内容
5Sは、いまや半ば常識化しており、あえて説明するには及ばないほど普及している。しかしその半面、本当に5Sを理解し、真の5Sを実施している企業は少ないといわれている。本書は豊富な事例をもとに5Sをわかりやすく解説した5Sを理解・実践するための絶好の手引き書。
越前行夫 著者プロフィール
えちぜん改善実践舎代表、きむら5S実践舎コンサルタント。
経歴
1978年 慶応義塾大学大学院工学研究科修士課程修了
2005年 (株)山武を早期退社し、えちぜん改善実践舎を設立。現在約30社(中小企業、中堅企業、上場企業)の5S、IE改善、JIT生産の指導を実施中。
月刊誌「工場管理」(日刊工業新聞社)に「楽しい改善講話50講」を連載中。
主な著書
「5Sのすすめ方」日本能率協会マネジメントセンター、2007年
ナットク現場改善シリーズ よくわかる「見える化」の本、よくわかる「プル生産とプッシュ生産」の本、「現場リーダーのための時間活用5原則」日刊工業新聞社、2008年
目次
目次
はじめに
第1章 5Sって何?
1 5Sとは
2 5Sの基準は何か
3 5Sは経営である(5Sを実施すれば経営もよくなる)
4 5Sは革新である(5Sを守りから攻めに積極活用する)
第2章 5Sはなぜ必要なのか
1 5Sは自分のためにやる
2 5Sをすればすべてがよくなる
3 もし5Sをしなければ
4 次のステップの大前提
5 固有技術を補完する5S
第3章 どうすれば5Sができるのか
1 なぜ5Sはうまくいかないのか
2 5Sのステップを理解する
3 頭でわかっても実践しない
4 実践しても成果が出ないとすぐやめてしまう
第4章 5S事例に学ぶ
1 日常生活から学ぶ5S
2 製造現場から学ぶ5S
第5章 5S Q&A
1 整理に関するQ&A
2 清掃に関するQ&A
3 整頓に関するQ&A
4 清掃、しつけ、5S全体に関するQ&A
第6章 5Sのツール、ノウハウ
1 整理のツール、ノウハウ
2 清掃のツール、ノウハウ
3 整頓のツール、ノウハウ
4 清掃、しつけ、5S全体のツール、ノウハウ
第7章 5Sを進化させる
1 楽しい5S
2 魅せる5S
3 5Sテーマパーク事例
4 5SからIE改善へ
5 5Sに終わりなし
6 5Sで5Sをゲットする
はじめに
はじめに
100年に一度といわれる世界金融恐慌の影響は深く、そして長い。特に製造業への影響は甚大であり、かつて経験したことがない生産調整や経営の合理化が求められた。しかしこの危機はすべての企業に同時に襲って来たのにもかかわらず、中には増収増益を続けている企業もある。ピンチをピンチとして悲観的にとらえるのか、ピンチこそ最大のチャンスであると考えるのかでは、180度の開きがある。
5Sは、特に製造業では常識であり、あえて説明するには及ばないほど普及している。しかし本当に5Sを理解し、真の5Sを実施している企業は極めて少ない。だからこそ5Sをきちんと実施すれば、それだけで優良企業になれる可能性は高い。今こそ真の5Sにチャレンジするチャンスである。5Sでピンチをチャンスに変える絶好のタイミングなのだ。
5Sは消極的な施策で、どちらかといえば守りのツールとしてとらえられがちである。もちろん守りとしても有力なツールであるが、実は使い方によっては、積極的な責めの施策にもなるのである。しかし大方の企業では、5Sを守りの道具としてしか活用していない。これでは、せっかくの有力な道具も宝の持ち腐れになってしまう。5Sは、攻めの道具として活用してこそ真の威力を発揮するのだ。5Sを単なる製造現場の改善手段として位置づけるのではなく、生産革新あるいは経営革新の重要な柱にしている企業もある。それほど5Sの力は甚大なのである。
5Sをばかにする者は必ず後悔する。5Sの奥は大変深いのだ。少しかじった程度で、5Sをマスターしたと思ったら大間違いである。また5Sはつらいもの、つまらないものと考えている人も多い。これも誤った考えである。本来5Sは、楽しいものなのである。残念ながら、これもなかなか理解されない。楽しくなれば、自然に継続する。自主的な楽しい5Sこそ、5Sの真の力を引き出し、魅力ある現場にする原動力なのだ。
5Sは、実践することが第一だ。何もしなければ決して前に進まない。ぜひ本著を参考にして、新たな第一歩を踏み出していただきたい。
本書の特徴は以下の通りである。
(1)5Sの本質を理解することができる。
(2)5Sの実践方法を習得することができる。
(3)楽しく長続きする5Sのコツを学び取ることができる。
楽しい5Sを実践し、大きな成果を出していただければ幸いである。5Sでピンチをチャンスに、またつらい仕事を楽しく変えていただきたい。
2009年9月 筆者