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電池の未来を拓く 粉体技術

定価(税込)  2,700円

編著
編著
編者
編著
サイズ A5判
ページ数 256頁
ISBNコード 978-4-526-06571-2
コード C3043
発行月 2010年11月
ジャンル 化学

内容

粉体技術は電池作製におけるキーテクノロジーのひとつである。本書では粉体技術が性能の向上、低コスト化などの製造面でいかに役立っているかを電池の「材料」と「製造プロセス」の二つの角度から、二次電池、燃料電池、太陽電池を取り上げ、事例とともにわかりやすく解説する。

内藤牧男  著者プロフィール

大阪大学

金村聖志  著者プロフィール

首都大学東京

棟方裕一  著者プロフィール

首都大学東京

牧野尚夫  著者プロフィール

(財)電力中央研究所

目次

はじめに  

編著者・執筆者一覧  

第1章 電池製造・開発を支える粉体プロセス入門
1.1 粒子生成  
1.1.1 粉砕法/1.1.2 成長法
1.2 粒子複合化  
1.2.1 固体粒子の複合化/1.2.2 二次電池材料への応用/1.2.3 ニッケル水素電池/1.2.4 燃料電池
1.3 粒度調整  
1.3.1 粒度調整の目的/1.3.2 粒度調整の概念/1.3.3 各種粒度調整方式
1.4 粒子分散  
1.4.1 微粒子の分散性制御と電池特性/1.4.2 微粒子の凝集機構,微粒子になると何故凝集が起きるか/1.4.3 微粒子の分散方法,概念と電池製造技術への応用可能性
1.5 インク・ペースト調整と塗工  
1.5.1 ペーストのレオロジー/1.5.2 ペースト調製と内部構造の変化/1.5.3 ペースト塗布操作と膜構造
1.6 焼成  
1.6.1 粉体の焼成プロセス/1.6.2 粉体の焼結

第2章 二次電池性能向上のための粉体技術
2.1 電極微細構造制御  
2.1.1 多孔質電極/2.1.2 多孔質電極の評価/2.1.3 多孔質電極のイオン伝導
2.2 電極活物質の粒子設計  
2.2.1 電極を構成する合剤電極と電極活物質の特性/2.2.2 コバルト酸リチウム/2.2.3 複合層状酸化物/2.2.4 オキソ酸塩系
2.3 導電助剤としてのカーボン材料設計  
2.3.1 カーボン材料の多様性/2.3.2 電池とカーボン材料
2.4 バインダーの機能と役割  
2.4.1 分散機能と電池特性/2.4.2 物理的性能と電池特性/2.4.3 電気化学的性能と電池特性

第3章 燃料電池開発と粉体技術
3.1 燃料電池開発における構造制御  
3.1.1 燃料電池の構成部材/3.1.2 PEFCにおける電極触媒層の設計/3.1.3 SOFCにおける電極触媒層の設計
3.2 固体高分子形燃料電池の触媒および触媒層設計  
3.2.1 固体高分子形燃料電池の反応/3.2.2 固体高分子形燃料電池の構造/3.2.3 固体高分子形燃料電池の触媒層設計/3.2.4 固体高分子形燃料電池の触媒設計
3.3 固体酸化物形燃料電池(SOFC)の材料開発―電極,電解質―  
3.3.1 SOFCに使用される材料/3.3.2 SOFCのための粉体および薄膜作製技術
3.4 燃料電池材料の複合化と電池特性  
3.4.1 複合電極構造と機能性複合粒子材料の効果/3.4.2 電極構造プレハブ化した複合電極材料の調製/3.4.3 自己組織化するナノグレイン構造を持つ複合粒子材料の調製/3.4.4複合粒子材料の応用展開

第4章 太陽電池開発と粉体技術
4.1 太陽電池の種類と特徴  
4.2 金属ナノ粒子の局在表面プラズモンを利用した色素増感太陽電池の高効率化  
4.2.1 色素増感太陽電池とは?/4.2.2 局在表面プラズモンによる金属ナノ粒子近傍の電場増強/4.2.3 金属ナノ粒子による色素の吸光度増大/4.2.4 表面プラズモンを使った光キャリア生成に関する他の研究例/4.2.5 表面修飾した銀ナノ粒子を担持した色素増感太陽電池
4.3 まとめ  

第5章 電池特性の評価方法
5.1 二次電池特性の評価法  
5.1.1 電池容量試験/5.1.2 出入力試験/5.1.3 負荷率試験/5.1.4 温度特性試験/5.1.5 コールドランキング試験/5.1.6 動的負荷試験/5.1.7 寿命試験・207
5.2 燃料電池特性の評価法 
5.2.1 評価試験装置/5.2.2 電流-電圧特性試験/5.2.3 ガス利用率特性試験/5.2.4 水素ゲイン,酸素ゲイン特性試験/5.2.5 温度特性試験/5.2.6 性能決定要因分析手法

第6章 電池用粉体技術データベース
6.1 固体酸化物形燃料電池用粉体-YSZ,ScSZ  
6.1.1 SOFC用セルの構造/6.1.2 SOFC用粉体
6.2 溶剤系正極バインダー,水系負極バインダー  
6.2.1溶剤系正極バインダー/6.2.2 水系負極バインダー
6.3 電池用粉体の製造プロセス  
6.3.1 粒子複合化装置=MCB技術/6.3.2 燃料電池電極用粉体材料/6.3.3 ナノ粒子製造システム“FCMシステム”
6.4 ナノ粒子加工技術  
6.4.1 熱プラズマプロセス/6.4.2 ナノ粒子の加工例/6.4.3 金属ナノ粒子の表面被覆/6.4.4 複合ナノ粒子
6.5 鉄系正極材料  
6.5.1 LiFePO4の特徴/6.5.2 高容量化に向けた粒子設計/6.5.3 C―LiFePO4の電極性能
6.6 高速遊星ミルによる水素吸蔵合金の製造 
6.6.1 高速遊星ミルの構造/6.6.2 高速遊星ミルの実施例
6.7 液中分散  
6.7.1 高圧噴射型「スターバースト」/6.7.2 電池材料の微粒化例/6.7.3 粉砕強化型処理装置/6.7.4 高粘度対応型処理装置
6.8 超音波振動ふるい機のふるい分け特性と電池材料への適用  
6.8.1 超音波ふるい分けシステムの構成とふるい分け特性/6.8.2 超音波ふるい分け機の電池材料への適用
6.9 リチウムイオン電池電極材スラリーの分散と連続生産技術 
6.9.1 CDMプロセス/6.9.2 電池電極材スラリーの分散効果/6.9.3 分散効果の基礎検討結果と電池性能改善への期待/6.9.4 CDMプロセスとスラリー製造コスト/6.9.5 CDMプロセスラインナップと生産システム/6.9.6 実績と今後の展開

索引

はじめに

 固体微粒子の集合体である「粉」は、「産業の米」ともいわれるように、先端産業から基盤産業に至るまで、ほぼあらゆる分野で原料、中間品、あるいは製品として利用されています。これは、粉体が材料として取り扱う上で、きわめて有効な機能を持っていることを示しています。例えば、粉を構成する一つ一つの「粒」のサイズ、かたち、構造などを変えることにより、通常の材料には見られない、新たな機能が発現することはよく知られています。さらに、粒の集合体である粉体は、膨大な表面積(界面)を持つとともに、粉体自身に適度な力を加えることにより、本質的には固体の集合体でありながら、気体、液体のように自在に挙動します。これらの機能も、粉を材料として扱う上できわめて重要な役割を果たしています。また最近では、前駆体としての粒子の構造を、あらかじめ複合粒子などの高次な構造に設計し、それをさらに集積することにより、材料の多様な微細構造を創製する試みも活発に展開されています。このように、粉体の機能を活用した新技術・新材料の開発は、今後も無限の可能性を秘めています。
 以上述べたような粉を高度に扱う技術は、今後、エネルギー・環境調和の鍵を握る「電池」分野においても「キーテクノロジー」になることは、間違いないでしょう。なぜなら、電池はまさにさまざまな粒子の高次の集積物より成り立っているからです。このように電池と粉体とは、きわめて密接に関係しているものの、これまで「電池の専門家」と「粉体の専門家」の間には、谷間が存在し、いまだに十分な交流が行われていないように思われます。このことは、世界的にしのぎを削るわが国の電池産業の今後の発展に対しても、大きな問題になるものと危惧されます。
 そこで本書は、以上の情勢を考慮し、「粉」の持つ「魔法の力」を、エネルギー・環境調和の鍵を握る「電池」分野の研究開発・生産技術開発などに迅速に活用するための「考えるヒント」を、読者に提供することを目的としています。そして、それぞれの専門家との連携により、本書が「電池作りの生きた教科書」になることを目指しています。具体的な企画にあたっては、電池産業に携わる方々にも、また粉体技術に携わる方々にも、それぞれ気軽に、かつ興味を持って読むことのできるよう、以下のような工夫を行いました。
 まず第1章では、電池を作製する上で、もっとも基本的かつ「鍵」となる粉体技術を「単位プロセス」ごとに、分かりやすく紹介しています。具体的には、粒子生成、粒子複合化、粒度調整、粒子分散、インク・ペースト調製と塗工、そして焼成の6つの項目を取り上げ、それぞれについて丁寧に解説しました。
 次に第2~4章では、実際に電池を作製する場合に必要な粉体に関するさまざまな知識を、それぞれの電池ごとに分かりやすく解説しています。ここでは、二次電池、燃料電池、そして太陽電池を例として取り上げました。このように、「電池を構成する材料」と「その製造プロセス」と言う、いわばものづくりの「縦糸」と「横糸」を関連付けて紹介することにより、目的とする電池を作るための基盤的な知識を有機的に習得し、より高性能、かつ低コストの電池を開発するための知識基盤になることを狙いました。
 さらに第5章では、電池の開発に不可欠な評価技術として、その性能評価方法について紹介しました。具体的には、二次電池と燃料電池の性能評価方法について、それぞれ簡潔に紹介しています。そして最後の第6章では、電池を実際に作るためのデータベースとなる、粉体関連技術、ならびに各種情報について、産業界からのご協力を得て、具体的な事例を取り纏めました。
 以上の企画のもとに発刊される本書が、わが国の電池産業の発展に貢献するとともに、電池に関する学問分野の発展にも貢献することを、編著者一同強く願っています。
 最後に、きわめてご多忙な中、本書発刊の趣旨をご理解の上、貴重な原稿を執筆いただきました皆様に、厚くお礼を申し上げます。

 編著者を代表して
 大阪大学 教授
 内藤 牧男

編著者・執筆者一覧(順不同)

編著者
内藤牧男 大阪大学
金村聖志 首都大学東京
棟方裕一 首都大学東京
牧野尚夫 (財)電力中央研究所

執筆者 (担当章・節)
谷口 泉 東京工業大学 1.1
横山豊和 ホソカワミクロン(株) 1.2
牧野尚夫 (財)電力中央研究所 1.3
野田直希 (財)電力中央研究所 1.3
神谷秀博 東京農工大学 1.4
菰田悦之 神戸大学 1.5
多々見純一 横浜国立大学 1.6
金村聖志 首都大学東京 2.1
駒場慎一 東京理科大学 2.2
藪内直明 東京理科大学 2.2
和田徹也 電気化学工業(株) 2.3
脇坂康尋 日本ゼオン(株) 2.4,6.2
棟方裕一 首都大学東京 3.1
石原顕光 横浜国立大学 3.2
太田健一郎 横浜国立大学 3.2
石原達己 九州大学 3.3
萩原明房 東京電力(株) 3.4
伊原 学 東京工業大学 4
竹井勝仁 (財)電力中央研究所 5.1
麦倉良啓 (財)電力中央研究所 5.2
渡邊 智 第一稀元素化学工業(株) 6.1
笹辺修司 ホソカワミクロン(株) 6.3
村田憲司 ホソカワミクロン(株) 6.3
秋山 聡 日清エンジニアリング(株) 6.4
斉藤光正 住友大阪セメント(株) 6.5
福井武久 (株)栗本鐵工所 6.6
塩崎修司 (株)栗本鐵工所 6.6
原島謙一 (株)スギノマシン 6.7
堀合 誠 (株)徳寿工作所 6.8
大畠 積 プライミクス(株) 6.9

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