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震災に負けない 復元力のある企業をつくる!

定価(税込)  2,200円

著者
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サイズ A5判
ページ数 176頁
ISBNコード 978-4-526-06853-9
コード C3034
発行月 2012年03月
ジャンル ビジネス

内容

東日本大震災では、直接・間接を問わず、事業活動に大きな影響を受け、その活動が止まってしまった企業は少なくなかった。本書では、今後起こりうる震災に備えるため、この中断した事業活動をどう復元するか、またその復元力を事前に備えるにはどうすればいいのか、具体的に解説していく。

嶋 正和  著者プロフィール

(しま まさかず)
株式会社ロジスティック 代表取締役、株式会社プランテックコンサルティング取締役。ボストン・コンサルティング・グループ、フットワークエクスプレス、ローランド・ベルガーを経て2000年に株式会社ロジスティックを設立。サプライチェーンと専門とするコンサルティングを手かける、著書に「図解 よくわかるFTA」FTAの活用コンサルティングでは第一人者。

角野文和  著者プロフィール

(かどの ふみかず)
株式会社プランテックコンサルティング大阪オフィス代表。
1989年に株式会社プランテック総合計画事務所に入所、2006年株式会社プランテック総合計画事務所代表取締役所長就任、2009年株式会社プランテックコンサルティング取締役副社長に就任。2011年大阪オフィス代表就任
 商業、官公庁、ホテル、研修所、工場、研究所等、多くの設計監理業務を経験する。代表的プロジェクトとして、日産デザインセンター、サントリー商品開発センター等。2011年、現職に至る。現在、多くの設計監理経験を生かしファシリティーコンサルティング業務を中心に活動中。

笠原英樹  著者プロフィール

(かさはら ひでき)
株式会社プランテックコンサルティング執行役員。
1994年に株式会社創元設計に入社し工場、倉庫、配送・流通施設等の設計監理業務を多く経験し、2004年に株式会社プランテック総合計画事務所に入社。工場施設再編や研究施設等の設計監理業務を経て、2008年、現職に至る。
 現在、設計監理経験を生かし物流コンサルティング業務を中心に活動中。

目次

はじめに 

第1章 東日本大震災が教えてくれた日本企業の脆弱性
 1 日本に存在することと、企業のかかえるリスク 
 2 3つのある被災企業の事例を見るとリスクがわかる 

第2章 震災だけではない企業の抱えるリスク
 1 リスクへの優先順位を考える「リスクマップ」 
 2 リスクごとの問題点を考えてみる 

第3章 ますます重要になる企業の復元力
 1 復元力のための重要な二つの切り口 
 2 復元力の違いがもたらした企業の命運 
 3 企業の復元力:いかに被害を最小限に抑えるか 
 4 企業の復元力:いかに被害からの回復を短時間にするか 
 5 2つのシステム(サプライ・チェーンとファシリティ) 

第4章 SCF(サプライチェーン&ファシリティ)リスク分析
 1 リスクに対する現状をキチンと把握してるか 
 2 SCFリスク評価の進め方 
 3 強いサプライ・チェーンに鍛え上げる 
 4 サプライ・チェーンの冗長性と経営判断 

第5章 リスクを回避するファシリティに関する視点
 1 大震災で起こったこととファシリティ 
 2 震災でも止まらない工場をつくる 
 3 震災の経験から見えてくるボトルネック 
 4 東日本大震災では他にも色々な事がおこっていた 
 5 自社の事業所の体力はどうなっているのか? 
 6 難しい施設診断?予防するには自身がどうなっているか知らないと出来ない? 
 7 事業所のグランドプランを作る 
 8 色々な事が起こることは分かったが、一体どうやって対策をしていけばいいのか? 
 9 日本企業のファシリティ・マネジメントの欠如 

第6章 企業のリ・デザインこそが本当のリスク回避
 1 企業の現状の事業構造を「正ではない」と考えてみる 
 2 経営戦略セオリー:原点に戻ろう 
 3 経営戦略分析ツール:プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM) 

おわりに

はじめに

 皆さんが働いていたり、経営している会社には、基本的に"Going Concern"であるという前提があります。日本語では「継続的」と訳されますが、企業には来年、再来年があり、"事業が継続されることが前提である存在"であるということです。
 経営で失敗しない限り、会社が継続するのは極々当たり前のことですが、私たちは、2011年3月11日にそのことが必ずしも当り前でなかったということを目の当たりにしました。東日本大震災です。世界史上4番目の地震の大きさ、経験のない津波被害、そして、それに伴い発生した原子力発電所事故と、今回の東日本大震災は甚大な被害を出した未曾有の出来事でした。まずは、この震災、津波、原子力発電所事故により、苦難に直面している多くの方々、企業に深く哀悼の意を表したく思います。
 そして、7月には、タイで洪水が発生しました。これらによって日本企業の中には企業の大小にかかわらず、大きなダメージを蒙り、経営困難、はては倒産、廃業に追い込まれたところが多々ありました。自然災害リスク、これは天災である以上避けて通れませんが、そのリスクの低減をどうするかを考えないと企業としての「継続性」を維持できないことが明らかになったのです。
 これらの災害・事故は、企業に対して潜在的な課題を表面化させました。サプライ・チェーンの脆弱さとその冗長性のなさ、そして工場施設などのファシリティの脆弱さなどです。これにより企業経営が立ちゆかなくなったところも少なくありません。例えば飲料製造では、原材料となったペットボトルのキャップ、周りに巻くフィルムを供給している東北の会社が震災により出荷不能になることで、震災被害とは無縁の関西の飲料メーカーで製品の製造ができなくなりました。また、とある北関東にある自動車部品メーカーは、以前から震災対策を施しており、生産には多少の影響が出たものの、出荷できる状況でした。しかし、数万点のパーツを使って組み立てる彼らの顧客である自動車メーカーが、一部のパーツの供給不足により生産ができなくなり、それゆえ、この部品メーカーは出荷停止を余儀なくされました。また、これらの問題は日本だけにとどまりませんでした。世界中の主だったメーカーは日本からの部品の供給が滞ることで生産が停止、ないしは減産せざるを得ない状況に追い込まれたのです。自社が大丈夫でもサプライチェーン上、他で問題があれば企業経営が立ちゆかなくなるのです。
 日本企業のサプライ・チェーンの組立ての主眼は、カッコよく言えば、Lean & Agileと言われる筋肉質で機敏なサプライ・チェーンを構築することにありました。トヨタのカンバンに代表されるような、供給をタイムリーにし、在庫を極力減らすこと、また、物流も厳格なタイムテーブルを設定するなど、かなりシステマチックかつスリムにすることで、生産に無駄がなく、かつトータルコストを削減することを達成しています。これらはサプライ・チェーンの中にいるプレーヤーの数を絞り、仕組みを徹底し、無駄を排除することでなされているのです。
 こういったギリギリにチューンされた「システム」は確かに平常時には有効に機能しますが、今回のような震災時にはとても脆いと言えます。この震災経験から、地震を含めた数ある企業のリスクに対しての明確な対応を、日本企業は早急に構築する必要があります。
 東日本大震災では、日本企業が苦境に立っただけでなく、日本企業の製品・部品に依存していた海外企業もまた、商品調達ができないことで製品が作れず、販売できなくなり、企業の収益基盤を大きく揺るがしました。
 タイの洪水では、商品を日本に供給できず、またその損害の大きさから企業の「継続性」が大きな課題にもなっています。原材料・部品の調達、製造、販売がグローバル化したグローバル・サプライ・チェーンは、自由貿易協定(FTA)の全世界的拡大に支えられて、低コスト生産、販売エリアの拡大チャンスを企業にもたらしましたが、その一方で、この他国をまたぐコントロールがむずかしいサプライ・チェーンを、こういう時にどう維持するかも大きな問題になっています。
 また、金融のグローバル化による連鎖反応がもたらす脆弱性も見過ごすことはできません。2009年のリーマンショック、2011年のギリシャに始まったEU危機、金融の連鎖性が、いきなり企業の存在基盤を脅かしました。金融の連鎖性で発生する海外市場の急速な減速、長期化している円高など、これらは、一企業では対処できない問題ですが、見えない大きな津波として企業に襲い掛かってきます。
 1世紀前には、多くの企業は各地域のローカル企業でした。それが今や世界全体での経済に影響を与え、与えられるポジションにある企業が多くなってきたのです。この本のテーマは、この広がった経営環境変化にどう対応するのか、企業をどう継続させるかということです。しかし、企業の「継続性」に対する脅威(リスク)をなくすことに関して正解はありません。が、私たちのこれまでの経験を通じて、少なくともそのリスクを減らすことができるのではないかという思いでいます。
 そのエッセンスをこの本に込めました。それが皆様のお役に少しでもたてるのでしたら、幸いに存じます。
 なお、本書は私、嶋が第1?4章と第6章を担当し、プランテック・コンサルティングの角野と笠原が第5章を担当しました。

 2012年3月
 嶋 正和

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