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めっちゃ、メカメカ!2ばねの設計と計算の作法
はじめてのコイルばね設計

定価(税込)  2,200円

著者
サイズ A5判
ページ数 220頁
ISBNコード 978-4-526-06578-1
コード C3053
発行月 2010年12月
ジャンル 機械

内容

「めっちゃ、メカメカ!」の続編として、「ばね」に焦点を当て、ばね設計を解説する本。特殊な「ばね」は割愛し、基本的なコイルばねに限定して、その設計方法を導く。実際にコイルばねを設計する際には、設計ポイントの知識をもって計算しなければいけない。本書はそのニーズに応えるわかりやすい入門書。

山田 学  著者プロフィール

S38年生まれ、兵庫県出身。(株)ラブノ−ツ 代表取締役。
カヤバ工業(株)(現、KYB(株))自動車技術研究所にて電動パワーステアリングとその応用製品(電動後輪操舵E-HICAS など)の研究開発に従事。
グローリー工業(株)(現、グローリー(株))設計部にて銀行向け紙幣処理機の設計や、設計の立場で海外展開製品における品質保証活動に従事。
兵庫県技能検定委員として技能検定(機械・プラント製図)の検定試験運営、受験指導、採点などに関わる。
平成18年4月 技術者教育を専門とする六自由度技術士事務所として独立。
平成19年1月 技術者教育を支援するため(株)ラブノーツを設立。(http://www.labnotes.jp)
著書として、『図面って、どない描くねん!』、『設計の英語って、どない使うねん!』、『めっちゃ使える! 機械便利帳』、共著として『CADってどない使うねん!』(山田学・一色桂 著)、『技術士第一次試験「機械部門」専門科目 過去問題 解答と解説(第2版)』、『技術士第二次試験「機械部門」完全対策&キーワード100』(Net-P.E.Jp編著)などがある。

目次

コイルばねは流用するのが当たり前?

第1章 ばね効果を得るための工夫ってなんやねん!
1-1 ばねの効果
1-2 金属材料のもつ強度特性

第2章 スペースや効率を考えて材料と形状を選択する
2-1 機能を満足する材料を選択する
2-2 機能を満足する材料の製造方法を選択する

第3章 機能を考えて、コイルばねの種類を選択する
3-1 機能を満足する形状を選択する
3-2 機能でばねを層別する

第4章 圧縮ばねを設計する前に知っておくべきこと
4-1 圧縮ばねを使用する基本構造の考え方
4-2 圧縮ばねの基本用語と補助公式
4-3 圧縮ばねの計算の作法「形状を決める」
4-4 圧縮ばねの計算の作法「強度を確認する」
4-5 圧縮ばねの計算の作法「耐久性を確認する」
第5章 圧縮ばねの計算の作法(実践編)
5-1 圧縮ばねの基本形状は試行錯誤
5-2 圧縮ばねの強度や耐久性、固有振動数を確認する

第6章 引張りばねを設計する前に知っておくべきこと
6-1 引張りばねを使用する基本構造の考え方
6-2 引張りばねの基本用語と補助公式
6-3 引張りばねの計算の作法「形状を決める」
6-4 引張りばねの計算の作法「強度を確認する」
6-5 引張りばねの計算の作法「耐久性を確認する」

第7章 引張りばねの計算の作法(実践編)
7-1 引張りばねの基本形状は試行錯誤
7-2 引張りばねは、コイル部とフック部の強度を確認する

第8章 ねじりばねを設計する前に知っておくべきこと
8-1 ねじりばねを使用する基本構造の考え方
8-2 ねじりばねの基本用語と補助公式
8-3 ねじりばねの計算の作法「形状を決める」
8-4 ねじりばねの計算の作法「強度を確認する」
8-5 ねじりばねの計算の作法「耐久性を確認する」

第9章 ねじりばねの計算の作法(実践編)
9-1 ねじりばねの基本形状は試行錯誤
9-2 ねじりばねの強度を確認する

自分なりのロジックをもつ

はじめに

コイルばねは流用するのが当たり前?

 工場にある機械の内部に手を突っ込んでは、「(;´Д`A ```うーん、どのくらいの強さのばねがいいかな~」とつぶやく若いエンジニアがいます。ばねの計算方法がよくわからないので、先輩たちが作った製品を参考に、ばねを“設計”ではなく“選択”しているのです。
 「ばねなんか流用したら安上がりやし、設計工数も減って、しかも強度計算もせんでええから楽チンやん(。-∀-)ニヒ♪」と、自分なりの論理を唱えています。

 機械設計に関わると、機械要素を駆使しながら製品を作り上げていくことになります。なかでも、コイルばねは使用頻度の高い機械要素のひとつです。
 荷重を与えて動力としたり、衝撃吸収の緩衝材やガタをなくしたりと様々な場面でコイルばねは利用されます。
 ところが、いざ設計計算しようとすると、公式は様々な教科書に掲載されているのに、なぜか設計計算が始まりません。
 「(゜へ゜)ありゃ?なにから計算始めたらええんやろ?」
 計算式は明確にわかっているのに、それぞれのパラメータが決まらないため、どうしていいのかわかりません。
 例えば、圧縮ばねのばね定数は下式で表されます。


 この式を見て、各々のパラメータの相関関係はわかりますが、それぞれ値が白紙の状態では、経験的な要素がなければ決めていく数値の妥当性がさっぱりわかりません。
 そう、ばね設計の経験のない若いエンジニアは、先輩が設計したばねを使えないか、工場中をばねを探して回ったり、ばねメーカーのカタログから荷重と大きさを頼りに選択したりするしか手段はありません。

 公式だけを見ていても計算する順序がわかりません。ということは、計算の順序は明確に決まっていないともいえるのです。
 だから、自分なりに論理をもって順序を決めて計算を進めていけばよいのです。
ただし、コイルばねを設計する際に注意しなければいけない項目がいくつもあり、設計ポイントの知識をもって計算しなければいけないのです。

 さて、コイルばねを設計計算した経験のある皆さんは、どのパラメータから数値を決めていきましたか?
 ばねを何度も設計し、実際に現物を触って荷重感覚などをもったベテラン設計者は、最も計算結果に影響のある、線径を経験から決め打ちして計算を始めることもできます。ここで、例えば線径を0.8mmで計算を開始した場合と1.0mmで計算を開始した場合では、同じ目標荷重を狙うのに、材質やコイル径、巻き数など似ても似つかぬコイルばねができ上がります。
 コイルばねの各パラメータが異なっていても、目標荷重やばね定数、要求される耐久性を実現できれば、パラメータの違いは問題ないのです。つまり、機械設計には正答はないからです。

 冒頭で、工場の機械を漁っていた若いエンジニアは、コイルばねの計算手段を知らないか教えてもらったことがなかったので、手っ取り早く現物合わせの設計をしようとしたのでしょう。
 自身が設計した機構に、最適なばねを設計できなければ、機能を発揮できないばかりか、後々クレームを発生するかもしれない、大きなリスクを抱えることになります。
 本書では、パラメータを仮決めし、不都合があれば元に戻ってパラメータを修正することを繰り返し、形状パラメータを確定させる手順を解説します。
 形状が決まれば、強度計算、耐久性確認、共振の有無を確認する固有振動数は簡単です。

 
 読者の皆様からのご意見や問題点のフィードバックなど、ホームページを通して紹介し、情報の共有化やサポートができ、少しでも良いものにしたいと念じております。
「Lab notes by六自由度」
書籍サポートページ
http://www.labnotes.jp/

 最後に、本書の執筆にあたり、工場見学や技術的なアドバイスにご協力頂いた、東海バネ工業株式会社 技術部の皆様、ならびにお世話いただいた日刊工業新聞社出版局の方々にお礼を申し上げます。

「東海バネ工業株式会社」
http://www.tokaibane.com/
ばねっと君のばね掲示板
http://www.number7.jp/bbs/banet/
(ばねに関する疑問や質問、どんなことでもばねっと君におまかせ)


2010年12月  山田 学

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