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岐路に立つ半導体産業

定価(税込)  2,090円

著者
サイズ A5判
ページ数 240頁
ISBNコード 978-4-526-06199-8
コード C3034
発行月 2009年01月
ジャンル ビジネス 電気・電子

内容

半導体産業は今、微細化の壁、投資効率の壁、ウェアファブ建設の限界、システム規模の巨大化などによって、投資額を回収できない低迷が続いている。本書はこの世界的な構造変化の中で、半導体産業の行く末を展望し、日本メーカーへの提言を行うもの。

目次

はじめに



序 章 日本メーカの取るべき戦略

第1章 半導体産業の概況

1・1 半導体産業の現状

1・2 半導体の応用分野

1・3 半導体の製品カテゴリ



第2章 半導体産業が直面する課題

2・1 限界に近づく微細化

2・1・1 微細化による性能向上の歴史

2・1・2 近づく微細化の限界

2・2 増大する投資負担

2・2・1 プロセス開発と設備投資の負担増大

2・2・2 設計開発費の増大

2・3 製品仕様の多様化



第3章 新規需要の可能性

3・1 新規需要の可能性



第4章 製品の性格とビジネスモデル

4・1 製品の性格による分類

4・1・1 部品型半導体とソリューション型半導体

4・1・2 モジュラー型と摺り合わせ型

4・2 製品の性格に適したビジネスモデル

4・3 日本の得意不得意



第5章 半導体産業の構造変化

5・1 半導体産業の成熟

5・1・1 微細化の限界に対する対応

5・1・2 成熟

5・2 分業化と専業化

5・2・1 アパレル産業からの知見

5・2・2 半導体で進む分業化と専業化

5・3 標準プラットホームの脅威

5・4 事業分離とM&A



第6章 競争優位の事例に学ぶ

6・1 半導体の歴史を振り返る

6・2 インテル

6・3 サムスン電子

6・4 テキサス・インスツルメンツ(TI)



第7章 曲がり角の先へ

7・1 専業メーカへ

7・1・1 総合電機メーカからの独立

7・1・2 百貨店型総合半導体メーカから専門店型半導体メーカへ

7・2 SOCの戦略

7・2・1 IDM路線の維持とファブレス化

7・2・2 ファブライト戦略の検討

7・2・3 設計付加価値の追求

7・2・4 新しいシステム産業へ

7・3 メモリの戦略

7・4 摺り合わせ型半導体の戦略

7・4・1 MCUの戦略

7・4・2 ディスクリートとアナログの戦略

7・5 まとめ



参考文献

あとがき

索引

はじめに

はじめに



本書は経営戦略の視点から半導体産業を論じたものである。筆者は長年にわたり半導体メーカで経営企画に携わってきたが、その経験に基づいて激動の時代を迎えた半導体の将来を予測し、半導体メーカがとるべき新しい戦略を提案している。また、戦略提案の基礎となった半導体の現状分析の結果を詳しく説明している。現状分析は、半導体市場、応用分野、技術課題、設備投資、開発投資、コストと広範囲に及んでいる。

サブプライム問題に端を発した世界経済の停滞は半導体産業にも大きな影響を与えており、日本の半導体メーカの業績は著しく悪化している。今後市況はさらに悪化する可能性が高い。しかしながら、2008年を見る限り、日本メーカが総崩れになったのに対して、海外ではインテルやTIのように市況に苦しみながらも例年に近い業績を上げている半導体メーカが存在する。日本メーカの業績悪化は市況のせいだけでなく、数年前から半導体産業に起こっている構造変化に対応できないためである。構造変化とは、SOC(システムオンチップ)のシステムが巨大になったことに起因するモジュラー型産業構造の進展であり、またファブレスとファウンドリといった水平分業を含む専業化とその結果としての寡占化である。

さらに半導体は新しい課題にも直面している。半導体発展の原動力であったプロセス微細化に限界が見えてきたのである。今まで当たり前だと思われてきた半導体製品の驚異的な性能向上は微細化によって実現されてきたが、今後は今までのような性能向上ペースは維持できなくなるだろう。

これらの課題、すなわち微細化の限界やモジュラー型の競争関係の進展は徐々に半導体関係者の間で認識され始めているが、まだ日本メーカが戦略を大きく転換するには至っていない。しかし、今後2、3年のうちにこれらの課題がはっきりした形で現われて半導体業界に大規模な変化が起こると予想される。半導体は激動の時代に突入するのである。この大規模な変化に対して、既に海外メーカは新しい戦略を打ち出しつつある。一方、日本メーカは新しい方向を打ち出せず深い閉塞感に覆われている。この閉塞感は直面している課題と経営戦略のギャップから生じている。したがって日本メーカが現状を正しく認識して新しい解決策に向かって進み始めれば、現在の閉塞感は解消していくだろう。新しい解決策とは半導体産業が先端モノづくり産業の枠を超えて、新しいビジネスモデルを作り上げることである。本書ではこのような議論を進めるための基礎として、日本メーカが取るべき戦略を提案している。

この本は半導体の関係者はもちろんであるが、エレクトロニクスや自動車などの半導体ユーザの方々にも読んでいただきたい。今後半導体に起こる変化は今までにない規模のものであり、ユーザにも大きな影響を及ぼすからである。例えば、微細化が限界に達して半導体製品の性能向上のペースがスローダウンすると、半導体を使用する機器も性能向上がスローダウンするが、これは機器の開発方針に大きな影響を与える。また、SOCのシステム産業化も機器メーカに大きな影響を与えている。

本書では半導体の構造変化を世界レベルでとらえ、海外メーカがどのように変化に対応しようとしているかについても解説している。特にインテルやサムスン電子、TIなど海外トップメーカの戦略について詳しく分析している。一歩先を行く海外メーカを分析することは、日本メーカの戦略を考えるうえで参考になるだろう。

本書では現状分析を丁寧に行ったため、細かな数値データが多くなった。もし既にご存知のデータであれば読み飛ばして論旨だけを追っていただくことをお勧めする。



2009年1月佐野 昌

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