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どんな会社でも必ず役立つ
あなたが作るやさしいBCP
第2版

定価(税込)  2,200円

著者
サイズ A5判
ページ数 230頁
ISBNコード 978-4-526-06787-7
コード C3034
発行月 2011年11月
ジャンル 経営

内容

震災以降、企業のBCP導入は急速に広がっている。しかし、人材やノウハウなどの面で難しい所もあり、本書は、わかりやすい文章と事例で、これらを補うモノしてご好評を頂いた。今回は、その基礎に加え、震災での初動対応など、実際の問題、解決策などを盛り込んで改訂した。

昆 正和  著者プロフィール

(こん まさかず)
BCP/BCMコンサルタント、AMBCI(英国BCI認定会員)、防災士、翻訳家。1986年東京都立大学経済学部卒業。環境保全機器メーカー、ソフトウェア開発会社で長年にわたって経営企画・マーケティング業務を経験後、IT及び企業情報系の産業翻訳家として独立。2001年の9・11テロでBCP(Business Continuity Plan)という経営管理手法が機能した事例に興味を持ち、以来ディザスターリカバリーのテクニックや事業継続計画の構築・運用方法、リスク管理のあり方について独自に調査・研究を進めている。主に中小企業向けBCP策定支援、研修セミナー・講演の実績多数。

主な著書:「新版実践BCP策定マニュアル」(オーム社)、「どんな会社でも必ず役立つあなたが作るやさしいBCP」(日刊工業新聞社)、「実践BCM運用・定着マニュアル」(共著、オーム社)、ISOマネジメント誌「特集:事業継続計画のA to Z-本当に役立つBCPの作り方と組織への定着テクニック」他、寄稿・論文多数。

目次

CONTENTS

第2版改訂にあたって
はじめに

CHAPTER1  気まぐれ振り子のように
1.きっかけは些細なこと
 地震のことは地震に聞いてもわからない
 原因を掘り下げても結果はみえない
2."想定外"は想定できない
 前例がなければ認められない?
 想定すべきは「最悪の事態」
 できる会社は「結果」に備える

CHAPTER2  BCPってそういうことだったのか
1.それは誤解です!
 枕を高くして寝られますか?
 食わず嫌いか勘違いか
 利益を生まないものにお金はかけられない
 金食い虫のBCP
2.BCPで守る範囲を決める
 まずは全体を眺めてみる
 社長の意図は正しいか?
 BCP導入計画書のサンプル
 中核事業をスタートラインに
3.事業への影響を調べる
 「重要業務」はBCPの命
 重要な業務を洗い出す
 重要な経営資源を洗い出す
4.業務が中断したときの影響を考える
 業務への影響を"見える化"する
 実際に影響を評価してみよう
5.重要業務に優先順位を付ける
 復旧順序を決める
 目標復旧時間とはこれ如何に
 あちらを立てればこちらが立たず
 影響度評価のさまざまな切り口
6.さまざまな被害を想定する
 がん首揃えて頭を下げるまえに
 「こうなっては困る」ことを想定する
 業務の流れを意識した被害想定
 7(+α)の被害想定
 弁慶の泣き所をおさえる
7.リスクにそなえる
 リスク評価はあてになるか?
 リスク評価のルールと手順
 リスク対策の優先順位付け
 最も警戒しなければいけない災害
 リスク対策「5つ」のポイント
 目標復旧時間と予算のにらめっこ
8.BCPチームと実行プラン
 科学特捜隊
 ウルトラマンになるのはいつか
 BCPチームの役割
 緊急時は慌てずに急ごう
 復旧時は急がずに慌てよう

CHAPTER3  BCPの書き方と使い方のABC
1.BCPを書く
 BCP文書の具体的な姿とカタチ
 一難去ってまた一難に耐えられるか?
 基本方針の書き方
 緊急時の体制の書き方
 初動対応の書き方
 仮復旧(事業継続対応)の書き方
 本格復旧の書き方
 運用管理規定と添付ツール
2.BCPを検証する
 「こんなはずではなかった」を避けるために
 だれでもできるBCPのテスト方法
3.BCPの運用と管理
 作りっぱなしはいけません
 気負わずに細く長く取り組む
4.訓練でテキパキモードを維持
 ぶっつけ本番で対処する自信はありますか
 やればできる効果的な訓練の導入
 机上訓練のABC

CHAPTER4  プロになるための技とノウハウ
1.これからBCPのプロを目指す人へ
 BCPプランナーってアリか?
 必要な知識と勉強方法
 能力とスキルと根性
 BCP/BCM関連の資格について
2.BCPを継続的に回していくためのコツ
 コストをかけずにBCPを管理しよう
 メンテナンスの負荷を軽減しよう
 BCPの通信簿の作り方
 BCPは「ベストエフォート」で

CHAPTER5  ワケありBCPの見直し方
1.釈然としないBCPを毅然と見直そう
 淡々粛々の見直し会議
 リスクの見直しをいつやるか
2.出だしが肝心の初動対応
 安否確認の「さて困った」
 ハラハラもたもたの対策本部
 ほしい情報と知らせたい情報
 帰宅困難諸君の「さて困った」
3.事業継続は「時間」がいのち
 復旧は何といっても人頼み
 継続する業務と後回しでよい業務
 誰が・いつまでに・何を準備する?
 仮復旧=代替手段は持っているか
 万事休すの品切れ・品不足を避ける
 "想定外"は「訓練シナリオ」で潰せ

APPENDIX
「付録:BCPの策定に役立つサンプル書式集」
1.BCP導入計画書
2.事業継続計画書(2~A~C)
3.影響度アンケート調査票
4.リスク対策表
5.緊急対応マニュアル
6.被害状況チェックシート
7.緊急連絡リスト
8.緊急物資リスト
9.バックアップリスト
10.重要顧客・取引先リスト
11.重要経営資源リスト
12.災害復旧記録シート
13.リソース調達マトリックス
14.机上訓練シナリオと質問例

BCP関連のキーワード
参考図書

はじめに

 こんな経験はありませんか。セミナーや講演などで「リスク」とか「危機」という言葉が出てくると、私たちの警戒アンテナはただちに反応して、どんなに熟睡していてもパっと目覚めて話に聞き入ってしまう、そんなこと。そして「なるほど、きちんとリスクに対処する備えが必要なんだな」と殊勝な顔でメモをとったりもします。しかし、それだけのことです。セミナーが終わればいつもの自分、いつもの顔に戻ってしまう。リスク? 危機? 何のこと? そんな感じです。

 リスクや危機という言葉だけではありません。本書がテーマとする事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)についても同じことが言えます。これまで多くの専門家や偉い先生方がBCPの必要を訴え、セミナーで講演し、本を書いてきました。おかげさまでBCPの導入は大企業から中堅、中小企業へと徐々に広がりを見せていますが、全体としては微々たるものです。遅々としてBCPの普及が進まない最大の原因が昨今の不況にあることは言うまでもありませんが、もう一つの側面として、冒頭で述べたような熱しやすく冷めやすい、文明化しすぎて警戒本能が持続力を失ってしまった私たち自身の姿勢にも原因があるように思うのです。リスクへの警戒やBCP策定の必要性を大まじめに語れば語るほど、セミナー参加者あるいは読者の皆さんはより強い関心を持ってくれますが、ピークを過ぎるとあっという間にいつもの平和な自分に戻ってしまいます。

 危機感を煽ることで確かに人々の関心や警戒心は高まりますが、しかしそれは、見方を変えれば「あまり触れたくない、考えたくない話題」にさらされたときの拒否反応やストレスにも似た心の働きのようにも見えます。心の底では「はやくこんな不吉な話題は忘れよう」という意識が働いているのかも知れない。もしそうであるとするなら、逆に心を打ちとけさせる何かおもしろい表現を駆使して楽しく印象付け、説得する方法があってもよいのでは、と思ったわけです。
 そしてこのアイデアをもとに私は、2007年6月~11月まで「BCPのエービーシー」というタイトルでおもしろまじめ風のブログを書きました。ブログは入門者向けにBCPの基本的な考え方を理解してもらうのが目的でしたが、予想以上に好評だったので掲載が終了してからも削除するのが惜しくて原稿はそのまま取っておきました。そして2年を経た今、たまたま日刊工業新聞社出版局の編集者さんの目にとまり、お蔵入りすることなく世に出せることになったというのが、この本の書籍化の経緯なのです。

 本書はBCPの啓蒙と手順解説を兼ね備えたマニュアル本で、次のような特長があります。

・BCPの意義、目的、必要性、策定~運用手順、BCPを取り巻く問題や課題の提示と解決策を網羅。
・BCPの策定手順を明快に説明。
・理解しにくい抽象的な部分や現場担当者の本音の部分も、本書を読めばイメージとして直感的に捉えられる。

 BCPをより多くの企業に導入してもらうためには、経営者の理解を得ることはもちろん大切なことですが、一歩進めて現場レベルでBCPに対する認知・理解の底上げをはかる必要もあります。現場のスタッフがBCPのことなら自分に任せてほしいと率先して手を挙げられるようなきっかけができれば、会社にとってもBCPの導入の敷居は低くなると思うからです。言い換えれば、これまでの類書が経営者の理解を得ることを目的としたトップダウン志向の本であったとすると、本書はBCPを受け入れる下地を作る、もしくは地ならしをするためのボトムアップ志向の本を目指したものと言えます。
 今後ビジネスにおいては、BCPを導入していることが企業間取引の信頼(不測の事態に対処できる能力の高さという意味で)を得る目安の一つとして慣習化するものと考えられます。現に欧米では当たり前のようにBCPの導入・運用が進んでいる一方で、今の日本はどうかと言えば、残念ながらBCP途上国と言わざるを得ません。これからは好むと好まざるとに関わらずビジネスの慣行としてBCPの策定・運用が求められることになるでしょう。各企業は一般社員のBCPに対する知識・理解を深めてもらい、いつでも策定に着手できる態勢を作っておかなくてはなりません。
 本書では、今後BCPの策定に関わることになるかも知れない対象読者層として、次のような方々を想定しています。

・主に中小企業の総務・企画その他部門の防災担当者、一般社員
・BCPの策定・管理に関わりそうな20~40代の若手・中堅社員
・BCPは聞いたことがあるが、とっつきにくそうだと感じている人

 新聞社や自治体はときどき企業のBCPの策定状況に関するアンケート結果を発表します。BCPを策定していないと回答する企業の数は依然として高い比率を占めていますが、その理由はと尋ねると、毎度のように「社内に人材がいないから」、「ノウハウがないから」といった答えが返ってきます。本書が多くの一般社員の間で読まれ、BCPに対する抵抗感や食わず嫌いが減ることで、社内の人材不足の解消に一役買うことができれば、著者としてこれほどの喜びはありません。

 最後に、山のような電子ファイルの保管庫に埋もれて門外不出の永久保存版になりかかっていた過去のブログに着目し、書籍化に向けてご協力くださった日刊工業新聞社出版局の藤井浩さんに心より感謝いたします。

2010年2月1日
昆 正和

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