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思いどおりの「樹脂部品設計」ここがポイント!

定価(税込)  2,200円

著者
編著
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06892-8
コード C3053
発行月 2012年05月
ジャンル 機械

内容

本書は、作りやすく、トラブルのない、見栄えのよい樹脂部品設計をするためにはどうすればよいか、下流工程の型設計・射出成形加工の立場から見てどんな設計が望ましく、どんな設計が拙いのかをわかりやすく教えた本。成形・金型・材料のそれぞれの基礎を織りまぜつつ、設計形状に関する具体的なTipsを各々図やイラストもまじえて解説する。

プロトラブズ  著者プロフィール

プロトラブズ合同会社
米国Proto Labs, Inc.の日本法人として2009 年に事業を開始。ITを駆使した短納期システムにより自動化をはかり、Protomold射出成形およびFirstcut切削加工による樹脂や金属パーツの生産を日本全国の製品開発者から受託。生産はすべて、神奈川県の自社工場で実施している。対話式のオンライン見積りを4時間以内(2011年の平均)に回答し、最短1日でパーツを製作して出荷するというスピードで試作や小ロット生産に対応している。

水野 操  著者プロフィール

(みずの みさお)
1967年東京生まれ。1992年Embry-Riddle Aeronautical University(米国フロリダ州)航空宇宙工学修士課程修了。外資系CAEベンダーにて非線形解析業務に携わった後、PLMベンダーにて複数の大手自動車会社にて、3D CAD、PLMの導入に携わる。その後外資系コンサルティングファームにて、大手メーカーの開発プロセス改革のコンサルティング業務に携わる。さらに、外資系企業の日本法人立ち上げや新規事業企画、営業推進などを経験した後、2004年にニコラデザイン・アンド・テクノロジーを起業し、代表取締役に就任。現在同社にて、オリジナルブランド展開や、新規事業企画、マーケティングコンサルティングを推進。社団法人3Dデータを活用する会(3D-GAN)理事
主な著書に、『絵ときでわかる3次元CADの本選び方・使い方・メリットの出し方』、『SolidWorksコマンド徹底マスター』、『SolidWorksでできる設計者CAE』。

目次

はじめに

Chapter1 パーツを射出成形で作るための4つの基礎知識
1 射出成形を成功させるための基本的なルール
2 樹脂部品の仕上がりを左右する肉厚の設計(基本ルール1A:均一な肉厚)
3 抜き勾配が必要な理由(基本ルール1B:抜き勾配)
4 成功する樹脂の選び方(基本ルール1C:樹脂の選択)
5 射出成形とは(基本ルール1D:製造プロセスを理解する)
Column 試作と射出成形と切削加工と3Dプリンタ

Chapter2 加工を意識したモデリング
6 加工を意識して抜き勾配をモデリングをしよう!
7 射出成形におけるムダの無い設計とは?パーツのメタボ対策

Chapter3 強いパーツの作り方
8 とにかくエッジを丸めると、綺麗で強いパーツが作れる!?(角やエッジにRが必要な理由とは)
9 ボスの正しい作り方
10 穴形状付近のウェルドラインを避ける
11 スムーズな樹脂の流れが強いパーツを作る 樹脂流動にまつわる悩みとその対処法


Chapter4 きれいなパーツの作り方
12 パーツを金型から押し出す「エジェクタピン」の扱いがパーツの品質に与える影響
13 このパーツを作るのにふさわしいゲート設計のポイント
14 金型のどちら側で製品面を作ればよいのか? 金型の固定側・可動側の選択
15 パーツはどこで分割すれば綺麗に仕上がるか? パーティングラインはこう決める

Chapter5 アンダーカットとシボの扱い方
16 凹んだ形状を作るにはどうすれば良いのか? スライドで成形するアンダーカット形状
17 スライドを使った抜き勾配と肉厚を減らす方法 アンダーカットだけではないスライドの多様な活かし方
18 強引にアンダーカットを成形する方法 無理抜きで成形するアンダーカット
19 光沢のない仕上げにしたい シボ加工を適用する

Chapter6 具体的なフィーチャの成形例
20 樹脂パーツで文字を成形するには
21 嵌合パーツの設計
22 リビングヒンジの設計と成形
23 複雑なコネクタを樹脂部品で作るには
24 射出成形で光学パーツを作る
Column 番外トピック 生分解性樹脂の使い方
Column 3Dデータと射出成形

参考情報 効果的な試作手法の選び方のヒント

はじめに

 この本は、射出成形自体を説明している本ではありません。設計者が、射出成形によってパーツを作るための設計、モデリングのノウハウにフォーカスしています。
 本書の内容は、短納期射出成形と切削加工でパーツを製造するプロトラブズが、毎月配信しているメールマガジン「樹脂部品設計の秘訣 Design Tips」をベースに加筆、編集したものです。プロトラブズのプロセスにおいて、設計者が必ず用意しておかねければならないものは、3Dデータだけです。このプロセスは、従来からの図面ベースでやり取りよりも、設計者の意図がしっかりと成形品に反映させやすいプロセスといえます。それは一方で成形性を考えた3Dデータの修正も、設計者自身が行わなくてはならないということになります。そのためのヒントとして提供しているのが、Design Tipsです。
 しかし、どのようなプロセスであろうと、射出成形でパーツを成形する際に求められる知識やノウハウの基本的なものは共通で、それを知ることは射出成形によってパーツを作ろうとするすべての設計者にとって有益だと考えました。そこで、今回はDesign Tipsを、より一般的な形に編集しなおしてお届けすることを意図しました。
 射出成形によって樹脂パーツを成形する場合には、樹脂の特性を意識してパーツをモデリングしなければ、意図したとおりの形状には仕上がりません。また、金型との関係も意識しなければなりません。抜き勾配の考慮はもとより、ゲートの位置や種類、エジェクタピンなどパーツの成形に様々な影響を与えるものを考慮しなければならないのです。成形品を意識しないで設計を進めると、いざパーツを作ろうとした時に、形状によっては設計変更が必要になるなど手戻りの原因になることもあります。
 本書の中では射出成形によってパーツを作るための様々な基礎知識を説明していますが、パーツを設計している時から成形性を意識してモデリングを進めることが手戻りを削減し、ひいてはサイクルタイムの短縮にもつながります。とはいっても、これまでに射出成形によるパーツの設計をしたことがないと、成形性を意識するとはどういうことなのか、何に気をつけて設計を進めなければならないのかがよくわからないのが現実だと思います。
 本書では、まず第1章で最も基本的なルールについて説明し、射出成形でパーツを作る上で最低限守らなければならならいルールについて説明しています。しかるべき強度や品質を保つためにはどうすればよいのか、という情報を加えています。また、品質面の問題だけではなく、より複雑な構造を成形するためのスライドの活用など形状的な視点の情報も加えています。
 もちろん、本書で説明している知識やノウハウはごく一部のものであ基礎的なものです。実際に設計を進め、射出成形の技術者と話をしていると、より具体的な課題が出てくるものと思います。しかし、本書で書かれている最も基本的な情報を理解して設計を進めることで、無用な間違いや手戻りというものを減らすことができます。

 本書は、射出成形が本業ではない設計者目線になるように、射出成形の技術そのものから説明をするのではなく、あくまでも製品やパーツをどう作るのか、あるいは強度や表面の品質を守って成形するには何をしたらよいのかをまず定義し、そこから必要とされる射出成形上のノウハウはどのようなものかを説明する流れで説明ができるように工夫しました。その意味では、逆引き的な意味合いを持った構成にもなっています。
 なお、できる限り一般的な形で編集し直していますが、一部プロトラズ社のプロセス特有のものも記述してあるところがあります。ご了承ください。

 本書で示されている内容は、射出成作を意識したパーツ設計のための知識のごく基本的なものではありますが、これから射出成形を手がける設計者の手がかりの一部となり、またすでに経験のある設計者にとっても、成形のノウハウを確認するための一助となれば幸いです。

2012年5月吉日 水野操

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