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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい水処理の本

定価(税込)  1,540円

編者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06374-9
コード C3034
発行月 2009年12月
ジャンル ビジネス

内容

飲料水の不足している地帯での海水処理や、工業排水からのレアメタル回収技術、宇宙空間での排水処理まで、様々な分野で応用されている水処理。本書では、製造業や環境保全に役立つ水処理の基礎技術を初心者にもわかりやすく紹介する。主な項目/電子産業を支える水、水の中の不純物、水をみがく技術、排水をきれいにする技術、機能水、など

オルガノ(株)開発センター  著者プロフィール

http://www.organo.co.jp/recruit/facilities/develop.html
執筆者:
[第1章]中村日出夫(なかむらひでお)
[第2章]竹井登(たけいのぼる)
[第3章20~25、第6章60~66]清水和彦(しみずがずひこ)
[第3章26~36、第6章67・68]川田和彦(かわたかずひこ)
[第4章37・47~55]八木寿子(やぎひさこ)
[第4章38~46、第5章]恵良彰(えらあきら)

目次

目 次



はじめに



第1章 日本と世界の水資源

1 水の大循環 「水はどこからやってくるの」

2 世界の水資源 「意外と少ない水資源」

3 日本の水資源 「水は自国だけで賄える数少ない資源の一つ」

4 仮想水 「輸入農産物の生産に伴う水」

5 水を取り巻く基準・規制 「環境基準により守られる水環境」

6 水の中の不純物 「水には色々な物質を溶解する力がある」

7 水の品質 「水にも品質表示がある」

コラム 幽霊の正体は北風だった



第2章 私たちの生活を支える水

8 生命を支える水「飲料水は生命の源」

9 産業を支える水(工業用水) 「リサイクルされる工業用水」

10 農業を支える水「農業用水は食料の源」

11 養殖を支える水「養殖水産に欠かせない水質管理」

12 発電を支える水「電気は水でできている」

13 冷却を支える水「水は優れた冷却材」

14 電子産業を支える水「究極が求められる超純水」

15 医薬を支える水「日本薬局方は医薬用水管理のバイブル」

16 食品製造を支える水「水は食品の色と風味を決める」

17 いろいろな洗浄を支える水「水は優れた洗浄剤」

18 科学技術を支える水「理科室からスーパーカミオカンデまで」

19 こんなところでも水「新しく開拓される水の用途」

コラム レンジでチンで温まるわけ



第3章 水をみがく技術

20 凝集「凝集=粒子を大きくする」

21 沈澱「沈澱=粒子を沈める」

22 加圧浮上「泡で浮かせる」

23 サイクロン「渦で分離する」

24 砂ろ過「砂で濾す」

25 繊維ろ過「繊維で濾す」

26 精密ろ過(MF)「身近なところで活躍しているフィルター」

27 限外ろ過(UF)「厳しく管理される医薬用水」

28 除鉄・除マンガン「色や目詰まり原因となる鉄・マンガンの除去」

29 殺菌「細菌類の処理」

30 活性炭吸着「活性炭はマルチなタレント」

31 イオン交換樹脂の種類と仕組み「水中のイオンを除去する方法」

32 イオン交換樹脂による水処理「イオン交換は水処理の心臓部」

33 特殊イオン交換樹脂「特定のイオンを除去するイオン交換樹脂」

34 逆浸透膜(RO)「膜でイオンを除去する」

35 電気再生式イオン交換装置(EDI)「電気でイオンを除去する装置」

36 オゾンを使った水処理「オゾン水で強力に分解」

コラム おいしい清酒をつくるには



第4章 排水をきれいにする技術

37 固形物・色「「きれいな水」「汚い水」とは?」

38 標準活性汚泥法 (有機物I) 「代表的な生物処理方法」

39 生物膜法(有機物II) 「付着した微生物による生物処理」

40 膜分離活性汚泥法 (有機物III) 「膜を利用した新しい生物処理」

41 嫌気性処理法(有機物IV) 「嫌気性微生物による生物処理」

42 生物脱窒法(窒素I) 「硝化菌と脱窒菌の働きによる窒素処理」

43 ストリッピング法(窒素II) 「高濃度アンモニア排水のガス化処理」

44 不連続点塩素処理法(窒素III) 「塩素によるアンモニアの分解処理」

45 生物脱リン法(リンI) 「ポリリン酸蓄積細菌を利用したリン除去」

46 凝集沈殿法(リンII) 「アルミニウム・鉄・カルシウムによるリン除去」

47 重金属の処理(1) 「重金属を除去する理由」

48 重金属の処理(2) 「一般的な重金属の除去方法」

49 水銀 「特殊な金属の除去方法」

50 ヒ素 「水中での価数を知ることが大切」

51 クロム 「大問題は6価クロム」

52 ホウ素 「除去が難しく技術開発が待たれる」

53 フッ素 「除去対象水の濃度に注意」

54 シアン化合物 「猛毒にならないように監視し処理」

55 セレン 「処理技術はまだ未確定」

コラム 氷の結晶成長を制御する



第5章 汚泥を処理する技術

56 脱水 「汚泥の減量化に不可欠なプロセス」

57 消化「汚泥からメタンガスを回収」

58 焼却 「汚泥の減量化・安定化」

59 コンポスト 「汚泥を肥料にする」

コラム サプリメントと微生物



第6章 21世紀の水資源と水処理技術

60 下水処理水の利用 「水資源としての下水」

61 水の循環利用 「総合的な水循環と涵養」

62 ビル用水のための水回収 「中水道とは?」

63 産業排水の回収 「半導体工場の高度な回収」

64 リンの回収 「枯渇資源のリンを回収するには」

65 フッ素の回収 「産業廃棄物の減量も重要な課題」

66 金属の回収 「金属も枯渇する」

67 能力アップされた水─機能水 「水の可能性を拡げる機能水」

68 宇宙での水処理 「国際宇宙ステーションでは、水を極限まで再利用」

コラム 水に「溶ける?」「溶けない??」



参考文献

はじめに

はじめに



私たちは、水に囲まれて生活し、水とともに生きています。古来より、日本では、山地水明の地や豊富で清浄な水資源に恵まれ、比較的簡単にきれいでおいしい水を手に入れることができます。そのためか、日本人は水のありがたみを忘れ、まさに「湯水のごとく」という言葉通り、当たり前のように良質な水を多量に消費しています。

1961年、人類で初めて地球を飛び出し球形の地球を観察した旧ソ連の宇宙飛行士ユーリ・ガガーリンの帰還第一声は、「地球は青かった」と報道されています。これは私たちが生活している地球表面の約70%が水面であることから地球が青いベールに包まれていたからでしょうし、地球が水の惑星と言われる所以でもあります。一方、私たち人間の体は、約50%の水で構成されています。つまり人間は、巨視的にも微視的にも水のなかに漂っている生命体であるということになります。

水は、色々な機能を持っています。それは、人間の渇きを癒すとか、汚れを溶かして洗い流すとか、熱を移動させるとか、などなどです。これらの機能は、河川水、湖沼水、井戸水などどのような水でも一様に持っています。しかしながら、人里離れた山中の湧水などは例外として、川の水をすくっても通常は飲むことはできません。川の水のにごりを除去したり、消毒をしたりしないと川の水は飲料水にならないからです。そこで、このにごりを除去するとか消毒をすることを私たちは、水処理と言っています。つまり、水処理とは、水の持っている潜在的機能を発現させることなのです。それでは、排水処理は水処理ではないのかという疑問にぶつかりますが、汚水が潜在的に持っている水の機能を回復させるという意味から、もちろんこれも水処理の一つの重要な役割と言えます。

本書では、「水をみがき上げる技術」や「水を蘇らせる技術」を中心に水処理技術の入門編として、できるだけわかりやすく解説することを心がけています。紙面の都合で取り上げたかった水処理技術も多々ありますが、水処理の基本となるものや世の中で広く活用されているものは網羅してあるつもりです。

最近、21世紀は水の世紀だとか、水処理技術などを活用したエコビジネスで世界をリードしようとかいう話をよく耳にします。皆様が水に関心を持ってくれることは水処理屋にとって大変うれしいことですが、なかには、科学技術を超えたところで議論される水もあります。例えば、植物の成長を飛躍的に促進させる水とか、万病に効く水など魔法のような水が喧伝されることがありますが、これらの事象については本書で取り上げる水処理の範疇ではありません。

水は、比較的安価でいろいろな機能を持っており、人間にとって必要不可欠なものです。

本書によりトコトン水処理について理解を深めていただき、水の不思議にせまり、皆様一人一人が水の大切さを認識され、水環境の保全に積極的に参加されることを切望します。



2009年12月 著者代表 中村日出夫

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