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現場の疑問を解決する
乾燥技術実務入門

定価(税込)  2,592円

編著
サイズ A5判
ページ数 224頁
ISBNコード 978-4-526-06969-7
コード C3043
発行月 2012年11月
ジャンル 化学

内容

乾燥の現場でのトラブルは、乾燥の操作の問題だけではなく、乾燥の条件や対象となる材料の特性の理解が十分でないことに起因するものが多い。そこで本書では初歩的な疑問やトラブルの対策を検討するにあたり必要とされる基礎的な知識や考え方を解説する。

目次

第1章 乾燥の基礎知識
1-1 乾燥に使用する空気の湿度
1-2 湿り空気の物性値
1-3 湿球温度
1-4 断熱冷却変化、等エンタルピー変化、等湿球温度変化
1-5 湿度図表
1-6 湿度図表の使い方
1-7 一般の気液系の取り扱い
1-8 含水率
1-9 水分の保有状態と移動機構
1-10 乾燥特性曲線
1-11 定率乾燥期間と減率乾燥期間
1-12 定率乾燥速度
1-13 伝導と輻射がある場合の定率乾燥速度
1-14 通気乾燥速度
1-15 減率乾燥速度
1-16 乾燥時間短縮法
1-17 乾燥速度の一般的な取り扱い
1-18 乾燥速度の推定

第2章 乾燥のメカニズムと品質保持
2-1 乾燥製品の水分の不均一
2-2 乾燥製品の熱変成
2-3 乾燥過程でのメイラード反応
2-4 乾燥過程での製品の着色
2-5 乾燥過程での剥離、クラック、変形
2-6 乾燥過程での構造変形
2-7 乾燥過程での組成偏析
2-8 塗布膜の表面平滑性
2-9 残留溶媒の低減化
2-10 乾燥過程におけるフレーバーの保存
2-11 乾燥過程での成分散失
2-12 乾燥糖質を用いた酵素の熱安定性の向上

第3章 乾燥装置の選定と設計
3-1 熱風受熱乾燥装置の特徴
3-2 熱風と材料の接触方式
3-3 伝導受熱乾燥装置の特徴
3-4 乾燥装置の選定
3-5 乾燥装置容積の簡便な見積り
3-6 回分式乾燥装置設計の考え方
3-7 回分式乾燥装置での乾燥時間の求め方
3-8 連続式熱風乾燥装置設計の考え方
3-9 熱風乾燥装置における熱収支と水分収支
3-10 乾燥装置容積の計算
3-11 乾燥装置の精密設計
3-12 乾燥装置のスケールアップ
3-13 乾燥装置の熱効率
3-14 排風の循環
3-15 乾燥装置の排風循環の指標

第4章 乾燥操作のトラブル事例
4-1 乾燥操作全般のトラブル
4-1-1 乾燥温度と乾燥時間
4-1-2 乾燥機からのダスティング
4-1-3 乾燥機内部の腐食と摩耗
4-1-4 乾燥機の安定運転
4-1-5 乾燥機内部の粉体の付着
4-1-6 乾燥機からの粉体の脈動
4-1-7 乾燥機内部での発火
4-1-8 乾燥製品の貯槽での固結
4-1-9 乾燥製品排出ロータリーバルブの閉塞
4-1-10 貯槽中の乾燥製品のブロッキング
4-1-11 排ダクト内への付着と腐食

4-2 製品品質に関するトラブル
4-2-1 製品色の変化
4-2-2 製品への異物の混入

4-3 熱風乾燥装置トラブル
4-3-1 熱風乾燥装置の能力不足(排気温度が高い場合)
4-3-2 熱風乾燥装置の能力不足(排気温度が低い場合)
4-3-3 減率乾燥期間における能力不足
4-3-4 熱風乾燥製品が塊状
4-3-5 医薬品の熱風乾燥における能力不足
4-3-6 流動乾燥機の流動が不良
4-3-7 流動乾燥製品の含水率変動
4-3-8 流動層乾燥装置における発火
4-3-9 流動層乾燥装置からの粉体の飛散
4-3-10 流動層乾燥装置での製品水分のムラ
4-3-11 熱風乾燥装置における蒸気使用量の増大
4-3-12 流動層乾燥機の流動不良
4-3-13 連続流動層乾燥装置での高含水率原料の堆積と閉塞
4-3-14 流動層乾燥装置における乾燥粉末粒子の損傷
4-3-15 噴霧乾燥機壁面への粉体固着
4-3-16 噴霧乾燥装置の底面、ダクトでのスケール固結
4-3-17 噴霧乾燥状態の指標としての出口熱風温度
4-3-18 夏場の噴霧乾燥製品の含水率上昇
4-3-19 脱水ケーキの気流乾燥における乾燥不良

4-4 伝導伝熱乾燥装置トラブル
4-4-1 製品粒径の変更に伴う伝導伝熱乾燥装置の能力不足
4-4-2 伝導伝熱乾燥装置の撹拌動力の増大
4-4-3 伝熱面付着による伝導伝熱乾燥装置の能力低下
4-4-4 パドルドライヤーの閉塞
4-4-5 パドルドライヤーでの原料付着
4-4-6 パドルドライヤーでの蓄熱と発火
4-4-7 パドルドライヤーの結露による乾燥不良
4-4-8 パドルドライヤーの排気処理設備トラブル
4-4-9 パドルドライヤーの回転軸貫通部からの粉体流出

はじめに

 乾燥とは水分あるいは溶剤を含む材料に熱を与えて水分(溶剤)を気化蒸発し、固体製品を得る操作である。この操作は熱を与えて水分を蒸発させる点から相変化を伴う熱と物質の同時移動現象の典型例である。
 乾燥の対象となる材料は陶器、木材のように大きな成形材料から、粉粒状、泥状、糊状、液状材料ときわめて多岐にわたり、多種多様な乾燥装置が用いられている。製造現場では、乾燥操作の複雑さ、装置の多様性、乾燥製品の品質の観点から多くのトラブルが発生している。また、機能性材料の製造においては、乾燥工程が製造プロセスの最終位置にあって乾燥後の材料の品質が製品品質に直結する場合が多い。したがって、乾燥過程における品質の保存、新しい機能の付与がきわめて重要である。
 乾燥装置に関しては、桐榮良三編「乾燥装置」(日刊工業新聞)や日本粉体工業協会(現日本粉体工業技術協会)編「乾燥装置マニュアル」(日刊工業新聞)などの名著が出版されてきた。しかし、製造現場でのトラブル事例を系統的に取り上げ、乾燥技術の基礎に立ち返って、トラブルの解決に資する書籍の出版が望まれて久しい。
本書は、第1章「乾燥の基礎知識」(田門 肇)、第2章「乾燥のメカニズムと品質保持」(田門 肇、諏訪 聡、辻本 進)、第3章「乾燥装置の選定と設計」(田門 肇、諏訪 聡)をQ&A形式で丁寧にわかりやすく説明した。さらに第4章「乾燥操作のトラブル事例」(大村幸正、諏訪 聡、辻本 進、脇屋和紀)は企業の第一線で活躍している技術者が自らの経験をもとにトラブル事例を解説する形式とした。トラブル事例の解決のニュアンスを正しく伝えるために形式や文体をあえて統一しなかった。筆者などの浅学のために内容の不備や校正その他の誤りも少なくないと思える。ここに、読者諸氏のご叱正をお願いしたい。この小著が乾燥技術に係る現場の疑問の解決に幾分なりとも役立つ処があれば望外の幸である。

2012年11月
編者識

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