このように、現代生活に必要不可欠なコンクリートは、進化を続けながらも、いろいろな課題、問題も抱えています。ところが、こんな身近なコンクリートについて、実際に知っている人がどれだけいるでしょうか。コンクリートが何からできているのか、コンクリートの材料とは何なのか、さらに「コンクリート」とひと口に言っても、用途や添加剤などの違いによって実に様々な種類に分けられ、施工法なども違います。
 そこで本書では、「そもそもコンクリートって何だろう」という問いから説き起こし、コンクリートのメカニズムとその働き、そして私たちの周囲を取り囲んでいるコンクリートの様々な活用、課題・問題、さらに、コンクリートの再利用、未来のコンクリートとは――などという点をわかりやすく解説しました。監修は、建築家でコンクリートの専門家でもある明石雄一氏です。
 本書を一読して、改めて身近にあるコンクリートを目にしたとき、今までとは少し違った観点で見ていただければ嬉しいかぎりです。

2013年10月
コンクリートの劣化と補修研究会 

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