内容
前書「絵とき『機械加工』基礎のきそ」に続くスキルアップ編。いよいよ実際に機械加工を行うことを想定し、身に付けておかなければならない具体的な加工手順(旋盤・フライス盤・NC機械などを実際に動かす際の手順やテクニックなど)を、豊富な写真とイラストでやさしく紹介、解説する。
目次
目 次
はじめに
第1章 加工法の種類と分類
1−1 加工法の種類と分類
1−2 除去加工
1−3 付加加工
1−4 成形加工
1−5 熱処理
1−6 加工法の知識を深めることの重要性
第2章 加工手順を考える
2−1 加工手順の重要性
2−2 汎用旋盤と汎用フライス盤の基本操作
2−3 加工手順を考えた部品の製作
第3章 汎用旋盤のテクニック
3−1 汎用旋盤のテクニック
3−2 バイトの基礎知識
3−3 旋盤加工と加工精度
3−4 高度な加工/特殊な加工
3−5 切削加工以外の旋盤の利用
3−6 旋盤加工の要点
第4章 汎用フライス盤のテクニック
4−1 汎用フライス盤とは
4−2 フライス加工に用いる切削工具
4−3 工作物の固定と位置合わせ
4−4 汎用フライス盤による加工の実際
4−5 汎用フライス盤の要点
第5章 NC工作機械をまわす
5−1 NC工作機械の特徴
5−2 NC工作機械の加工の流れと要点
5−3 NC工作機械のプログラムコード
5−4 NC旋盤の使用例
5−5 マシニングセンターの使用例
5−6 NC工作機械の難しさ
第6章 さまざまな加工機器を活用する
6−1 実際の加工現場では
6−2 材料の切り出しと切断
6−3 研削加工とグラインダ
6−4 溶 接
6−5 穴あけ加工とボール盤
6−6 加工機機の活用例
第7章 寸法計測のテクニック
7−1 ノギス
7−2 マイクロメータ
7−3 ダイヤルゲージ
7−4 各種ゲージによる寸法計測
7−5 寸法計測・形状計測の要点
第8章 手仕上げ作業のテクニック
8−1 手仕上げ作業とは
8−2 けがき作業
8−3 やすり作業
8−4 磨き作業
8−5 ねじ切り作業
8−6 手仕上げ作業の要点
第9章 機械の組立テクニック
9−1 機械の組立作業
9−2 ね じ
9−3 カップリング
9−4 歯車機構/ベルト機構
9−5 軸 受
9−6 はめあいと位置決め
9−7 シール部品
9−8 配管作業
9−9 電気機器と配線作業
9−10 機械のメンテナンス
付録1 模型スターリングエンジンとモノづくり
A1−1 スターリングエンジンとモノづくり
A1−2 スターリングエンジンとは?
A1−3 模型スターリングエンジンの構造と要点
A1−4 模型スターリングエンジンの製作図面
A1−5 模型スターリングエンジンとモノづくり
付録2 高性能スターリングエンジンとモノづくり
A2−1 スターリングエンジンの高性能化
A2−2 高性能スターリングエンジンの開発事例
A2−3 機械の高性能化とモノづくり
参考文献
索 引
はじめに
はじめに
一言で言えば、加工とは、素材に必要な寸法・形状を与える工程・作業のことです。加工法を知ることは、機械の製作はもちろん、機械設計や機械製図などにも大きく役立ちます。特に、最近の加工技術の発展は目覚ましく、コンピュータ制御のNC工作機械をはじめ、レーザ光や電子ビーム、化学反応を利用した特殊な加工を利用すれば、今までの加工技術ではできなかったモノづくりを実現できるかもしれません。
一方、昔ながらの加工も実際のモノづくりに活用されています。それがモノづくりの基盤技術であることは間違いありません。筆者が実際に扱う加工は、最新の加工技術や加工理論ではなく、昔ながらの機械加工がほとんどです。本書でも主として汎用旋盤や汎用フライス盤などの基本的な機械加工を扱います。
また、第7章および第8章で述べる部品の寸法計測や手仕上げ作業は、加工者の手先で行われる作業であり、手先の器用さや熟練した技能が必要とされる作業です。工作機械や計測器の発達によって、従来からの計測法や手仕上げ作業の必要性が低くなってきていることも確かです。例えば、一昔前までは、やすりだけを使って鋳物部品の最終形状を削り出すこともあったようですが、今ではマシニングセンターやワイヤカット放電加工機などで高精度な加工ができるようになっています。これからのモノづくりは、伝統的な技能やノウハウを受け継ぎつつ、新しい加工技術をうまく使いこなしていくことが重要であると考えています。
本書は、雑誌「機械技術(日刊工業新聞社、第55巻第1号〜第56巻第12号)」の連載「ものづくりを始めよう!」から機械加工に関する記事を抜粋し、一部の内容を編集しなおしたものです。「絵とき機械加工 基礎のきそ(日刊工業新聞、2006年発行)」の続編として、初級・中級の加工者や一歩進んだ機械加工を目指す機械系学生を対象として、工作機械を扱うテクニックや機械を組み立てるテクニックをまとめています。
さらに、本書の付録では、筆者が研究・開発を進めているスターリングエンジンの概要や開発事例を紹介しています。これらの内容が、読者のこれからの機械加工やモノづくりの発展に少なからず役立つことを期待しています。
最後にこの紙面をお借りして、執筆の機会を与えていただき、終始ご支援をいただいた新日本編集企画の飯嶋光雄氏、日刊工業新聞社出版局の奥村功氏並びに日刊工業出版プロダクションの黒田潤氏に厚くお礼申し上げます。また、連載記事並びに本書を執筆するにあたって、貴重な助言をいただいた(独)海上技術安全研究所非常勤職員の川田正國氏に深くお礼申し上げます。
付録第2章で紹介している排熱利用スターリングエンジンは、(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構基礎的研究推進制度のもとで実施された「港湾内の環境保全を目指した内航船舶用排熱回収システムの開発(平成17〜19年度)」において開発されました。関係各位並びに共同研究メンバーに対し、深い感謝の意を表します。
2009年1月
平田 宏一