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粉体技術が挑む究極のエネルギーと環境調和

定価(税込)  2,592円

編著
編著
サイズ A5判
ページ数 240頁
ISBNコード 978-4-526-06403-6
コード C3043
発行月 2010年02月
ジャンル 化学

内容

「エネルギー問題」と「環境調和」は、早急に地球規模で対応すべき課題である。本書は、これらの課題解決の鍵を握る「粉体技術」に焦点を当てる。最新の話題を中心に具体的な22の事例を通じて、粉体技術が果たすべき役割や課題を多面的に論じている。

内藤牧男  著者プロフィール

大阪大学 接合科学研究所 教授

牧野尚夫  著者プロフィール

(財)電力中央研究所 エネルギー技術研究所 副所長

目次

「粉体技術が挑む 究極のエネルギーと環境調和

―粉が支える豊かな未来−」目次



序にかえて

編著者・執筆者一覧

第1章 クリーンエネルギー創出の鍵を握る粉体技術

1.1 燃料電池性能向上に果たす粒子構造制御の役割

1.1.1 固体酸化物形燃料電池とその電極構造

1.1.2 空気極構造最適化に向けた粒子構造制御法

1.1.3 プレハブ構造を持つ複合電極材料

1.1.4 自己組織化するナノグレイン構造の機能性複合粒子

1.2 太陽エネルギー変換に貢献する

1.2.1 色素増感太陽電池の構造と発電原理

1.2.2 酸化チタン微粒子からの多孔質電極調製と応用

1.2.3 可視光応答性の半導体光触媒による水の完全分解

1.2.4 光触媒−電解ハイブリッドシステム

1.3 二次電池の開発 -全固体電池の開発に向けて-

1.3.1 固体電解質に要求される性質

1.3.2 固体電解質(リチウムイオン導電体)

1.3.3 電極(活物質)/固体電解質界面

1.4 バイオマスの新展開

1.4.1 バイオマスエネルギー利用

1.4.2 第2世代バイオマスエネルギー研究開発

1.4.3 バイオマスを含む炭化水素資源からの超クリーン燃料の製造スキーム

1.5 化石燃料のクリーン利用

1.5.1 産炭地におけるクリーン化技術

1.5.2 石炭利用時のクリーン化技術

1.5.3 石炭火力の環境対策

1.5.4 新型石炭火力によるクリーン利用

1.6 水素供給システムへの貢献

1.6.1 軽元素系水素化物

1.6.2 ナノ複合水素貯蔵物質

1.6.3 吸熱型水素貯蔵システム



第2章 高度環境浄化・環境保全を支える粉体技術

2.1 安価なナノ粒子を用いた革新的な環境保全技術

2.1.1 褐炭を用いて調製した CaOナノ粒子による高効率脱硫

2.1.2 Ni担持褐炭を利用したエネルギーと機能性微粒子併産プロセス

2.2 PM2.5 −その排出量の評価と排出低減技術-

2.2.1 PM2.5の健康に及ぼす影響

2.2.2 環境中、発生源からのPM2.5の測定法

2.2.3 PM2.5の排出防止法

2.3 湖沼の水質浄化に貢献する

2.3.1 底泥からのリンの負荷量−佐鳴湖での調査結果−

2.3.2 粉体利用による底泥からのリンの溶出低減

2.4 PCB浄化技術構築に向けて

2.4.1 PCB処理技術

2.4.2 金属Na分散体法の概要

2.5 ナノリスクとナノ粒子

2.5.1 リスクアセスメント

2.5.2 ナノ粒子のハザード評価

2.5.3 曝露の評価

2.5.4 リスクの評価とその低減対策



第3章 省エネルギー・省資源を実現する粉体技術

3.1 金属格子中への酸素の吸収と放出を利用した高度熱利用技術

3.1.1 化学ループ燃焼

3.1.2 化学ループガス化・改質

3.1.3 化学ループ用媒体の調整

3.2 粒子の高次構造制御による高性能断熱材料の開発

3.2.1 高性能断熱材の構造

3.2.2 強度特性

3.2.3 熱特性

3.2.4 高温下での熱伝導率挙動

3.2.5 高性能断熱材への期待

3.3 粉砕技術の動向

3.3.1 粉砕機

3.3.2 粉砕機構を用いた機械的多機能粉体処理装置

3.3.3 機械的粒子複合化による材料の高性能化

3.3.4 機械的非加熱合成

3.4 下水汚泥のエネルギー有効利用

3.4.1 開発システムの特徴とメリット

3.4.2 実証設備

3.4.3 実験概要

3.5 メカノケミカル法による都市鉱山からの希少有価金属のリサイクル

3.5.1 希少金属の回収の重要性

3.5.2 粉砕と溶媒抽出法の組み合わせによる有価金属の回収原理

3.5.3 都市鉱山からの有価金属回収例



第4章 粉体技術が拓く究極の未来社会

4.1 先進材料の循環利用に向けた新展開

4.1.1 繊維強化プラスチック材料のリサイクルとその課題

4.1.2 粉体技術をベースとした新規循環プロセスの提案

4.1.3 先進材料の循環利用に向けて

4.2 二酸化炭素を有効な資源として使う

4.2.1 エネルギー利用の観点から見た二酸化炭素の再資源化

4.2.2 二酸化炭素を原料とした化学反応

4.3 メタンハイドレートの実用化に向けて

4.3.1 メタンハイドレートの結晶構造と相平衡

4.3.2 自然界におけるメタンハイドレートの分布と資源量

4.3.3 天然ガス貯蔵・輸送技術

4.3.4 メタンハイドレートの結晶形態

4.3.5 クラスレートハイドレートが関わるエネルギー技術

4.4 食糧問題に貢献する

4.4.1 わが国の米と小麦粉の消費動向とその理由

4.4.2 小麦粉の製造について

4.4.3 米の需要喚起について

4.5 新型インフルエンザに立ち向かう

4.5.1 インフルエンザの薬物治療

4.5.2 薬物治療に求められること:吸入製剤

4.6 巨大地震の被害を最小にするために

4.6.1 巨大地震時に発生することが懸念される液状化

4.6.2 セメント系材料を用いる液状化対策工法における耐久性向上策



結びにかえて

索引

はじめに

序にかえて

―エネルギーと環境調和の鍵を握る粉体技術−

地球温暖化対策は、いまや人類最大の課題となり、もはやこれを避けて我が国の産業と経済を考えることはできない。資源、エネルギー、食糧自給などに大きな不安を持ちつつ、産業の発展によってこれまで成長してきた我が国にとっては、まさに国の将来を左右する重要な問題である。ところで、これらの問題解決の鍵(かぎ)を握るキーテクノロジーのひとつが、固体微粒子の集合体である粉(こな)を扱う技術であることは、あまり知られていない。ここで言う粉とは、固体微粒子の集合体である。個々の粒子は肉眼では見えない程度に小さいが、それが無数の集合体となった形態が粉であり、学術的には粉体(ふんたい)と呼ばれている。そして、これを自在に制御する技術を「粉体技術」と呼んでいる。

粉は、我々の生活を支えるほぼあらゆる分野において用いられている。例えば生産現場においては、必ずどこかで粉を製造、処理するプロセスが用いられている。さらに、新製品、新技術の開発においても、研究者、技術者は、無意識のうちに粉を巧みに利用している。このことは、粉がモノづくりを行う上で、また新技術、新製品を創出する上で重要な鍵(かぎ)となる材料であることを示している。その理由は、粉のもつ不思議で多様な機能による。すなわち、粉を構成している個々の粒子の機能と、それが集合体となったときにあらわれる機能が、粉をあらゆる分野で活用するための源(みなもと)となっている。

しかし、その反面、粉を自在に扱うことは、大変むずかしいことも良く知られている。粒の大きさが小さくなると、お互いがくっつきあってしまい個々の粒子に分散させることができない、粉をつくっても、個々の粒子の大きさにばらつきができてしまう、粒子のサイズが小さくなると、ひとつひとつを精密に取り扱うことができなくなるなど、ありとあらゆる問題が出てくる。このような状況を反映して、産業界では、「粉は魔物」「粉はノウハウの塊」などと言われてきたのも事実である。そのため、粉を扱った本は実に多く出版されている。「粉体の基礎」、「粉体入門編」と言った基礎的なものから、「粉のハンドリングを巡るトラブル対策」などと言った実用書に至るまで、様々の本が出版されている。そしてそのことが、粉が一筋縄ではいかない存在であることを端的に物語っている。これらの出版物は、読者に多くの情報、知識を与えるものの、これらの膨大な情報を「自らの血肉」として、読者が粉を使いこなすための柔軟な考え方を見につけていくことは極めて困難であると思われる。

そこで筆者らは、まず、粉を生かした究極のモノづくりを行うための羅針盤となる「考えるヒント」「考えるポイント」を読者に身につけてもらうことを目指して、究極シリーズ第一弾となる新刊書「究極の粉をつくる−次世代ものづくり発展の鍵」を平成20年2月に出版した。また、その姉妹本として、粉から究極の材料、製品を作り出すための最も基盤的な技術である、「かたちのつくり方」に焦点をおいた新刊書を、平成21年5月に発行した。その結果、産業界の技術者、研究者などから、大学、工業高等専門学校の学生に至るまで、粉に携わる様々な読者に幅広く活用頂いた。

以上2冊の出版を通じて、モノづくりの基盤に寄与する最新の粉体技術に関する普及を進めてきたが、この間、読者の方々から、「粉体技術を軸として重要課題に取り組んだ成果についてまとめた新刊書を、今後シリーズで出して頂きたい」と言った意見とともに、その具体的な課題として、「現在極めて重要な課題であるエネルギー、環境問題に対して、粉体技術がどのようにアプローチできるのか具体的に知りたい」などの意見を頂戴した。そこでこれらのニーズを踏まえ、このたび本書「究極のエネルギーと環境調和に挑む −粉が支える豊かな未来―」を、財団法人電力中央研究所の牧野尚夫副所長との共同ワークにより、究極シリーズ第3弾として発行することとした。

本書では、今後早急に地球規模で対応すべき課題である「エネルギーと環境調和」を取り上げた。そして、これらの課題解決の鍵を握る「粉体技術」について、最新の話題を中心に、具体的な22の事例を通じて、読者にエネルギーと環境問題解決に取り組むための「考えるヒント」を提供することを目的とした。

ここで22の事例は、大きく4つのカテゴリーに分けて紹介することとした。まず、第一章では、「クリーンエネルギー創出の鍵を握る粉体技術」を取り上げ、6つの話題を紹介した。次に第二章では、エネルギー利用や産業の発展に伴い問題となる「高度環境浄化・環境保全を支える粉体技術」取り上げ、それらを支える粉体に関する話題を5つ取り上げた。さらに、第三章では、エネルギー、資源有効利用を進める上で重要な「省エネルギー・省資源を実現する粉体技術」を取り上げ、5つの話題を取り上げて解説した。そして最後に第4章では、「粉体技術が拓く究極の未来社会」と題して、エネルギー、環境調和において今後解決すべき課題について解説するとともに、人類的課題として重要な、食糧問題、感染症問題や巨大地震などについても取り上げ、粉体技術が果たすべき役割や課題について、多面的に論じることとした。

以上のように本書では、エネルギーと環境調和に挑む最新の粉体技術を22件精選し、それぞれを簡潔に紹介する中で、究極のエネルギーと環境調和を実現するための「学び考えるヒント」を読者に提供することを目的とした。それぞれのトピックスは、独立した節で構成されているので、読者は自らの興味ある記事から自由に読むことができるなど、自由かつ有効活用できるように、構成を工夫した。本書が、エネルギーと環境分野に関係する読者に、何らかのかたちでお役に立つとともに、人類の持続的発展に微力ながら貢献できるのであれば、望外の喜びである。

最後に、本書の取り纏めに当たっては、極めて多忙な中、ご執筆頂いた執筆者の先生方をはじめとして、日刊工業新聞社の辻聡一郎氏、並びに同社には多大なるご支援・ご協力を頂いた。ここに記して謝意を表する。



2010年2月

執筆者を代表して

内藤 牧男





執筆者名 勤務先・所属・肩書き 執筆箇所



執筆者一覧(執筆順)

萩原 明房 東京電力(株) 技術開発研究所 主席研究員 第1章1節

杉原 秀樹 (独)産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門 主幹研究員 第1章2節

佐山和弘 (独)産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門 研究グループ長 第1章2節

右京 良雄 (株)豊田中央研究所 シニアフェロー 第1章3節

坂西 欣也 (独)産業技術総合研究所 中国センター バイオマス研究センター長 第1章4節

牧野 尚夫 (財)電力中央研究所 エネルギー技術研究所 副所長 第1章5節

小島 由継 広島大学 先進機能物質研究センター 副センター長 第1章6節

宝田 恭之 群馬大学大学院 工学研究科 教授 第2章1節

神谷 秀博 東京農工大学大学院 教授 第2章2節

坂田 昌弘 静岡県立大学 環境科学研究所 所長 第2章3節

高岡 昌輝 京都大学大学院 工学研究科 准教授 第2章4節

和田 雅之 (株)神鋼環境ソリューション 環境プラント事業部 担当部長 第2章4節

小倉 正裕 (株)神鋼環境ソリューション 商品市場・技術開発センター 主任部員 第2章4節

明星 敏彦 産業医科大学 産業生態科学研究所 准教授 第2章5節

森本 泰夫 産業医科大学 産業生態科学研究所 教授 第2章5節

大神 明 産業医科大学 産業生態科学研究所 准教授 第2章5節

大藪 貴子 産業医科大学 産業生態科学研究所 学内講師 第2章5節

田中 勇武 産業医科大学 産業生態科学研究所 教授 第2章5節

幡野 博之 産業技術総合研究所 つくば西事業所 主任研究員 第3章1節

大村 高弘 ニチアス(株)浜松研究所 主任研究員 第3章2節

横山 豊和 ホソカワミクロン(株) 粉体工学研究所 所長 第3章3節

山本 隆文 月島機械株式会社 水環境事業本部 第3章4節

齋藤 文良 東北大学 多元物質科学研究所 所長 第3章5節

張 其武 東北大学 多元物質科学研究所 助教 第3章5節

加納 純也 東北大学 多元物質科学研究所 講師 第3章5節

内藤 牧男 大阪大学 接合科学研究所 教授 第4章1節

関根 泰 早稲田大学 理工学術院 准教授 第4章2節

大村 亮 慶応義塾大学 理工学部 准教授 第4章3節

山田 昌治 (株)日清製粉グループ本社 技術本部 主幹 第4章4節

竹内 洋文 岐阜薬科大学 教授 第4章5節

山本 武志 (財)電力中央研究所 地球工学研究所 主任研究員 第4章6節

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