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「ヒートポンプ」の実用性能と可能性

定価(税込)  2,200円

編集
サイズ B5判
ページ数 128頁
ISBNコード 978-4-526-06566-8
コード C3053
発行月 2010年11月
ジャンル 機械 環境

内容

いま、ヒートポンプが温暖化対策の切り札として大きな期待を集めている。しかし、性能に関する数値目標設定値が次第に大きくなり、実使用ではそんな目標どおりの性能は出そうにないという。本書は、メーカーのエンジニアが現実的な議論、検討を重ね、理論的根拠に基づき性能向上の可能性と限界をまとめた。

社団法人 日本冷凍空調工業会  著者プロフィール

社団法人日本冷凍空調工業会ヒートポンプ技術検討WG
臼本 登美一 
片岡 昌樹 
神戸 雅範 
岸本 哲郎 
作井 正人 
清水 克浩 
清水 努 
瀬下 裕 
平原 卓穂 
前野 政司 
松嶋 弘章 
松田 直敬 
森脇 道雄

目次

第1章 冷凍と空調の歴史
1-1 気候と文化
1-2 冷凍空調の歴史
1-3 ヒートポンプを巡る海外の状況

第2章 ヒートポンプとは

第3章 ヒートポンプサイクルの熱力学的限界
3-1 理想COP の算出
3-2 実際のヒートポンプサイクルにおいて考慮すべき不可逆性要因

第4章 実用機器の効率限界と将来展望(対象:エアコン)
4-1 理想条件下における機器理論COP(Li & Tr)
4-2 空調設計ポイントの選択(温度差DT 又は空気流速U の決定)
4-3 冷凍サイクルの各要素機器効率と今後の展望
4-4 家庭用空調機のシステムCOP(Li & Tr)の将来予測[COP の上限漸近値の推定]
4-5 今後の性能向上に関する展望
4-6 まとめ

第5章 実用機器の効率限界と将来展望(対象:ヒートポンプ給湯機)
5-1 ヒートポンプ給湯機の種類と分類
5-2 各種ヒートポンプ給湯機の定格性能規定と理論COP
5-3 各種冷媒における理論COP と理想COP の記載
5-4 実用上の家庭用給湯機の要素機器のCOP への影響
5-5 近未来の最高COP 予測
5-6 まとめ

第6章 ヒートポンプの消費動力量と効率のまとめ
6-1 COP(Coefficient of Performance:成績係数)
6-2 標準条件、定格能力と定格システムCOP
6-3 APF(Annual Performance Factor:通年エネルギー消費効率)

第7章 代表的な機器の効率の推移と展望
7-1 家庭用エアコン
7-2 ヒートポンプ給湯機

第8章 種々の形式のヒートポンプ(用途と効率)

第9章 これからのヒートポンプ
9-1 高気密高断熱住宅への対応
9-2 高温ヒートポンプ

おわりに

用語・事柄の主要な記載箇所

索 引
付 図(1~10)

はじめに

 近年、地球温暖化防止等の環境問題が地球規模での重要な課題となってきました。
 地球温暖化の原因の一つに、経済活動に伴う化石燃料によるCO2排出量の増加が挙げられています。ヒートポンプは低温から高温に熱を移動させる技術であり、利用側によって給湯・暖房などの温熱利用と冷凍・冷房などの冷熱利用があります。また、投入エネルギーの数倍の熱エネルギーを得ることができるため、省エネ性に優れており、地球温暖化防止やエネルギーの有効利用のキー技術として大きな期待が寄せられています。
 ヒートポンプは、「熱を汲み上げる」という意味で、電気ヒーターのように「電気を熱に変換する」装置ではなく、大気の熱をはじめ、河川や海、家庭や工場から出る排熱など、身近にある利用価値が少ない低温の未利用熱を高い温度に移して、効率的に利用することができるなど、大変優れた省エネルギー技術といえます。
 給湯・暖房用途では「化石燃料を燃やして熱を得る」装置に比べても効率が高く、それ自体ではCO2の発生はありませんので、温室効果ガスの排出を大幅に減らすことが可能です。
 近年脚光を浴びているヒートポンプは、決して新しい技術ではなく原理的には100年以上も前から知られていた技術ですが、製造技術等の未熟さから実用的な高効率の機械は開発されてきませんでした。しかし、20世紀に入って新しい材料の発見や要素技術の著しい進歩によってヒートポンプは新しい時代を迎えるようになりました。
 このため、ヒートポンプは、IEA「ETP2008(エネルギー技術展望2008)」・「ETP2010(エネルギー技術展望2010)」、「Cool Earth─エネルギー革新技術計画」、総合科学技術会議「環境エネルギー技術革新計画」等で、エネルギー・環境問題の解決策の一つの柱として取り上げられるなど、最近大きな期待が寄せられています。事実、ヒートポンプ技術は、我が国においては各企業のたゆまぬ技術開発により、民生部門及び産業部門の各分野で大きく進展し、今や世界の中でもトップクラスの技術に成長しています。
 冷凍・空調・給湯機器の市場は世界的に見ても経済発展に伴い、大きな伸長が予測されています。冷凍空調業界ではこれらの優れたヒートポンプ技術やそれらの応用製品を広く世界に普及拡大することにより、我が国の冷凍空調産業の発展とエネルギー・環境問題の解決に大きく貢献できるものと確信しています。
 一方では、最近各方面でヒートポンプが語られる機会が増すに連れて、その期待の大きさからか、その性能に関して過大な期待が寄せられるようになってきたことも否めません。ヒートポンプを今後普及拡大するためには、その正しい理解を同時に広めることが、政策的に重要な観点であると言えます。
 本書は、空調機(エアコン)とヒートポンプ給湯機を例にとり、純粋に理論的根拠に基づきヒートポンプの性能の実用上の可能性を検証し、その技術の展望を試みようとするものです。

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