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グングン人が育つ!
アクションラーニング実戦術

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 224頁
ISBNコード 978-4-526-06570-5
コード C3034
発行月 2010年11月
ジャンル ビジネス

内容

アクションラーニングは、問題解決を通して人を活き活きと育てる人材開発法。本書は、セミナーを多数手がける著者が、導入の手引きからコツまでを解説した『アクションラーニングの実践書』。理論から実践までをしっかり理解できる内容。

横山太郎  著者プロフィール

(よこやま たろう)
1959年東京都生まれ。82年、学習院大学法学部卒業
民間企業勤務を経て、92年、社団法人中部産業連盟に入職。以来、意識改革活動、組織風土改革、アクションラーニング、人材アセスメント、その他のリーダーシップ教育、人材マネジメントコンサルティング等の人材開発全般に従事。数多くの企業にて、教育研修の実施、能力開発支援を行なう。
 著書に、「人と組織を育てるリーダーの質問術17手」、「人と組織を動かすカリスマな質問力」、「ポスト成果主義の人づくり・組織づくり」、「人材開発に成功する事典」(編著)などがある。現在同連盟東京本部人材革新コンサルティングセンター所長、上席主任コンサルタント。

著者への質問等連絡先 taro_yokoyama_consul@ybb.ne.jp

目次

はじめに  

第1部 アクションラーニングとは何か 

第1章 アクションラーニングにおいて達成される成果とその事例 
Case Study 新規ビジネス開発に取り組んだ女性課長 

第2章 アクションラーニングとは何か 
1 ケーススタディによらず現実の困難な問題に関し 
2 絶対に安心できる場において 
3 信頼し共有できるメンバー同士でチームを形成し 
4 相互に支援的な態度で質問を行ない、深いふり返りを生じさせる 
5 ラーニング・コーチのファシリテーションのもとに行なう 
6 行動計画を立案実施し、そのプロセスをさらにふり返る 
7 個々人の意識改革と人材開発の手法である 
8 その結果、組織風土の変革を推進しうるツールとなる 
9 定義の意味合いの再確認のための事例 
Case Study 未達成を問われた事業所長 

第2部 アクションラーニングの実践 

第1章 場づくりとカリキュラム設計 
Case Study 部下の説得の手法を求めた部門長 

第2章 問題 
1 責任 
2 即時性...後戻りのきかない第一歩の行動の時が差し迫りつつある 
3 こうした要件の運用上の留意点 

第3章 メンバー構成 

第4章 質問 
1 有効な質問 
2 有効でない質問 
3 身構えずに質問するコツ 

第5章 コーチ 
1 コーチの役割はどれだけ重要か 
2 コーチの役割に論議を招いた原因 
3 コーチの要件 
4 コーチの育成 

第6章 問題の再定義と行動計画、セッションのふり返り 
1 問題の再定義 
Case Study 同僚課長を助けた課長 
2 行動計画 
3 セッションのふり返り 

第7章 フォローアップ 
1 フォローアップということの意味 
2 成果の現れた方 
3 案ずるより産むが易し 
4 ただいま激戦中 
5 ここは辛抱悟りの境地 
6 フォローアップ・セッションにおけるコーチの重要性 
7 最終回セッション終了時におけるコーチからメンバーへのメッセージ 

第3部 21世紀的リーダーシップを育てるアクションラーニング 
1 リーダーシップとアクションラーニング 
2 日常的能力としての4つのポイント 
Case Study 10回が10回待ったなしですか

はじめに

 私は最初に言っておきたい。本書のテーマであるアクションラーニングは、正しく活用すればほぼ100パーセント成果が上がる手法である。
 人材開発や能力開発、教育研修の技法は、無数と言ってよいほどあるが、効果が生じるまでに時間がかかるものが多い。しかしアクションラーニングには、驚くべき即効性がある。研修直後から成果が上がることはむしろ通例である。
 ここでの成果とは直接的には問題解決である。あるいはそれを通じた業績向上である。しかし何よりの成果は、その人自身の行動が変わることだ。

 人は誰しも切実な問題を持っている。それは責任ある人間のあかしと言ってもよい。問題に真正面から取り組む姿ほど人の心を打つ情景はない。だから問題をどうあっても解決し成果を達成したい。そのためには状況を変えなければならない。
 古くからの教訓に「状況や相手を変えることはできないのだから、あなた自身が変わりなさい」、「あなたの行動が変わることによって、状況も相手も変わるかもしれないのだ」というものがある。この教訓はおそらく正しいが、むごい教訓でもある。そのように簡単に自分を変えられるなら誰も苦労はしない。それほど自分が変わるというのは難事中の難事である。だから、たいていは、そのうち時間が解決してくれるだろうと願いながらあきらめてしまう。しかし、重要な問題は放っておけば余計にひどくなる。
 もしそんな時、気がついたら成果が達成されていた、よくふり返るとそれは自分の行動が変わっていたせいだった、そんな手法があればあなたはどう思うだろうか。本書のテーマであるアクションラーニングはまさにそれである。これは秘法魔術の類ではなく、大変現実的で地道な手法だ。だからこそ誰にでも活用できる。

 本書は、イギリス生まれの人材開発、行動変革の手法であるアクションラーニングを、私流儀に編み直し、その応用と実践をマネジャーや経営者、教育担当者向けになるべく平易に著したものである。私流儀ではあるが、この5年間で筆者ほど、現実の組織の中に入り込んで一人ひとりの社員や役員と向き合いアクションラーニングを実践した者は、日本にはいないだろうというくらいの自負はある。そういう経験をまとめて整理したのが本書である。
 前著「人と組織を育てる リーダーの質問術17手-アクションラーニングとその効果-」では、アクションラーニングがどんな情景、現象として行なわれるかを多くの事例とともに掲載した。今回の本では、そうした情景、現象を支える「理論的枠組み」を明確にした。ただし、理論だけに偏りすぎないように、なるべく随所に事例を入れて、本書を読んだだけでもアクションラーニングの理論から実践までを充分理解できるようにした。本書でアクションラーニングに興味を持たれた方は、前著を併せてお読みいただくと一層の理解が深まると思う。
 人は切実な問題解決を通してしか成長できない。自然に成長するということはない。その問題解決の機会を人の成長にも一層効果的に活用できるのが、アクションラーニングなのである。また、アクションラーニングの実践によって、自分の行動を変えることができるようになると、その次にあなたは、部下にも行動を変えてほしいと思うかもしれない。あるいは経営者や教育や人事の担当者であれば、社員に行動を変えてほしいと、当然ながら思うだろう。 

 筆者はほぼ1年中、アクションラーニングやそのほかの人材開発の仕事に従事しているが、受講者の方々が、仲間の支援や励ましを受けて、問題解決に乗り出す決意を固め、それを成し遂げた上に、リーダーシップを高めた姿を目にするほどの喜びはない。しかし、私が直接お相手できる方の数は限られる。また私以上に経験を積み、修羅場をくぐったマネジャーはいくらでもいるはずだ。そうした方々は、無理に型にはまらず、本書で述べた趣旨原理を応用すれば、自分や部下、関係者の意識改革や行動変容を、以前よりずっと容易に図れるはずである。
 自己の行動を変え、その影響力を持って他人の行動をも変えられるリーダーやマネジャーが、組織の中でより増えていくことを、筆者のささやかな使命としていつも願ってやまない。
 本書を出版するにあたっては、日刊工業新聞社出版局の奥村功氏をはじめとする関係者の方々に大変にお世話になった。とりわけ、同局三沢薫さんには、私の表現の至らない点につき、多くの有益な助言をいただいた上に、ご多忙な中ことのほか編集にあたりお骨折りをいただいた。この場にて、深く感謝を申し上げたい。

平成22年11月 横山 太郎

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