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難削材の上手な削り方
金型材料

定価(税込)  2,640円

著者
サイズ A5判
ページ数 256頁
ISBNコード 978-4-526-06625-2
コード C3053
発行月 2011年02月
ジャンル 金属 機械

内容

金型は、その用途や金型部品の特性によって組成や特性の異なる種々の金属材料が使い分けられている。金型の高品質化と長寿命化をめざした材料開発に伴って金型材料は難削材化の傾向を強めている。本書は、金型材料の上手な削り方を実用的加工情報に基づいて解説する。

狩野勝吉  著者プロフィール

(かりの かつよし)
1937年 宮城県生まれ。中央大学卒業
1960年 三菱金属(現・三菱マテリアル)(株)入社
1972年 同社東京製作所技術開発部
1991年 三菱マテリアル(株)筑波製作所研究開発センター
現在、(独)産業技術総合研究所客員研究員、山梨県工業技術センター客員研究員、高度職業能力開発促進センター非常勤講師
所属学会:日本機械学会、精密工学会

主な著書
「難削材の切削加工技術」(工業調査会)、「データでみる切削加工の最先端技術」(工業調査会)、「切削加工のトラブルシューティング」(工業調査会)、「データでみる次世代の切削加工技術」(日刊工業新聞社)、「難削材・新素材の切削加工ハンドブック」(工業調査会)、「切削加工実践Q&A100選」(日刊工業新聞社)、「生産現場必携 切削加工の技術情報103」(工業調査会)、「初級技術者に伝えたい切削加工の技術&技能」(日刊工業新聞社)、「難削材の上手な削り方 ステンレス鋼」(日刊工業新聞社)

目次

第1章 金型と金型材料
 1.1 金型と工業技術  
 1.2 一般構造用鋼と機械構造用鋼  
 1.3 炭素工具鋼と合金工具鋼  
 1.4 高速度工具鋼  
 1.5 高硬度鋼  
 1.6 プリハードン鋼  
 1.7 その他の金型材料  

第2章 正面フライス切削の上手な進め方
 2.1 金型用鋼と高硬度鋼の一般的推奨切削条件  
 2.2 合金鋼とダイス鋼の切削データ  
 2.3 プリハードン鋼の切削データ  
 2.4 高速度工具鋼の切削データ  
 2.5 cBN焼結体による高硬度鋼の切削データ  
 2.6 フェロチックの正面フライス切削  
 2.7 金型切削の加工コストと加工精度  
 2.8 金型切削における切りくずトラブル  

第3章 エンドミル切削の上手な進め方
 3.1 金型用鋼と高硬度鋼の一般的推奨切削条件  
 3.2 金型切削ではインサート式エンドミルを上手に使え!  
 3.3 金型切削の生産性を支配するエンドミル特性  
 3.4 制振エンドミルによる金型切削のびびり振動対策  
 3.5 高精度微細金型とエンドミルの選び方  
 3.6 スクエアエンドミルのねじれ角と壁面精度  
 3.7 スクエアエンドミルの刃数と壁面精度  
 3.8 スクエアエンドミルの刃長と壁面精度  
 3.9 スクエアエンドミルの工具材種と壁面精度  
 3.10 スクエアエンドミルの切削条件と壁面精度  
 3.11 被加工物の材料特性と壁面精度  
 3.12 工具摩耗の進行と壁面精度  
 3.13 エンドミルの切れ刃形状と切削抵抗のZ分力 
 3.14 ラジアスエンドミルの切削データと推奨切削条件  
 3.15 トラブル対策に役立つラジアスエンドミルと難削材用エンドミル  
 3.16 ボールノーズエンドミルと金型の倣い切削条件  
 3.17 テーパ深溝・深穴切削に適したボールノーズエンドミル 
 3.18 上向き削りと下向き削りのメリットとデメリット  
 3.19 高硬度鋼切削におけるcBN焼結体エンドミルと使い方 
 3.20 面取り用エンドミルの選び方と使い方  

第4章 ドリル切削の上手な進め方
 4.1 金型用鋼と高硬度鋼の一般的推奨切削条件  
 4.2 金型切削における適正ドリル  
 4.3 ドリル食い付きの奇数角穴の生成を改善せよ!  
 4.4 ガイド穴ドリルで穴位置精度の向上を図れ!  
 4.5 ドリル交換は早めに実施せよ!  
 4.6 高硬度鋼のドリル切削の特異性を把握せよ!  

第5章 旋削加工の上手な進め方
 5.1 金型の旋削部品  
 5.2 金型用鋼と高硬度鋼の一般的推奨切削条件  
 5.3 旋削における工具損傷の特性  
 5.4 高硬度鋼切削とcBN焼結体の上手な使い方  

第6章 工具損傷とトラブルシューティング
 6.1 切削工具の寿命原因と工具損傷  
 6.2 工具損傷の諸形態と正常損傷  
 6.3 切削過程と工具損傷トラブル  
 6.4 インサートのセッティングの不適と工具損傷トラブル  
 6.5 工具材種の不適と工具損傷トラブル  
 6.6 切れ刃形状の選択の不適と工具損傷トラブル  
 6.7 切削条件の設定の不適と工具損傷トラブル  
 6.8 エンドミル切削での保持具の不適と工具損傷トラブル  

索引  

はじめに

 本書は、金型材料の切削を取り上げて解説した。
 わが国のものづくりを取り巻く環境は極めて厳しい。金型製作は最も成熟化の進んだ加工分野で、生産現場は一厘一毛の技術力の差で生き残りを競う戦場になっていると言っても過言ではない。受注減に加えて工賃低減や短納期化が進む。材質や部品形状の難加工化と製品の高精度化の一方で、技術、技能、ノウハウの伝承や人材育成に関しても課題が多い。
 ものづくりの初級技術書が多く発刊され、切削加工セミナーも基礎技術に関するものが多い。しかし、長い年月を経ても、初級から中級へ、中級から上級への移行が難しいのが現状である。その背景には、ものづくりの自動化や無人化が関係する。工作機械は強固なカバーで覆われ、安全性や作業性が向上する一方で、切削点は著しく観察しにくいものに変わった。工作機械の自動ボタンの操作を誤らなければものづくりができるという錯覚は危険な「ボタン病」である。工作機械が進歩しても、切れ刃が素材に食い込んで不要部分を除去する切削の諸現象はまったく変わっていない。切削加工技術の進化のルーツは、その切削点にあるといってよいが、皮肉にも、技術者が切削現象から直接学んで技術力を高めることが著しく困難になっている。
 切削点の観察が困難になった技術者にとって今、大切なことは、優れた切削データに出会うことである。優れた切削データに出会い、それらを自らの直接体験に準じるところまで深く理解し、「体験的習得」ともいうべき徹底した手法で技術情報を獲得し、自らの技術力を磨くことである。特に、若い技術者が過去の切削データや他人の切削データに学ぶことの意義が大きいので、本書は工具損傷の切れ刃写真や切削データを豊富に盛り込んだ内容に構成した。生産現場での実用性を高めるため、加工形態や切削工具別の推奨切削条件も多く掲載することに努めた。
 本書が、切削現場の技術者の自己研鑚とものづくりの技術力向上に少しでも役立つことができれば、著者の喜びとするところである。
 最後に、出版にあたり多大なご助言とご尽力をいただいた日刊工業新聞社出版局書籍編集部の森山郁也氏に衷心より深謝する次第である。

 2011年2月
 著者   

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