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S&OP入門
―グローバル競争に勝ち抜くための7つのパワー―

定価(税込)  2,420円

著者
サイズ A5判
ページ数 200頁
ISBNコード 978-4-526-06282-7
コード C3034
発行月 2009年06月
ジャンル ビジネス 経営

内容

S&OP(Sales and Operations Planning)は、販売及び業務(製品開発、生産、在庫)そして財務の計画を統合的に担当するプロセス。経営上の効果を最大限に引き出すこのマネジメント概念を、わかりやすく紹介した日本では初めての入門書。

目次

目次



推薦のことば

はじめに



第1部 S&OPコンセプト編

第1章 S&OPってナニ?(What)

1・1 S&OPって何の略語なのか?

1・2 S&OPはどのように進化してきたのか?

1・3 S&OPの明快な定義とは?

1・4 S&OPはどのようなプロセスなのか?

1・5 S&OPと製販調整会議はどこが違うのか?

1・6 S&OPはどんな業種に向くのか?

1・7 S&OPは企業形態や規模に関係するのか?

1・8 S&OPの代表的なユーザー企業はどこか?

1・9 S&OPでどのような効果が期待できるのか?

1・10 S&OPのCSF(重要成功要因)とは?

1・11 S&OPを誰がリードするのか?

1・12 S&OPに掛かるコストは?



第2章 ナゼS&OPなのか?(Why and How)

2・1 S&OPに対する注目度急増のわけ〜「7つのパワー」を強化する

2・2 「第1の力」グローバル調整力を強化〜急速なグローバル化の進展に対応するため

2・3 「第2の力」俊敏力を強化〜激変する市場に迅速に対応するため

2・4 「第3の力」戦略実行力を強化〜戦略と業務をリンクさせるため

2・5 「第4の力」財務評価力を強化〜業務と財務管理をリンクさせるため

2・6 「第5の力」クロス・ファンクショナル力を強化〜部門の壁を打ち破るため

2・7 「第6の力」組織学習力を強化〜グローバルなミドルマネジメント層の育成の場の提供

2・8 「第7の力」IT活用力を強化〜ERPの効果を引き出すため



第2部 S&OPテクニック編

第3章 S&OPのキーファクター(What-Key)

3・1 S&OPはMRP2の構造の下に設計されている

3・2 S&OPは累計レベル(製品ファミリー単位)で管理する

3・3 S&OPはボリュームで管理し財務数値に変換する

3・4 S&OPは18ヶ月以上の計画対象期間を対象とする



第4章 S&OPのプロセスとアウトプット(How-Process)

4・1 S&OPプロセス

4・2 ステップ0・データ収集

4・3 ステップ1・新規アクティビティ・マネジメント

4・4 ステップ2・需要マネジメント

4・5 ステップ3・供給マネジメント

4・6 ステップ4・統合された調整活動

4・7 ステップ5・エグゼクティブ・ビジネス・レビュー

4・8 S&OPスプレッドシート

4・9 S&OPダッシュボード

4・10 S&OP支援ツール



第5章 S&OPプロセスの構築(Where and How-Implementation)

5・1 S&OP導入メソドロジー

5・2 S&OPのレベル診断から始めよう



第3部 S&OP周辺コンセプトの「豆」知識編



第6章 経営戦略と戦略マネジメントの「豆」知識(Basics of Strategy Management)

6・1 経営戦略論とS&OP

6・2 事業計画とS&OP

6・3 戦略マネジメントとS&OP

6・4 戦略マップ、BSCとS&OP



第7章 ERP/MRP2の「豆」知識(Basics of Resource Planning)

7・1 ERP/MRP2とS&OP

7・2 財務諸表、予算管理とS&OP



結びにかえて

主要参考文献

はじめに

推薦のことば



本書の推薦のことばを書かせていただくことは、私にとって、大きな喜びであり、名誉なことであります。



セールス・アンド・オペレーションズ・プランニング(S&OP)は、エグゼクティブマネジメントにとって、概念的にはシンプルでありながら最もパワフルなツールの一つであることに疑う余地はありません。このツールは、企業が、その規模の大小を問わず、今日のグローバルなマーケットで避けることのできないダイナミックな変化をくぐり抜けるようガイドする、優れた「パワーステアリング」を提供します。



ビジネスのグローバル化の進展により、需要の源泉は全世界に分散しています。これらの需要を満たすために製品を供給する工場は、しばしば異なる大陸に存在しています。需要と供給をバランスさせようとする挑戦は、急激にその複雑性を増しています。その効果的な調整を行えるか否かは、ビジネスの生死を分けることを意味します。S&OPはこの挑戦に立ち向かう要であることが証明されています。S&OPは、ビジネスサイクルの上昇時と下降時の双方の局面において、より複雑なビジネスモデルのコントロールを劇的に向上させ、大きな競争優位をもたらすことができるのです。



私は過去三十年に渡り、コカコーラ、BASF、イーライリリー、インガーソル・ランド、ジョン・ディア、ゼブラ・テクノロジーズそしてスタンレー・ワークスを含む世界の200以上の企業のS&OPプロセスの導入に、コンサルタント、取締役会のメンバーまたはエグゼクティブとして関与してきました。その結果は、正に驚嘆に値するものでした。顧客サービスレベルは劇的に向上し、同時に在庫とコストが大きく削減されたのです。

同じくらいに重要な点として、製造とビジネスプロセスを「リーン(無駄のない)」にする活動に、質の高いS&OPプロセスが必須で重要な助けとなることも発見しました。S&OPが、「リーン」推進活動をより生産的なものにする手助けとなったのです。



S&OPはプロセスであり、ソフトウェアのパッケージやテクニックではありません。S&OPプロセスの有効性は、このプロセスを管理するに当たって、譲渡できない原則と役割を理解しているエグゼクティブのリーダーシップに懸かっているのです。本書は、これらの主要なプロセスの構成要素と役割を見事なまでに明らかにしています。



私は、二十年以上前に日本企業を訪問した折に、松原さんにお会いしました。私は、彼の知識と、コンセプトを素早く理解しコンサルティングと教育の実践に活用する能力に、いつも感銘を受けてきました。

S&OPという重要なトピックを非常に雄弁に説明している本書を通じて、読者とそのビジネスが、この原則、コンセプトそしてツールを適用することにより、大きなベネフィットを手に入れることを確信しています。



2009年5月

デーブ・ガーウッド



(注)米国ジョージア州に本拠地を置くコンサルティング会社R. D. Garwood, Inc.(www.rdgarwood.com)の社長。S&OP、ERP、MRP2のグルの一人。APICS(米国生産在庫管理協会)から2000年に、終身業績賞(Lifetime Achievement Award)を贈られた。同賞は、ガーウッド氏を含め3名の受賞者がいるだけである。







はじめに



1.なぜ今、欧米でS&OPのブームが巻き起こっているのか

「推薦のことば」で、S&OP(セールス・アンド・オペレーションズ・プランニング)のグル(カリスマ的指導者)の一人ガーウッド氏が述べておられるように、S&OPは、グローバル環境下でマネジメントが経営の舵取りをする「パワーステアリング」の役割を果たす、約20年前に提唱された実証済みのコンセプトである。

欧米では近年、S&OPに対する注目度がとみに高まっているが、その主な理由として次の事項が考えられる。

1)地球規模で市場と生産拠点が分散する今日のグローバル環境の下で、サプライチェーンを効率的かつ効果的にマネジメントする手法であるS&OPプロセスに、欧米のグローバル企業の関心が集まっている。

2)100年に一度といわれる世界同時不況を始めとする、激変する経営環境の下で、中期経営計画や事業計画と業務をシームレスにリンクさせる機能として、S&OPが注目を集めている。

3)これらの動きを受けて、欧米の大手ITベンダーが、S&OPプロセスを支援するツールを整備し、積極的なマーケティングを展開し始めている。



2.本書はS&OPに向けて開かれた日本語によるはじめてのゲートの役割を果たす

本書は、『S&OP入門』というタイトルが示す通り、多くの日本人にとって今まで接する機会がほとんどなかったS&OPの世界に向けて設けられた「入り口」となる日本語で書かれたはじめての単行本である。

「最近S&OPという言葉を耳にするようになったけど、やさしく紹介している本はないのか?」との要望に応えるべく、S&OPの歴史を踏まえ、最新のコンセプトを体系的にわかりやすく解説している。



3.本書がターゲットする読者層と提供する価値

・まず、読者層としては、S&OPにはじめて遭遇する、次のような多くの日本のビジネスマンを対象としている。

・トップマネジメント(マネジメントの新たなコントロールレバー)

・経営企画担当(戦略と基幹業務を結ぶツール)

・財務、予算管理担当(環境の変化を踏まえたローリング予算策定)

・マーケティング、営業担当(需給バランスの確保)

・生産計画、購買担当(需給バランスの確保)

・サプライチェーン担当(サプライチェーンの戦術レベルのマネジメント)



・本書は、1988年以来、約20年間に渡り欧米のグローバル企業を中心に発展してきたS&OPの最新の情報を提供する。

1)歴史を踏まえたS&OPに関する最新の情報を提供する。

第二世代のS&OP、グローバルS&OP、新規アクティビティ・マネジメント、S&OP支援ツールの類型など

2)日本のグローバル企業が抱える課題から、S&OPがもたらすベネフィットを次の「7つのパワー」にまとめて提案する。

グローバル調整力、俊敏力、戦略実行力、財務評価力、クロス・ファンクショナル力、組織学習力、そしてIT活用力

3)S&OPの導入検討に向けた実践的な知識を提供する。

S&OPプロセス・フロー、S&OP導入メソドロジー、S&OPスプレッドシートとダッシュボード

4)S&OPの理解と導入を助ける周辺マネジメント知識を概説する。

経営戦略、戦略マネジメント、ERPとMRP2そして財務管理



4.本書の構成とS&OPの理解を深める独自の切り口

本書は、次の3部、全7章から構成され、S&OPの理解を助けるいくつかの重要な切り口を提案している。



第1部 S&OPコンセプト編

S&OPってナニ、ナゼ、ドウヤッテといった基本的な疑問にわかりやすい解説を付すことにより、S&OPの全貌を掴むことができる。

第1章:S&OPってナニ?

第2章:ナゼS&OPなのか?

S&OPの導入で高めることが可能な「7つのパワー」



第2部 S&OPテクニック編

S&OPを実践するに当たって、S&OPの技術的な本質とは何か、どのようなプロセスなのか、どうやって導入するのか、といった技術的、実践的な内容について解説している。

第3章:S&OPのキーファクター

第4章:S&OPのプロセスとアウトプット

第5章:S&OPプロセスの構築

「需給バランス機能の成熟度モデル」



第3部 S&OP周辺コンセプトの「豆」知識編

「木をみて森を見ず」ではS&OPを理解することは困難である。そこで、S&OPの理解に欠かせない周辺の関連するマネジメント・コンセプトなどについて簡単に解説している。

第6章:経営戦略と戦略マネジメントの「豆」知識

「戦略と業務を結ぶ二本の柱」

「統合マネジメント・プロセス」

第7章:ERP/MRP2の「豆」知識



5.S&OPの先達と協力者の皆さんへの謝辞

S&OPには、その提唱者であるディック・リング氏とウオルター・ゴダード氏に加え、デーブ・ガーウッド氏、そしてトム・ウォーレス氏といったS&OPのグルと称される先達がいる。著者は幸いにして、ガーウッド氏と、ゴダード氏(現オリバー・ワイト・インターナショナル・インク 名誉会長)には、1980年代に日本におけるセミナーの開催や、ガーウッド氏のAPICS(米国生産在庫管理協会)の機関誌そしてゴダード氏の「Modern Materials Handling」誌上のコラムを『工場管理』誌に永年に渡り翻訳掲載するなどの活動を通じて、コンサルタントとしてMRP2を含む多くのことを教えていただいた。またリング氏とウォーレス氏には、‘90 年前後に日本へ教育・コンサルティングで来日された折に色々ご教授いただく機会を得た。これらの経験は、著者のコンサルタントとしての価値観の形成に大きな影響を与え、今日に至っている。



「推薦のことば」を頂いたデーブ・ガーウッド氏とリン夫人の変わらぬ友情に対して感謝の意を表します。またソリューションとしてのS&OPの可能性を共に討議する機会を持ったサプライチェーンカウンシル日本支部・S&OPコンソーシアム(大石高至議長)のメンバー各位、本書を執筆するに当たりインタビューに応じていただいたS&OPのユーザ企業並びにS&OP支援ツールベンダーの皆さんに感謝いたします。最後に本書の出版にあたり、今回も有益なアドバイスを頂いた日刊工業新聞社書籍編集部の鈴木徹氏に感謝の意を表します。



本書『S&OP入門』が、読者諸兄にとって、この多くの欧米のグローバル企業が成果を上げている素晴らしいマネジメント・コンセプトであるS&OPを理解し、活用を検討する第一歩となれば、著者の喜びはこれに勝るものがありません。



2009年5月

松原恭司郎

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