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「東電叩き」シンドローム 脱原発論の病理

定価(税込)  1,512円

著者
サイズ 四六判
ページ数 272頁
ISBNコード 978-4-526-07006-8
コード C3034
発行月 2013年01月
ジャンル ビジネス 環境

内容

脱原発が既定路線のように語られる中で、一時の感情論ではなく事故の意味を正しく認識し、原子力活用に際して明確な判断が持てるよう示唆を与える読み物。一部では妥当性を欠く「東電叩き」も続いているが、脱原発が真に正しい選択なのか議論を深めつつその核心に迫る。

東谷 暁  著者プロフィール

(ひがしたに・さとし)
ジャーナリスト
1953年、山形県生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業、雑誌の編集に携わった後、フリーのジャーナリストに。経済や政治を中心にリポートや評論を『文藝春秋』『正論』『月刊WiLL』などに執筆。著作に『グローバル・スタンダードの罠』(日刊工業新聞社)『増補 日本経済新聞は信用できるか』(ちくま文庫)『間違いだらけのTPP』(朝日新書)『郵政崩壊とTPP』(文春新書)などがある。

目次

プロローグ――「東電叩き」という病理の中の日本 
本当に事故を防ぐ手立てはあったのか / ねじれ続ける原発事故の議論 / 事故は人災だという人が脱原発を唱える不思議 / この本の全体の構成

第一章 東電における「罪と罰」
東電は何の「罪」に問われているのか / 原子力賠償法に違反した菅政権 / 国家補償と無過失責任の間 / 菅政権の原発事故賠償スキーム / 「古賀ペーパー」とは何だったのか / 東電の社長にはテレビで土下座させろ / 原賠法三条一項を実行せよ / 猪瀬直樹副知事の人気取り / 製造したGEに責任はないのか / 市場原理で推進すれば事故は起こらなかった?

第二章 混迷をきわめた原発論者たちの「見識」
根拠がないのは政府だけではなかった / 自称「専門家」武田邦彦氏の暴走 / 元原子力技術者・大前研一氏の確率論 / 反原発主義者・小出裕彰氏の歪んだ情熱 / 反原発論の広瀬隆氏にみる「陰謀説」 / エネルギーの浪漫主義者・飯田哲也氏 / 堅実な技術評論家・桜井淳氏の動揺 / 原発論の「老舗」田原総一朗氏の思い込み / ブログの帝王・池田信夫氏の発送電分離論 / 東電への復讐を誓う古賀茂明氏 / 突然、エコ篤志家になった孫正義氏 / 脱原発・核武装を説く西尾幹二氏 / 明治天皇の玄孫・竹田恒泰氏の脱原発論  

第三章 事故調「報告書」の傲慢 
巨大地震を予測できた専門家はいなかった / 巨大地震の仕組みも分かっていなかった / 東電は貞観地震堆積物調査をしていた / 理論が違っても予知したことになるのか / そもそも地震予知に懐疑的な学者も多 / 地震予知の確率論もおかしくないのか / 間違った地震予知をしたら監獄にぶちこめ? / 東電の調査とシミュレーション / 東電の津波堆積物調査をなぜ無視するのか / 東電シミュレーションの確度 / 震源地も波源モデルも恣意的に設定 / 現実味がなかった大地震の予測 / 防波堤内と防波堤外の確率を比較するミス / 原発を壊したのは津波ではない? / 「逃がし安全弁」が作動しないのも地震? / 矛盾があればそれは地震前の破損なのか / 反原発を主張するための国会事故調報告書  

第四章 大災害リスクの確率論 
冷却用ディーゼル故障は一〇〇万分の一の確率? / 独立した事象とそうでない事象 / 原発事故は隕石が頭に当たる程度なのか / 加藤尚武『災害論』における確率論 / 原発事故は「聖なる一回性」ではない / 確率が成り立たない状況を孤立させるな / 主観的確率論から客観的確率論へ / 主観的確率と客観的確率は収斂するのか / 自然現象が絡む問題では背後の仕組みに着目せよ / FUKUSHIMAは原発事故の確率を何%上昇させたか / 内的事象のみの確率論的リスク解析 /「残余のリスク」と地震PSA基準の導入 / そもそも地震も津波もリスク解析は困難だった  

第五章 政府は「まとも」だったのか 
失態は棚に上げて自画自賛の菅直人元総理 / 政府事故調は冷淡、国会事故調も誤解レベル / 演説は評価しても、現場への干渉は逆効果 / ベントの遅延とイラ菅の激怒 / 武藤副社長を怒鳴りつける / 吉田所長に「救われた」注水中止事件 / SPEEDⅠを使わなかった理由 / 情報と知性を集約した官邸がこの程度  

第六章 逆『プロジェクトX』現象 
『プロジェクトX』における類型 / トヨタの電子回路は「欠陥品」だったのか / 逆『プロジェクトX』のいかがわしさ / 戦後のネガティブを集めれば東電になるのか / 労働組合を潰したから福島の悲劇は起こった? / 平岩外四は読書家だが「大悪人」? / 評価変化のピンホール現象 / 東電像の「パラダイム転換」 

第七章 恐怖が生み出した「災害」 
原発事故被害は過大に評価されている / 「私のブログでパニックが起こってもやむをえない」 / 放射線はなぜ危険だとされるのか / ICRPは陰謀団体なのか / 福島の避難命令は過剰な対策だった / 二〇一一年六月の時点で二〇キロ圏は解除できた / 細野大臣の失言で無駄な除染をすることに /「チェルノブイル並み」がもたらす絶望 / 放射線を浴びると子孫に影響が残る? / 過剰評価と偏見の果てに / 情報網に加速された「流言蜚語」の時代  

第八章 幻視のなかのエネルギー政策 
ドイツは電力を原発国フランスから輸入している / EUの電力市場化でドイツは独占が急速に進んだ / もう後悔が始まったドイツの脱原発 / 火事場泥棒としての「発送電分離論」/ 「欧米はもう発送電分離した」との虚言 / 電力の「統合」と「分離」のジレンマ / 日本の「二〇三〇年までに原発ゼロ」の迷妄 / 菅政権のいかがわしい置き土産 / 脱原発・発送電分離・自然エネルギーの欺瞞 / 偽物だらけの技術文明脱却論者たち / 脱原発を唱えるのは大戦の敗戦国ばかり / 援助が必要な被災地を「自立」させるという案 / 東北地方は知識人の「実験場」ではない

第九章 原発と原爆との必然的な関係 
核兵器が支配する悲惨な世界 / 核の「不使用という使用」 / 核拡散論者と非核拡散論者の論争 / モア・メイ・ビー・ベターの条件 / 西尾幹二氏が唱えた「脱原発・核武装」 / 脱原発・核武装は日本への愛なのか / 原発が攻撃されるから脱原発? / NPTを離脱したらIAEAは怖くない / 倒錯的な議論の裏にある幼児性 / 技術でも米国支配を脱して独自技術に 

第十章 歪んだ「東電叩き」の陥穽 
安全神話をめぐる偽善 / 百万分の一の確率でも超えた津波 / 最先端の地震学者でも想定外だった/ それでも原発を止めない世界の国々 / 東電解体論の火事場泥棒的行為 / 清水幾太郎の関東大震災論 / 新しい原発絶対安全神話の時代へ

エピローグ――福島第一原発事故がもたらした最大の災害は何か 
次々と行われる「火事場泥棒」 / 恐怖で頽落した日本人の精神

あとがき 

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