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これならわかる幾何公差

定価(税込)  2,420円

著者
サイズ A5判
ページ数 180頁
ISBNコード 978-4-526-07035-8
コード C3053
発行月 2013年03月
ジャンル 機械

内容

高品質な製品開発とグローバル化対応のために世界標準の幾何公差を使った設計図面の品質向上が重要と言われながらも、日本の企業ではまだ幾何公差はあまり使われていない。本書は初心者にもよくわかるように幾何公差の作成・解釈のポイントをていねいに解説する。

小池忠男  著者プロフィール

(こいけ ただお)
1973年から(株)リコーで20年以上にわたり複写機の開発・設計に従事。その後、3D CADによる設計プロセス改革の提案と推進、および社内技術標準の作成と制・改定などに携わる。また、社内技術研修での設計製図講師および発想法の1つであるTRIZ講師なども10数年務める。2010年に退社。
現在は、JIS/ISO準拠の機械設計製図およびTRIZを活用したアイデア発想法に関する教育とコンサルティングを行う「想図研」を設立し、代表。
著書に、「はじめよう! カンタンTRIZ」、「はじめよう! TRIZで低コスト設計」(共著)、「幾何公差の使い方・表し方」(いずれも日刊工業新聞社刊)がある。

目次

はじめに

第1章 日本の図面の実情  
~世界標準から取り残された日本の図面~
1—1.日本の図面は、なぜ世界に通用しないのか  
(1)図面指示は明確か  
(2)あいまいな図面指示の例  
1—2.“寸法公差”で指示された図面の限界を知ろう  
(1)寸法公差で規制できるか  
(2)寸法公差による図面指示  
(3)寸法公差の許容域  
(4)寸法公差による公差計算  
(5)幾何公差による図面指示  

第2章 意外と知られていない公差表示方式  
~ISO対ASMEの世界~
2—1.2つの“公差表示方式”の存在  
(1)公差表示方式と幾何公差の歴史  
(2)2つの公差表示方式とは  
2—2.JIS/ISOの方式“独立の原則”  
2—3.アメリカの方式“包絡原理”  
2—4.方式の違いにより異なる図面解釈  

第3章 幾何公差とは何か  
~その種類と使い方についての基本~
3—1.幾何公差で使われる用語解説  
(1)形体  
(2)データム  
(3)公差域  
(4)理論的に正確な寸法  
3—2.14種類ある幾何公差の解説  
(1)種類と記号  
(2)形状公差  
(3)姿勢公差  
(4)位置公差  
(5)輪郭公差  
(6)振れ公差  
3—3.幾何公差指示に対する検証方法  
3—4.幾何公差の必要性と重要性  
(1)幾何公差の必要性  
(2)幾何公差の重要性  

第4章 代表的な幾何公差の指示例  
~設計意図との関係と注意点~
4—1.形状公差  
(1)真直度の場合  
(2)平面度の場合  
4—2.姿勢公差  
(1)平行度の場合  
(2)直角度の場合  
4—3.位置公差  
4—4.輪郭公差  

第5章 幾何公差の特長を活かす方法  
~その指示方法、メリットと使用上の注意~
5—1.最大実体公差方式  
(1)2つの穴相互の位置の確保  
(2)2つの穴を持つ部品のはめ合い確保  
(3)一方の穴を基準の2つの穴位置の確保  
(4)一方の穴を基準の2つの穴部品のはめ合い確保  
(5)面と穴を基準の2つの穴部品のはめ合い確保  
(6)3面を基準とする2つの穴部品のはめ合い確保  
5—2.突出公差域  
(1)段付きねじで止める事例  
(2)JIS/ISOの図示例  
(3)ASMEの図示例  
5—3.非剛性部品  
(1)どんな場合の設計要求か  
(2)薄い板金部品の事例  
(3)JIS/ISOの図示例  
(4)ASMEの図示例  
5—4.普通幾何公差  
(1)普通幾何公差の目的  
(2)JIS/ISOの規定  
(3)普通幾何公差の図示例  

<コラム>
<1>日本では図面をどう解釈しているか  
<2>GPS規格とは  
<3>生き残る幾何公差は何か  
<4>3D CADにおける新しい表し方とは  

あとがき  
参考資料〈文献〉〈規格〉  
索 引  

はじめに

日本国内の製造業は、ここのところあまり元気がない。韓国や中国、台湾のメーカーに圧倒されている観がある。その陰には、日本の技術者の多くが、それらの国々に出向き、技術的指導を行った結果が反映しているように思われる。
 そのような状況のなか、日本国内の電機業界や精密業界の何人かの人たちと交流する機会があり、それぞれの会社における機械図面の現状について、多少知ることができた。
 そこで知ったことの1つは、寸法公差を中心とした機械図面で、製品(部品)を表そうとしている会社がまだまだ多いということである。「幾何公差を使って図面をつくることが必要だ」と力説しても、なかなか理解してもらいえない。「今まで問題なく設計生産できているのに、なぜ幾何公差なのか、その必要性を感じない」、というのである。そのような現状において、単に「幾何公差の使い方・表し方」を説明しただけでは、どうも効果的ではないと感じた。
 そこで、現在の日本の多くの実態である、「寸法公差中心で表している図面では、なぜダメなのか」、「なぜ幾何公差が必要なのか」という点を説明し、そのうえで、「幾何公差にはどのような利点があるのか」を理解してもらう必要があると思ったのである。
 そんなこともあって、本書は、幾何公差の本でありながら最初の2章までは、幾何公差とは直接には関係ない話題になった。
 第1章は、寸法公差中心の日本の図面の実情について、その図面のあいまいさの例をいくつか示し、寸法公差による指示では限界があることを説明している。
 第2章では、寸法公差だけを対象にしてきた人たちにはほとんど知られていない“公差表示方式”について紹介している。これは、寸法公差と幾何公差の関係を示す おおもとにある原則なので、幾何公差の話に入る前に必要だと思ったからである。
 第3章から幾何公差についての本題に入る。幾何公差では独特の用語が数多くあるが、最低限これだけは、というものに絞って取り上げた。そのうえで、14種類の幾何公差について、単にJIS等で規定している定義をそのまま示すのではなく、その幾何公差がどのような考え方になっているのか、簡単に表現して、すんなり理解してもらえるようにした。章の後半には、指示された幾何公差の検証方法例をいくつか示し、最後に幾何公差の必要性と重要性を紹介した。
 第4章では、14種類の幾何公差のなかで、頻繁に使われるもの、今後、大いに使用されるであろう6つの幾何公差に絞って 設計意図との関係とも併せ、注意点にもふれながら指示方法を解説した。
 第5章は、幾何公差の良さをさらに生かすために必要な特別な方法として4つの項目について、その指示方法、メリット、使用上の注意点などを説明した。
 全体の誌面構成としては、見開き2頁の左側に図や図面指示例を、右側にそれらの説明や補足事項の説明文を配置し、できるだけ分かり易いようの工夫した。先の小著「幾何公差の使い方・表し方」では、図例は多いものの、説明文は最小限にしたので、理解しにくい面もあったと思う。こちらは十分読んでいただけるものになっているのではないだろうか。
 この本の読者としては、製造業の会社に入社したての若い人たち、また、機械図面に何らかのかたちで関わる企業の人たち、さらに広く図面に関心のあるすべての人たちを想定している。より多くの人たちに読んでもらいたい。
 最後に、本書の出版に際して、原稿の段階から貴重な意見や提案をいただいた、かつての同僚の岡誠二さん、三瓶敦史さんには感謝したい。また、出版に至るまでの過程で、大変お世話になった日刊工業新聞社の森山郁也さんはじめ関係者にお礼を申し上げます。

2013年1月
著 者

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