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クレーム・不良ゼロを目指す
品質管理活動の「全容」と「基本」

定価(税込)  3,024円

著者
サイズ A5判
ページ数 340頁
ISBNコード 978-4-526-06538-5
コード C3034
発行月 2010年09月
ジャンル 生産管理

内容

本書は品質管理活動の全容と基本を体系化するために、品質管理活動で実証されてきた基本に加えて、品質管理活動関係の専門書には掲載されていない用語・概念、手法を補って全体像を明確にする。

辻本 攻  著者プロフィール

(つじもと おさむ)
技術士(経営工学部門)
1943年 大阪府に生まれる
1966年 住友電気工業株式会社に入社、以降、生産技術・IE部門スタッフ、光事業部品質保証課長、工場長、製造部長、生産技術部・管理技術部長、電子ワイヤー事業部長・関東製作所長を歴任。米国現地法人Judd Wire Ind. CEO&社長、その後、管理スタッフ部門技師長・全社品質信頼性運動副委員長。
2004年 サンレー冷熱株式会社 代表取締役社長に就任
2010年 辻本技術士事務所 代表
著書 
 『現在経営工学概論』(共著、オーム社)
 『モノづくりの仕組みとマネジメント手法』(筑波書房)

目次

目次


はじめに
本書の構成について
本文を読むにあたって

第1章 品質管理活動の発展経緯と現在の課題・解決方図
1・1 品質管理活動の変遷
1・2 現在の品質管理活動の悪習と改善方図
1・3 品質管理活動は、結局は“人”

第2章 品質管理活動の全容
2・1 “品質”とは
2・2 “品質管理活動(品質マネジメント)”とは
2・3 品質管理活動の“全容”のモデル
2・4 品質管理活動は経営管理システムに位置付け
2・5 品質管理活動は日常業務と管理活動(マネジメント)を一体化
2・6 クレーム、不適合ゼロを狙う品質管理活動

第3章 品質管理活動の基本
3・1 〔基本(1)〕 事実に基づく品質管理活動
3・2 〔基本(2)〕 顧客重視、顧客指向
3・3 〔基本(3)〕 二重の品質保証体制構築:自工程保証と検査保証
3・4 〔基本(4)〕 目指すは“管理された状態”
3・5 〔基本(5)〕 プロセスアプローチ
3・6 〔基本(6)〕 重点管理の推進
3・7 〔基本(7)〕 クレームの根(3層の原因系)の掘り下げ:主因、管理要因、組織・風土要因
3・8 〔基本(8)〕 事後対策から予防対策に
3・9 〔基本(9)〕 ばらつき、差、分布の見方に着眼

第4章 統計的な見方と統計的手法
4・1 要因と特性の関係(因果関係)
4・2 統計的な見方
4・3 ばらつきに着眼:モノには“ばらつき”がある
4・4 いろいろな分布
4・5 統計的手法、QC七つ道具(Q7)
4・6 工程能力研究

第5章 自工程保証、源流管理
5・1 “自工程保証”とは
5・2 整合性ある品質保証ネットワーク
5・3 管理幅の決め方
5・4 源流管理
5・5 仕入先での自工程保証

第6章 検査保証と検査の役割
6・1 “検査保証”とは
6・2 品質確認、検査の方法
6・3 検査の種類
6・4 品質確認、検査の意義と役割
6・5 特別採用(特採)
6・6 検査、品質保証部門の役割

第7章 初期管理(設計・開発管理)
7・1 “初期管理”とは
7・2 設計・開発のプロセスと初期管理のポイント
7・3 不具合予測・潜在問題分析法と設計ミス予防対策
7・4 顧客要求〜製品仕様〜5M条件に展開

第8章 基本ルール順守(標準順守)と日常管理
8・1 “基本ルール”の順守徹底
8・2 日常管理のための仕組み
8・3 目で見る管理/見える化
8・4 異常管理
8・5 日々管理と日常的改善(オンライン品質改善)
8・6 5S
8・7 品質管理活動における第一線監督者の役割

第9章 重点管理と先手管理
9・1 “重点管理”とは
9・2 重要特性、重要要因
9・3 変化点管理
9・4 ヒューマンエラー(人的ミス)対策
9・5 先手管理

第10章 品質改善法
10・1 品質改善法の悪習
10・2 QCストーリー(QC的問題解決法)による品質改善
10・3 「現象分析」と「原因分析」
10・4 品質不具合のとらえ方
10・5 品質改善の基本プロセス
10・6 品質問題解決の盲点
10・7 対策処置:応急処置/是正対策/予防対策
10・8 クレーム処理

〈参考図書・文献〉

はじめに

はじめに

 成熟した経済下における品質管理活動は、顧客重視の製品・技術開発や事業展開を行い、顧客満足向上を図り事業を持続発展させていく上において、喫緊の課題であり、また、事業継続における重要な危機管理事項である。しかし、現在の品質管理活動は、掛け声だけの活動であったり、形式的な低調な活動となったりしている。多くの企業で“悪習(悪い習慣)”がはびこり、活動の成果を妨げている。投入費用の割りに成果が出ていないために、経営者も重要性を理解しているつもりであるが、品質管理活動への関心が薄れて、大企業でも時として品質問題で足をすくわれている。
 これらの原因の1つには、わが国が長年蓄積してきた品質管理活動の技術やノウハウの蓄積が進んでいないことである。あと1つには、グローバル経済に入り、ISO9001認証取得と維持に取り組まざるを得なくなり、ISO9001規格要求事項を満たす品質管理活動に全面的に切り替わり、その意図が十分理解されずに、形式的な活動に終始しているということである。本来は、これまで取り組んできたTQM活動とISO9001認証取得・維持活動を融合させて取り組む必要がある。
 何事も物事を極めようとすれば、対象の“全容(全体像)”と“基本”の習得の上に徹底実践し、工夫を凝らしていくことである。前述したように、品質管理活動の全容と基本についての体系化が遅れており、継承し発展させていくものが曖昧になっているというのが現在の品質管理活動の根本問題であると考える。本書は、品質管理活動の全容と基本について、大胆に提示するものである。品質管理活動は、品質向上活動でもなく、品質改善活動でもなく、マネジメント(管理活動)である。これが本書の主張の中心である。もう1つの主張点は、企業にとって必要な品質管理活動は、“クレーム・不適合を減らす”という改善活動ではなく、“クレーム・不適合をゼロ”にするためのマネジメント(管理活動)であるということである。
 品質マネジメントの全容については、品質とマネジメントに分けて整理している。品質についてはいろいろな切り口から捉えることができ、これらについての根本を提示する。“マネジメント”とは、管理でなく、管理活動である。“管理活動”とは、“仕組みづくり-運用-改善活動の連携で、望ましい状態を達成するための組織的な活動”である。“仕組みづくり”では、国際規格ISO9000シリーズが提示する「プロセスを基礎とした品質マネジメントシステムのモデル」が適切である。本モデルでは、経営管理システムに位置づけた“マネジメントシステム”を構築することと、品質保証のための“製品実現の仕組み”を確立して運用することを求めている。しかし、顧客満足度“優”を狙うには、このモデルでは不十分である。このモデルにTQM活動で実証されてきた基本、並びに成果を挙げてきた品質管理制度や手法を組み入れることが必須である。また、クレーム・不適合を減らすという改善活動中心ではなく、仕組みづくり-運用-改善活動の連携した活動により、“クレーム・不適合ゼロ”を日常的に達成していくことが大切である。“運用(日常管理)”についての全容は、「基本ルール順守と日常管理」と「重点管理」、「先手管理」である。“改善活動”については、まとめ改善やとらわれ分析からの悪習を脱する方法として、徹底して事実に立脚する「現象分析~原因分析2段階法」と「日常的改善(オンライン品質改善)」を提示している。
品質管理活動の全容と基本を提示する本書は、馴染みにくいと思われるが、理解が進むと応用が効き、クレーム・不適合ゼロに果敢に取り組むことができるものと確信する。なお、本来は、本書のタイトルは、『クレーム・不適合ゼロを目指す品質管理活動の全容と基本』とすべきであるが、不適合は、ISO9001認証取り組み会社以外では馴染みが薄いために、『クレーム・不良ゼロを目指す品質管理活動の全容と基本』とする。大方の参考になれば筆者の幸いとするところである。
 なお、本書は、メーカ(生産者)規格型の量産品のモノづくりではなく、顧客仕様に基づく受注生産型のモノづくりを想定していることを付言する。
 末尾ながら、品質マネジメントの実務上貴重な経験や学びの場をつくって頂き、また、絶えず熱心にご指導ご支援いただいた住友電気工業㈱、米国Judd Wire Inc.、サンレー冷熱㈱の上司並びに、共に取り組んだ関係者、顧客関係者及び取引先関係者、学校関係者の皆様に感謝申し上げる。そして、本書出版にあたり、日刊工業新聞社の辻総一郎氏をはじめ出版部の皆様には身に余るご支援と励ましを頂いたことに対し、紙上をかりて厚く御礼申し上げる。

2010年9月吉日   辻本 攻 



本書の構成について

 本書の構成は、図表0−1の通りである。“品質管理活動”とは、“品質管理活動の基本の上に、仕組みづくり-運用-改善活動を連携して活動し、狙いである顧客満足向上、競争優位性の確立、組織の活性化、及び経営目標を達成する組織的な活動”である。この定義づけと関連付けて、第1章から第10章の章立てを行っている。
 次に、章立てについて順次概要を説明する。
 第1章「品質管理活動の発展経緯と現在の課題・解決方図」では、わが国の品質管理活動の歴史を振り返り、現在の活動が抱える問題を整理する。よく見られる悪習について、10項目に整理して説明するとともに、それぞれの解決方図を示す。品質管理活動も結局は“人”である。どのような仕組みをつくり運営しても一人ひとりの感性や判断力や行動力が鍵となる。人的能力向上についての見解を提示する。
 第2章「品質管理活動の全容」では、主題である品質マネジメントについてより的確な定義づけとして、“品質”と“マネジメント”に分け解説を行う。品質マネジメントは、改善活動や品質向上活動ではなく、“仕組みづくり-運用-改善活動”の連携活動である。品質管理活動の“全容”を理解することが大切である。ここでは、品質管理活動の全容(全体像のこと)を提示している。あわせてクレームや不適合を減らす活動から観点を変えて、ゼロにする取り組みが大切である。減らす活動とゼロに取り組む活動では大いに変わってくる。
 本書では、品質管理活動の基本として、9つの原則を提示している。(1)「事実に基づく品質管理活動」、(2)「顧客重視、顧客指向」、(3)「二重の品質保証体制構築」、(4)「目指すは管理された状態」、(5)「プロセスアプローチ」、(6)「重点管理の推進」、(7)「クレームの根の掘り下げ」、(8)「事後対策から予防対策に」、(9)「ばらつき、差、分布の見方に着眼」である。それぞれについて、概説を加える(第3章「品質管理活動の基本」参照)。
 “品質”とは、“要求への適合の仕方”である。この定義の意味することは、品質管理活動においては、それぞれの要求をまず明確にすること、次いで、要求の中央値にばらつきなく入るように統計的な見方や手法を活用することである。ISO9001認証維持の時代に入っているが、統計的な見方や手法は、なお有用である(第4章「統計的な見方と統計的手法」参照)。
 品質管理活動の“仕組みづくり”に関する基本は、「二重の品質保証体制構築」であり、その中核は、社内及び仕入先の全プロセスで“自工程保証”を推進することである。自工程保証には、品質を造り込み管理するという「条件管理」と、つくった製品の出来栄えを自ら確認するという「自工程検査」と、良品を100%後工程に送るように「全数・全長検査」を実施するという3本柱がある。自工程保証をモノと情報の源流から順に行うことを“源流管理”という。モノの源流でもある仕入先でも社内と同等の自工程保証が確立され運用されるように発注元が指導・支援をしなければならない(第5章「自工程保証、源流管理」参照)。
 二重の品質保証体制のもう一方である“検査保証”は、自工程保証の確立とともにその役割も変わってきているが、お客様視点で要求仕様を満たすかどうかを確認するという第3者検査の役割は、依然意義深いものである。検査の方法と意義を体系的に説明する(第6章「検査保証と検査の役割」参照)。
 業務の最源流である設計・開発工程における新製品・新技術開発の製品企画から本製品製造での初期流動管理までは、“初期管理”と称して、品質保証の死命を制する重要な活動である。いわば、設計・開発工程の自工程保証である。製造のための生産指示情報をつくる工程であるために、多くの設計ミスは後工程である購買、製造部門などで発見できず、検査の検査保証も期待できず、設計部隊が自工程保証と検査保証の二重の品質保証を担当せざるを得ないということである。要求仕様を保証する品質特性に展開し、その過程で「不具合予測手法」を活用して不具合予測を徹底し予防対策を講じることがポイントとなる(第7章「初期管理」参照)。
 “運用(日常管理)”に関する基本では、仕組み通りに運用するという“基本ルール順守”と、日常管理を効果的に行うための「日常管理のための仕組み」の構築と、その運用である日常管理時に〔日常的改善〕を図るということである。日常管理のための仕組みには、「5S」、「目で見る管理/見える化」、「標準順守のための仕組みづくり」、「異常管理」、「日々管理」(以上、日常管理の5つの手法)がある。日常的改善のためには「品質改善の仕組み」が必要である(第8章「基本ルール順守と日常管理」参照)。
 全ての管理活動と同様に品質管理活動でも抑えるべき事項は多い。全てに亘り精細に行おうとすると肝心なことが抜けてしまうものである。そこで、対象の軽重に応じて「重点管理」を行うことが効果的である。重点管理も、運用に関する重要な基本である。多くの業種で共通する4つの重点管理領域がある。それは、「初期管理」、「変化点管理」、「ヒューマンエラー事前対策」、「重要要因・重要特性」である。重点管理とともに重要な業務管理法に「先手管理」がある。事が起こってから手を打つという後手管理ではなく、あらかじめ起こりそうなことを予測して事前に適切な手を講じるという「先手管理」が実践的な管理法である(第9章「重点管理と先手管理」参照)。
 “改善活動”に関する基本は、データや品質記録を蓄積してから改善活動を行うという〔まとめ改善〕や過去の経験や実績にとらわれて、机上で改善するという〔とらわれ分析〕から脱して、徹底して事実に基づき有力な手掛かりを得て改善活動をすることである。そのための方法として「現象分析~原因分析2段階法」(10・3項「現象分析と原因分析」参照)、並びに〔日常的改善(オンライン品質改善)〕(8・5項「日々管理と日常的改善」参照)を提示する。品質改善に関わるその他の基本として、「品質改善の基本プロセス」、“品質不具合の捉え方”、“品質問題解決の盲点”、“対策処置の区分”、“クレーム処理”について説明する(第10章「品質改善法」参照)。



本文を読むにあたって

 本書では、品質管理活動で解明され実証されてきた基本に加えて、品質管理活動の全容と基本を体系化するために、品質管理活動関係の専門書には掲載されない用語・概念、手法を創り出して記載している。当該箇所にて理解を深めることができるように、他箇所の説明よりも詳しく行っている。例えば、次のようなことである。
 《用語・概念》
 ▼品質管理活動の総論と各論(1・2項「現在の品質管理活動の悪習と改善方図」参照)
 ▼品質に影響する7要因(2・1項「品質とは」参照):1S・1D・5M条件
 ▼モノづくりの目標(2・1項「品質とは」参照):SEQDC
 ▼“マネジメント”とは(2・2項「品質管理活動とは」参照):管理活動のこと、仕組みづくり―運用―改善活動の連係
 ▼前後工程お客様(3・2項「基本②顧客重視、顧客指向」参照)
 ▼クレームの根(3層の原因系)(3・7項「基本⑦クレームの根の掘り下げ」参照):主因(直接原因)、管理要因(仕事の仕組み要因)、文化風土要因(マネジメント要因)、共通の根元
 ▼二重の品質保証体制(5・1項「自工程保証とは」参照):自工程保証と検査保証
 ▼整合性ある品質保証ネットワーク(5・2項「整合性ある品質保証ネットワーク」参照)
 ▼5つの製品要求仕様(7・2項「設計・開発のプロセスと初期管理のポイント」参照)
 ▼日常管理の5つの手法(8・2項「日常管理のための仕組み」参照)
 ▼日常管理と改善活動の同軸活動(8・5項「日々管理と日常的改善」参照)
 ▼日常的改善(オンライン品質改善)(8・5項「日々管理と日常的改善」参照):品質改善の仕組みを設けて、日常的に問題や異常を見つけ、改善を積み重ねるというやり方
 ▼重点管理の4領域(9・1項「重点管理とは」参照):初期管理、変化点管理、起こる前のヒューマンエラー対策、重要特性・重要要因
 ▼品質設計(第10章「品質改善法」参照)
 ▼まとめ改善(オフライン品質改善)(10・1項「品質改善法の悪習」参照):データや品質記録の蓄積を基に改善するというやり方
 ▼とらわれ分析(思い込み分析)(10・1項「品質改善法の悪習」参照):過去からの蓄積や知見にとらわれた机上検討主体の原因分析法
 ▼現象分析~原因分析2段階法(10・3項「現象分析と原因分析」参照)
 ▼品質問題解決の盲点(10・6項「品質問題解決の盲点」参照):材料使用条件ほか
 ▼8つの対策(10・7項「対策処置」参照)
 《手法》
 ▼品質改善の仕組み(8・5項「日々管理と日常的改善」参照)
 ▼ポカミス予防ネットワーク(9・4項「ヒューマンエラー対策」参照)
 ▼現象分析(10・3項「現象分析と原因分析」参照)
 ▼4つの質問(10・5項「品質改善の基本プロセス」参照)

 品質管理活動の全ての活動、制度などはつながったものであり、一体である。しかし、説明時は、これをばらばらにして説明せざるを得ない。そこで、言葉の概念や意味が分からない用語が出ると、理解が進まないことが起こるので、これを避けるために、本書では次のような工夫を凝らしている。
 ▼用語の定義を本文中に、“説明文”で表わす。
 ▼文章の後に、関係する章、項、パラグラフを参照として掲載する。特に当該箇所ではなく、あとの章・項で説明している場合に掲載している。
 ▼本文で説明しない用語については、注釈にて説明する。
 以上により、立ち止まらずに前に進むことができるようにしている。

 なお、本書での用語における、“ ”、「」、〔〕などの強調区分は次の通りである。
 ●“ ”:概念、考え方、原則、用語
 ●「 」:手法、制度、仕組み、システム
 ●〈 〉:掲載図表中の用語
 ●〔 〕:型、方式
   以上


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