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入門 粉体材料設計

定価(税込)  2,376円

編著
編著
編著
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サイズ A5判
ページ数 200頁
ISBNコード 978-4-526-06658-0
コード C3043
発行月 2011年03月
ジャンル 化学

内容

本書は新製品や技術開発に携わる研究者・技術者、粉のユーザーといった実際に粉を取り扱う人を対象にした粉体材料設計の入門書である。粉の基本単位である粒子の設計方法といった基本から、粉の機能を最大限に生かすための設計方法、実際のトラブル対策を取り入れながらわかりやすく解説する。

内藤牧男  著者プロフィール

大阪大学

牧野尚夫  著者プロフィール

(財)電力中央研究所

多々見純一  著者プロフィール

横浜国立大学

米屋勝利  著者プロフィール

横浜国立大学名誉教授

目次

編著者・執筆者一覧

第1章 粒子の基本設計
1.1 粒子サイズの変え方・そろえ方
1.1.1 Build up法による粒子の大きさの変え方・そろえ方
1.1.2 気相中粒子生成法で粒子の大きさを変えて,そろえる
1.1.3 液相中生成法で大きさをそろえた粒子を作る
1.1.4 Break down法による粒子製造法,大きさの制御法
1.1.5 目的粒子径による粉砕装置,粉砕媒体,分級装置の選択
1.2 粒子の形を変える
1.2.1 どのようにすれば微粒子の形状が制御できるか
1.2.2 気相法による粒子形状の変化の例
1.2.3 液相法による粒子形状の変化の例
1.3 粒子に穴をあける
1.3.1 どのようにして微粒子に穴をあけるのか
1.3.2 穴を持つ粒子の合成例
1.4 粒子表面のデザイン
1.4.1 活物質表面での反応
1.4.2 黒鉛表面上のSEI(Solid Electrolyte Interphase)
1.4.3 活物質のコーティング
1.4.4 活物質の表面構造
1.4.5 LiFePO4の粒子表面設計
1.5 粒子の複合構造を作る
1.5.1 シングルナノ粒子を用いる複合化
1.5.2 自己組織化を利用したボトムアップ複合化

第2章 粉体の機能設計 
2.1 さらさら流れる粉を作る
2.1.1 粒子間付着力
2.1.2 各種付着力と重力
2.1.3 凝集粒子の強度
2.1.4 造粒および微粒子の被覆による流動性改善
2.1.5 粉体の流動性を評価する指標
2.2 液中によく分散する粉を作る
2.2.1 粒子凝集・分散に関する粒子間相互作用の分類
2.2.2 DLVO理論の概要とその適用範囲
2.2.3 立体障害効果など非DLVO的な作用
2.2.4 よく分散する粉を作る具体例1(水中,極性溶媒中)
2.2.5 よく分散する粉を作る具体例2(有機溶媒中)
2.3 成形しやすい粉を作る
2.3.1 加圧乾式成形法における成形しやすい粉体
2.3.2 湿式成形法における成形しやすい粉体

第3章 粉の使い方によって材料特性は大きく変わる
3.1 粉の取り扱いが材料特性に及ぼす影響
3.2 粉は使用する環境に非常に敏感
3.3 粉に含まれる僅かな不均質成分の管理が大事
3.4 粉の処理条件の僅かな違いが材料特性に大きく影響する

第4章 粉を用いた材料構造設計
4.1 均質構造を作る
4.1.1 均質構造を作る上で望ましい粉体の特質
4.1.2 粉の特質を基に均質構造を作る
4.1.3 均質な焼結体にする際の留意点および粉体の特質
4.2 配向体構造を作る
4.2.1 磁場によるセラミックス粒子の配向
4.2.2 配向アルミナの作製とその手法の展開
4.2.3 1軸配向体の作製
4.2.4 積層配向体の作製
4.3 多孔質構造を作る:大きな穴を作る
4.3.1 多孔質セラミックスの作製方法
4.3.2 多孔質セラミックスの用途,応用例
4.4 多孔質構造を作る:小さな孔を作る
4.4.1 多孔性分離膜
4.4.2 ゾルゲル法による製膜
4.4.3 化学気相蒸着(CVD)法による製膜
4.4.4 ゼオライト膜法による製膜
4.5 複合構造を作る
4.5.1 湿式プロセス
4.5.2 機械的粒子複合化プロセス

第5章 構造設計した材料の応用事例
5.1 美容のために使う
5.1.1 化粧品の基盤となる表面改質
5.1.2 生分解性高分子ナノ粒子による化粧品のデザイン
5.2 化石エネルギーの効率的利用に貢献する
5.2.1 化石エネルギーの重要性
5.2.2 固体燃料の乾燥・改質技術
5.2.3 固体燃料の粉砕技術
5.2.4 微粉炭の燃焼・ガス化技術
5.2.5 高効率発電のための燃料電池技術
5.3 環境保全に貢献する
5.3.1 燃焼排ガスの浄化技術
5.3.2 触媒の性能維持技術
5.3.3 廃棄物の利用技術
5.3.4 燃料ガスのクリーン化技術
5.3.5 微量物質の分離技術
5.4 健康のために使う
5.4.1 医薬品の製造プロセス
5.4.2 原薬の設計
5.4.3 Biopharmaceutics Drug Classification System (BCS)
5.4.4 原薬の固体状態の設計
5.4.5 原薬の晶析操作と品質
5.4.6 原薬のろ過操作と乾燥操作
5.4.7 原薬の粉砕操作と粒子径制御
5.5 粉体を有効に活用するために
5.5.1 粒子の機能を生かす
5.5.2 粉による構造設計から生まれる新材料

あとがき
索引

はじめに

 新材料開発,宇宙開発などの先端分野から,化粧品,食品などの民生分野,さらには環境・エネルギー分野に至るまで,固体微粒子の集合体である「粉(こな)」は幅広く利用されている.しかしながら,粉を実際に使う人たちが,その使用目的に合った粉を,うまく見つけ出すことは極めて困難である.その結果,ユーザー自らの手で利用目的にあった粉を作るか,あるいは実際に既存の粉を様々に加工するかなどして使うことになる.しかしながら,ユーザーの使用目的に対して,一体どのような粉の選定が適切なのか,あるいは粉にどのようなスペックを求めるべきかなど,粉を利用するための最も根本的な課題に対して,いまだに適切な回答を与える羅針盤は見当たらない.このことは,粉が,便覧などで仕様を選択できる一般の材料とは質的に異なる,一筋縄ではいかない材料形態であることを物語っている.したがって,目的どおりの結果が得られなかった原因が,粉を使うユーザーの考え方の間違いによるのではなく,実は粉のサイズなどの選び方のミスマッチにあったなどという,笑えない悲劇も出てくるのである.
 そこで本書は,新製品や新技術,生産技術などの技術開発に携わる研究者,技術者を含む,粉を利用する幅広いユーザーを対象として,「実際に粉を使う人のための粉体材料設計」として活用頂けることを目指して編集した.粉は,学術的には「粉体(ふんたい)」と呼ばれるため,本書では,以降「粉体材料設計」という用語を用いることとする.
 本書の具体的な構成としては,まず第1章において「粉の基本単位である個々の粒子の基本設計」について説明した後に,第2章では「粒子集合体としての粉の機能を最大限に生かすための粉体の機能設計」について,極力わかりやすく,また使いやすいように説明した.さらに第3章では,実際に粉を使う場合に遭遇するトラブル対策についても,極力基本的な観点から説明しようと試みた.具体的には,「粉の使い方によって材料特性は大きく変わる」という項目を設けて,粉の取り扱いの微妙さと,粉を正しく取り扱うことの重要性について,具体的事例を挙げて説明した.
 以上,1章~3章の基礎編をもとに,4章,5章と続く応用編においては,まず,4章において粉を実際に使う上で基盤となる「粉を用いた材料構造設計」について5つの事例を取り上げ解説した.さらに第5章では,構造設計した材料を幅広く有意義に利用するための機能設計の事例について,身近な製品である化粧品,医薬品とともに,近年注目されているエネルギー・環境問題を取り上げ,それぞれについて極力実例を挙げて説明を試みた.このような基礎編と応用編を組み合わせた構成とすることにより,粉のユーザーである読者に対して,現在直面している課題を解決するための「考えるヒント」を提供することを目指した.本書が,様々の分野において粉を使おうとする読者のための,「粉体設計の羅針盤」になれば幸いである.
 最後に,極めてご多忙な中,本書発刊の趣旨をご理解の上,貴重な原稿を執筆頂いた執筆者の皆様に厚くお礼申し上げる.また,本書の取りまとめ・発行に当たっては,日刊工業新聞社の辻總一郎氏をはじめ,同社には多大なるご支援・ご協力を頂いた.ここに,併せてお礼申し上げる次第である.
 2011年3月
 執筆者を代表して     
 内藤 牧男

執筆者 (担当章・節)
神谷 秀博 東京農工大学 1.1,2.2
奥山 喜久夫 広島大学 1.2,1.3
荻 崇     広島大学 1.3
金村 聖志 首都大学東京  1.4
阿部 浩也 大阪大学 1.5
譚 振権 大阪大学 1.5
向阪 保雄 大阪府立大学名誉教授 2.1
多々見 純一 横浜国立大学 2.3,4.5
米屋 勝利 横浜国立大学名誉教授 2.3
内藤 牧男 大阪大学 3,5.5
植松 敬三 長岡技術科学大学 4.1
目 義雄 (独)物質・材料研究機構 4.2
打越 哲郎 (独)物質・材料研究機構 4.2
鈴木 達 (独)物質・材料研究機構 4.2
藤 正督 名古屋工業大学 4.3
白井 孝 名古屋工業大学 4.3
都留 稔了 広島大学 4.4
横山 豊和 ホソカワミクロン(14) 5.1
辻本 広行 ホソカワミクロン(14) 5.1
三羽 信比古 県立広島大学 5.1
牧野 尚夫 (財)電力中央研究所 5.2,5.3
白井 裕三 (財)電力中央研究所 5.3
盛本 修司 (株)モリモト医薬 5.4
近藤 光 大阪大学 5.5

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