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現場発 ものづくり革新
安全は競争力

定価(税込)  2,310円

監修
編者
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-06350-3
コード C3034
発行月 2009年11月
ジャンル 経営

内容

本書は、安全を競争力と捉えるモノづくりの考え方、そのための仕組みや評価方法などについて述べるとともに、成果を出している代表的な企業の活動とその目指すところを紹介し、安全こそは企業活動の原点であり、品質よりも競争力に直結するファクターであることを証明する。

栗原史郎  著者プロフィール

1948年 栃木県宇都宮市生まれ
1971年 東京大学工学部電気工学科卒業、通商産業省入省
1980年 米国ジョンズ・ホプキンス大学大学院経済学研究科
博士課程終了、Ph.D.
1994年 一橋大学大学院商学研究科/教授
主な著書 これからの技術哲学(1987)オーム社、環境市民革命(1998)(財)省エネルギーセンター、貨幣の理論(共訳)(共著)(1982)東京大学出版会、おもしろテクノ散歩道(編著)(1986)オーム社、21世紀標準学 (共著)(2001)日本規格協会、新・商品学の創造(2003)白桃書房

目次

はじめに 一橋大学 栗原史郎

序 章 "安全"に対する意識が変わってきた!
安全という視点を経営に組み込め 一橋大学 栗原史郎
安全はコストではなく競争力/人々の価値観と商品の進化/企業の存在意義と競争
力/事故や不祥事が続発/安全・安心が問われる時代に/ものづくり安全の担い手
は誰か/現場力を伸ばす安全経営システムの構築

第1章 安全は競争力
1.1 ものづくりと安全 明治大学 向殿政男
ものづくりと安全/安全学からの視点/安全を脅かす一連の事故と事件/製品安全
における先駆的な取組みの例/事故原因を多方向からみる

1.2 安全と品質・生産性そして競争力 三菱総合研究所 首藤俊夫
企業の競争力とは/消費者を動かすブランド力とは何か/安全性に対する取組みの
見える化/経済性と安全性の両立の見える化/安全を安心に変える社会の仕組み
/米国OSHAが提供しているインセンティブプログラム/我が国と米国の社会システ
ムの違い

第2章 「安全は競争力」は評価される
2.1 事故があったときの安全 東京海上日動リスクコンサルティング 岡部紳一
災害・事故で試される企業信頼性/要求される早期の復旧:事業継続マネジメント
/企業のリスクマネジメント意識動向

2.2 リスクアセスメントが安全の原点 日本機械工業連合会 宮崎浩一
安全とは何か/リスクアセスメントの流れ/機械類の制限の決定/危険源の同定/リ
スク見積もり/リスクの評価とリスク基準

2.3 ユーザの視点を究めよう 日本機械工業連合会 川池 襄
安心と安全は同じ?/機械の安全確保は、ユーザとメーカの共同作業の結果/機械
安全とシステムインテグレーション/現場力をベースに「安全」を「カイゼン」につぐ日本
企業の強みに

2.4 製品の安全評価・公表と競争力について 製品安全協会 松田利浩
私たちの安全意識/行政府による安全規制/製品認証とマーク制度/商品比較テス
トと公表/欧米の消費者と我が国の消費者の意識の違い/消費者自らの意識変革が
不可欠

第3章 「安全は競争力」事例
3.1 食の安全に不可欠な?機械の性能 日本食品機械工業会 大村宏之
食品加工機械の競争力としての安全設計/安全リスクと衛生リスクのバランスをとること
が大切/我が国では、僅かなリスクも許されない/食品加工機械のリスク低減方策の
検討/今後の食品加工機械の安全性が向かう先

3.2 食品安全性を確保する技術―洗浄・サニテーションは利益を生む攻めの技術 元味の素エンジニアリング 佐田守弘
食品機械に求められる安全性/食品衛生において何が危害として想定されるか/食
品製造工場における洗浄・サニテーション技術の重要性/設備の高サニタリ化/手
洗浄が必要な設備も多い/設備費への影響と失敗のコスト/洗浄は攻めの技術

3.3 食品機械は衛生第一 前川製作所 萬本信三
手作業を機械化/自動化が進むチキン処理加工機械/自動処理加工機の問題点と
課題/水の問題は水で解決/水圧駆動式胸肉脱骨機「イールダス」の開発/水圧駆
動システムの今後の課題/水圧駆動で市場創造

3.4 サプライチェーンをパートナーに育てる サッポロビール 大串憲祐
原料へのこだわりから生まれた「協働契約栽培」/フィールドマンが主役の契約栽培シ
ステム/生産者・サプライヤーへの配慮が重要

3.5 安全なくして生産なし-AGCグループが目指す機械安全の姿 AGC 工藤栄

日常的安全活動と機械安全/リスクアセスメントの幕開け/安全な機械の導入こそ重
篤災害撲滅と生産性向上の決め手/機械製造事業者の安全に対する意識は十分
か?/機械安全の拡大・浸透(東南アジアでの設備安全化に対する取組み)

3.6 安全は設計で組み込め。安全哲学の革新を―生産設備の安全とエンジニアの役割 ブリヂストン 水野恒夫
ブリヂストンの生産設備の特色/日本における安全の規制と設計/製造者の責任
/ブリヂストンの設計段階での安全性の保証と設備設計者教育/機械安全技術者の
育成と課題

3.7 臆病なくらいがいいロボットの安全 三菱電機 小平紀生
産業用ロボット普及の背景/産業用ロボットの安全法規と規格/産業用ロボットの持
つ危険性/産業用ロボットメーカが供給すべき安全/ロボットの安全は完全隔離が基


3.8 安全は全ての業務に優先する―設備設計段階でのリスクアセスメント 富士重工業 志賀 敬
多くの工程・種々の規模の機械や設備を使う自動車製造/製造現場でのリスクアセス
メント活動/設備設計段階でのリスクアセスメント/本質安全設計と危険源からの隔離

3.9 保全は安全の重要なファクタ 日本設備管理学会 石川君雄
保全部門の安全に対する取組み/保全と改善と安全/安全教育/安全を経営方針
の中心に据える/現場のモチベーションを喚起する

おわりに 日本機械工業連合会 石坂 清

COLUMN(1) 安全の確保は4Mシステム思考が基本(栗原史郎)
COLUMN(2) OHSAS18001:2007のリスクアセスメントの要求事項(工藤栄一)
COLUMN(3) 現場力を進化させて、グローバル競争と社外のステークホルダーに対
応する安全づくり体制を確立せよ(栗原史郎)
COLUMN(4) 安全とは動作や状況を形容する言葉であり、生産現場の状況や作業環
境の健全性を意味する(栗原史郎)
COLUMN(5) 安全は前提とするものではなく、作り上げるものである(栗原史郎)

はじめに

 事故や不祥事が続発する中で、いかにして安全への信頼を取りもどし人々が安心し
て暮らしていけるかが、いま問われている。企業の立場からすれば、「人々の信頼にこ
たえる」にはどうしたらよいのかという問題である。

 安全に関して間違った考え方をしている経営者が多い。それが「まちがい=事故」に
つながり、会社の評判や株価の急落を招く。その原因は「安全はコスト」とみなす考え
方にある。

 もちろん、安全はタダではない。しかしコストだけではないのだ。もし安全がコストの
みであれば、できるだけ安全に関する経費や投資を抑えてコスト削減に努めるのが正
しい。ところが、この考え方は物事のうわべ(表面)しか見ていない。正解は「安全は競
争力」というコンセプトである。

 この目線から安全を経営の仕組みの中に組み込むことがまず第一に経営者の仕事 
となる。序章は、市場側の安全に対する意識の変化に企業としてどう対応するかに答
える。いわば経営者のための安全学入門である。さらに第1章では安全を「ものづくり
の競争力」として具体的にとらえ、エレベータ事故からの教訓や安全表彰制度のあり方、
さらに前向きの活動として展開していくための米国の安全規制プログラムなどについて
述べる。

 次に第2章では、危機対応としてあらかじめ事業継続計画を作成することの重要性
や安全設計の原点といわれるリスクアセスメントのすすめ方、さらに機械メーカはどれ
だけユーザの視点に近づくことができるか、格付け評価などの商品テストの役割は何
かについて考える。

 ところで各産業の現場で活躍している「プロ」はどういう目線で安全・安心の問題に
対処しているのだろうか。第3章では、食の安全、生産設備の安全、ロボットやクルマ
の安全、さらには保全マンの考える安全についてモノづくり現場における「安全は競争
力」の事例として取り上げる。

 実をいえば、安全についてはまだよく解明されていない部分が多く、学問的研究も
あまり進んでいない。古くて新しい問題である。また安全へ到達するのにさまざまな壁
が存在していることも事実だ。現場と経営者の間に、機械メーカとユーザの間に、さら
に企業と市場(消費者)の間に、何か大きな壁があって、それが両者のつながりを切断
しているのかも知れない。その壁を突破できれば両者の間に「きずな」が形成され、「ま
ちがい」にもとづく事故は防止できるのではないだろうか。本書がもしも、その壁に風穴
をあけることができれば、監修者としては望外の幸せである。最後に、本書の構想段階
から関わっていただいた日刊工業新聞社 出版局 書籍編集部の天野慶悟氏、編集
を担当された(社)日本機械工業連合会 標準化推進部の川池 襄部長および宮崎
浩一部長代理に深く感謝申し上げる。

2009年11月 栗原史郎
(一橋大学大学院商学研究科/教授)


◎執筆者
向殿政男(むかいどの まさお)
明治大学 理工学部情報科学科/教授

首藤俊夫(しゅとう としお)
(株)三菱総合研究所 科学・安全政策研究本部 安全科学グループ 主席研究員

岡部紳一(おかべ しんいち)
東京海上日動リスクコンサルティング(株) 経営企画室 主幹

宮崎浩一(みやざき ひろかず)
(社)日本機械工業連合会 標準化推進部 部長代理

川池 襄(かわいけ のぼる)
(社)日本機械工業連合会 標準化推進部 部長

松田利浩(まつだ としひろ)
製品安全協会 業務グループ 企画担当 第2分野担当調査役

大村宏之(おおむら ひろゆき)
(社)日本食品機械工業会 事業部技術課 部長代理

萬本信三(まんもと しんぞう)
前川製作所 新技術プロジェクト室 顧問

佐田守弘(さだ もりひろ)
(元)味の素(株)/味の素エンジニアリング(株) エンジニアリング部シニアコンサルタント

大串憲祐(おおぐし けんすけ)
サッポロビール(株) 本社購買部原料グループリーダー

工藤栄一(くどう えいいち)
AGC旭硝子(株) 執行役員 CSR室長

水野恒夫(みずの つねお)
ブリヂストン 安全管理部 主任部員

小平紀生(こだいら のりお)
三菱電機(株) FAシステム事業本部機器事業部 主管技師長

志賀 敬(しが たかし)
富士重工業(株) 人事部 安全衛生課 担当

石川君雄(いしかわ きみお)
日本設備管理学会 理事/国際経営技術研究所 代表

石坂 清(いしざか きよし)
日本機械工業連合会 常務理事

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