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多軸・複合加工用CAM

定価(税込)  3,520円

著者
サイズ A5判
ページ数 320頁
ISBNコード 978-4-526-07037-2
コード C3053
発行月 2013年03月
ジャンル 機械

内容

金型および精密部品加工で活用が進む多軸複合加工機は、複雑な動作を制御する高度なCAMソフトの利用が必須である。そこで、多軸複合加工に特化したツールパス作成法やプログラミング事例などを要領良く紹介。加工効率向上やトータルコスト低減に向けたCAM利用法を説く。

竹内芳美  著者プロフィール

(たけうち よしみ)
1948年8月 愛知県生まれ
1971年6月 東京大学工学部精密機械工学科卒業
1976年3月 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了(工学博士)
1978年1月 九州工業大学助教授
1988年1月 電気通信大学教授
2002年6月 大阪大学大学院工学研究科教授
2011年9月 中部大学工学部教授、大阪大学名誉教授
著書に、メカトロニクスの基礎と応用(養賢堂)、超精密マイクロ切削加工(日刊工業新聞社)などがある。

目次

まえがき

第1章 多軸・複合加工とCAM
1.1 多軸・複合加工とは
1.2 加工可能な形状と多軸・複合加工機の導入メリット
1.3 5軸制御加工機とCAMシステム
1.4 CAMシステムによる効果的な工具経路生成
 1.4.1 工具と加工物の干渉回避処理
 1.4.2 荒加工から仕上げまで一貫処理を考えたCAM
 1.4.3 直線補間から曲線補間へ
 1.4.4 工具形状の工夫
1.5 非回転工具による6軸制御加工
1.6 複合加工機のためのCAM
1.7 複合加工機を利用した巧妙加工

第2章 CAMシステムの構成
2.1 多軸制御加工機のためのCAMシステム
 2.1.1 メインプロセッサの役割
 2.1.2 ポストプロセッサの役割と機械構造
 2.1.3 CLデータの機械座標系への変換
 2.1.4 リニアライゼーション処理
 2.1.5 送り速度制御
 2.1.6 主軸回転数制御
 2.1.7 ポストプロセッサの構築
2.2 一般化ポストプロセッサの構築
 2.2.1 形状創成関数と工作機械構造
 2.2.2 回転軸指令値の特定
 2.2.3 形状創成関数の一般化座標変換への適用

第3章 干渉回避の方法
3.1 点群モデルによる干渉回避
 3.1.1 工具姿勢の表現と工具経路生成
 3.1.2 干渉回避の方法
 3.1.3 5軸荒加工
 3.1.4 加工実験
3.2 C-Spaceモデルによる干渉回避法
 3.2.1 2次元C-Space の作成
 3.2.2 3次元C-Spaceとそれを利用した加工
 3.2.3 安全性重視の工具姿勢とその加工
 3.2.4 C-Spaceの改良による処理の高速化と堅固化
3.3 非干渉空間モデルによる干渉回避
 3.3.1 曲面形状補間を用いた工具姿勢と干渉面に沿った工具経路
 3.3.2 干渉面による境界曲面の作成と工具姿勢の決定
 3.3.3 非干渉領域の作成
 3.3.4 曲面形状補間による加工
3.4 複合空間モデルによる干渉回避
 3.4.1 複合曲面の領域分割
 3.4.2 加工領域の分割と工具干渉の判定
 3.4.3 工具経路の生成
 3.4.4 評価関数に基づく工具姿勢の決定と複合曲面の加工

第4章 高能率荒加工
4.1 荒加工の効率化の考え方
4.2 工具姿勢と工具突出し量の決定
 4.2.1 工具姿勢の与え方
 4.2.2 加工可能個所のデータ化
 4.2.3 多段決定による工具姿勢導出
4.3 工具姿勢と工具径の組合せの決定
 4.3.1 工具姿勢と工具径の組合せ
 4.3.2 評価関数の導入
4.4 荒加工への適用の実際
4.5 最短工具突出し長への改良
 4.5.1 工具長、工具姿勢データの作成
 4.5.2 多段決定による探索
 4.5.3 加工順序決定と形状変化の考慮
 4.5.4 加工順序決定の評価式
 4.5.5 工具長と加工順序を考えた荒加工

第5章 5軸制御加工の高速・高精度化
5.1 フラットエンドミルによる効率的中仕上げ加工
 5.1.1 フラットエンドミルによる中仕上げ
 5.1.2 ガウジの判定
 5.1.3 干渉回避とカスプ高さ
 5.1.4 工具経路生成
 5.1.5 中仕上げ加工の効率化
5.2 工具姿勢と姿勢変化を考慮した高精度加工
 5.2.1 姿勢変化の影響
 5.2.2 加工面に与える回転軸の動作の影響
 5.2.3 工具経路評価式と仕上げ加工用CAMシステム
 5.2.4 姿勢変化を考慮した高精度加工
5.3 5軸制御NURBS補間システム
 5.3.1 曲線補間の必要性
 5.3.2 メインプロセッサの処理
 5.3.3 ポストプロセッサの処理
 5.3.4 高速化の確認

第6章 コニコイドエンドミル工具の試作と活用
6.1 コニコイドエンドミルによる5軸制御加工
 6.1.1 コニコイドエンドミルによる加工
 6.1.2 工具姿勢の決定
 6.1.3 姿勢の連続性を考慮した工具経路の生成
 6.1.4 コニコイドエンドミルによる加工
6.2 コニコイドエンドミルの製作
 6.2.1 工具研削用CAD/CAMシステム
 6.2.2 GLデータの生成
 6.2.3 加工法の検討とシステムの拡張
 6.2.4 コニコイドエンドミルの製作
6.3 高速加工用ボールエンドミルの開発
 6.3.1 ボールエンドミルの特性
 6.3.2 ボールエンド切れ刃稜線のねじれ角の定義
 6.3.3 すくい角と逃げ角の定義
 6.3.4 研削経路データの生成とボールエンドミル製作
 6.3.5 高速ミリング適した工具形状

第7章 非回転工具による6軸制御加工
7.1 平滑加工
 7.1.1 平滑加工における曲率とピックフィード
 7.1.2 自由曲面の平滑加工
7.2 異形断面溝加工
 7.2.1 溝データと6軸制御溝加工
 7.2.2 異形断面溝の加工と評価
7.3 キャラクタライン加工
 7.3.1 キャラクタラインの形成
 7.3.2 複パス加工法によるキャラクタラインの形成と加工
 7.3.3 単パス加工法によるキャラクタラインの形成と加工
7.4 角隅加工
 7.4.1 直交平面から成る角隅加工
 7.4.2 曲面から成る角隅加工
7.5 稜線を持つポケット加工
 7.5.1 ポケット形状の加工法と非回転工具
 7.5.2 平面で構成されるポケット形状の加工
 7.5.3 曲面で構成されるポケット形状の加工
7.6 非回転工具の超音波振動加工
 7.6.1 超音波振動加工と効果
 7.6.2 キャラクタラインの超音波振動加工
 7.6.3 角隅の超音波振動加工
 7.6.4 側面角溝の超音波振動加工

第8章 旋削とフライスの複合加工
8.1 複合加工機の3軸制御
 8.1.1 処理の基本的考え方
 8.1.2 旋削加工部位の認識と工具経路生成
 8.1.3 フライス加工部位の認識と工具経路生成
 8.1.4 3軸制御による複合加工
8.2 複合加工機の5軸制御
 8.2.1 フライス加工部の5軸制御化と工具経路生成
 8.2.2 5軸制御による複合加工
8.3 5軸制御による複合加工
 8.3.1 加工フィーチャーの認識と処理
 8.3.2 フィーチャーツリーと加工順序の設定
 8.3.3 除去領域の算出と加工時間の予測
 8.3.4 CAPPシステムによる加工例

第9章 巧妙加工
9.1 巧妙加工の提案
9.2 曲がり円柱形状の加工
 9.2.1 曲がり円柱の荒加工
 9.2.2 曲がり円柱の仕上げ加工
 9.2.3 CAMシステムの構成
 9.2.4 曲がり円柱形状の加工
9.3 リング、鎖形状の加工
 9.3.1 リング形状
 9.3.2 リング形状の荒加工
 9.3.3 リング形状の仕上げ加工
 9.3.4 リング形状の創成
 9.3.5 鎖形状の加工
 9.3.6 鎖形状の荒加工と仕上げ加工
 9.3.7 切り離しのための固定ジグと加工結果
9.4 直方体の内部に球を持つ入れ子形状の加工
 9.4.1 加工対象形状
 9.4.2 加工方法および手順
 9.4.3 入れ子形状の荒加工
 9.4.4 入れ子形状の仕上げ加工
 9.4.5 入れ子形状の創成

索 引

はじめに

5軸制御マシニングセンタや5軸加工可能な複合加工機が全盛である。直進軸、回転軸を合計して4軸以上の制御軸数を持つ加工機を「多軸」という。フライス加工を主体としたマシニングセンタ、旋盤加工にフライス加工用主軸を組み込んだ複合加工機などを多軸化することによって、加工物をいったん機械に取り付ければ、工程を変えることなく仕上げまでを完了できる、複雑形状の加工もあらゆる方向からアプローチできるためにセッティングをし直すこともない、加工物と工具の関係の自由度が増えて姿勢を適切に選べる、などの理解が進んだためと思われる。この傾向は10数年前から見られるようになり、現在その頂点に達した感があるが、この趨勢はしばらく続くと思われる。
 このように強力な生産ツールになっている多軸複合加工機を使いこなすには、CAMシステムがなくてはならない。多軸複合加工技術に関心が高まっている中で、CAMシステムや加工事例などを要領よくまとめた書籍がほとんどなく、今後ますます増えると思われる多軸複合加工に対し、筆者が20数年間研究開発してきた内容をまとめてお役に立てればと本書を企画した次第である。本章は9章から構成されるが、第1章は、各章で何を取り扱うかについての概要となっているので、実質は8つの話題から構成されており、基本的なことから応用まで多岐に渡るものの全貌が理解できるように配した。
 ところで、5軸制御工作機械に関してこれを初めて見たのは34年前の1979年2月である。その頃、ドイツのアーヘン工科大学・工作機械研究所(WZL)に留学しており、シュツットガルト工科大学の工作機械研究所を訪問する機会があった。そのとき、写真に示すようにかなり大きめの3軸制御のフライス盤に旋回可能な主軸と回転テーブルを付加し、5軸制御でインペラを加工していたのを見て、非常に関心を持ったことを鮮明に覚えている。そこで配布された研究資料を見ると、現在のように3次元CAD もなく、APTで書かれたデータを用い、5軸制御の加工法を研究していたようである。複雑形状が巧妙に加工できることに興味を覚え、いつか5軸制御加工の研究をしてみたいと思っていたが、実際に始めたのはその10年後であった。その頃から、ワークステーションも手に入り、ようやく3次元CADが使えるようになるとともに、工作機械も5軸の試作機が出てきて環境が整ったことも挙げられる。
 5軸制御加工の一番の特徴であるオーバーハング形状を加工するためのCAMシステム開発に取り組み、干渉回避の方法から研究を始めた。市販の5軸制御加工用CAMもあったように思うが、どのような原理に基づいて干渉を回避しているのか明確な説明もなかったために、これを究明しようとしたことが発端である。そのような手探りの段階から出発し、6軸制御加工へと展開し、さらには機械の運動までも考慮に入れたCAMシステムの研究まで行われるようになったかと思うと感慨深いものがある。
 さて、本書を記すにあたり、多くの教員、院生、学生の諸氏にお世話になりました。彼らの研究開発の成果がなければ本書は出来上がらなかったことは明らかである。順不同で名前を記して感謝したい。清水弘幸(平成帝京大学)、浅川直紀(金沢大学)、森重功一(電気通信大学)、寺本孝司(室蘭工業大学)、石田 徹(徳島大学)、金子順一(埼玉大学)、中本圭一(東京農工大学)、安斎正博(芝浦工業大学)、加瀬 究(理化学研究所)、高橋一郎(理化学研究所)、出村 健(キヤノン)、渡辺隆弘(エヌ・ケー・エクサ)、和田一啓(コニカミノルタ)、久木達也(リコー)、横山信人(トヨタ自動車)、長坂 学(セイコーエプソン)、高橋聖次(ホンダ)、中軽米直樹(キヤノン)、那須輝久(JR東海)、石塚伸護(日立造船情報システム)、芦 毅(ニッサン)、葉 閣斉(黒田精工)、石畝 学(デンソー)、宮内 馨(沖電気)、小畑智靖(オムロン)、井沢祐弥(豊田織機)、F. H. Japitana(フィリピン金型研究所)、富永有機(キーエンス)、森川真寿(ニッサン)、梅原 猛(三菱重工)、井上武浩(JR東海)上田康文(キヤノン)、小泉武久 (ヤマザキマザック)、引地達哉(JR東海)、小谷 昴(ダイハツ)、窪田耕児(ダイフク)、河口泰大(北陸電力)、濱田大地(アーテック)、夏目矩行(キヤノン)、藤本 匠(IHI)の諸氏である。
 また、企業からの支援にも感謝したい。ヤマザキマザック、牧野フライス製作所、森精機、JTEKT、ファナック、アイコクアルファ、DTテクノロジー、OSG、多賀電気の各社に感謝するとともに、研究費をいただいた科学研究費補助金、工作機械技術振興財団に、さらには工作機械を貸与されたMTTRF(米国工作機械技術研究財団)にお礼を申し上げる。
 最後になりましたが、本書の出版にたいへんご尽力いただいた日刊工業新聞社事業出版部の辻總一郎氏に感謝致します。

平成25年1月17日
竹内芳美

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