内容
腰痛は、誰でも生涯に一度は罹るといわれている。それだけに関心は高いが、その半面誤った知識や民間療法などにより、病状が悪化したり治療が長引いたりする例が少なくない。本書は、専門医が患者の立場に立って治療法や手術、予防法などをわかりやすい言葉で解説した腰痛の決定本。
小瀬忠男 著者プロフィール
(おせ ただお)
医療法人社団樺島会 樺島病院 院長・理事長
昭和36年 生まれ
昭和63年 東京慈恵会医科大学卒
昭和63年 同学整形外科教室入局
平成9年 慈恵医大青戸病院 整形外科医長
平成10年 総合川崎臨港病院 整形外科部長
平成15年 樺島病院 院長就任
資 格
日本整形外科学会認定専門医、日本整形外科学会リウマチ医
日本整形外科学会スポーツ医、日本医師会認定健康スポーツ医
日本医師会認定産業医、身体障害者福祉法指定医、義肢装具等適合判定医
専 門
脊椎外科、膝関節外科、スポーツ整形外科
特 技
柔道3段、相撲2段
住所:〒168‒0065 東京都杉並区浜田山4‒1‒8
TEL:03(3311)1195(代)
目次
まえがき
第一章 腰の痛みを理解するために最初に知っておきたいこと
~腰痛のメカニズム
腰の痛みを黄門様にたとえてみると
病気のメカニズムをコップと水にたとえてみましょう
あなたの腰の痛みや肩こり、膝痛は「火事」です
腰の痛みは泣き虫の子供に似ています
椎間板ヘルニアは手術をしてもしなくても結果は同じ?!
“ストレス”で腰が痛くなります
腰痛予防のための腹筋・背筋運動ではなく、メタボ対策とアンチエイジングのために
第二章 腰の構造と腰痛の四大要因を知って腰の痛みの原因をつきとめよう
~なんで自分だけが痛くなってしまうの?
腰の構造
腰痛の三つの分類
腰痛の四大要因とは
第三章 腰痛をひきおこす病気について
~病院で診断された病気について簡単に知ろう
一般的な意味の「ぎっくり腰」と医者が診断する「ぎっくり腰」は異なる
腰椎椎間板ヘルニア
腰部脊柱管狭窄症
脊椎分離症、脊椎すべり症、脊椎分離すべり症
変形性脊椎症
骨粗鬆症
医師は薬の値段をあまり知らない?
「量」だけでなく「質」もみるようになった骨粗鬆症
第四章 腰痛治療と手術の知識
~腰の痛みの治療法についての解説。もし医者から「手術しましょう」といわれたら?
学会が「必要がない」と認めた検査
二つの治療の方法
その一:積み重ねていくステップアップ療法
その二:ねらいを定める「ターゲット療法」
(1)安静・生活指導
(2)投薬・湿布
(3)理学療法・コルセット
(4)トリガーポイント
(5)仙骨裂孔ブロック・腰部硬膜外ブロック・神経根ブロック
(6)手術
第五章 腰の痛みにさようならするための実践的腰痛予防運動
~もう二度と腰が痛くならない習慣づくり
中高年の読者のみなさんには「寝たきりにならない」腰痛体操を
若い女性読者のみなさんには「いつまでも健康で美しく」を目標にした腰痛体操を
運動は無料でできてダイヤモンドよりあなたを輝かせる
普通の生活をしていて一万歩歩ける人はほとんどいません
家庭の主婦向け「かば先生のかんたん台所体操」のやり方
ビジネスマンと仕事をもつ女性のための「かば先生のかんたん職場運動」
運動療法を続けるコツは習慣にすること
運動をやめたほうがよいとき、腰痛時の運動のコツ
付録 腰の痛みにさようならするための日常生活
痛みが出ないような日常の動作
腰の痛みにさようならするための注意ポイント
あとがき
はじめに
この本は腰の痛みに悩む人、以前悩んでいた人やその家族に対し、腰の痛みについて正しく知っていただき、痛みのない生活を送って、一生涯、元気で明るく過ごして欲しい、そんな願いを込めて書きました。
最初にお断りしておきますが、この本ではなるべく専門的な医学用語を使わずに、誰もが簡単に理解していただけるように工夫しています。やさしい言葉を使って、人はなぜ腰の痛みに悩むのか、手術に踏み切るかどうか、見極めのコツや、予防の体操など、幅広く腰の痛みについて解説していきたいと考えています。
腰の痛みは日本人の約八割が体験するといわれています。私も整形外科医として毎日たくさんの患者さんに出会いますが、腰の痛みについて正しく理解していないために、いたずらに治療期間を長引かせ、無駄に痛い思いをされているのではないかと感じる場面がとても多いのです。
腰の痛みを治すために病院に通い、院内スタッフとともに一生懸命、治療の努力をしているにもかかわらず、なぜか患者さんご自身が痛みの原因を知らず知らずのうちにつくってしまっています。根本的に腰の痛みについて正しく理解されていないために、無駄に長く苦しんでしまう。
こうした患者さんに、正しく腰の痛みについて理解していただくため、最初に「腰の痛みのメカニズム」について、いろいろなたとえを使ってていねいにくわしく解説してみました。この本が他の「腰痛本」と違うのはこの点です。
まず腰の痛みとはどういう状態なのか、痛みのメカニズムについて正しく理解していただくことが治療と予防の第一歩であると考えているからです。
この本の全体的な構成ですが、第一章では腰の痛みを「黄門様」や「コップと水の関係」、「火事」、「泣き虫の子供」にたとえて、痛みの概念、腰の痛みとはどんな状態かをまず頭に入れていただきます。
次の第二章では腰の構造についてごく簡単に紹介します。もしも病院で診断を受け、医師から何といわれたか、その言葉を覚えていたら、第三章の病気の名前のところだけを読んで下さい。そこで、あなたはなぜ腰が痛くなってしまったのか、その理由や治療について理解できるはずです。
第四章は具体的な治療について。そして、最後の第五章では簡単な運動を紹介します。どうすれば「腰の痛みにさようなら」できるか、その具体的な方法について紹介しました。付録として予防についての図解も加えて、二度と痛くならないようなクセをつけようという提案も行っています。最後までお付き合いいただけたら幸いです。
2013年4月
小瀬 忠男