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今をどう生きるか
あなたを変える“和”のちから

定価(税込)  1,540円

著者
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サイズ 四六判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07023-5
コード C3034
発行月 2013年02月
ジャンル ビジネス

内容

東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの前社長である福島祥郎氏と、メーカー役員経験者である椎名勲氏による、日本の若者に向けたメッセージ。今の日本が抱える問題点を検証するとともに、これからの日本人にとってプラスになる先人の知恵(日本人と日本文化のすばらしさ)を再認識することで、日々の行動や生き方の指針を示す。

福島祥郎  著者プロフィール

(ふくしま よしろう)
株式会社オリエンタルランド社長を経て、現在、特別顧問。東京ディズニーリゾートの仕事を通じ、ディズニー精神と和の精神の共通性に気づき、以来、日本文化の探求を続けている。最近は、坐禅に親しみ思索を深め、「和の精神は日本再生のキーワード」と考えて、さまざまな機会に若い人たちに語りかけている。

椎名 勲  著者プロフィール

(しいな いさお)
日本児童文芸家協会会員(児童小説・脚本・エッセイなど)。財閥系メーカーの役員・顧問を経て、現在、株式会社キッズ(映像制作会社)顧問。"食のエッセイスト"として地下鉄情報誌メトロガイドに『いい店見つけた』を長期連載中。著書『いい店見つけた-料理は作った人の味がする-』(日刊工業新聞社)、『マイ・ベスト・デイズ-ぼくらの最後の試合-』(シティライフ社、映画『ベースボールキッズ』原作)。

目次

はじめに

第一章 日本人としての感性を信じよう
今、日本も世界も危ない /知的合理主義の行き着いたところ /外国人が見た幕末の日本 /“和”の素晴らしさを見直してみよう /失われつつある感性 /相互に関係して心をつくる「知・情・意」 /“道”を知ること /坐禅を通して知る“心” /人間の精神をかたちにして表現する場 /自然とのかかわりのなかに日本人がある /「なわのび」と「猿と林檎」 /蘇生の鍵は日本人の二つのDNA /お米づくりとご飯の味 /日本だから、日本人だからできること /外から内へというパラダイム・チェンジ  

第二章 もてなしの心と感謝があれば、利益は必ずついてくる
目指すのは経済的にも精神・文化的にも豊かな日本 /日常と非日常の切り替え /不完全だからこそ進化する /企業における常態と変態を知る /経営(ビジネス)とは縦と横のバランスである /江戸しぐさを身につければ、もてなしの心がわかる /常にお客様の期待を超える

第三章 これからの日本人の生き方を考える
常に生き方を考えることが大切 /重要なのは「知・情・意」という心の三要素 /水を送れば己に戻る「タライの理論」 /時にはエネルギーの解放も必要 /坐禅のすすめ /調身・調息・調心 /内なる声に耳を傾ける /意識の拡大をまず考える /日本人ならではの宗教心 /小さな歯車から

第四章 日本人としての教育を考える
教育再生 /よく遊びよく学べ /人間の本質は“遊び”にある /親子のコミュニケーションはどこへ行った /子供の頃からの本物体験 /大切にしたい情操教育 /尊敬する人は? /ブータンの小学教育と教育勅語 /論語に触れる小学校教育 /思いやりと慈しみの心“仁” /カストーディアルが支えるテーマパークの幸せ /段取り・真剣・尻拭い /子供たちにも江戸しぐさ /所作を身につける /判断の瞬発力を養う脳内シミュレーション /企業人として学ぶべきこと /師を見つけることの大切さ /五つの発想の定石 /あらゆる機会が学びの場 /一つの提案 /生涯学習のすすめ

第五章 日本の文化と“和”の心
知ってはいるが行動はしない /これからの日本を支えるハピネス /文化は民族の命 /世界に誇れる日本人の感性や美意識 /日本人の心情、「自然」に寄り添う /六十五歳の海外青年協力隊 /日本が好きな外国人 /第二のルネサンス、人間復興 /人類に課された重要な役割 /“和”のちらかを身につけよう /成果はすぐには求めない /枝を伸ばし、葉を茂らせよう

あとがきに代えて

はじめに

 日本人の心の乱れが世代を問わず目立ちます。毎日、テレビや新聞で、まさかと思うような事件が報道されています。
 私たちは以前から、なぜ、このような日本になってしまったかについてよく話し合っていました。そして、その最大の原因は、戦後の日本人の物欲や我欲がもたらした結果であると考えました。私たち世代の生き様を振り返ると、おおかたの人がいつかは日本を豊かな国にして、文化的な生活を享受できるようにしたいという思いで頑張ってきました。
 その結果、日本は確かに経済大国になったものの、精神・文化的にはいっこうに豊かになったという実感がありません。むしろ、人間的には貧しくなってきているとさえ感じています。身体は肥ったが、心は痩せてしまったのです。経済にかまけて、心の豊かさを手に入れる余裕がなかったのです。
 そのうちに、発展途上国が経済面で日本を追いかけ、追いついて来ていますが、どうも同じ道を辿っているようです。代表的なのは中国でしょう。今の中国は経済大国になったけれど、物欲・我欲が目立っています。先進国だって変わりません。アメリカのリーマン・ショックも、EU危機も、物欲・我欲がもたらしたものです。
 こうした社会になったのは、私たち世代にも責任があります。反省すべきことがたくさんあります。だからこそ、その反省を乗り越えて、「若い方々に目覚めてもらいたい」という気持で一杯です。
 一番大切なことは、一人ひとりの人格をつくるうえで、国とか組織に頼るのが先でなく、自分で人格形成に努める意識を持つことではないか。そのための拠り所は何かを考えてみよう、と二人で話し合いました。
 人間は過去の文化的蓄積を踏まえ進歩するものです。わが国においては、その中心は“和”の心だと考えています。この精神風土を根本的に立て直したいのです。
 東日本大震災や福島原発事故で、その思いがますます強くなりました。
 私たち二人の付き合いは、十数年に及びます。最初はビジネス上の交際でしたが、そのうちに酒席やゴルフなどにも興じるようになりました。そんなある席で福島がディズニーの精神と“和”の心の共通点を指摘し、「テーマパークの経営にも生かしている」、さらに「“和”の精神、特に江戸しぐさの精神が、テーマパークの運営にも役立っている」と話したことがきっかけで、二人はより親密な関係になりました。その後、椎名の求めに応じ、椎名が所属していた会社の工場従業員五〇〇余名に対して「ディズニーの礼儀正しさ(コーテシー)」と題して福島が講演をして、深い感銘を与えたことは、懐かしい共通の思い出です。
 そんな二人が、なぜ一人ではなく一緒に考えたのでしょうか。それは、一個の人間の得意分野だけでなく、複数で考えて知恵を集めること、一つのアイデアだけでなく、いくつかの異分野のアイデアを重ねていくことが、多くの人々に理解していただくために重要だと思ったからです。
 幸い、私たちは長年の交流のなかで、仕事や趣味の世界で多くの行動をともにしてきたため、お互いの考えがよくわかっています。そのうえで、さらにそれぞれの意見をぶつけることで、私たちの意見も深まり、内容も磨かれてきました。
 福島のディズニーでのビジネスと、椎名がやってきた経済界のビジネスとは、経営哲学も戦略もずいぶん違っていましたが、違いがあるゆえに、それぞれの特徴もよくわかりました。「社会や人々の幸せに貢献することを目的として仕事をして、利益は後からついてくる」「利益目標を演繹的に決めて、そこから事業戦略を考える」などといったことを、真剣に意見交換しました。
 そして、お互いの経験と哲学をぶつけ合うことで、今の日本がより深く見えてきました。
 今の日本を覆っているムードは暗いものばかりです。閉塞感が蔓延し、将来への希望を失くしている人々が数多く見られます。だからこそ、次代を担うべき若い方々に、私たちの心の中で燃え続ける熱い思いを少しでもお伝えしたいのです。
 この本は、福島と椎名の二人の考えを融合しながら出来上がっていますが、文章は椎名が起こしています。椎名は、日本児童文芸家協会に所属し、執筆活動を行っています。そのため、二人のうちどちらかというと椎名の方が文章になじんでいます。そこで福島のコメントを生かしながら、椎名が執筆することになりました。
 なお、本文中で使っている主語「私」は、福島とも椎名ともあえて区分しませんでした。文脈からご推察ください。
 しかし、書かれている内容はあくまで二人の考え方です。二人で話し合い、議論したことで生まれた“知恵”です。個人ではなく、二人の間だからこそ生まれました。
 ことわざに「三人寄れば文殊の知恵」というものがあります。異なった経験や意見の持ち主が知恵を持ち寄れば、文殊菩薩のような良い考えも浮かぶものであるという意味です。
 ここに私たち二人の“知恵”があります。そこに、あなたの考えや経験、つまり“知恵”を加えてください。そこに新しい“文殊の知恵”が生まれるはずです。
 ぜひ本書をヒントに、充実した人生の構築と、日本再生を考えてください。

 二〇一三年二月

 福島 祥郎・椎名 勲

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