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未来の科学者との対話VIII
―第8回神奈川大学 全国高校生理科・科学論文大賞受賞作品集―

定価(税込)  1,728円

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ページ数 284頁
ISBNコード 978-4-526-06471-5
コード C3050
発行月 2010年06月
ジャンル その他

内容

神奈川大学が理科教育を支援する試みとして実施している「全国高校生理科・科学論文大賞」(審査委員長:長倉三郎)の第8回受賞作品集。大賞1編、優秀賞3編、努力賞15編を収録。高校生の努力と継続が生み出した研究成果が満載。

学校法人 神奈川大学広報委員会 全国高校生理科・科学論文大賞専門委員会  著者プロフィール

長倉三郎(ながくら さぶろう)

1920年静岡県生まれ。1943年東京帝国大学理学部卒業。理学博士。
東京大学教授、岡崎国立共同研究機構分子科学研究所長、同機構長、総合研究大学院大学長、神奈川科学技術アカデミー理事長、日本学士院長を歴任。現在、武蔵野地域自由大学学長。物理化学。
編著書に『有機電子理論』(培風館、1966年)、『岩波理化学辞典第5版』(共編)(岩波書店、1998年)、『Dynamic Spin Chemistry』(共編)(Wiley、1998年)ほか。
文化勲章(1990年)受章。

目次

はじめに
「神奈川大学全国高校生理科・科学論文大賞」審査委員長 長倉 三郎

●審査委員講評
基礎学力・自由な発想・広い視野 上田誠也
疑問は根気よく追い続けよ ~解明と新しい発見につながる~ 田畑米穂
自分たちらしさを大事にしましょう 中村桂子
科学はなぜ大事なのかという自覚をもってほしい ─最近の出来事から考えさせられること─ 細矢治夫
テーマの選択と先行研究 竹内敬人
グループ研究と個人研究 永田一清

●大賞論文
竜山石が教えるマグマの状態変化 兵庫県立加古川東高等学校 地学部

●優秀賞論文
シロギスの仔魚はアオリイカの好物? 長崎県立長崎鶴洋高等学校 水産クラブ
葉の形を決める仕組みを解き明かす 岡山県立玉野高等学校 サイエンス部
なぜ暗い所で育てたカイワレはよく伸びるのか 名古屋市立向陽高等学校 SSクラス309カイワレ研究グループ  臼井 志帆 森 由佳 渡邉 美沙子

●努力賞論文
ヒメガムシの生活史 埼玉県立熊谷西高等学校 自然科学部生物班 堀口 智博
海藻による水質浄化 東京都立科学技術高等学校 科学研究部化学班
クマムシが葉の密生しているコケを好む理由 東京都立科学技術高等学校 科学研究部生物班
廃棄される柑橘果皮の有効利用法 東京都立科学技術高等学校 科学研究部生物化学班
その岩石の素性を追え! 静岡北高等学校 科学部地学班
手づくり光合成測定装置で調べたレッドロビンの赤い色素のはたらき 名古屋市立向陽高等学校 SSクラス309光合成研究グループ
限界線星食により月縁の凹凸を明らかにする 三重県立津高等学校 SSC天文部会
ゲル法で作成した結晶の美しさ 三重県立津高等学校 SSC化学部会3年 大森千輝
ナフトールをニトロ化するとどうなるのか? 三重県立津高等学校 SSC化学部会 岩嵜諭嗣
数、その体系の奥底に潜む秘密を探る 立命館高等学校 SS3年 奥野 彰文
畜糞を有効活用せよ! 岡山県立高松農業高等学校 2Z 小家畜専攻生+1
エコカーの形は、なぜ似ているのだろう 愛媛県立宇和高等学校 2年物理愛好会
Excelで作られた迷路は抜けられる? 徳島県立城南高等学校 3年 平川一樹
反復横跳びと運動能力の関係 徳島県立城南高等学校 応用数理科3年 宇徳美穂 西角祐香
発泡スチロール、その軽さと強さの秘密 徳島県立三好高等学校 生物資源類1年有志

●第8回神奈川大学全国高校生理科・科学論文大賞 団体奨励賞受賞校、応募論文一覧
神奈川大学全国高校生理科・科学論文大賞の概要

あとがき

はじめに

審査委員長
長倉三郎

 今回の第8回「神奈川大学全国高校生理科・科学論文大賞」には、北は北海道から南は沖縄にいたる44の高等学校から73篇の論文応募がありました。そのうち1篇が辞退されましたので、最終的には72篇の論文が審査の対象となりました。

 論文審査はこれまでと同様に2段階方式で進められました。第一段審査におきましては、学内教員によって組織された専門委員会が応募論文の内容を主として専門的立場から審査評価し、受賞候補論文を選んで第二段審査を担当する審査委員会に推薦しました。審査委員会は「高校生らしい研究論文の在り方」など基本的視点も含めた広い立場から受賞候補論文を審査し、大賞論文1篇と優秀賞論文3篇をはじめ、努力賞論文15篇、団体奨励賞受賞校5校を決定しました。専門的立場から多数の応募論文を的確に評価し、選考の基盤を固めていただいた専門委員会の西久保委員長をはじめ専門委員の方々に改めて厚くお礼を申しあげます。

 大賞に選ばれた兵庫県立加古川東高等学校地学部の“マグマ分化末期の流体相の状態を推定する~凝灰岩の加熱実験から、その赤色化を指標にして~”は地元産の優れた石材として古くから知られていた龍山石について、淡青色、淡黄色、淡赤色の3つの異なる色相を示すことに注目し、その成因を研究したもので、前回優秀賞を受賞した“凝灰岩「竜山石」には、なぜ3つの異なる色相があるのか”と密接につながった一連の研究とみなすことができます。

 具体的には、前回の研究でバーナーによる加熱実験や偏光顕微鏡による観察に用いられた試料について、今回の研究では加熱炉による定温加熱や昇温加熱の実験が行われ、龍山石の色相変化に及ぼす温度や加熱時間の影響について定量的なデータが得られました。

 川勝和哉先生の卓越した指導のもとに20名を超える地学部高校生の協力によってなしとげられた大賞受賞研究は、学問的に優れた成果を挙げたばかりでなく、高等学校におけるグループ研究の在り方や研究の推進方法についても一つの典型例を示したものとして高く評価できます。「神奈川大学全国高校生理科・科学論文大賞」の8年の歴史の中で、今回初めて地学分野から大賞受賞論文が生まれました。学問の総合化の流れからみて望ましい方向であると存じます。
優秀賞に選ばれた3篇の論文のうち、長崎県立長崎鶴洋高等学校水産クラブの“アオリイカSepioteuthis lessoniana種苗生産における初期餌料としてシロギスSillago japonica仔稚魚の有効性”は、重要な水産資源となっているアオリイカの初期餌料としてシロギスの仔稚魚が有効であることを示した研究です。アオリイカの稚魚が生まれる夏期に産卵期を迎える魚類を図鑑で調べ、その中からシロギスを選んだ発想に感心しました。

 同じく優秀賞の岡山県立玉野高等学校サイエンス部の“異形葉の研究1~葉の形態形成とホルモン~”は、植物の葉の形や大きさの多様性を植物ホルモンの作用も含めて詳しく研究し、葉形が葉脈と葉肉の生長速度によって決まることを示しました。葉脈が葉肉よりも速く生長すれば裂け目を生ずるのはその1例です。

 同じく優秀賞の名古屋市立向陽高等学校 SSクラス309カイワレ研究グループの“カイワレの胚軸形成における光の影響 なぜ、暗所で育てたカイワレはよく伸びるのか”は、カイワレについてよく知られている暗所で伸長が著しい現象を細胞レベルで解明することを目的として研究を進めた結果、膨圧の低下による吸水度の増加がその原因であることを明らかにしたものです。

(審査委員講評も兼ねる)

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