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機能性包装の基礎と実践

定価(税込)  3,080円

著者
サイズ A5判
ページ数 272頁
ISBNコード 978-4-526-06801-0
コード C3050
発行月 2011年12月
ジャンル その他

内容

包装に要求される必須の条件に加えて、付加価値的な機能が付与されている包装を機能性包装という。本書では、機能性包装の理解に必須の基礎知識と、実用化されている機能性包装についてその機能性実現のメカニズムを事例とともに解説する。

葛良忠彦  著者プロフィール

(かつら ただひこ)

1965年3月 京都大学工学部高分子化学科 卒業
1971年3月 京都大学大学院工学研究科高分子化学専攻 博士課程修了
同年4月 東洋製罐(株)入社 東洋製罐グループ綜合研究所 第3研究室 勤務
1983年12月 McGill大学(カナダ)化学工学科 研究員(Post Doctral Fellow)(1年間)
1989年7月 東洋製罐グループ綜合研究所 調査企画室 室長
2003年4月 東洋製罐(株) 定年退職
2004年5月 包装科学研究所 主席研究員
工学博士(オレフィン系コポリマー結晶の不完全性に関する研究)
プラスチック成形加工学会 評議員
日本包装学会 監事、学会誌編集委員
SPE日本支部 理事
日本合成樹脂技術協会 理事

目次

まえがき

1.包装とは
 1.1 包装の起源
 1.2 包装の目的
 1.3 包装の定義
 1.4 包装技法と食品・医薬品包装に要求される機能特性
 1.5 輸送包装に要求される機能特性
2.機能性包装とは
 2.1 機能性包装の機能性
 2.2 機能性包装材料の機能の種類
3.アクティブパッケージングとは
4.インテリジェントパッケージングとは
5.スマートパッケージングとは
6.ガスバリア包装技術
 6.1 ガスバリア技法
 6.2 プラスチックのガス透過性
  6.1.1 多孔質フィルムと非多孔質フィルムのガス透過
  6.1.2 フィルム中のガス透過過程と透過式
 6.3 高分子構造とガス・水蒸気透過性
  6.3.1 高分子1次構造
  6.3.2 高分子固体構造
  6.3.3 結晶化度
  6.3.4 分子配向
  6.3.5 ガス透過性に影響を及ぼす因子
  6.3.6 ガス透過度の温度依存性
  6.3.7 ガス透過度の湿度依存性
  6.3.8 分子配向の透過度に及ぼす影響
  6.3.9 結晶化度の透過度に及ぼす影響
 6.4 高分子多相系のガス透過
 6.5 ガスバリア性付与の方法
  6.5.1 ラミネーション方法
  6.5.2 多層ブロー成形法
  6.5.3 2次加工による表面改質方法
 6.6 パッシブバリアフィルム
  6.6.1 樹脂系バリアフィルム
  6.6.2 樹脂コート・バリアフィルム
  6.6.3 ナノコンポジット系樹脂コート・バリアフィルム
  6.6.4 アルミ蒸着フィルム
  6.6.5 透明蒸着バリアフィルム
 6.7 パッシブバリア包装材料の適用例
  6.7.1 機能性多層フィルム包装
  6.7.2 プラスチックシート成形容器
  6.7.3 ポリオレフィン系多層ブローボトル
  6.7.4 多層PETボトル
 6.8 PETボトルのコーティングによる高機能化
  6.8.1 樹脂系コーティングPETボトル
  6.8.2 シリカコーティングPETボトル
  6.8.3 カーボンコーティングPETボトル
7.真空・ガス置換包装技術
 7.1 真空包装技法とは
 7.2 ガス置換包装とは
 7.3 真空・ガス置換包装による効果
  7.3.1 真空包装による微生物制御
  7.3.2 ガス置換包装における好気性菌の静菌効果
  7.3.3 ガス置換包装におけるカビ発生防止効果
  7.3.4 酸化防止効果
  7.3.5 変色・退色防止効果
  7.3.6 ガス置換包装の損傷防止効果
 7.4 真空・ガス置換包装に用いられる包装材料と包装形態
 7.5 真空・ガス置換包装システム
  7.5.1 真空包装システム
  7.5.2 ガス置換包装システム
8.防湿包装技術
 8.1 水分活性
 8.2 微生物と水分活性
 8.3 化学的・物理的変質と水分活性
 8.4 プラスチック包材による防湿包装
9.臭気防止対策と保香性包装技法
 9.1 包装材料における臭気発生原因
  9.1.1 臭気原因物質の移行
  9.1.2 外部の臭気原因物質の包装材料を通しての内容品への移行
  9.1.3 外的要因による包装食品の臭気発生
  9.1.4 香気成分のフィルム・容器への収着
 9.2 臭気成分・香気成分のバリア性
 9.3 香気成分の収着性
 9.4 フレーバー評価方法
  9.4.1 官能検査
  9.4.2 機器分析法
 9.5 各種プラスチック材料の保香性
 9.6 飲料・食品包装フィルム、容器の臭気防止対策
  9.6.1 臭気原因物質の低減方法
  9.6.2 ファンクショナルバリアの考え方
 9.7 臭気防止・保香性包装用材料
  9.7.1 エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)
  9.7.2 ポリ塩化ビニリデン(PVDC)
  9.7.3 ポリアクリロニトリル(PAN)
  9.7.4 ポリエチレンテレフタレート(PET)
  9.7.5 ナイロン
  9.7.6 各種コーティングフィルム
 9.8 バリア性包装・容器の適用例
  9.8.1 食品・飲料包装容器
  9.8.2 医薬品関係包装
  9.8.3 ガソリン・溶剤類への用途例
10.遮光包装技術
 10.1 食品の酸化と光線
 10.2 選択遮光
 10.3 紫外線遮断
11.脱酸素剤封入包装技術
 11.1 脱酸素剤開発の歴史
 11.2 脱酸素剤の反応原理と種類
 11.3 脱酸素剤による微生物制御
  11.3.1 細菌の生育に及ぼす影響
  11.3.2 酵母の生育に及ぼす影響
  11.3.3 カビの生育に及ぼす影響
 11.4 脱酸素剤封入包装における包装材料の選定
 11.5 脱酸素剤封入包装の適用例と品質保持効果
  11.5.1 生および半生菓子類
  11.5.2 畜産製品
  11.5.3 水産製品
  11.5.4 米飯、切り餅、麺類
12.アクティブバリア包装技術
 12.1 アクティブバリア包装の原理と技法
 12.2 アクティブバリア包材開発の歴史
 12.3 アクティブバリア材(酸素吸収剤)の種類とその酸素吸収機構
  12.3.1 還元鉄系酸素吸収剤
  12.3.2 アスコルビン酸系酸素吸収剤
  12.3.3 MXD6ナイロン・コバルト塩系酸素吸収剤
  12.3.4 MXD6ナイロン・2重結合系ポリマー・コバルト塩系酸素吸収剤
  12.3.5 2重結合ポリマー・コバルト塩系酸素吸収剤
  12.3.6 ポリエチレン・スチレン系樹脂・触媒系酸素吸収剤
  12.3.7 シクロヘキセン基含有ポリマー系酸素吸収剤
  12.3.8 酸化セリウム系酸素吸収剤
 12.4 アクティブバリア材の適用状況
  12.4.1 無菌米飯包装
  12.4.2 湯殺菌・レトルト食品包装
  12.4.3 カップ飲料包装
  12.4.4 酸素吸収性キャップ
  12.4.5 食品用アクティブバリアボトル
  12.4.6 飲料用アクティブバリアPETボトル
13.水分吸収性包装技術
14.鮮度保持包装技術
 14.1 青果物の生理活性
  14.1.1 呼吸作用
  14.1.2 成長ホルモン作用
  14.1.3 水分蒸散作用
  14.1.4 栄養成分の変化
 14.2 青果物の鮮度に影響する要因
  14.2.1 温 度
  14.2.2 湿 度
  14.2.3 環境ガス濃度
  14.2.4 微生物
  14.2.5 物理的要因
 14.3 鮮度保持包装材料
  14.3.1 防曇フィルム
  14.3.2 MA包材
  14.3.3 パーシャルシール包装
  14.3.4 エチレン吸着包材
  14.3.5 鮮度保持段ボール
  14.3.6 防菌・防かびフィルム
15.レトルト食品包装技術
 15.1 レトルト食品とは
 15.2 レトルト食品の殺菌技法
 15.3 レトルトパウチに要求される耐熱性
 15.4 レトルトパウチの材料構成
  15.4.1 アルミ箔タイプ
  15.4.2 透明タイプ
  15.4.3 業務用タイプ
 15.5 内面材の耐熱性
 15.6 層間接着性
 15.7 レトルト用多層プラスチック容器
 15.8 レトルト用プラスチック金属箔複合容器
16.無菌・無菌化包装技術
 16.1 無菌包装・無菌化包装とは
 16.2 無菌・無菌化包装システム
  16.2.1 飲料の無菌充填システム
  16.2.2 米飯類の無菌化包装システム
  16.2.3 固形物の無菌化包装システム
 16.3 無菌・無菌化包装の適用例
17.ヒートシール技術と易開封性包装技術
 17.1 ヒートシール技法
 17.2 ヒートシール材のヒートシール特性
  17.2.1 シール開始温度
  17.2.2 シール温度範囲とシール時間範囲
  17.2.3 ホットタック性
 17.3 シール特性の支配因子
 17.4 ヒートシール用プラスチック材料
  17.4.1 単体フィルム
  17.4.2 ヒートシールコーティング
  17.4.3 多層フィルム
 17.5 易開封性包装材料
  17.5.1 ブレンド系イージーピール材
  17.5.2 易開封機構蓋
18.電子レンジ・オーブン加熱用包装・容器
 18.1 電子レンジ適性
 18.2 オーブン適性
 18.3 オーブントースタ適性
 18.4 オーブナブル容器の適用材料
 18.5 電子レンジ食品への適用例
19.収縮包装
 19.1 プラスチック固体の変形と構造変化
 19.2 プラスチックの熱収縮の原理
 19.3 収縮フィルムの製造法
 19.4 収縮フィルムの種類と特性および用途
20.静電気防止包装
 20.1 プラスチックの帯電性
 20.2 静電気防止対策
  20.2.1 帯電防止方法
  20.2.2 静電気除去方法
21.機能性医薬品包装
 21.1 PTP
 21.2 輸液用ダブルバッグ
 21.3 アンプル・バイアル・プレフィルドシリンジ
22.機能性ガラスびん
 22.1 ガラスの種類と用途
 22.2 ガラスびんの製造方法
 22.3 ガラスびんの強化・軽量化技術
  22.3.1 内面処理
  22.3.2 外面保護処理
  22.3.3 プラスチック・コーティング
23.機能性金属容器
 23.1 金属缶の種類と用途
 23.2 ポリエステルフィルム・ラミネート缶
 23.3 リシール缶
24.機能性フィルムを用いた紙容器
 24.1 バリア性紙容器
 24.2 バリア性紙缶
25.耐熱・耐熱圧PETボトル
 25.1 PETボトルの成形法
 25.2 耐熱PETボトル
  25.2.1 PET樹脂の構造と熱収縮性
  25.2.2 耐熱PETボトルの成形技術
 25.3 耐熱圧PETボトル
26.環境対応性付与技術
 26.1 環境対応技術
  26.1.1 LCAの活用
  26.1.2 VOC規制への対応
  26.1.3 容器包装リサイクル法に対応した包装設計
  26.1.4 脱塩素系包装材料
  26.1.5 リサイクリング
 26.2 バイオプラスチックの適用
  26.2.1 バイオプラスチックとは
  26.2.2 生分解性試験の標準化
  26.2.3 バイオプラスチックの種類
  26.2.4 バイオプラスチックの用途
  26.2.5 バイオプラスチックの包装・容器へ適用例

引用・参考文献
索 引

はじめに

 包装は、古くから人の生活と深く結びついてきた。狩猟・採取の時代では、水や食物を採取したり、運んだり、貯蔵したりするために天然の材料が利用された。農耕が行われるようになると、収穫物の貯蔵、分配、運搬のために、包装が必要不可欠のものとなった。現在においても、包装の機能は、基本的に変わってはいない。しかし、産業が発展し、商業活動が活発となった現在では、包装されたものを保護する基本的な機能に加え、商品性や便利さを高めるための機能など、種々の高度な機能が要求されるようになった。
 現在、包装材料として、ガラス、金属、紙、プラスチックなど種々の材料が使用されている。これらの素材の中で、歴史的に見れば、ガラスが最も古くから使用されている。その後、金属や紙が使用されるようになった。プラスチックは1800年代後半に発明されたが、包装材料として使用されるのは、1930年代後半からである。
 プラスチック材料は異なる特性をもつ種々のものがあること、軽量であること、種々の形態に成形加工が可能であることをはじめ、多くの長所をもっているため、最近では包装材料としての使用量が多くなっている。
 今日、女性の社会進出、シングル生活者の増加、高齢化世帯の増加などの社会変化を背景に、種々のタイプの包装調理食品の需要が着実に増加しており、包装材料に求められる機能は高度なものとなっている。
 本書は、包装材料に要求される機能の中でも、とりわけ優れた機能をもっている包装材料とそのような材料を用いた包装技法の基礎と実用例を取り上げ、その機能性のメカニズムをわかりやすく記述することを目的とした。

 平成23年12月 
 葛良 忠彦

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