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難削材の上手な削り方
ステンレス鋼

定価(税込)  2,420円

著者
サイズ A5判
ページ数 208頁
ISBNコード 978-4-526-06463-0
コード C3053
発行月 2010年05月
ジャンル 機械

内容

難削材の切削は機械加工メーカーの生き残りのためには必須のものとなっており、加工現場では初級者であっても一般材切削と同様に手がければならない。数多くある難削材の中でもステンレス鋼は用途範囲が極めて広く、また他の難削材の切削においても参考となる点が多い。

狩野勝吉  著者プロフィール

(かりの かつよし)
1937年 宮城県生まれ。中央大学卒業
1960年 三菱金属(現・三菱マテリアル)(株)入社
1972年 同社東京製作所技術開発部
1991年 三菱マテリアル(株)筑波製作所研究開発センター
1997年 同製作所切削加工技術顧問
現在、(独)産業技術総合研究所客員研究員、山梨県工業技術センター客員研究員、高度職業能力開発促進センター非常勤講師
所属学会:日本機械学会、精密工学会
主な著書
「難削材の切削加工技術」(工業調査会)、「データでみる切削加工の最先端技術」(工業調査会)、「切削加工のトラブルシューティング」(工業調査会)、「データでみる次世代の切削加工技術」(日刊工業新聞社)、「難削材・新素材の切削加工ハンドブック」(工業調査会)、「切削加工実践Q&A100選」(日刊工業新聞社)、「生産現場必携 切削加工の技術情報103」(工業調査会)、「初級技術者に伝えたい切削加工の技術&技能」(日刊工業新聞社)

目次

はじめに  

ステンレス鋼の化学成分と切削データ
第1章
 1.1 ステンレス鋼の種類とJIS規格  
 1.2 ステンレス鋼の切削データ  
 1.3 オーステナイト系鋼種の切削と工具損傷形態  
 1.4 SUS304と異系種ステンレス鋼の切削データ  
 1.5 耐熱鋼の種類とJIS規格  
 1.6 SUS系耐熱鋼とSUH系耐熱鋼の切削データ  
 1.7 ステンレス鋼と耐熱鋼の切りくず処理性  

ステンレス鋼切削の基礎技術
第2章
 2.1 ステンレス鋼の特性と被削性指数  
 2.2 加工硬化で起こる切削現象に学べ!  
 2.3 切削熱と工具損傷との関係  
 2.4 切りくず形態と切削抵抗から学ぶべきこと  
 2.5 工具材料との親和性と切れ刃の溶着現象  
 2.6 ステンレス鋼切削はノッチ摩耗に注意せよ!  
 2.7 臨床データでみる工具寿命原因  
 2.8 ステンレス鋼切削の表面品位とエッジ品質  
 2.9 切削速度と工具寿命、工具損傷の関係  

旋削加工の上手な進め方
第3章
 3.1 旋削加工の諸特性を学ぼう!  
 3.2 ステンレス鋼と耐熱鋼の一般的推奨切削条件  
 3.3 超硬合金M20の特性と使い方  
 3.4 コーテッド超硬合金の選び方・使い方  
 3.5 ステンレス鋼切削でのcBN焼結体の可能性  
 3.6 適正切れ刃形状とチップブレーカ  
 3.7 CNC精密自動旋盤によるステンレス鋼の削り方  
 3.8 ステンレス鋼のねじ切り切削  
 3.9 切込み角とノッチ摩耗の関係  
 3.10 切りくず特性と切削抵抗の動的成分  
 3.11 切削油剤の機能と溶着現象の防止  

ドリル切削の上手な進め方
第4章
 4.1 ドリル切削の諸特性を学ぼう!  
 4.2 ステンレス鋼と耐熱鋼の一般的推奨切削条件  
 4.3 奇数角の喰い付き穴を改善せよ!  
 4.4 ドリル切削のライフリングマークを防げ!  
 4.5 ドリル切削でのびびり振動を防げ!  
 4.6 マージン部のフィードマーク摩耗を防げ!  
 4.7 ステップフィード切削と加工硬化現象  
 4.8 PVD法コーテッド超硬ソリッドドリル  
 4.9 内部給油式ドリルで生産性の向上を図れ!  
 4.10 微小径ドリル切削のキーポイント  
 4.11 大径穴の加工はインサート式超硬ドリルで  

正面フライス切削の上手な進め方
第5章
 5.1 正面フライス切削の諸特性を学ぼう!  
 5.2 ステンレス鋼と耐熱鋼の一般的推奨切削条件  
 5.3 正面フライス切削における工具材種と加工実例  
 5.4 切れ刃の真のすくい角で変わる工具損傷  
 5.5 ステンレス鋼切削の工具寿命の特異性  
 5.6 切削幅比で大きく変わる工具損傷特性  
 5.7 上向き削りと下向き削りで変わる切削現象  
 5.8 切削条件の変更で起こる工具損傷トラブル  
 5.9 コーナ角で異なるバリ発生  
 5.10 切削工具の倒れ現象と加工精度  
 5.11 正面フライス切削での切削油剤の功罪  

エンドミル切削の上手な進め方
第6章
 6.1 エンドミル切削の諸特性を学ぼう!  
 6.2 ステンレス鋼と耐熱鋼の一般的推奨切削条件  
 6.3 工具材種別のエンドミル切削の特性  
 6.4 生産性向上とトラブル対策に適したエンドミル  
 6.5 切れ刃形状と壁面精度の関係  
 6.6 エンドミル切削でのステンレス鋼の被削性  
 6.7 切削油剤の有無、種類と工具損傷  
 6.8 切りくず噛み込み現象は必ず防げ! 
 6.9 エンドミル切削での上向き削りと下向き削りの切削現象  
 6.10 エンドミル切削でのMQLの効果  

索引  

はじめに

難削材切削は量的拡大と質的多様化が進んでいる。一般材部品は低工賃化と短納期化が厳しく、難削材部品の切削に活路を求める企業も多い。難削材は、ステンレス鋼のほか、金型関連材料や航空・宇宙関連材料、その他と幅広いが、本書は難削材切削の入門的存在のステンレス鋼を第一弾として取り上げた。
初級者向けの技術書が多く発刊され、切削加工セミナーも基礎技術に関するものが多いが、長い年月を経ても、初級から中級へ、中級から上級への移行が難しいのが現状である。その背景には、ものづくりの自動化や無人化が関係する。工作機械は堅牢なカバーで覆われ、安全性や作業性が向上する一方で、切削点は著しく観察しにくくなった。工作機械が進歩しても、切削工具の切れ刃が素材に食い込んで不要部分を切りくずとして除去する切削の諸現象はまったく変わっていない。切削加工技術の進化のルーツは切削点にあるといってよいが、皮肉にも技術の進歩は切削現象を観察し学びながら技術力を高めることを著しく困難にした。
切削点を観察することが困難になった技術者にとって今、大切なことは、優れた切削データに出会うことである。優れた切削データに出会い、それらを自らの直接体験に準じるところまで深く理解し、「体験的習得」ともいうべき徹底した手法で技術情報を獲得し、自らの技術力を磨くことである。
特に若い技術者は過去のデータや他人のデータに学ぶことが重要なので、工具損傷の切れ刃写真や切削データを豊富に盛り込んだ内容に構成した。また、生産現場での実用性を高めるため、加工形態や切削工具別の一般的推奨切削条件を多く掲載することに努めた。切削現場の技術者の自己研鑚とものづくりの技術力向上に役立つことができれば著者の喜びとするところである。

2010年5月  著者

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