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技術融合で「人に役立つ技術」を仕事にする!
「人を不幸にする技術」から脱却しよう

定価(税込)  2,420円

著者
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サイズ A5判
ページ数 220頁
ISBNコード 978-4-526-06919-2
コード C3034
発行月 2012年07月
ジャンル ビジネス

内容

「本当に人に役立つ」21世紀型ビジネスでの技術領域は1つの技術分野だけで完結できるものではなく、多くの技術分野が融合して成立する。本書はその技術融合について、その特徴と事例、問題点などを、それぞれの技術課題別に紹介したもの。本書で「人を不幸にする技術」から脱却しよう。

戟 忠希  著者プロフィール

技術士(応用理学部門、総合技術監理部門)、APEC ENGINEER(Civil, Structual)
環境計量士、一級土木施行管理技士
S29年生まれ 大阪府出身 大阪市立大学理学部卒業
株式会社 HOKOネットワーク  代表取締役社長
特定非営利活動法人 地盤・地下水環境NET  専務理事
一般社団法人 知財経営ネットワーク  理事

大手建設コンサルタント会社勤務の後、独立し現在に至る。建設コンサルタント会社では、リモートセンシング技術の土木分野への適応や岩盤斜面安定性のエキスパートシステムの研究を行った。
特定非営利活動法人 地盤・地下水環境NETでは、科学技術の振興および環境保全を図る活動を推進している。また、一般社団法人 知財経営ネットワークでは、知財経営関連のコンサルタントを行っている。

平松 新  著者プロフィール

技術士(情報工学部門)
特種情報処理技術者、一種情報処理技術者
S29年生まれ 兵庫県出身
京都大学大学院 工学研究科 電気工学専攻 修士修了
株式会社新陽企画  代表取締役
特定非営利活動法人 兵庫県技術士会  理事

川崎重工業(株)技術開発本部において、陸海空、産業用ロボットからロケット追跡センサまで幅広いテーマの技術開発に携わり、ロボット用視覚センサ(ビジョンシステム)はハード設計、ソフト設計の先頭に立ち、産業用ロボットの販路開拓に貢献した。
都金属工業(株)、(株)新陽企画の代表取締役に就任し、生産管理システムMc∑?を開発し、多くの製造業へ導入した。さらに、(独)中小企業基盤整備機構、(公財)ひょうご産業活性化センター、国立大学法人大阪大学などの経営支援アドバイザー、マネージャー、特許流通アドバイザーを歴任。モノづくり現場を知りつくしたコンサルティングが強みである。

目次

第1章
人を不幸にする技術:
これまでの技術の問題点
序 説 人を不幸にする技術とは
1-1 エネルギー問題
1-2 廃棄物問題
[コラム1]未利用エネルギー
1-3 制御システムが抱える問題
1-4 情報システムが抱える問題
[コラム2]個人情報保護法

第2章
技術融合で技術の可能性を広げる:
問題点の解決策に必要な技術融合
序 説 技術融合の必要性
2-1 再生可能エネルギー
2-2 水の浄化技術
[コラム3]ナノテクノロジー
2-3 セーフティ技術の開発
2-4 セキュリティ技術の開発
[コラム4]ネチケット

第3章
人・環境に優しい技術は技術融合で
構成されている:問題点の克服
序 説 環境保全の必要性
3-1 バイオマスエネルギー
3-2 修復・浄化技術
[コラム5]排出権取引ビジネス
3-3 人に優しいロボット
3-4 人工の五感機能
[コラム6]左脳と右脳

第4章
不適切な技術融合は負の連鎖に
つながる:問題点の掘り下げ
序 説 未然防止の必要性
4-1 原発力発電所事故~大停電
4-2 環境災害
[コラム7]技術者倫理
4-3 ロボットの操作環境
4-4 大規模情報システム
[コラム8]電子タグ

第5章
技術を融合して、豊かな社会を創出しよう:
技術融合で事業化
序 説 21世紀型科学技術
5-1 電力ビジネス
5-2 リサイクルビジネス
[コラム9]技術者個人にも有効な異業種交流
5-3 医療ロボット

5-4 ネットワークシステム
[コラム10]オープンシステム

第6章
技術融合の方法を個人に活かす:
21世紀を担う技術者
序 説 安心安全社会の実現
6-1 技術者のネットワークを活用
6-2 技術者として環境教育・防災教育への参画
[コラム11]個人の知的資産
6-3 安全教育の実施
6-4 情報教育の実施
[コラム12]情報リテラシー

参考文献一覧

おわりに

はじめに

 科学技術の進歩には、専門化(細分化)と融合化(総合化)の二つの方向があります。前者は専門分野がさらに細分化していく方向であり、後者は分かれた専門分野が再度結合し、新しい形で統合され、統一化されていく方向です。
この両者の存在があって、初めて役に立つ優れた技術が確立されていくと考えられます。

 個別の技術だけではなく、「特別な目的」を「限られた期間」で達成するための組織活動であるプロジェクトを考えた場合にも、技術融合が重要であることがわかります。
 NASAの月面着陸を目指したアポロ計画では、異なる専門領域の活動を目的達成に向けて結集させ、前人未到の快挙を成し遂げました。宇宙船は従来の航空機などの技術の延長だけではなく、宇宙という未知の空間で活動するために必要となる技術を融合させる必要があったとともに、宇宙船と地上との交信に係わる技術なども必要でした。
つまり、技術の融合がなければ成功しなかったことは明らかです。

 ところで、大深度地下の利用ということを聞いたことがあるでしょうか。土地利用の高度化・複雑化が進んでいる都市圏では、都市再生や都市機能の強化などの目的に対して地下深くに、上下水道、電気などの生活に密着したライフラインや河川、道路、鉄道などの社会資本の整備を合理的に行う必要性から大深度地下を利用することが考えられています。
 大深度地下が開発されると、地下駅や地下の避難シェルターなどは、地下都市となります。この地下都市を建設するためには、地下を掘削する土木技術、生活の場を造る建築技術、情報伝達を行うための電気技術、昇降設備を構築するための機械技術など、多くの技術融合が必要となります。

 読者の皆さんは、20世紀のビジネスと21世紀のビジネスの違いを把握しておられるでしょうか。本書は21世紀ビジネスを形成する技術内容に着目し、技術者として目指すべき方向性について示したいと考えています。

 20世紀のビジネスの特徴は、大量生産と大量消費にあると考えられます。つまり、近代化という一元的な価値観で、“資源・エネルギー多消費型”の産業の発展が必要不可欠となりました。この結果、20世紀後半には、世界的規模で急速に経済活動が拡大するとともに、技術革新に伴う環境破壊、人口増大に対応する農地の拡大、都市化、工業化に伴う環境破壊が進行し、一国のみでは解決できない地球環境問題を引き起こすことになりました。

 一方、21世紀には、世界的な人口増加と所得向上に伴い、20世紀型の産業構造、生活スタイルの継続は困難になっています。つまり、資源・エネルギーの制約を克服する技術革新が必要不可欠となり、このような技術革新がないとサスティナブル(持続可能)な経済システムへの転換がなされません。

 つまり、20世紀は与えられた課題に対して最適な局所解を生み出すことに力点を置き『機能重視、供給者重視、大量消費・大量廃棄』を行いながら経済が成長していく時代でありました。しかし、そのような経済成長は限界を迎えました。

 21世紀の経済成長の大きな制約要因として、環境・資源・エネルギーがあります。これらの問題を解決し、持続可能な成長を図ることが21世紀ビジネスの特徴となります。20世紀の経済と比較すると『環境重視、人間重視、持続発展可能追求』となります。つまり、時代が要求する技術的な目標を探求し、全体最適化を目指して、より良いモノを作り出すことが重要となります。
 そのためには、材料、機械、電気などの分野で縦割りした研究開発体制ではなく、最適な社会を構築する“コンセプト創造型”の研究体制とし、技術を融合させることが必要不可欠になります。
このように20世紀から21世紀の技術面での目標は「効率性第一主義」から「効率性と環境保全・安全性・省資源との調和」へと変化してきています。

 ここで技術革新、技術融合という言葉について少し整理しておきます。
 技術革新とは技術の発展における画期的な新局面を意味します。大きな技術革新は、優れた新技術の発明が不可欠です。一般的に、科学技術の飛躍的な技術革新は新たな物質と材料の出現によってもたらされます。
 旧来の技術を圧倒して企業の中に取り入れられて、次から次に関連部門に波及して新しい産業が創出されます。
 歴史的に見ますと18世紀後半から19世紀初期にかけてイギリスにおいて進行した産業革命は、近代において重要な技術革新であったといえます。この変革は、蒸気機関、工作機械、鉄道、電信などの技術の諸分野に波及し、小経営やマニュファクチュア(工場制手工業)に代わって、機械制大工業を主要な生産方式として登場させました。
 次の技術革新は19世紀末期に、電気(電灯・電動機・電気化学など)、有機化学と合成物質、内燃機関と自動車、蒸気タービンと精密機械や流れ作業方式などに象徴される新技術が現れ、新たな工業発展をもたらしました。
 とりわけ注目に値するのは電気です。エネルギー変換がきわめて容易であるという特質をもつ電気は、電灯、電動機、電熱など多様な商品形態をとって、あらゆる産業分野に入り込み、事務所、家庭にも電化・機械化の突破口を切り開き、遠距離送電網を構築しました。この一大電力体系の成立は、産業の発展を局地的制限から解放することになりました。

 一方、技術融合とは異なった技術を組み合わせることをいいます。ちなみに、同じ領域の技術を組み合わせることは技術統合といいます。
 どの技術分野でもいえますが、技術というものはそれ単独で成長していくというものでもなく、それぞれある程度の高度化が達成され、かつその高度化も互いにバランスのとれたレベルになると、つまり、それぞれの技術進歩のレベルがほぼ同レベルになると互いに他の技術を取り入れる、あるいは組み合せることができるようになり、互いに融合して成長していきます。
その結果、これまで思いもつかなかったような新たな可能性、新たな発展が広がってきます。また、技術融合が一層広まるとともに、融合技術それ自体がさらなる成長を遂げることにもあります。そして、そのような流れの中に新しいビジネスチャンスが誕生します。

 たとえば、情報処理技術としてのコンピュータ技術、電池も含めた超小型電子回路技術としてのマイクロエレクトロニクス技術、そして情報伝達技術としての通信技術(テレコミュニケーション技術)は、情報関連の大きな三つの技術です。
 これら三つの技術は、それぞれ単独で存在していても社会に大きなインパクトを与える技術ですので、それぞれの分野で成長、発展してきたものですが、1980年代初期には互いの高度化にバランスがとれ出して、技術融合が起こり出しました。
 21世紀ビジネスで必要となる技術は一つの分野だけで完結するものではありません、多くの技術分野が融合して成立するものであります。
 本書では、21世紀ビジネスとして注目されるエネルギー技術、環境技術、制御技術、IT技術などについて、これらの技術をビジネス展開していく上で必要な技術融合について考えていきます。
 ただし、技術融合は今後の技術開発にとって有効な手段ですが、明るい未来が約束されるというわけではなく、問題点も有しております。
本書では、次の6項目について考察していきます。
・これまでの技術の問題点の抽出
・技術融合で技術の可能性を探る
・技術融合で問題点を解決する(21世紀型技術)
・再発しないように問題点を掘り下げる
・技術融合で事業化する
・21世紀社会を担う技術者

 本書の読者の多くは技術者であると思います。21世紀に活躍できる技術者とは、部分最適を全体最適の中で実現できるいわゆるプロフェッショナルといわれるような技術者だと考えられます。
本書で抽出した各技術は、いずれも多分野の技術融合が必要なものばかりです。あなたの現在携わっている技術あるいは将来関わろうとしている技術は、おそらく、多分野の技術融合が必要なものであると思います。

 読者の皆様には、プロジェクトをマネジメントしていく感覚で自らの技術力を研鑽していき、21世紀ビジネスをリードしていく技術者になっていただきたいと願っています。
 このためには、自分自身および他者の保有する知的資産をうまく引き出し最適な融合をさせていくことが重要になります。自分の技術分野とは関係ないと思われる技術分野においても、実際は融合することで独創性のある技術が確立できます。21世紀はあなたの技術がどこかで必要になる時代です。プロフェッショナルと称される技術者を目指して、21世紀ビジネスを先導していただきたいと思います。

戟 忠希

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