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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい バイオガスの本

定価(税込)  1,512円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06290-2
コード C3034
発行月 2009年06月
ジャンル ビジネス 化学

内容

バイオガスは、多様な微生物達がバイオマスを発酵分解して作る環境にやさしいバイオ燃料。食べ残しや生ゴミ、食品工場の排水や残さ、畜産排泄物などを原料にして作られ、ミネラルや有機資源のリサイクルにもつながるエネルギー変換技術である。本書は、バイオガスの生成のしくみや原料からの作り方、使い方を中心に、微生物が織り成す発酵技術をわかりやすく紹介。

目次

第1章

バイオガスってどんなもの?

1 バイオガスとは?「メタンが主成分の気体燃料」

2 バイオガスが生まれるまで「酸素が嫌いな微生物たちが働く」

3 バイオガスプラントとは?「メタン発酵槽で生成」

4 使おうバイオガス「発電や自動車燃料に使える」

5 バイオガス化で肥料もできる「窒素やリンのリサイクル」

6 減らそう二酸化炭素排出量「エネルギー変換効率はどれくらい」

7 身近なメタン発酵「水田や牛のげっぷ」

8 再生可能なバイオマスが原料「バイオマスは古くて新しい資源」

9 期待されるバイオ燃料「気体・液体・固体燃料」

10 循環型社会形成を目指して「バイオガス化でリサイクル」

11 微生物の力で変換する「バイオ変換技術のあれこれ」



第2章

バイオガスができるまで

12 原料の収集・分別・破砕「生ごみはまず分けて」

13 初めの反応は酸発酵「可溶化・低分子化する」

14 酸発酵の微生物「酸発酵をする多様な細菌群」

15 有機物を酵素で分解「微生物が作り出す酵素」

16 バイオガスが生まれるメタン発酵「偏性嫌気で生成」

17 メタンを生成する微生物「酢酸と水素を資化するメタン生成菌」

18 いろいろなメタン発酵法「温度や水分含量の違い」

19 微生物に必要な微量の元素「コバルトやニッケルがないと困る」

20 メタン発酵を阻害するのは?「pH酸性とアンモニア」

21 バイオガスをきれいにしよう「硫化水素を除く」

22 残ったものはリサイクル「コンポスト化で資源の有効利用」

23 活性汚泥法で発酵液を処理「好気性微生物を利用」



第3章

バイオガスの原料はどんなもの?

24 どんなバイオマスが原料に?「湿った廃棄物系を利用」

25 生ごみを先に分けるか後で分けるか?「どちらも一長一短」

26 しょうゆ・焼酎・コーヒー・芋の皮「いろいろな食品廃棄物」

27 食品工場の廃水も利用できる「有機性廃水は適した原料」

28 牛のふん尿は良い原料「肥料も再生産」

29 下水汚泥とはどんなもの?「日本では300カ所で」

30 ナイトソイルの利活用「浄化槽汚泥の処理」

31 ごみ埋め立て地「地下でバイオガス化」

32 食品リサイクル法「食品系廃棄物のバイオガス化を促進」

33 1972年のロンドン条約「海洋投棄の禁止」

34 家畜排せつ物の適正管理「メタンを抑制」



第4章

バイオガスを利用しよう



35 コージェネか燃料として利用「その場で使うかそれとも」

36 利用しやすいボイラ「熱エネルギーを利用」

37 実績のあるガスエンジン「小型ガスエンジンも開発」

38 マイクロガスタービン「小規模のコージェネ」

39 燃やさない燃料電池「クリーンな排ガス」

40 自動車燃料にも利用できる「CNG車をCBG車に」

41 都市ガスの原料になる「下水汚泥由来」

42 バイオガスを集めて使おう「バイオガスネットワーク」

43 RPS法とは?「新エネルギーの使用義務」



第5章

もっと知りたい!バイオガス化事情

44 家庭の生ごみをバイオガスへ「膜分離法の利用」

45 事業系生ごみをバイオガスへ「たい肥も製造」

46 生ごみの乾式メタン発酵「廃液処理が不要」

47 ショッピングセンターでリサイクル「好気的な可溶化が特徴」

48 しょうゆ粕の再資源化「脱ボイラを実現」

49 焼酎粕からバイオガス「脱海洋投棄」

50 ビール工場廃液を再資源化「燃料電池で発電」

51 牛のふん尿を有効利用「発酵液を農地還元へ」

52 養豚場のふん尿を利用「低コスト処理へ」

53 下水汚泥からの消化ガス「嫌気性消化を行う」

54 先進的な汚泥再生処理センター「生ごみと下水汚泥」

55 バイオガス先進国ドイツ「売電目的でバイオガス発電」



第6章

バイオガス化の新しい技術

56 DNAで微生物を探る「DNAバーコードで同定」

57 55℃で高温メタン発酵「高温発酵はメリットが多い」

58 固定床が微生物のすみか「バイオフィルムを活用」

59 微生物を膜分離で保持「高濃度で発酵させる」

60 紙粘土のような乾式メタン発酵「固形状でも発酵できる」

61 微生物の塊で廃水を処理「グラニュールを利用」

62 水素・メタン発酵「可溶化を促進」

63 エタノール・メタン発酵「バイオエタノールも生み出す」

64 水熱や超音波で前処理「分解率の向上」

65 微生物で脱硫する「硫黄酸化細菌を活用」

66 地下と嫌気性微生物「油田に残った石油からバイオガス」

67 バイオ水素「もう1つのバイオガス」

68 未来のバイオガス社会「日本に適した技術を」



【コラム】

●カーボンニュートラル

●酸素が嫌いな破傷風菌

●天然ガスも枯渇する?

●LNG(液化天然ガス)

●植物からメタンが発生?

●環境と人口





参考文献

索引

はじめに

バイオガスは、多様な微生物がバイオマスを分解して作ります。このバイオガス化反応は牛の胃の中でも起きており、自然の微生物生態系を利用した方法です。ですから、環境にフレンドリーなバイオ燃料製造技術と言えるでしょう。バイオガス化により、作物の肥料になるコンポスト(有機性肥料)も製造できるため、化石燃料を使う化成肥料の低減にもつながります。つまり、植物系バイオマスを生産し、人間がバイオマスを利用し、廃棄物系バイオマスをバイオガス化し、再び植物系バイオマスを生産するサイクルが実現できるわけです。私は、このようなバイオガス化技術は、循環型社会形成のためのキーテクノロジーの1つと信じています。

日本でバイオガス化技術がより普及する一助になればとの思いで、本書を執筆しました。ただ、そのためには生産物であるバイオガスやバイオガス由来の電気が適正な価格で取り引きされ、できるだけメタン発酵後の発酵液や残さをコンポスト化し、農地に還元するシステムの確立が必要です。まずは、原料を選び良質なたい肥を安定して生産することが重要です。ただ、環境コストが内包されていない現状では、手間のかかる有機性肥料は使いづらいものかもしれません。コンポスト利用のための支援があっていいと考えています。

今回ご紹介するバイオガス化事例は、比較的大きな規模のプラントですが、バイオガス化は小規模でも実施できるという特徴があります。情報へのアクセスやプライバシーの問題から、多くの優れた小規模での取り組みについて紹介できなかったことをお断りしなければなりません。

執筆にあたり資料や写真の提供など協力していただいた関係のみなさまに、この場を借りて厚く御礼申し上げます。特に、アイシン精機株式会社の永田龍三郎氏、鹿島建設株式会社の上野嘉之博士・福井久智氏、株式会社荏原製作所の片岡直明博士、西原環境テクノロジー株式会社の大下信子氏には、専門家の立場から貴重なコメントをいただきました。また、企画段階から貴重なアドバイスを頂いた日刊工業新聞社の三沢薫氏、支えて貰った家族に深く感謝しています。

本書をお読みいただいて、少しでもバイオガスに関して理解を深めていただければ幸いです。宇宙船ガイアは、人口増、地球温暖化や資源価格の高騰など、今後ますます困難な時代に突入していくことになるでしょう。私は迷ったら、「できることをやる」と自分に言い聞かせています。エネルギー・環境問題も、「今自分たちにできることは何か」を、考える所からスタートするしかないと思います。

瀬戸内海の海と島を見ながら電車で執筆したため、肩こりなどに襲われましたが、現場で廃棄物処理に関わる方々の苦労は並大抵ではないでしょう。最後に、廃棄物処理に関わる多くの方たちに感謝の言葉を申し上げたいと思います。いつも有り難うございます。

早速目次をパラッとめくり、バイオガスのリニア空間へワープしましょう。



2009年6月

澤山茂樹

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