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めっちゃ、メカメカ!リンク機構99→∞
―機構アイデア発想のネタ帳―

定価(税込)  2,200円

著者
サイズ A5判
ページ数 200頁
ISBNコード 978-4-526-06189-9
コード C3053
発行月 2009年01月
ジャンル 機械

内容

リンク機構とは、複数のリンクを組み合わせて構成した機械機構。機械設計や機械要素技術の基本中の基本だが、手軽な参考資料がない。本書はリンク機構設計の仕組みと基本がよくわかる本であり、そこから無限大の発想を生み出すアイディアヒント集でもある。

山田 学  著者プロフィール

S38年生まれ、兵庫県出身。カヤバ工業(株)自動車技術研究所にて電動パワーステアリングとその応用製品(電動後輪操舵E‐HICASなど)の研究開発に従事。グローリー工業(株)設計部にて銀行向け紙幣処理機の設計や、設計の立場で海外展開製品における品質保証活動に従事。平成15年勤務先の同意を得て、エンジニアリングテクノロジー六自由度(技術士事務所)を開設し、技術士受験指導・執筆活動に従事する現役エンジニア。兵庫県技能検定委員として技能検定(機械・プラント製図)の検定試験運営、受験指導、採点などに関わる。また「エンジニアリングテクノロジー六自由度」技術情報サイトを運営し、現役エンジニアの視点で機械設計者に情報提供している。

目次

はじめに 〜メカトロの時代なのにメカメカ?

第1章 リンク機構の基本
1−1 リンク機構と自由度
1−2 リンク機構と対偶
1−3 てこの原理
1−4 リンク機構の種類

第2章 メカトロとリンク機構
2−1 アクチュエータの種類と特性図の使い方
2−2 センサの種類と検知
2−3 タイミングチャートの読み方・書き方

第3章 四節リンクの揺動運動
No.001 すべてのリンクが等長の平行リンク
No.002 対向するリンクが等長の平行リンク(1)
No.003 対向するリンクが等長の平行リンク(2)
No.004 対向する可動リンクを不等長にした台形リンク(1)
No.005 対向する可動リンクを不等長にした台形リンク(2)
No.006 対向する可動リンクが等長の台形リンク
No.007 往復揺動運動する変形リンク
No.008 台形リンクの中間リンク端の近似直線軌跡
No.009 すべてのリンクが等長の直角配置リンク
No.010 中間リンクだけ長い直角配置リンク
No.011 駆動リンクだけ短い直角配置リンク
No.012 駆動リンクだけ長い直角配置リンク
No.013 片側揺動で1往復揺動する直角配置リンク
No.014 中間リンクを交差した等長リンク
No.015 中間リンクを交差した不等長リンク(1)
No.016 中間リンクを交差した不等長リンク(2)
No.017 パンタグラフ(吊り下げ利用)
No.018 ロバーバル機構(吊ばかり)
No.019 ロバーバル機構(上皿天秤)
No.020 ロバーバル機構(その他の秤)
No.021 航空機に見られる車輪格納機構(思案点通過)
No.022 航空機に見られる車輪格納機構(思案点で拘束)
No.023 航空機に見られる車輪格納機構(思案点なし)
No.024 航空機に見られる車輪格納機構(交差・思案点通過)

第4章 四節リンクの回転運動
No.025 等長リンクの平行クランク(1)
No.026 等長リンクの平行クランク(2)
No.027 不等長リンクの平行クランク(回転−揺動)
No.028 思案点のない等長リンクの平行クランク(多節リンク)
No.029 不等長リンクの平行クランク(回転−片側揺動)(1)
No.030 不等長リンクの平行クランク(回転−片側揺動)(2)
No.031 不等長リンクの均等動作する平行クランク
No.032 不等長リンクの平行クランク(中間リンクの機能例)
No.033 不等長リンクの回転運動(不等速回転)
No.034 早戻り機構のリンク長さ変化の確認(1)
No.035 早戻り機構のリンク長さ変化の確認(2)
No.036 不等長リンクの回転運動(2回転で1揺動)
No.037 航空機に見られる車輪格納機構(固定部・作用点等長)
No.038 車輪格納機構のリンク長さ変化の確認(1)
No.039 車輪格納機構のリンク長さ変化の確認(2)
No.040 中間リンクのない回転揺動機構(四節リンクではない)
No.041 カムを用いた回転揺動機構(四節リンクではない)

第5章 四節リンクとスライド機構
No.042 スライダクランク
No.043 オフセットスライダクランク
No.044 クランクローラ
No.045 オフセットクランクローラ
No.046 両端位置で一旦停止するスライダクランク
No.047 円弧スライダクランク
No.048 変形スライダを利用した片側停止クランク(1)
No.049 変形スライダを利用した片側停止クランク(2)
No.050 変形スライダを利用した可逆回転クランク1(回転入力)
No.051 変形スライダを利用した可逆回転クランク2(スライダ入力)
No.052 変形スライダを利用した可逆回転クランク3(回転入力)
No.053 変形スライダを利用した可逆回転クランク4(スライダ入力)
No.054 ラプソンスライダ(1)
No.055 ラプソンスライダ(2)
No.056 揺動スライダクランク
No.057 回転スライダクランク
No.058 フロートスライダのクランク
No.059 軸駆動によるスライダクランク
No.060 往復両スライダクランク機構(1)
No.061 往復両スライダクランク機構(2)
No.062 回転両スライダ機構

第6章 その他の四節リンクの運動
No.063 シリンダストロークを利用した回転リンク
No.064 四節リンクとシリンダ駆動の組み合わせ1(多節リンク)
No.065 四節リンクとシリンダ駆動の組み合わせ2(多節リンク)
No.066 航空機に見られる車輪格納機構 スライダピン駆動(1)
No.067 航空機に見られる車輪格納機構 シリンダ駆動(1)
No.068 航空機に見られる車輪格納機構 スライダピン駆動(2)
No.069 航空機に見られる車輪格納機構 シリンダ駆動(2)
No.070 航空機に見られる車輪格納機構 スライダピン駆動(3)
No.071 航空機に見られる車輪格納機構 シリンダ駆動(3)
No.072 航空機に見られる車輪格納機構 スライダピン駆動(4)
No.073 ナックルプレス機構(手動式)
No.074 ナックルプレス機構(オートマチック式)(多節リンク)
No.075 トグルを利用したロック機構

第7章 多節リンクの運動
No.076 パンタグラフ(等長リンク)
No.077 平行定規(横ズレあり)
No.078 平行定規(横ズレ解消)
No.079 平行定規(ドラフター)
No.080 クロススライダによる平行移動
No.081 バタフライ対称揺動
No.082 マジックハンド
No.083 パンタグラフの直線伸縮運動
No.084 インジケータ用リンク
No.085 無死点クランク
No.086 3支点による回転
No.087 多節トグルのような機構
No.088 スコットラッセルの厳正直線運動
No.089 スコットラッセルの近似直線運動
No.090 ハートの直線運動
No.091 ブリカードの直線運動
No.092 ケンプの直線運動(1)
No.093 ケンプの直線運動(2)
No.094 ケンプの直線運動(3)
No.095 ヒスコックスの直線運動
No.096 ルーローの直線運動
No.097 ポースリエの直線運動
No.098 スライダリンクの楕円コンパス
No.099 クロススライダの楕円コンパス

柔らか頭と軽いフットワーク

はじめに

メカトロ時代なのにメカメカ??

CADモニターの前で、「(-"-;)うーん、あっちもこっちもひとつのモータで動かせ言われてもな〜」とつぶやく若いエンジニアがいます。上司から「モータはひとつしか使ったらあかんぞ!」と言われたおかげで、設計が前へ進みません…。 「メカトロの時代に、メカメカした機構なんて時代遅れやん (* ̄ー ̄)"b"」となげいても誰も助けてくれません。 (〃゜▽゜;アセアセ…

メカトロという言葉自体が古臭く感じるほど、現在の製品開発では当たり前のようにモータなどのアクチュエータや各種センサを多用して設計することが一般的です。メカトロとは、メカトロニクスの略で、メカニクス(mechanics:機械工学)とエレクトロニクス(electronics:電子工学)をあわせた和製英語です。

近年では低価格のアクチュエータやセンサが容易に入手できるようになり、少し複雑な動作があると、それを実現させるために簡単にアクチュエータやセンサを増やして設計をするエンジニアも多いと思います。

しかし、日常生活で使う家電製品や自動車などのトラブルを思い出してみましょう。

「あれっ?動かへんやん…(゜へ゜)ありゃ?」

電源は入っているのにうんともすんとも機械が動きません。

またある時は、「バキバキバキ!ヾ(〃°▽°)ノえ〜〜」

突然機械から大きな異音が発生します。

機械部品や電子部品は、どちらも寿命があり、偶発的に故障も発生します。機械部品の故障は、磨耗や折損、接続部(ねじや溶接など)の外れなどが一般的な原因です。

電子部品の故障は、機械部品と比較して温度や湿度、静電気など使用 環境が寿命に大きく影響を与えます。さらにハーネスという断線・ ショート・接触不良などの可能性を秘めるウイークポイントを持っていることが故障の主要因になることもあります。

また、モータやソレノイドは、電子部品と機械部品それぞれの信頼性が掛け合わされるため、純粋な機械部品よりは故障しやすい傾向にあります。

工場で稼動する機械の中には、半世紀前に設計され、現在でも継続して稼動しているものがたくさんあります。もちろん、定期的にメンテナンスを行った成果ですが、それらの機械をよく観察してみると、重厚なメカニカルな構造をしていることがわかります。そこには無数のセンサやアクチュエータが配置されているわけではなく、1つのアクチュエータだけでリンクやカム機構を用い、モーションコントロールしていることに驚きを覚えます。

冒頭で「メカメカした機構は時代遅れ」と言った若いエンジニアは、古い機械を見てそう思ったのでしょう。しかし電子部品や電気的なアクチュエータを多用すればするほど信頼性が低くなります。

同じ動作をさせるにしても様々な手法や機構が存在することから、機構設計には正答がありません。他社との競争力を向上させるためには、如何に簡単な機構でその動作を実現できるかが設計者の腕の見せ所です。機械部品は電子部品より故障が少ないと前述しましたが、機械部品でも多数の部品を組み合わせたひとつの製品としてみると、部品点数が増えれば増えるほど信頼性が下がっていきます。

高信頼性のポイントは、必要最小限の電子部品に簡素でメカニカルな構造を組み合わせることなのです。メカニカルな構造を具現化するためには、リンク機構やカム機構、歯車やベルト・チェーンなどを組み合わせなければ実現できません。

知的財産の視点から、複雑でコテコテな機構が出願されても、回避するためにコストを同等レベルに抑えて別のアプローチによる機構を考案することは簡単です。

ところが至って簡素な機構を出願されると、回避しようにもコストの高い複雑な構造を考案せざるを得ないのです。その時点で競争力が劣ることは歴然です。つまり、簡素で信頼性の高いリンク機構を提供しなければ、企業として生き残れないのです。

さて、皆さんはリンク機構を考える際、どうやってアイデアを出しますか?

実務経験の少ない人は、何をどう考えればよいのかわかりません。実はベテラン設計者でも一から機構を考案することは大変難しいのです。そこで、身の回りにある機構、例えばコピー機やプリンタのカバーを開けて覗いてみたり、自動車のサスペンション構造や子供のおもちゃの構造を調べてみたりと使えそうな機構を探して、それらをヒントに要求される動作を実現させるためにポンチ絵を描いて、機構を作り上げていくこともあります。

そう、ベテランでもヒントがなければ、リンク機構の構想は難しいのが現実ですから(/▽\)恥ずかしがることはありません。

まず、リンク機構の基礎を学習した上で、モーションコントロールするための設計ポイントや様々なリンクの構造と動作を理解してください。本書に記載された99の基本となる機構を参考にすることで、新しい機構は無限に作成することができます。ユニークな構造で競合他社に差をつけ、機械効率のよいリンク機構でアクチュエータの削減、省エネルギー化に貢献することが機械設計者の使命であることを忘れないでください。

読者の皆様からのご意見や問題点のフィードバックなど、ホームページを通して紹介し、情報の共有化やサポートができ、少しでもよいものにしたいと念じております。

「Lab notes by六自由度」

書籍サポートページ
http://www.labnotes.jp/

最後に、本書の執筆にあたりお世話いただいた日刊工業新聞社出版局の方々にお礼を申し上げます。

2009年1月
山田 学

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