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未来の科学者との対話VII
―第7回神奈川大学全国高校生理科・科学論文大賞受賞作品集―

定価(税込)  1,728円

編者
サイズ A5判
ページ数 336頁
ISBNコード 978-4-526-06269-8
コード C3050
発行月 2009年06月
ジャンル その他

内容

神奈川大学が理科教育を支援する試みとして実施している「全国高校生理科・科学論文大賞」(審査委員長:長倉三郎)の第7回受賞作品集
。大賞1編、優秀賞3編、努力賞15編を収録。高校生らしい未来の可能性を感じさせる一冊。

目次

はじめに

「神奈川大学全国高校生理科・科学論文大賞」審査委員長 長倉 三郎



●審査委員講評 地震予知研究の話 上田 誠也

未知への憧れと挑戦 田畑 米穂

研究は人間臭いもの 中村 桂子

感受性を大事にしよう 細矢 治夫

高校生の理科・科学論文の二極化 竹内 敬人

“大賞”は審査員からのメッセージ 永田 一清

●大賞論文 ラッカセイの中にある「時刻を知る仕組み」 香川県立丸亀高等学校 澄川 織恵

●優秀賞論文 凝灰岩「竜山石」には、なぜ3つの異なる色相があるのか 兵庫県立加古川東高等学校 地学部

オオサンショウウオを絶滅から守れ 広島県立広島国泰寺高等学校 理数ゼミ生物班

高校生の論文発表が日本機械学会で注目された日 栃木県立宇都宮工業高等学校 生産システム研究部

●努力賞論文 細菌による重金属の6価クロム浄化 埼玉県立松山高等学校 生物部

メダカを使った「5日幼魚試験法」の開発 埼玉県立松山高等学校 生物部

隠れストップコドンを探せ 早稲田大学高等学院 齋藤 有輝

科学的に実証したバナナの食べ頃 国立東京工業高等専門学校 科学部

新潟県のツルマメ遺伝子の地域的なつながり 新潟県立長岡高等学校 戸内 里美

「カオス現象」‥その不規則にみえる振る舞いの研究 不二越工業高等学校 数学研究グループ

花粉管伸長のしくみ 名古屋市立向陽高等学校 SSクラス 花粉管研究グループ

庄内川はどのように汚れを分解していくか 名古屋市立向陽高等学校 SSクラス 久保田 千尋 水野麻人

近赤外線による蝶の蛹の内部観察 京都市立堀川高等学校 自然科学部

北嵯峨のタンポポに今、何が起きているか 京都府立北嵯峨高等学校 生物部

泡立ちの良い発泡入浴剤はどれか 仁川学院高等学校 科学部

亜熱帯性の蛾がなぜ姫路市にいるのか 兵庫県立姫路西高等学校 占部 晋一郎

塩の中で生き抜く細菌 愛媛県立松山南高等学校 理数科3年 微生物班

筑豊を流れる「赤い川」の正体 福岡県立鞍手高等学校 科学部

島原温泉から誕生したマーマレード 長崎県立島原農業高等学校 食品加工部

●第7回神奈川大学全国高校生理科・科学論文大賞 団体奨励賞受賞校、応募論文一覧

神奈川大学全国高校生理科・科学論文大賞の概要

あとがき

はじめに

はじめに

審査委員長 長倉 三郎



「神奈川大学全国高校生理科・科学論文大賞」は、創設以来、順調に発展し、7回目を迎えることになりました。“光陰矢のごとし”の思いを新たにするとともに、神奈川大学をはじめ各方面の関係者の格別のご書力に対しまして厚くお礼を申しあげます。

本年度は、当初82篇の論文応募がありましたが、2篇が取り下げられましたので、80篇の論文について審査を進めることになりました。

今回の応募論分数は前回に比べて7篇増加し、第1回の論文数38篇に対しましては2.1倍に増加したことになります。こうした傾向は、高校理科の学習の中に本論文大賞が定着しつつあることを示すものとして心強く存じています。

ここで応募論文のテーマの傾向を知るために、高校理科の教科の柱である“物化生地”に“環境”と“その他”の項目を加えた6分野に応募論文を分類し、それぞれの分野の論文数を調べてみました。前々回(第5回)や前回(第6回)の結果と併せて下の表に示します。



応募論文のテーマの中には、複数の分野にまたがるものも多く、厳密な分類が困難なことは改めて申しあげるまでもありません。したがって、この表の細かい点にこだわることは避けるべきですが、生物分野の論文の数が第6回、第7回と引き続き増加しているのに対して、物理、化学、地学の第7回の論文数は、前回や前々回に比べていずれも減少している点が目立った特色と申せましょう。

こうした顕著な特色が認められる要因の一つとしては、自然環境をできるだけ保持しながら人類社会の発展をはかる立場から、自然界の動植物の生態学的研究に対する社会的要因が強くなっており、それが高校生の学習にも影響していることが考えられます。

上に挙げた表にみられるもう一つの特色は、“その他”の論文数が前2回に比べて今回増加していることです。高校教科の柱である“物化生地”に“技術”や“情報”などを加えた諸分野の中の複数の分野にまたがる複合領域の論文が“その他”の中に入っており、その数が今回増加したことが、“その他”の論文数増加の要因となっています。

ノーベル物理学賞と化学賞の選考にあたるスウェーデンの王立科学アカデミーは、同国政府に提出した勧告の中で、学術研究における異分野間の交配の重要性とそれを教育面に反映させることの必要性を指摘しています。今回“その他”の論文数の増加は、こうした指摘の線に沿っている点で興味深く、今後の動向に注目していきたいと存じます。

応募論文の審査は、これまでと同様に二段階方式を採用して慎重に進められ、大賞1篇、優秀賞3篇をはじめ、努力賞15篇、団体奨励賞5校が選ばれました。ここで受賞論文について感想を述べさせていただきます。

大賞を受賞した香川県立丸亀高等学校澄川織恵さんの「ラッカセイの就眠運動に関する研究」は、小学校時代に見つけたラッカセイの夕方になると葉を閉じる就眠運動に興味をひかれ、そのしくみを長年にわたり研究したものです。高校生らしい豊かな発想のもとに仮説や推論をたて、それを観察や実験によって着実に実記していくという研究態度に好感をもちました。また、就眠運動が個々の葉について独立に起こること、紫外線の影響、生体内時計の関与の可能性など興味深い現象が見出されていることを高く評価しました。

優秀賞の兵庫県立加古川東高等学校地学部の「マグマ残液流体相と風化変質作用が凝灰岩に与えた影響−高級石材「竜山石」の成因−」は、優れた石材として知られる「竜山石」の淡青色、淡黄色、淡赤色の三つの色相に注目し、それぞれの成因と相互の関連を詳しく研究したもので、色相の変化が熱水による再平衡や風化による二次変質によって起こることを明らかにしています。地質学の王道を歩む優れた論文であるとの印象を受けました。

同じく優秀賞を受賞した広島県立広島国泰寺高等学校の「放流実現に向けたオオサンショウウオの遺伝子研究」は、広島を中心に国内各地からの試料について遺伝子解析を行い、遺伝子的地域差は極めて少ないことを見出すなど、オオサンショウウオの保全にとって重要な知見を得ています。

同じく優秀賞の栃木県立宇都宮工業高等学校の生産システム研究部の「ステンレス鋼の高精度・高能率研削」は、加工困難で知られるステンレス鋼の精密加工方法を研究し、砥石の選択や加工条件を検討することによって高精度で高能率な加工方法を見出したもので、その成果は地元企業のカメラ部品の精密加工に利用されるなど高い評価を得ています。

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